2022年04月30日

映画『パラサイト 半地下の家族』歴史的快挙!アカデミー賞獲得の理由とは!?/感想・解説・考察ハリウッド映画の「恨」

原題기생충
英伍題 PARASITE
製作国 韓国
製作年 2019
上映時間 132分
監督:ポン・ジュノ
脚本:ポン・ジュノ、ハン・ジンウォン

評価:★★★★★ 5.0点



この映画は間違いなく映画史に残る一本となるだろう。

それは、アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた、初の非英語作品であることで確約されているが、その陰にはアカデミー賞を巡りアカデミー協会が変容を促される問題が生じていたのだ。

しかしアカデミー賞受賞に関わらず、それ以上にこの映画は、作品の質として2000年以降でベストに近い映画ではないかと感じている。

実を言えば、初見では、この映画はエンターテーメント性が強く、それが貧富格差のテーマを語るのに最も適した表現なのかと疑問があり、実は★4個とするつもりだった。

しかし、この映画の持つ「ハリウッド的エンターテーメント表現」に深い意味があると気付いた時に、この映画に満点以外をつけられなかった。
その点を以下で説明させて頂きたい・・・・・・・
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<目次>
映画『パラサイト 半地下の家族』簡単あらすじ
映画『パラサイト 半地下の家族』予告・出演者
映画『パラサイト 半地下の家族』感想/オスカーの変容
映画『パラサイト 半地下の家族』解説/ハリウッド的娯楽表現
映画『パラサイト 半地下の家族』考察/秘められた韓国的「恨」

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映画『パラサイト 半地下の家族』あらすじ

半地下の狭く薄汚れたアパートに住む、キム一家は父ギテク(ソン・ガンホ)長男ギウ(チェ・ウシク)/娘ギジョン(パク・ソダム)母チュンスク(チャン・ヘジン)の四人家族だった。父と母も失職し、子供達も浪人を重ね、極貧の生活を強いられていた。そんなある晩、ギウの友人、大学生ミニョク(パク・ソジュン)が幸運を呼ぶ山水景石という石と共に訪れ、英語の家庭教師のアルバイトの口をギテクに紹介したことから、運命は大きく動き出した。上流階級のパク家の女子高生ダヘ(チョン・ジソ)の英語教師を始めたギウは、パク夫人(チョ・ヨジョン)、パク氏の人の好いのに漬け込んで、妹ギジョンを一人息子ダソン(チョン・ヒョンジュン)の絵画教師として売り込んだ。更に奸計を練って、運転手として父を、家政婦として母を、お互いが家族であることを隠してパク家に入り込んだ。こうして4人が、見事に寄生することに成功した。
しかし、その家にはパク家も知らない、隠された秘密があったのだ・・・・・
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映画『パラサイト 半地下の家族』予告

映画『パラサイト 半地下の家族』出演者

キム・ギテク(ソン・ガンホ)/キム・ギウ(チェ・ウシク)/キム・ギジョン(パク・ソダム)/チュンスク(チャン・ヘジン)/パク・ドンイク(イ・ソンギュン)/パク・ヨンギョ(チョ・ヨジョン)/パク・ダヘ(チョン・ジソ)/パク・ダソン(チョン・ヒョンジュン)/ムングァン(イ・ジョンウン)/オ・グンセ(パク・ミョンフン)/ミニョク(パク・ソジュン)
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映画『パラサイト 半地下の家族』感想

オスカー取得の衝撃

>この映画は、外国映画(非英語映画)として初めて、アメリカのアカデミー賞の最高賞、最優秀作品賞を獲得した。

これは、間違いなく世界映画史に刻まれる一大快挙なのだ。

オスカーをめぐる外国映画の壁がいかに高いかは、歴代の最優秀作品賞が100%英語作品である(フランス映画アーティストはサイレント映画)ことでも明らかだろう。
関連レビュー:アカデミー賞紹介
『アカデミー賞・歴代受賞年表』
栄光のアカデミー賞:作品賞・監督賞・男優賞・女優賞
授賞式の動画と作品解説のリンクがあります。
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それは第一回目のアカデミー賞以来、アメリカ人によるアメリカ人のための、ドメスティックな映画賞だった。
関連レビュー:アカデミー賞第一回授賞式
『アカデミー賞・第一回授賞式』
1929年栄光のアカデミー賞の最初とは??
授賞式の動画と作品解説のリンクがあります。
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そんな中で風穴を開けた『パラサイト』の快挙は、世界中の映画人を奮い立たせたに違いない。

