2017年04月21日

謎が深まる映画『鑑定士と顔のない依頼人』徹底解説/ネタバレ・ラスト・結末感想

鑑定士と顔のない依頼人(ネタバレ・ラスト 編)


原題 La migliore offerta
英語題 The Best Offer
製作国イタリア
製作年2013/131分
監督・脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ
音楽 エンニオ・モリコーネ


評価:★★★★  4.0点

この映画は、とりあえず、今すぐ、何も知らないうちに、一回ご覧になられることをお勧めします。
予備知識ゼロで、この映画を見ることこそ、この映画が提示できる「ベスト・オファー(最高の価値)」だと思いますし、見る価値は十分あると思います・・・・・・
ということで以下の文章は、この映画を見た方々に向けて書かせていただいております。
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以降

『鑑定士と顔のない依頼人』ネタバレ・ラスト

を含みますので、ご注意下さい。
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ヴァージルはロンドンでのオークションを終え、帰宅した。
その家にクレアはおらず、秘密の部屋の天文学的な価値を持つ名画達は、全て消え去っていた。
bestof-empty.png

bestof-automata.jpgその空白の部屋には、オートマタが片隅に置かれていた。
そして「どんな贋作にも典拠がある」「あなたがいなくて寂しいよオールドマンさん」と何度も何度も流れ続けていた……

廃人のようになって、介護施設で暮らすヴァージルの元に、手紙をもってかつての部下が訪ねてきた。
bestof-old.png
ヴァージルは一人車椅子の上で、クレアが去った後の出来事を思い出していた。

クレアの家には誰もおらず、その家の前のカフェでヴァージルは聞き込みをした。
bestof-realcrea.png
すると、本当のクレアはカフェの常連で、驚くべき記憶を持つ矮人症の女性だったことを知る。

クレアの家もその彼女のもので、撮影などに貸し出すのだという…
そして、その驚異の記憶力で、ヴァージルがクレアだと信じていた外出恐怖症の女性が、どれほど頻繁に外に出ていたかを教えてくれた。
そして、そこに何でも直せる修理屋がいたことも。
bestof-sign.png
ヴァージルが怒りにまかせて叩きつけた、クレアを描いた肖像画のカンバスの裏には“ヴァージルへ愛情と感謝を込めて ビリー”と記されていた。
クレアと修理屋ロバートそして贋作家ビリーが共謀して、ヴァージルを騙したのだった・・・・・・

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『鑑定士と顔のない依頼人』ラストシーン

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ヴァージルは「2人に何が起きても あなたを愛してることわかって欲しい」という偽のクレアの言葉を思い出す。
そして、プラハに家を借り、偽のクレアが語っていた「プラハのレストラン」へ足を運ぶ。
ラストシーン

不動産屋:中へどうぞ。ご注文どおりです。荷物は明日届きます。契約書の控えをお持ちします。何かあればお電話を/クレア:ああヴァージル「2人に何が起きても、あなたを愛していることをわかって欲しい」/(喫茶店ナイト&デイ)ウエィター:お一人ですか?/ヴァージル:いや 人を待っている。


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『鑑定士と顔のない依頼人』結末後の感想・解説

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ということで、この映画のストーリーをもう一度整理してみよう。
偽のクレアから電話がかかってきたところから、サギが始まっていたことは明らかだ。
その詐欺の関係性は以下の図に集約出来るのではないだろうか。
best-off-soukan.png
その計画は周到だ。(以下文中のクレアはダマしたクレア)
人間嫌いのヴァージルを恋に引き込むために、まずはオートマタという「モノ=金」で餌をまき、徐々に生身の女性と接触させて行く。
ここには隠された存在を暴きたいという、人間心理も十分考慮されているだろう。
そして、美しいクレアを見せ、ヴァージルが恋に落ちたのを確認する。
そこから、ロバートのクレアに対する好意を仄めかせ、更にダメ押しでロバートの彼女サラの口から、ロバートがクレアに夢中だと告げさせる。
ヴァージルは嫉妬に狂うと同時に、クレアに対する恋を更に燃え上がらせた事だろう。
そしてダマしは詰めに入って、クレア失踪を演出し、ヴァージルが彼女を失うことに耐えられないと思い知らせた。
そして、ヴァージルにクレアを発見させ、彼女の過去で同情を引き、そしてベッドを共に過ごせば、ヴァージルは完全にクレアの虜と化しただろう。
なにせ、これが生まれて初めての恋であり女性体験なのだ。
そして、最後のダメ押しに、ヴァージルを襲わせて、外に出れないクレアが彼の為に走りだし、病院で看護までしてしまえば・・・・・・

ヴァジールがクレアを愛し、全てを捧げても構わないと思ったとしても、何ら不思議はない。
本当に手の込んだ念入りな仕事だと感心する。
そして、部屋から絵画が持ち去られる・・・・・・・

次に場面は移り、ヴァージルが介護施設で、かつての部下から新聞や手紙を受け取るシーンとなる。
best-las.jpgそれ以降のシークエンスは、ヴァージルが騙された後の回想を、介護施設の車イスの上で思い返していると見るのが素直な解釈だろう。
プラハにアパートを借りて、クレアとの話に出てきた喫茶店「ナイト&デイ」で待っているというのが、このラストシーン。

ラストの喫茶店シーンとは、騙されてもなお「贋作にも真実がある」のではという、未練の光景となる。
そして物語は、どれほどの美術品や金銭にも勝るのが「現実の恋」であるという、ラテン的な恋愛至上主義に焦点を結んで行くだろう。

bestof-automata.jpgと、突然、後ろで歯車のきしむ音がした。
オートマタが語り出す・・・・・・・・・・
それでいいのか?
この映画は決して全てを語ってはいない?
そもそも、このロバートとは何者だ?
なぜヴァージルと知り合ったのか。?
クレアとロバートとビリーの関係性は?
秘密扉の鍵の解除方法を、ヴァージルはクレアに教えたのか?
ビリーは「贋作にも真実がある」といい、ロバートは「クレアとオートマタのどっちが大事か」と問い、クレアが「何があっても私があなたを愛していることを忘れないで」と告げるとき、こんな危険な言葉を騙している途中で言う必然性は何か?
ヴァージルが老人ホームで車椅子に乗って、かつての部下から新聞や手紙を受け取って以降のシークエンスは、時系列の情報があるか?


そう問われてみれば、この映画は全てを開示していない「もどかしさ」が常について回る。
正直言って、4回は見たのだが、それでも謎は謎のままだ・・・・・・

試みに、上の車いす以降の一連の流れを入れ替えたとすると、様々な可能性が生じるのだ。
Film2.jpg例えば、部下の持参した手紙の中にクレアの便りが入っていて、プラハは介護施設から出たヴァージルが向かったという可能性もある。
これを時系列的に整理すれば、介護施設→喫茶店という流れだ。
プラハで一緒に暮らそうと言われ、アパートを借りて待ち合わせの喫茶店「ナイト&デイ」で待っているというのが、このラストシーン。
更に時系列を入れ替えれば、介護施設→喫茶店→クレアとのベッドシーンという可能性もある。
ベッドシーンはプラハで会った後の光景だと見ることも可能で、これであれば、ヴァージルにとっては完璧なハッピーエンドだろう。
更に更に可能性を探って時系列を入れ替えれば、喫茶店→クレアとのベッドシーン→介護施設という可能性もある。
だとすれば、プラハでクレアと暮らし、そしてもう一度クレアに騙されたということだ。

更に更に更に・・・・・・・
ここではたと気が付いた、結局一番混乱し騙されていたのは私自身だったのだと。

この映画は、ヴァージルをダマす以上に、観客をダマしていた映画だというのが結論だ。

しかし、そのダマしの手法とは、謎を謎のまま放置するものなので、いつまでも後を引き観客を離さない。
そう考えてきて、そんな芸術作品があるのを思い出した。
best-mona.jpgこの映画は、女性肖像画を部屋中に飾りながら、この世界一有名な絵が欠落しているのも不思議だったのだが・・・・・

この映画は彼女の微笑みと同じ、謎の持つ永遠性を保持しているのではないだろうか。

たぶん偽のクレアの本名は
モナリザに違いない。



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posted by ヒラヒ at 17:17| Comment(4) | TrackBack(1) | イタリア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月04日

『鑑定士と顔のない依頼人』最初で最後の驚愕の恋/感想・解説・意味・名画紹介

鑑定士と顔のない依頼人(感想・解説 編)


原題 La migliore offerta
英語題 The Best Offer
製作国イタリア
製作年2013/131分
監督・脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ
音楽 エンニオ・モリコーネ


評価:★★★★  4.0点

この映画は、とりあえず、今すぐ、何も知らないうちに、一回ご覧になられることをお勧めします。
予備知識ゼロで、この映画を見ることこそ、この映画が提示できる「ベスト・オファー(最高の価値)」だと思いますし、見る価値は十分あると思います・・・・・・



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『鑑定士と顔のない依頼人』感想・解説

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この映画は、真作を模した贋作や、人間を真似たオートマタ、オークションで詐欺など、多くの「ニセモノ」で満ちている。
そんな中で主人公の老人は、真実の愛を手にしたと信じた。
それは、女性との間に積み上げられた実感が、彼にそう告げたのだ。

BestOff-pos.jpg実を言えば、この主人公に起きた「愛の事件」の本質は、彼が鑑定士だった事から生じたのではなかったろうか。
つまりは、彼は何物かを生む芸術家ではなく、他者の作った「モノ」を批評する者として存在する。

それは、無から有を生み出すために苦労する芸術家の姿が、現実世界と格闘する実生活者だとすれば、主人公の鑑定士は自ら汗水を垂らさず、他者の刻苦の末の作品を眺めて価値を決める、上流階級セレブの傲慢さを感じる。
それはまるで、富裕な資本家層が、貧しい労働者を過重な労働に駆り立て、自ら手を汚さないまま利潤を得る社会の現実をも想起させる。

bestoff-res.gif

この主人公は、それゆえ常に手を手袋で覆い、他者との接触を嫌うのであろう。
そして、そんな現実離れした生活の象徴が、隠し部屋の名画たちだ。
best-off-gala.jpg
それは美しい人工世界に耽溺し、醜い現実を遮断して、快楽を我が物とし貪る姿として映る。


それは、この鑑定士以外の主要登場人物が、贋作家であり、修理工であり、作家であるとき、彼ら実作者の成果を労せず手に入れたこの主人公の狡猾さが、浮き彫りになるだろう。
img_3.jpg

この映画で「贋作の中にも真実がある」と言う時、それは贋作といえども創造行為であって、高みに立って批評する者よりも「真実=現実」に近いのだという主張だったと感じられてならない。

besof-pos.jpg
そして、その「贋作の中にも真実がある」という事実を、この主人公は実体験として「愛の事件」により感得しただろう。

即ち、この主人公の感じた恋の歓喜、痛み、苦しみ、は間違いなく、鑑定人の「美術品=人工世界」に勝る「真実=現実」であったと語られていると解釈した。

やはりこの鑑定人の日常は、ただ眺め批判をするだけの非生産的行為であり、それは現実と格闘する者から、その労苦の果ての果実をただ簒奪する行為にすぎまい。


それゆえ、彼は現実に復讐されたのである。

best-kuru.png
結局ここで描かれた、「愛の事件」の本質は、現実を生きない上流セレブ達に対する、現実世界の反撃の姿だったように思えてならない。

つまりは地上の愛を求めるならば、高みより降りて、傷つき、のたうち回って、汚濁の中で、苦闘しなければならないのである。
本来であればそんな、現実を真に生きていない主人公が、理不尽で不合理な世界で汚辱にまみれることに、観客は喜び喝采をするはずだった・・・・・・・・・・


しかしこの映画の情報はスッキリその勧善懲悪には向かっておらず、十分なカタルシスを感じさせない。

惜しむらくは、この映画のジェフリー・ラッシュの演技力によって、この主人公を観客が憎み得なかったのではないかと危惧する。
この鑑定人の天上で遊ぶかのような生活に、心底反感を持ちえなければ、これまで語った「現実の反撃」というテーマは十分見るものには伝わらないだろう。

そして同時に、この「恋の事件」の衝撃が、観客が鑑定人に感情移入をする事でより増大する構造になっている点も、物語の方向を曖昧にした要因だったかもしれない。

Bestof-bath.png
この両者を考えれば、つまるところストーリーの構造と、テーマの選択との組み合わせが、真にこれが正しかったのかと問わざるを得ない。


さらに言えば、ラテン系のイタリア人にとって、現実の恋こそ至上の価値であろうが、イギリス系の主人公とイギリス的なミステリーをベースとして語られるべきだったかどうか・・・・・・・・

どこか、イギリス人は色より金という匂いもあり、この主人公に生じた痛み、もしくは喜びが、真実、愛によるものなのかとの疑問を生じるようにも思える。

たとえば、昔ならマルチェロ・マストロヤンニ、今ならロベルト・ベニーニあたりがシリアスに演じたら、どうだったかと思ったりもする。
やはり映画の「中心命題=テーマ」が持つ価値を、最大限発揮できる物語構造、キャストで表現することこそ、その映画が観客に提示できる最高の表現力なのだと思えるのだ。


bestof-automata.jpg…と偉そうな事を書いてきて、
後ろで歯車の軋む音がした。

そして、オートマタが語り始める。

この映画を見ているお前も、この鑑定士同様の傲慢な傍観者だ。
そんなお前らに、決して全ては語らない。
何重にも重ねられた虚と実をはがし続けるがいい。
そして、お前は語らねばならない。
お前が提示できる、この映画に対する「ベストオファー(最高評価)」を。
薄っぺらい過去のドラマツルギーではなく・・・・・この映画だけが語るそのメッセージを。
それ以外にお前が、真に映画を生きる術は無いのだよ・・・・・・・


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『鑑定士と顔のない依頼人』肖像画コレクション

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この映画は美術品に満ちていて、たとえば肖像画の間のコレクションの価値を合計すれば、何兆円になるか分かりません。


コレクション肖像画:
ラファエル (La Fornarina)「若い女性(La Fornarina)の肖像」(およそ1519)「若い女性(La Muta)の肖像」(1507)/ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「ヴィオランテ」(およそ1515)「ラ・ベッラ」(1536) 「エレオノーラ・ゴンザーガの肖像」 (およそ1538) /ブロンズィーノ「エレオノーラ・ディ・トレドと息子の肖像」 (1545)「ルクレツィア・パンチャティキの肖像」 (1541) /クレディー「カテリーナ・スフォルツァの肖像」 (およそ1490) /ボッカチオ・ボッカチーノ「Zingarella」(1505)/「ルクレチア・ボルジアの肖像」(およそ1510)バルトロメオ・ベネチアーノ/「ルーキーナブレンバティーの肖像」(1518)L・ロット、「ペトラルカの韻の本をもつ女性」(およそ1528)アンドレア・デル・サルト/「ビアンカカペーロの肖像」(およそ1572)アレッサンドロ・アッローリ/L・ロット「ルーキーナ・ブランバチの肖像」(1518)/ アンドレア・デル・サルト「ペトラルカの韻の本をもつ女性」(およそ1528)/ アレッサンドロ・アッローリ「ビアンカカペーロの肖像」(およそ1572)/ アルブレヒトデューラー「エルスベート・トゥッヒャーの肖像」(1499)/ L・クラーナハ「サロメ」(1510)/ソフォニスバ・アングイッソラ「ミネルバ・アングイッソラの肖像」(およそ1570)/ マリエッタ・ロブスティー「自画像」(1580)/ゴットフリート・スカルッケン「燃えているロウソクをもつ少女」(およそ1706)/G・レニによる「ベアトリーチェ・チェンチの肖像」(1599)と「母の肖像」(およそ1620)/R・カリエラによる「自画像」と「年をとった婦人の肖像」/ローズ・アデレイド・ダクルーによる「ハープによる自画像」(1750)/ アングル「デルフィーヌ・アングル-ラメールの肖像」(1859)と「エイモン夫人の肖像」(1806)/ ゲブリエル・ロセッティ「ジョリークール」(1867)「ウインドウの女性」/ピエール・オーギュスト・ルノアールによる「襟ぐりの深いドレス(La Reverie)を着たジーン・サマリ」(1877)/他 ルーベンス、ゴヤ、ブラン、モジリアニ、エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン、モーガンウエストリング(Morgan Weistling)の作品もあります。


また、ジャック・ド・ヴォーカンソンのオートマタも重要な役割を担い出てきます。
ジャック・ド・ヴォーカンソン(Jacques de Vaucanson, 1709年2月24日 - 1782年11月21日)は、フランスの発明家。オートマタの製作と自動織機の製作で知られている。
bestof-vokanso.jpg18歳のとき、ヴォーカンソンは貴族からリヨンに自身の工房を与えられ、機械の組み立てを許された。1737年、ヴォーカンソンは「笛吹き人形」を作った。等身大の人形であり、笛と太鼓を演奏でき、12曲のレパートリーがあったという。その指は笛を正しく演奏できるほど柔軟ではなかったため、ヴォーカンソンはその手に革の手袋をはめた。翌1738年、彼は製作したオートマタを科学アカデミーで披露した。
1738年後半には、「タンバリンを叩く人形」と「消化するアヒル」を製作した。特にアヒルはヴォーカンソンの最高傑作とされている。アヒルは400点の可動部品で構成され、羽ばたくことができ、水を飲み、穀物をついばんで消化し、排泄することができる。
ジャック・ド・ヴォーカンソンのアヒルのオートマタ


この映画『鑑定士と顔のない依頼人』のオートマタを作ったのはロブ・ヒッグッス


ロブ・ヒッグスの作る機械はスチーム・パンク・アートとして、とても魅力的。

この映画は現実と芸術を際どく往来する、「アーティスティック=技巧的」な一本だと思います。
当ブログ関連レビュー:
『ニューシネマパラダイス』
ジュゼッペ・トルナトーレ監督の名作
映画ファンなら涙する感動作


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posted by ヒラヒ at 17:26| Comment(5) | TrackBack(0) | イタリア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月31日

映画『鑑定士と顔のない依頼人』詳しいストーリーを完全再現/あらすじ・出演者・予告動画

鑑定士と顔のない依頼人(ストーリー・あらすじ編)


原題 La migliore offerta
英語題 The Best Offer
製作国イタリア
製作年2013/131分
監督・脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ
音楽 エンニオ・モリコーネ


評価:★★★★  4.0点

この映画は、とりあえず、今すぐ、何も知らないうちに、一回ご覧になられることをお勧めします。
予備知識ゼロで、この映画を見ることこそ、この映画が提示できる「ベスト・オファー(最高の価値)」だと思いますし、見る価値は十分あると思います・・・・・・



鑑定士と顔のない依頼人・あらすじ


bestoff-ocution.jpg
鑑定士ヴァージル・オールドマン(ジェフリー・ラッシュ)は、美術オークションの場を取り仕切る、一流のオークショニア(競売を取り仕切る人)でもあった。

経済的に裕福な彼は、一日の仕事を終え、髪を染め、高級スーツに身を包んで一人高級レストランで食事をするセレブな生活を送っていた。
bestoff-res.gif
しかし人間嫌いで潔癖症の彼は、子供のころ両親を失い、未だ結婚もせず親しい友人も持たず、孤高の生活をしてきた。そして老年に達した今でも人間嫌いだ。

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そんな彼は、木槌をふるい美術品を取引していながら、そのオークションで、パートナーで贋作画家のビリー(ドナルド・サザーランド)と組み、名画を格安で落札させるよう取引を誘導していた。

そんな違法な形で集めた、歴史的美術品の女性肖像画をコレクションしていた。
厳重な警備システムに守られた、自宅の隠し部屋の壁一面に飾った肖像画を鑑賞するときこそが、彼の至福の喜びだった。

そんな彼の元に、鑑定の依頼が入った。
依頼人はクレア・イベットソン(シルヴィア・ホークス)と名乗り、1年前に亡くなった両親の遺産を鑑定し、競売にかけててほしいという依頼だった。
指示された邸宅に向かったが、誰も現れず待ちぼうけとなった。
bestof-house.png
bestof-fred.png
再び依頼人から電話が来て訪問すると、こんどは使用人のフレッド(フィリップ・ジャクソン)が現れるが、やはり依頼人クレアの姿はなかった。

やむなく1人で家の中を見て回ったヴァージルは、地下室の片隅に転がった機械部品に気付き、密かに持ち帰る。

その部品を修理屋のロバート(ジム・スタージェス)に調査を依頼した。
BestOffer_robert.png

クレアの邸宅で、鑑定が日々進んで行くが電話での会話はあるもののクレアは一向に姿を見せない。使用人フレッドは、27歳になるが病気のため人前に出ず、11年の勤務中に一度も会ったことがないと語った。
best-robert.jpgやがて、修理屋のロバートを訪れると、調査を依頼していた謎の部品が、ジャック・ヴォーカンソンの18世紀に作られたオートマタ(機械人形)の部品かもしれないと聞かされた。

もし機械人形を復元できれば、それは大変な価値を持つと知るヴァージルは部品が屋敷にあるか探してみると請け合う。


再びクレアの屋敷を訪れたヴァージルは、クレアが住む隠し部屋と壁を隔てて対話をする。
クレアは“広場恐怖症”という病気により、15歳から引きこもっていると告白した。ヴァージルとクレアは、壁越しに会話することを決め、彼は屋敷への自由な出入りを許された。
クレアの屋敷に通うたびに、ヴァージルはオートマタの部品を修理屋のロバートに届けた。
ヴァージルはロバートに、謎のクレアの相談するようになっていった。
bestoff-crea1.jpeg
ヴァージルのクレアに対する好奇心は高まり、ある日鑑定結果を持参し、帰るふりをしながら物陰でクレアを待ち受けた。

そして、ついに彼女が、隠し部屋から出てきた。

美しいその素顔に、ヴァージルは恋に落ちてしまう。

再びヴァージルが彼女を盗み見した時、クレアは風呂上りでローブだけをまとった姿だった。

ヴァージルは手にしたモバイル端末を落とし、彼女が気づき部屋に逃げこんでしまった。
必死にヴァージルは思いを打ち明け、二人はお互いに正面から向き合うことができた。

修理屋ロバートのアドバイスの助けもあり、2人は徐々に交際を深めていく。クレアはヴァージルとディナーを共にし、それを隠れたロバート見せた。
best-sara.pngロバートは感想を聞かれクレアに惹かれたと口にする。
そして、ある日ロバートのガールフレンドがヴァージルの元を訪れ、クレアにロバートが夢中だと告げられ、動揺する。

ロバートの元からオートマタを引き上げ、けんか別れしたヴァージル。
しかしクレアとヴァージルの交際は日々深まって行った。クレアはを自分の隠し部屋にヴァージルを招き入れるほど心を許した。
aoutomata-2.jpg
そして、その部屋には棚に収められたオートマタの部品があった。

ヴァージルはその部品を見て再び、ロバートのもとにオートマタを持ち込んだ。ロバートに見つけた部品はと聞かれ、それは人生に関わることだヴァージルは答えた。
ロバートは「クレアとオークションのどっちを選らぶ」と尋ねた……

宝石店でヴァージルはクレアの指輪を選び、クレア邸に行ったがクレアはどこにもいなかった。
ヴァージルは家の向かいにあるカフェに駆け込み、尋ねると、朝方若い女性が出て行ったと聞かされ、外出に強い拒絶反応を示していたクレアが、その日から謎の失踪をした。
Bestof-billy-talk.pngヴァージルはクレアを求め狂奔し、オークションに遅れるほど動揺した。
贋作画家のビリーは心配し悩みの相談に乗った。ヴァ−ジルは修理屋ロバートの仕業ではないかと疑念を口にするが、ビリーは人の心の真贋は分からないと語った。

そんな時、修理屋ロバートから隠し部屋が屋敷にまだあるのではという電話がある。
すぐさまヴァージルは、クレア邸を訪れ邸内を探索し屋根裏でクレアを発見した。
bestof-tired.jpg
消耗したクレアは、ヴァージルが来てくれたことに感謝し、過去のプラハのレストランでの交際相手との思い出を語り、その交際相手が事故で死んだと告白した。
そして、それ以後家の外に出れなくなったと・・・・・・

ヴァージルは決して、いなくなったりしないとクレアに誓い抱きしめた。
bestof-hold.png
その夜二人は結ばれ、ヴァージルは初めて女性を抱いた。

bestoff-rein.jpg
しかしそんなある晩、クレアの家の近くでヴァージルは暴漢に襲われ、クレアに電話で助けを求めた。雨の中外出恐怖症のクレアが駆け付けた。

病院に運ばれたヴァージルが退院した時、クレアは彼にとって掛け替えのない相手となっていた。
ヴァージルはクレアに、共にヴァージルの家で暮らす事を提案する。
そして肖像画の部屋に招き入れ、クレアがその威容に圧倒される。
bestoff-creheya.jpg

ヴァージルは引退しクレアと共に生きると決め、最後のオークションへと旅立ったのだが、思わぬ運命が待ち受けていた・・・・・・・・

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鑑定士と顔のない依頼人・出演者

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img_3.jpg
ヴァージル・オールドマン(ジェフリー・ラッシュ)/ロバート(ジム・スタージェス)/クレア・イベットソン(シルヴィア・フークス)/ビリー・ホイッスラー(ドナルド・サザーランド)/フレッド(フィリップ・ジャクソン)/ランバート(ダーモット・クロウリー)/サラ(リヤ・ケベデ)


当ブログ関連レビュー:
『英国王のスピーチ』
ジェフリー・ラッシュとコリン・ファースの演技合戦
実話を元にした感動作




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posted by ヒラヒ at 17:27| Comment(4) | TrackBack(0) | イタリア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする