映画『ニューシネマパラダイス』(あらすじ・結末 編)
原題 Nuovo Cinema Paradiso 英語題 Cinema Paradiso 製作国 イタリア、フランス 製作年 1989 上映時間 123分 監督 ジュゼッペ・トルナトーレ 脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ 音楽 エンニオ・モリコーネ |
評価:★★★★★ 5.0点
この映画をまだご覧になってない方は、ぜひ今すぐビデオ屋さんに駆け付け、その感動のラストをご覧になられる事をオススメします。
この1989年のイタリア作品は、映画の甘美なノスタルジーを描いて秀逸だと思います。
映画ファンなら必ず覚えがある、幻影が現実よりも勝る瞬間があるのだと、この映画のラストが雄弁に語りかけてくれます。
映画『ニューシネマパラダイス』あらすじ |
シチリア島、海の見える部屋。
電話の声が流れている。
話しているのは、映画監督サルヴァトーレ・ディ・ヴィータ(ジャック・ペラン)に電話する母(プペラ・マッジョ)の声だった。
ローマの息子は不在で、サルヴァトーレのガールフレンドが受けた。
深夜に帰宅したサルヴァトーレは、母からの電話がアルフレードが死んだという内容だったと聞いた。
それを聞いた彼は、ベッドで横になりながら呆然とし、想いは30年前にあとにした故郷、シチリアのジャンカルド村での少年時代に戻った。
時は、第二次世界大戦が終わったばかりのシチリアの教会。
司祭(レオポルド・トリエステ)の助手でありながら居眠りをする少年は、「トト」と呼ばれていた少年時代のサルヴァトーレ(サルヴァトーレ・カシオ)だった。
その教会は映画館『パラダイス座』を併設し、その映画を司祭が検閲していた。
上映が始まったのは、ジャン・ルノアール監督ジャン・ギャバン主演の映画『どん底』だった。
しかしクライマックスのキスシーンになると鈴がなり、そのシーンはカットされるのだった。
それゆえ、村に一軒の映画館に集う村人は、これまで映画でキスシーンを見たことがなかった。
トトはそのようすをカーテンの陰から覗き、ついには映写室でフィルムを回すアルフレードの元に潜り込んだ。
トトは映画に夢中で、可燃性のフイルムが危険だとアルフレードに怒られても、映写室に入り込んではこっそりフイルムをくすねていた。トトは母マリアと赤ん坊の妹との3人暮らしで、父は戦争でロシアに出征し戻って来なかった。
そんな苦しい生活の中で、ある日トトは映画館にいた。
そこでは、『駅馬車』の予告が流れ、ビスコンティー監督の『揺れる大地』が上映され、『チャップリンの拳闘』で笑い転げた。
しかしトトは映画館に入るため、お使いのミルク代を使ってしまったのだ。
夕方、映画館を出ると、母がトトの前に立ち怒りにまかせて叱り叩いた。
そこを通りかかったアルフレードは、俺がただで入れてやったんだと仲裁に入った。
そして、金は劇場に落ちていたと、自分のポケットから差し出しトトをかばった。こんなトトとアルフレードの間には、いつしか心が通じ合うようになっていった。
しかし、ある日トトとアルフレードが自転車で帰って来たところ、トトの家でぼや騒ぎが起きていた。
トトのこっそり集めたフィルムに、妹が火をつけ燃えてしまったのだ。
母・マリアは怒り狂い、アルフレードを責めた。
トトは自分がフィルムを盗んだからで、アルフレードは知らず、責任はないと言う。
しかし、母の怒りは収まらず、もうトトに関わらないでくれと、アルフレードに宣告した。
アルフレードもその怒りの前に、誓いの言葉を言わざるを得なかった。
トトはその後もアルフレードのいる映写室に入りたがったが、彼は約束を守り頑として入れさせなかった。
しかし、ある日アルフレードが小学校にやって来た。
彼は小学校を卒業しておらず、トト達と一緒に卒業試験を受けることになっていたのだ。
アルフレードが問題を解けずに四苦八苦して、トトに助けを求めた。
【意訳】アルフレード:トト、トト。(トトは拒否)この腐った小僧め!トト助けてくれ/監視員:静かに!/アルフレード:こんなクソッタレの問題解けない。/監視員:静かに!/アルフレード:トト
トトは試写室に入れてくれるならと、交換条件を出し答えを教えた。
それから、トトは映写室に入り浸り、映写技術をアルフレードから教わり習得した。
いろいろな映画の中、ニュースでロシア戦線でのイタリア兵の死を伝える映像があった。
トトは母と共に役所に行き、父の遺族年金の申請をした。
そんな中でも、トトは映画の方が気にかかり、村人たちの中心にも『パラダイス座』があった。
そんな『パラダイス座』の中で、様々な人生模様が繰り広げられていた。
そしてある日、イタリアの人気コメディアン・トトの映画を見ようと押しかけた観客が、劇場に入れずあぶれているのを見たアルフレードは、劇場の向かいの家の壁にその映画を映し出した。
しかし、その時加熱したフィルムに火がつき、パラダイス座は火に包まれた。
火が燃え盛る中、トトは懸命に映写室に飛び込み、アルフレードを救出する。
しかし、アルフレードは火傷が原因で失明してしまう。
そして映画館も失われた。
村の娯楽がなくなると人々は落胆した。
しかし、そこに宝くじで大金を手にした村人スパッカフィーコが名乗り出て、パラダイス座は「新パラダイス座」として再建され、アルフレードに代わってトトが映写技師になった。
教会の検閲が無くなった映画館では、キスシーンも流れ、更に過激なシーンも見られるようになり、村人は喜び映画館はいつも満杯だった。
青年となったトトは、映写技師のかたわら、自分で映画を撮るようになった。
そんなある日駅の風景を撮影していると、そこに都会的な娘が降り立った。
その娘はエレナといい父は厳格な銀行家だった。
一目惚れしたトトは、学校でも村中でも必死にエレナにアプローチし、二人は恋に落ち両想いとなった。
しかしエレナの父は2人の交際を認めなかった。
エレナは置き手紙を残し、その家はパレルモに転居した。
トトも兵役につき、除隊後村に戻った彼の前に、エレナが2度と姿を現わすことはなかった。エレナを喪ったトトは、失意の中シチリアを離れローマに旅立つ決心をする。
旅立ちの日、駅に母と妹が見送るなか、アルフレードと言葉を交わすトト。
【旅立ちシーン】
【意訳】アルフレード:戻ってくるな。俺達のことを考えるな。振り返るな、手紙を書くな、郷愁に浸るな。俺達を忘れろ。もしお前が帰ってきても、絶対俺を訪ねたり会おうとするな。お前を家に入れないぞ、分かるか?/トト:ありがとう・・・・・今までのこと全て・・・/アルフレード:何にせよ、それを愛せ。パラダイス座の映写室で、子供の頃愛したように・・・・・/司祭:トト!トト!遅かった!可愛そうに。
そのアルフレードの言葉を胸に、トトはローマに旅立って30年が過ぎ、そしてアルフレードの死によって故郷に戻ってきた。
(下部にネタバレとラストが有ります)
映画『ニューシネマパラダイス』予告 |
サルヴァトーレ・ディ・ヴィータ(少年期サルヴァトーレ・カシオ/青年期マルコ・レオナルド/中年期ジャック・ペラン/アルフレード(フィリップ・ノワレ)/エレナ(若年期アニェーゼ・ナーノ/中年期ブリジット・フォッセー:ディレクターズカット版)/マリア(中年期アントネラ・アッティーリ/壮年期プペラ・マッジオ/神父(レオポルド・トリエステ)/スパッカフィーコ:パラダイス座支配人(エンツォ・カナヴェイル)/イグナチオ:劇場の案内人(レオ・グロッタ)/アンナおばさん(イサ・ダニエリ)/広場の男(ニコラ・ディ・ピント)
映画『ニューシネマパラダイス』出演者
以下の文章には 映画『ニューシネマパラダイス』ネタバレがありますご注意ください。 |
再び故郷へ足を踏み入れたとき、トトは中年となり映画監督として成功を納めていた。
今やサルヴァトーレと呼ばれるのが相応しい彼は、アルフレードの葬儀に出席するため故郷に戻った。
村に戻ったサルヴァトーレは母・エレナと妹に会い、葬儀の列のなか司祭や、懐かしい村の人々と会った。
そこで、アルフレードの残した形見のフイルムを受けとる。
そして、新パラダイス座の館主スパッカフィーコから、映画館は取り壊され、もうすぐ駐車場になると聞かされる。
サルヴァトーレは、その眼で映画館が爆発解体される光景を焼き付けた。
映画『ニューシネマパラダイス』ラスト・シーン |
アルフレードの形見のフィルムを、ローマに戻ったサルヴァトーレは映写した。
それは幼い日、アルフレードがくれると約束していた、検閲でカットしたフィルム、キスシーンのフイルムだった。
繰り広げられるラブシーンを見ながら、サルヴァトーレは涙を流し続けた。
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