そんなアカデミー賞獲得の裏には、アカデミー協会(映画芸術科学アカデミー:Academy of Motion Picture Arts and Sciences、AMPAS)自体の変容があった。
アカデミー協会の変容
2016年、アカデミーはマイノリティの映画関係者の業績を認めなかったとして批判の対象となった。2年連続で、主要な演技カテゴリーの20人の候補者全員が白人だったのだ。
para_ceo.jpgスパイク・リー監督、俳優のウィル・スミスとジェイダ・ピンケット・スミス、活動家の牧師などの著名なアフリカ系アメリカ人は、アカデミー協会とその賞がマイノリティーに対して差別的だとして2016年のオスカーのボイコットを呼びかける騒動となった。
当時アカデミ協会会長として初の黒人女性シェリル・ブーン・アイザックス(写真)が就任していたが、多様性を受け入れられるように会員の見直しを発表し、アカデミー協会の理事会は「歴史的な」変更を加えることに賛成した。アカデミーは、2020年までに女性とマイノリティのメンバーの数を2倍にするとアナウンスした。
2018年、アカデミーは過去に例のない928人の新規メンバーを招待した。これにより協会員の女性が占める割合は31%になり、38%が有色人種となった。その新規メンバーは、広く世界の映画関係者にも門戸を開いた。

『パラサイト 半地下の家族』の栄冠の要因に、アカデミー協会の変容があったのは間違いない。

しかし、その年の作品賞のどの作品に較べても、最も優れた作品だと衆目の認めるところだ。

アカデミー賞にとっても、アメリカ映画の産業振興を離れ、映画の最も権威ある賞を目指すならば、世界中の映画の秀作を選ぶべきであり、そのための第一歩として健全な兆しだと感じる。

この映画に関しての個人的な評価を言えば、2000年以降に発表された作品の中でも、古典として残されるべき映画の有力候補だと思う。

関連レビュー:BBC選出!2000年以降のベスト100
英BBC『21世紀最高の映画ベスト100』ランキング
21世紀に生まれた映画のベストを決定!!!
しかし2000年の映画が選出!これ20世紀でしょ?

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映画『パラサイト 半地下の家族』解説

ハリウッド的娯楽表現

この『パラサイト』をアメリカ映画界が認めた大きな理由を考えた時、個人的に強く感じたのは、その完璧なエンターテーメント性である。

どこも緩むところなく、常に観客の興味と注意を、スクリーンに向けさせ続けるテクニックは驚嘆すべきものだ。

この映画の持つ構成、パク家に取り入るまでのコンゲーム(詐欺)から、パク家の留守に入り込みその富を奪い合うクライムサスペンス、そして洪水のスペクタクルシーンを経て、華やかなパーティーの光と影は社会派ドラマを思わせる。

そんな展開を見て、観客の視点を変えつつ、ラストまで引っ張る構成を見て、ヒッチコック監督の『サイコ』を思い出した。
関連レビュー:いかに観客を引っ張るか?
ヒッチコック『サイコ』
巨匠ヒッチコック監督の驚愕の傑作!!
サイコ・ホラーの地平を切り開いたパイオニア

ヒッチコック監督が、その著書『ヒッチコック映画術』で語った名言「スクリーンをエモーションで埋めつくすのだ」という言葉を、見事に体現した映画がこの『パラサイト』だろう。
関連レビュー:トリュフォーのヒッチコック愛
ヒッチコック/トリュフォー『ヒッチコック映画術』
映画技術と映画愛がいっぱいつまった本
ヒッチコックの全映画の秘密をフランスの巨匠トリュフォーが追及

私見では、この映画の本質は「エンターテーメント作品としての高次元の完成度」にあり、テーマ性や、社会性は、エンターテーメント性を高めるための燃料に過ぎないとすら感じた。

個人的に、ヒッチコックと並んで、娯楽性が際立った作品として思い浮かんだのが、黒澤明の『七人の侍』だった。
その映画も、西部劇の娯楽性を志向して、芸術性を有してしまった作品だと、個人的には解釈している。
日本映画:1954年
『七人の侍』
映画史に永遠に刻まれた日本映画
黒沢映画の時代劇と西部劇との関係?

この、ヒッチコック、黒澤明、そしてこの『パラサイト』を並べてみたとき、まずは娯楽性を追求するという点において、共通のテーストを感じる。

さらに言えば、この三者は、映画の語り口が「ハリウッド的映画様式」に拠っていると思える。
それは、テンポ感、状況説明の巧みさ、モンタージュ、編集、明確なキャラクター設定など、不明瞭さを嫌う、ある種の明快さを求める表現様式である。

そのハリウッド映画様式の成立は、かつて娯楽の王様としてハリウッド映画が君臨していた時代、世界中で、老若男女の区別なく、見れば伝わり明るく楽しいという作品を追求し続けた結果生まれた映像表現だったろう。
アメリカ映画:1956年
映画『愛情物語』
ハリウッド映画が全世界に贈る良心作!!
名曲に彩られた、音楽家の伝記

それは映画文法として、映像と語られる内容の明確でシンプルな関係性が構築されているがゆえに、映画表現の汎用性を生み、ついには映像表現のスタンダードとして、ハリウッド映画様式はあらゆるジャンルを語れるメディアに成長し得たのだと考える。

たとえば、欧州の名匠ルキノ・ビスコンティ―の重厚で耽美な表現で、コメディー映画を語るのは困難だろう。
イタリア・西ドイツ・フランス合作:1972年
『ルートヴィヒ 神々の黄昏』
バイエルン王ルードヴィヒ二世の悲劇の人生
ルキノ・ヴィスコンティ監督の現代社会への復讐とは?

たとえば、日本の小津安二郎監督の、あの独特の間で、過激なアクション映画を撮ることはできるだろうか?
日本映画:1953年
『東京物語』
世界的にも高く評価される小津監督の名作
日本的な世界観、美意識が映像として定着

つまり、ハリウッド的映画様式は、その国民性を反映して、単純明快を好むのであり、シンプルであればこそ、あらゆるジャンルを客観的に描きえるのだと考えたりする。

このパラサイトの映像表現も、見事にそんな単純明快さを感じるのである。

そんな映画表現様式の共通性が、黒澤明がハリウッドの映画人に多大の影響を与えたように、この『パラサイト』をしてアメリカ国民に喜ばれ、浸透させる力となったのだと思える。

しかし、ポン・ジュノは、そんなハリウッド的表現の下に、しっかり韓国的な情念「恨(はん)」を埋め込んでいると信じている。

その点は下の考察「パラサイトの恨」で語ってみたい。
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映画『パラサイト 半地下の家族』考察

パラサイトの「恨」

この映画の表現は、明るく明快なハリウッド様式を思わせると書いた。

しかし、ポン・ジュノ監督の過去の作品群を見てみると、『殺人の追憶』『グエルム漢江の怪物』『母なる証明』など、どれもこの映画の持つ陽性なエンターティメント性を持ち合わせてはいない。
『母なる証明』予告

むしろ、庶民層の苦しみを、重く、厚く描くのが得意な作家だと思える。

つまり、この映画はポン・ジュノ監督の中でも特異な作品なのであり、実を言えばその娯楽性が、この作品の「貧富の格差」というテーマに相応しいのかと疑問を持ち、当初は低い評価をつけようと思っていた。

しかし、このハリウッド的エンターティメント性は、テーマを描くための戦略的な表現スタイルなのではないかと気付いた。

それは、この作品に登場するインディアンの存在が意味するものに、はたと気付いたからだ。

ハリウッド映画にとってのインディアンとは「西部劇」では、最大の「悪役」だった。
関連レビュー:「ヴィラン」としてのインディアン
映画『駅馬車』
ジョン・フォード監督、ジョン・ウェイン主演の西部劇!
アクション映画と感情表現の関係とは?

しかしインディアンを悪者にした西部劇は、今では描かれない。
なぜなら、かつて「正義」だった白人開拓者は「西洋からの侵略者」であり、かつて「悪者」だったインディアンは「財産を強奪された哀れな被害者」だと、世界が知ってしまったからだ。
アメリカ映画:1960年
『許されざる者』
オードリー・ヘップバーンの異色西部劇
巨匠ジョン・ヒューストン監督の描く西部劇の懺悔

この価値観の逆転は、明るく陽気な勧善懲悪の「西部劇」の表層の下、白人により殺され財産を奪われたインディアンの苦しみと屈辱がある事を意味している。
しかし、その「被害者の感情=ルサンチマン=恨」を無視していたからこそ、単純明快な娯楽作として成立し得たのである。
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それはこの映画『パラサイト』の、パク家など上流階級の明るく単純な喜びの人生と等質の感性なのだと思う。

パク家の明解さは、白人西部開拓者の勝利の雄たけびと同様、敗者、弱者に対する憐憫や痛痒を感じない感性が生む、立ち居振舞いなのだと思える。
白人開拓者やパク家が、その光の中で生き続けられるのは、人知れず斃れたインディアンや、地下に住むキム家の怨念があるのである。

そして、再びパク家の息子ダソンに焦点を当てれば、彼は明るい陽光の中にいて、ある日その「インディアン=敗者」の怨念に直面してしまった。
それゆえ彼は、自らその怨念の一部を我が物として刻み、生きねばならなかったのである。
キム家の4人が同じ匂いを持っているとダソンが気が付いたのは、決して偶然ではない。

幸福とは他者の不幸によって成立していると知ってしまった者は、その不幸の匂いにもう無自覚ではいられないのだ。
一見この映画では、キム一家がパク家に「寄生=パラサイト」しているように見えるが、実はキム家が代表する下層階級の庶民は、インディアン同様、上流階級の餌食となって彼等を養っているのである。

むしろ、上位10%が全体所得の45%を占めているという韓国社会にとって、上流階級こそ下層階級にとりついた「寄生虫(パラサイト)」なのである。

しかし、その社会的な不平等を解消すべき権力を持ち得ない庶民にとって見れば、その「恨み」の解消は二つの方法をとると映画内で語られている。

一つは己が弱者であるとの反省を伴って、富裕層へは「レスペクト」を持ち、同じ庶民に対し「恨み」敵意を向ける形がある。

そして、もう一つは富裕層に対し「恨み」を直接向ける方法であり、それは権力を持ち得ない者の反抗として「違法行為=テロリズム」の顔を見せるだろう。

この映画は、一見明るい娯楽作の表面下で、無自覚な幸福を支えるものが、不幸な人々の怨念であことを、ハリウッド的映画様式とインディアンという「鍵」によって語っているのだと解釈したい。



posted by ヒラヒ・S at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月10日

映画『パラサイト 半地下の家族』韓国映画の傑作!再現ストーリー/詳しいあらすじ解説・ネタバレ・結末・受賞歴紹介

映画『パラサイト 半地下の家族』詳しいあらすじ・ネタバレ 編

原題기생충
英語題 PARASITE
製作国 韓国
製作年 2019
上映時間 132分
監督:ポン・ジュノ
脚本:ポン・ジュノ、ハン・ジンウォン


評価:★★★★★ 5.0点



第72回カンヌ国際映画祭では韓国映画初となるパルム・ドールを受賞し、さらに第92回アカデミー賞で6部門にノミネートされ、4冠に輝いた。

アカデミー賞に関しては英語ではない作品で、最優秀作品賞を受賞するというのはアカデミー賞の長い歴史の中でも前例のない快挙だった。

この映画のストーリーを追ってみるとは、実に丹念な伏線と、観客の気持ちを逸らさない濃密な脚本で、高い完成度を持っていると思った。
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<目次>
映画『パラサイト 半地下の家族』ストーリー
映画『パラサイト 半地下の家族』予告・出演者
映画『パラサイト 半地下の家族』解説/受賞歴
映画『パラサイト 半地下の家族』ネタバレ
映画『パラサイト 半地下の家族』結末

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映画『パラサイト 半地下の家族』あらすじ

para1.png地面からかろうじて顔を覗かせせているような、半地下の狭く薄汚れたアパートに、キム・ギテク長男ギウ(チェ・ウシク)の声が響く。無断借用していた携帯のWiFiがつながらなくなったのだ。
para2.pngその部屋には父ギテク(ソン・ガンホ)、母チュンスク(チャン・ヘジン)、娘ギジョン(パク・ソダム)のキム一家が住み、近所のピザ屋の宅配箱を組み立てる内職の僅かの収入で、何とか生きていた。
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そんなある晩、ギウの友人、名門大学に通う青年ミニョク(パク・ソジュン)が訪れ、幸運を呼ぶ山水景石という石を手渡し、留学する自分の代わりに英語の家庭教師のアルバイトの代行を持ちかけた。
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四 浪中のギウは躊躇する。しかし、ミニョクはその生徒である、上流階級のパク家の女子高生ダヘ(チョン・ジソ)と、真剣に交際を考えているので、信用できる人間にしか任せられないと頼んだ。
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ギウは高い報酬もあって、美大を受験したこともある妹ギジョンに大学の証書を偽造させ、ケビンという偽名を名乗りパク家を訪問した。

ギウは有名建築家が建てたという、山手の豪華な邸宅で、パク家の夫人ヨンギョ(チョ・ヨジョン)の面接を受ける。
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女子高生ダヘとの最初の授業を乗り切ったギウは無事採用され、さらにダヘから好意を寄せられることになった。

ギウを信用したダヘの母は、壁にある息子ダソン(チョン・ヒョンジュン)の絵を前に、ダソンの絵の才能を伸ばせる美術教師を求めていると語る。
それを聞いたギウは、妹のギジョンにジェシカと名乗らせパク家に紹介した。
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ギジョンは付け焼刃の情報を使い、美術心理学的にダソンの絵にはストレスが見えるというと、ダソンが一年生の時に起きた事件に結び付けたパク夫人は、すっかりギジョンを信用した。
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ギジョンが帰宅する時間に、仕事を終えたパク家当主、パク・ドンイク(イ・ソンギュン)が戻ると、ギジョンを自分の車で送らせた。

運転手が運転するベンツの後部座席で駅まで送られる途中、ギジョンは自分のパンティーを脱ぎ、座席の下に放置した。
下着を発見したパク氏は運転手がカーセックスをしたと誤解し解雇する。
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そして運転手の後釜には、ギジョンが父ギテクの素性を隠し推薦し採用された。
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最後にパク家の家政婦ムングァン(イ・ジョンウン)を追い出す策略を立て、父ギテクはパク夫人にムングァンが結核なのではないかと吹き込む。そして、ムングァンが桃アレルギーなのを利用し、激しくパク夫人の前で咳き込ませた。
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こうして、母チュンスクも、パク家の家政婦として雇われ、キム家一家4人は全員身元を隠しながら、パク家へ取り入った。そのころには長男のギウは、生徒のダヘと相思相愛の関係になっていた。
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パク家は息子ダソンの誕生日を、キャンプで祝うため出発して、その留守を家政婦チュンスクにまかせた。
キム家の4人はパク邸に入り込むと、高級な洋酒を浴びるように飲み、豪華な時間を満喫する。
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そんな夜、雷雨の中インターホンが鳴り一家に緊張が走る。来訪者は元の家政婦ムングァンで、地下に忘れ物があるから入れて欲しいというのだった。
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チュンスクがムングァンを入れると、彼女は建築家が秘密に作った地下室へと入る隠し扉を開けた。
すると、そこには、ムングァンの夫のオ・グンセ(パク・ミョンフン)がいた。ムングァンは借金取りから逃げる夫を、密かにここに匿っていたのだ。
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ムングァンがチュンスクにどうか見逃して欲しいと懇願する。

その時、隠れて盗み聞きしていたキム家の3人が足を滑らせ、階段から転げ落ちて来た。
ムングァンは、4人がグルなのを知って、すかさずスマートフォンで証拠を押さえたため、立場は逆転してしまう。
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正座させたキム一家を前に、撮影した動画をパク夫人に送信すると脅しながら、夫とともに食事にありつく。
窮地に追い込まれたキム一家だったが、一瞬のスキにスマホを奪おうとし、グンセとムングァン夫婦も必死に抵抗しもみ合いとなる。
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ついにキム一家がスマホを押さえ、胸をなでおろした時、パク夫人から電話が入った。
大雨による川の増水でキャンプどころではなくなり、あと5分で家に着くという。
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焦ったキム一家はグンセとムングァンを地下室に放り込むと、手足を縛り付け、食い散らかした痕跡を乱暴に片づけた。チュンスクはパク夫人に頼まれたジャージャーメンの準備をする。
ギテクはムングァンとグンセを地下室に隠し、階段から落ちたムングァンは脳震盪を起こす。
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ギテクが地下の様子を見に行くと、グンセは地下にある家の照明のスイッチを押し、モールス信号を送っていた。グンセを更に身動き取れないよう縛って猿轡をかませた。
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パク一家が戻った時、ジャージャー麺を出すチュンスク以外のキム家3人は、家を抜け出す暇がなく、再び邸内に身を隠した。
帰って来たパク夫人は、ジャージャー麺を食べながらダソンが小学一年生の誕生日、夜中に幽霊(地下室から出たグンセ)を見たと打ち明けた。
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それ以来パク夫婦は息子の誕生日は家で過ごさないと決めているという。

その晩、息子ダソンは庭にインディアンテントを張り、大雨の中そこに 立て籠もった。庭のテントが見える居間のソファーで、ダソンを見守りつつ、寝ることを決めたパク夫妻。
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パク氏が運転手ギテクの匂いが酷いと愚痴る、そのそばにギテクは隠れていた。そうとは知らないパク氏は、そこで妻の体を求め、ソファーは二人の体で激しく揺れた。
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パク夫妻が眠りに落ちた隙に、パク邸から逃げ出したキム家の3人。
豪雨の中を、山の手からキム家のアパートに永遠に続くかと思われる下り階段を急ぐ。

その途中で、娘のギジョンは地下室のムングァンとグンセ夫婦をどうするのかと尋ねると父ギテクは「計画がある」と答え、家へと急いだ。
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低地の家の周りは豪雨の大量の雨水で、大洪水に見舞われ半地下の部屋は首まで浸かるほど浸水していた。
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3人は避難所となった体育館で一晩を明かした、地下室の夫婦の問題に動揺するギウは、寝床で父ギテクが口にした計画の内容を尋ねた。するとギテクは「俺の計画は無計画だ」と言い、計画があるから予定外の事態が起こる、計画がなければ人を殺そうと国を売ろうと、なんでもないと口にする。
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これを聞いたギウは、ギテクに謝罪し責任をとると言うと、その顔を父は心配げに見るのだった。

一晩明けた翌日、晴天の空の下テントに眠る息子ダソンのために、パク夫人はサプライズパーティーを思いつく。
家政婦のチュンスクを始め、ギテクとギウとギジョンの3人も、急遽パーティーの手伝いに駆り出された。
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キム一家は地下の二人を気にしつつ、確かめるチャンスがなく、庭では優雅な上流階級のパーティーが笑い声と共に進んでいた。
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父ギテクはパク氏とともにインディアンの格好で、ダソンを驚かせるため隠れていたが、ギトクの不満顔を感じたパク氏は仕事だと思えと命令した。
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地下室のムングァンとグンセの夫婦が気になるギウは、昨晩から肌身離さず持っている山水景石と共に、地下室へと降りていくと、グンセが逆襲に出て、ギウに襲いかかった。
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昨晩妻ムングァンは死んだが、その前にグンセの拘束を解いてくれていたのだ。
ギウは必死に地下室から階上のキッチンまで逃れたが、山水景石で頭を殴られ大量の出血が床を染めた。
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そのままグンセはキッチンの包丁を手に取ると、華やかなパーティーが開かれている、陽の当たる芝生の上に足を踏み入れた。
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映画『パラサイト 半地下の家族』予告

映画『パラサイト 半地下の家族』出演者

キム・ギテク(ソン・ガンホ)/キム・ギウ(チェ・ウシク)/キム・ギジョン(パク・ソダム)/チュンスク(チャン・ヘジン)/パク・ドンイク(イ・ソンギュン)/パク・ヨンギョ(チョ・ヨジョン)/パク・ダヘ(チョン・ジソ)/パク・ダソン(チョン・ヒョンジュン)/ムングァン(イ・ジョンウン)/オ・グンセ(パク・ミョンフン)/ミニョク(パク・ソジュン)

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映画『パラサイト 半地下の家族』評価・受賞歴


この映画は、数多くの映画賞に輝いている。

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米国アカデミー賞:作品賞/監督賞(ポン・ジュノ)/脚本賞/国際長編映画賞/美術賞
英国アカデミー賞:脚本賞/非英語作品賞 『パラサイト 半地下の家族』
カンヌ国際映画祭:パルム・ドール
ゴールデングローブ賞:外国語映画賞
ハリウッド映画賞:フィルムメイカー賞(ポン・ジュノ)
インディペンデント・スピリット賞:外国語映画賞
ロサンゼルス映画批評家協会賞:作品賞/監督賞(ポン・ジュノ)/助演男優賞( ソン・ガンホ)
全米映画批評家協会賞:作品賞
ニューヨーク映画批評家協会賞:外国語映画賞
シドニー映画祭:作品賞
毎日映画コンクール:外国映画ベストワン賞
キネマ旬報:ベスト・テン外国映画1位/読者選出外国映画ベスト・テン1位/外国映画監督賞(ポン・ジュノ)/読者選出外国映画監督賞(ポン・ジュノ)
日本アカデミー賞:優秀外国作品賞
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関連レビュー:アカデミー賞紹介
『アカデミー賞・歴代受賞年表』
栄光のアカデミー賞:作品賞・監督賞・男優賞・女優賞
授賞式の動画と作品解説のリンクがあります。
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また、映画ランキングにも登場している。

○ビジネスインサイダー誌『批評家によるオールタイムベスト』42位
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映画『パラサイト 半地下の家族』ネタバレ

があります。ご注意ください。
(あらすじから)
パーティーは佳境に入り、ダソンの絵画教師ギジョンによる、ケーキ贈呈へと進んでいた。
そのギジョンに向かい、血まみれの顔のグンセが包丁を振りかざし突進すると、ギジョンの胸に深々と包丁を突き立てた。
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パク家の息子ダソンは、グンセを見ると、再び「幽霊」を見た恐怖に意識を失う。
パク氏とギテクは、それぞれ自分の子に駆け寄る。
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グンセは妻の仇の家政婦チュンスクを見つけ襲いかかるが、チュンスクも抵抗しもみ合いとなる。

その混乱の中、ひきつけを起こしたダソンを病院に運ぶため、パク氏は車を運転しろとギテクに叫ぶ。呆然としているギトクに苛立ったパク氏は、鍵を投げろと命じた。
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ギトクが投げたベンツの鍵は、チュンスクとグンセがもみ合う体の下に入り込んだ。
その時、ギトクが振り下ろした包丁をかわしたチュンスクは、バーベキューの串をグンセの体に深々と刺し命を絶った。
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パク氏は動揺しつつも、死んだグンセの体の下から、鍵を引っ張り出すが、その時グンセから放たれる悪臭に吐きそうになる。
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そんなパク氏を見たギテクの、顔がこわばる。
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瞬間、落ちている包丁を拾い上げると、パク氏の体に渾身の力を込めてめり込ませ、その命を断った。
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パーティー会場が大混乱に陥り人々が逃げ惑う中、ギテクはどことも知れず姿を消した ・・・・・
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映画『パラサイト 半地下の家族』ラスト・シーン


数週間後、ギウは脳の外科手術を経て昏睡状態から目覚めると、その顔は笑っていた。
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警察に逮捕され、裁判で執行猶予となり、半地下のアパートに戻っても、刺されてこの世を去った妹のギジョンの位牌を目にしても、長期にわたりその顔から笑いの表情が消えることはなかった。

時は過ぎ、ギウは事件のあった邸宅を見下ろす丘へと登り、中の様子を祖眼鏡で覗く。そこにはドイツ人一家が今は住んでいた。
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その屋敷の電灯が点滅しているのに気付いたギウは、それが父の送るモールス信号であると気づく。
信号は、ギテクは家から食べ物を盗みながら地下室での孤独な生活を続けるつもりだという内容を伝えていた。
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ギウは、母チュンスクと共にあの邸宅の門をくぐる。事件から長い時を経て、この家の所有者となったのだ。
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陽の当たる緑の芝生にたたずむ母と息子。
暗い家の中から、その二人によろめきつつ近づくのは、ギテクだった。
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再会の時を向かえ、親子は固く 抱き締めあった。

半地下のアパートで、ギウはあの邸宅を購入する資金をこれから貯め、いつの日か父と再会するという「計画」を手紙を書いた。
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その実現を心に誓うのだった。





posted by ヒラヒ・S at 17:00| Comment(0) | 韓国映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月21日

オールドボーイ

「ファンタスティック」とタランティーノは叫んだ!



評価:★★★★   4.0点

カンヌでこの映画を見たタンラティーノ監督は、興奮のあまり審査員特別グランプリの授与を強硬に主張したという。

私も、そのタランティーノの評価に深い共感を覚える一人だ。

この、突然誘拐された主人公が理由も分からず15年間監禁され、己を監禁した相手を突き止め復讐しようとする映画をみて、私はその過激なドラマ性に強い衝撃を受けた。

ブッチャケ、コーフンもし、カンドーもし、サケビ声すら上げたくなった。

まず、この過剰な復讐を破綻なく構築した脚本がスゴイといいたい。
さらに、現実離れした物語を更にショーアップして見せた、構図や特殊効果、編集などのコッテリとした映画的技術がスバラシイ。
また役者陣も、熱い情念の、見るものを焼き尽くすかのごとく見据える眼の力が、ブッ飛んでいてシビレル。

変に聞こえるかも知れないが、この映画はまるで、その圧倒的なパッションとテンション、そして叙情的なシーンで、レッドホットチリペッパーのアルバム「カリフォルニケーション」を想起させた。

それ位のパワーを持って、まるでブラックホールのように、見るものを異世界に力ずくで放り込む。

観客は問答無用で、この異常で歪んだ世界で延々と続けられる復讐という名の非日常行為を見せられ、自らの平常時では決して出会えない事態に直面するはずだ。
この現実離れした、過激な、異様な、不可思議な、挑発的な、激情に満ちたドラマを、現実世界を舞台に語られるとき、観客は自分のいるこの世界に潜む誇張された歪みに直面するだろう。

この映画を見る者は、その現実世界の日常に潜む澱や淀みを極端に表現されることで、自らの心の奥に閉じ込めていたその無意識の領域に有る情念を噴き出させるに違いない。
この映画は、観客に成り代わって物語内の登場人物が復讐を代行する事で、そんな隠れていた危険な歪みを浄化させるのである。

そういう意味で、この映画は超絶的な非日常を観客に経験させることで、「祭祀」と同様のカタルシスを生む力を持つ。
そしてまた、この効果を劇として現すとき、それは「ファンタジー」と呼ばれるはずだ。

それゆえ、祭りにおける一種の狂気に近いトランス状態や、ファンタジーの本来持つ残酷でグロテスクさとは、過激であればあるほど現実を異化することが可能となり、同時に浄化作用を強める効果を持つだろう。

それゆえ、この映画における過激さ執拗さが必要とされたと思うのだ。

またこの方法論は、そのままタランティーノのハイテンションムービーが求めるものであったがゆえに、彼はこの映画に対し賛辞を惜しまなかったのだろう。


と・・・・・・・書いてきて、ナンナンデスガ・・・・・

韓国ドラマ好きのとある女性が、この映画に関して恐るべき情報をもたらした。
この映画で描かれた、怨念に満ちた過激な行動は、絵空事ではないというのだ。

「エ、マジ!」と言わざるを得ない。

彼女が言うには、チョットでも韓国ドラマを観てみれば、この映画に類した復讐が何千回も繰り返されるのを見る事ができるのだそうだ。
最初はエンターテーメントとして捉えていた彼女も、ドラマを見るにつけこれは韓国の人の国民性として、「復讐」など他者を攻撃する事に強い執着を持つのではないかと考えるようになったという。

たとえば「ナッツリターン事件」や「セオルグ号事件」の容赦ないバッシングや、「慰安婦問題」も含め日本に対する執拗な官民上げての非難も、結局その国民性から生じていると彼女は言うのである。

そう言われてみれば、サッカーファンの私にも心当たりはある。
サッカー国際試合における、まるでスポーツとは思えないぐらい陰惨な「日韓戦」の記憶だ。
その試合では韓国選手の異様な情念と、勝利に対する執着心に、最終的に勝とうが負けようが見ていて憂鬱になってしまう。
韓国チームも日本戦以外では、さほど粘着質の試合をするわけではないのだが、やはり日韓戦の韓国チームは異様だ。
最後にはもう「そんなに勝ちたいんだったら負けでいいです。でも日本選手を傷つけないでね」と言いたくなる。

やはり韓国の国民性として、「復讐」に対して強い執着心を持っている事を認めないわけには行かないだろう。

そう考えれば、この映画のように「復讐」が人生の目的と考える人々・民族が、現実にいるということを日本人は知るべきだろう。
それと同時に、日本のような島国の単一民族が考える「全て水に流すとか」「人を恨んではいけない」というような人種を、韓国人には理解できないだろう。

この違いを考えれば、日本人が戦時中に犯した罪を、韓国の人は子々孫々まで許さないかもしれない。
そして、日本人は「もう昔の事だし水に流そう」なんて平気で言っては、さらに火に油を注ぐだろう。

このお互いの国民性の違いは、驚くほどの隔たりを持っているように思えるが、それをどっちが正しい悪いというのは不毛な議論だ。
どんなに毛色が違っていても、お互い隣人として付き合って行くという運命は変えようがないのだ。

それでは、この二国間に真の友愛が生まれる事がありえるだろうか?

私は希望はあると思っている。
なぜなら韓国ドラマ好きの女性は、こんな韓国の「復讐心」の強さに辟易しつつも、韓国ドラマは大好きだと言い切る。

そう「愛」が有ればナントカナル。

という訳で話が横道に逸れたが、映画の話だった。
ことほどさように、この映画の「ファンタジー性」ゆえに傑作だと思った私にとっては、この映画が現実となりかねないという話は、驚天動地の事態なのだ。

それはまるで「オレ実は宇宙人で、地球征服にキテンダヨネ。ハハハ」といっていた友人が、ある日本当にUFOの中から冷たい眼でこちを見つめていたというぐらい、怖い話だったのである。

だからスミマセン、☆いっこ、減らします。

いや〜ビックリダワ〜ぜひタランティーノに「これファンタジーじゃないんだって」と伝えてあげたいものだ。

キット彼も「エ、マジ!」というんじゃないかナ。


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posted by ヒラヒ・S at 20:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする