2022年05月15日

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』チープなキワモノ・コーマン映画!再現ストーリー/詳しいあらすじ解説・ネタバレ・ラスト・感想

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』詳しいあらすじ・ネタバレ 編

原題The Little Shop of Horrors
製作国 アメリカ
製作年 1960
上映時間 162分
監督 ロジャー・コーマン、チャールズ・B・グリフィス、メル・ウェルズ
脚本 チャールズ・B・グリフィス、ロジャー・コーマン


評価:★★  2.0点



この映画は1960年代のハリウッド映画低迷期に、その窮地を脱するビジネスモデルを示した、ロジャー・コーマン監督を代表する作品だ。

コーマン監督が生み出した作品は、俗に「キワモノ映画=エクスプロテーション(EXPROTATION)映画」と呼ばれ、その手法は1970年代ハリウッドで「ハイ・コンセプト」というマーケット手法として結実し、ブロックバスター映画のヒットを生んだ。

そんな歴史的に偉大な作品であるにも関わらず、ほんとに安っぽく、低レベルなのに驚く・・・・・
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<目次>
映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』ストーリー
映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』予告・出演者
映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』感想/解説
映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』ネタバレ
映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』結末

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映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』あらすじ

littl_1.png花屋には経営者グラヴィス・マシュニク(メル・ウェルズ) と、女性店員オードリー(ジャッキー・ジョセフ)、そしてもう一人、気弱で風采の上がらない若者シーモア・クレルボーン(ジョナサン・ヘイズ) が、店員として雇われていた。
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店には葬式続きのお得意さんの老婦人シヴァや、花を食べる変な男が訪れるが、シーモアがいつものように失敗を重ねると、マシュニクは首にすると宣言した。

慌てたシーモアは自ら育てている、新種植物を持ってくると言って、「オードリーJr」と名付けた貧相な草を取りに、自宅に戻ると母親(マートル・ヴェイル) がそんな草でクビがつながるのかと不思議がった。
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マシュニクはシーモアの持って来た草をにらみつけ、いくら新種でもみすぼらしい、一週間やるからもっと大きくしろと言った。
できなければクビだと再び脅した。
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しかし、シーモアがさまざまに手入れしても花は大きくならない。
そんなある日、シーモアがケガをし、その血が「オードリーJr」に滴ると、その植物は貪るように吸い込んだ。
そして「腹が減った! 何か食わせろ!」とシーモアに声を出して要求した。
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それから、シーモアが自分の血を与え続けると、オードリーJrは勢いよく成長し、それを見に新たな客が増えたのを喜んだ、店主マシュニクも褒めたたえて息子と呼びかけた。しかし、シーモアが貧血気味となるとオードリーJrはたちまち萎れだした。
店主マシュニクは手のひらを返して、シーモアに何とかしないとクビだとおどした。
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もう血を絞り出せなくなったシーモアは、その夜深夜の町にオードリーJrのえさを探しに出掛け、ひょんなことから殺人を犯してしまう。
その死体の始末に困り店に持ち帰ると、オードリーjrが相変わらず「飯食わせろ!」と絶叫していた。シーモアは、死体をオードリーjrに食べさせて証拠隠滅を思いつき実行した。
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すると翌朝、オードリーjrはグロテスクなほど成長し、店は黒山の人だかりだった。

その日シーモアは虫歯で歯科医院に出掛けたところ、そこは苦痛を求めるマゾの患者ウィルバー・フォース(ジャック・ニコルソン)も来る、患者に苦痛を与え喜ぶサディスト歯医者だった。
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シーモアはあまりの痛みに腹を立て、歯医者と決闘をし殺してしまう。しかたなくシーモアはこの歯医者をオードリー jrに与え、さらに成長させた。
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度重なる失踪事件に警察が調査に乗り出し、花屋にも聞き込みに来る。それと入れ違いに、花協議会のメンバーが新種の花の検分に訪れ、もっと大きくなれば表彰したいと言って去った。
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オードリーとシーモアがデートをするというので、店主マシュニクがその晩オードリーjrの世話を買って出た。その深夜、店に強盗が侵入し金を要求した。マシュニクは命乞いをしつつ、オードリーjrの口の中に金があると言うと、強盗は真に受け口の中に頭を突っ込むと、そのまま植物の中へ吸い込まれていった。
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その事件で懲りたマシュニクは再びシーモアにオードリーJrを任せた。シーモアはその貪欲なオードリjrの要求を拒み抵抗した。するとオードリーjrは催眠術を使い、シーモアにエサ探しを命じた。
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シーモアは夜の町にさまよい出ると、出会った娼婦を連れ帰り、オードリーjrの餌とした・・・・・・・・
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映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』予告

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』出演者

シーモア・クレルボーン(ジョナサン・ヘイズ) /オードリー・フルクアード(ジャッキー・ジョセフ) /グラヴィス・マシュニク(メル・ウェルズ) /バーソン・フォーチ(ディック・ミラー) /ウィニフレッド・クレルボーン(マートル・ヴェイル) /ウィルバー・フォース(ジャック・ニコルソン)

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映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』 感想・解説


正直に言って、この映画は、時間が有り余っていたとしても見るべきではないと思う。

ま〜、そう言っては何だが、チープで、演技者の演技も、ドラマの質も、お粗末としか言いようがない。

個人的な印象を言えば、昔よくあったトイレの落書きに近い。

下品で、モロで、安っぽく、お世辞にも上手いとは言えない絵のことだ。

しかし、これで金を取ろうというのはギリギリではないかとすら思える・・・・・・

ぶっちゃけ、この映画の監督、ロジャー・コーマンの作品は、基本的に「人を騙して金を出させる」詐欺まがいの商法だと言いたい。
ロジャー・コーマン(Roger Corman、1926年4月5日 - )はアメリカ合衆国ミシガン州デトロイト生まれの映画プロデューサー、映画監督。日本語では「低予算映画の王者」「B級映画の帝王」、英語では"King of the Bs"、"The Pope of Pop Cinema"などと呼ばれる。
自伝『私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか』(ISBN 978-4152035035) では、彼の映画産業でのB級映画制作の体験を描いた。また、2011年には、コーマンや関係者にインタビューしたドキュメンタリー映画『コーマン帝国』(原題: Corman's World: Exploits of a Hollywood Rebel、監督: アレックス・ステイプルトン)が公開された。

<映画『コーマン帝国』予告>


実は、コーマンの製作手法は、いかに安く早く、刺激的な映画を作るかであり、例えばこの作品『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』は、わずか2日で撮影している。
その理由は、コーマン監督の前作『血のバケツ』で使ったセットが、2日間使えるとなって急遽撮影したものであり、更には1960年1月1日以降、新しい映画製作上の規則が施行され、俳優への出演料がその映画撮影期間だけでなく、DVD販売など再使用の際にも支払いが課されるようになると知って、1959年12月の最後の週に駆け込みで撮り上げたというのだ。

そんなコストに厳しい彼が、若手を積極的に登用したのは、単にコストが安かったからだ。
なぜなら、アメリカ映画界には監督にしても俳優にしても協会が存在し、そこに所属している人材を使おうとすれば、「俳優のギャラが土日は倍になる」、「8時間労働の原則(超過分は1時間につき5割、10割増し)」など、厳しいルールが徹底され割高になる。

そこで、俳優や監督を協会に所属前の若手を使うことで、低コストの映画製作を実現したのだった。

この例でも分かる通り、コーマンの基本戦略は「いかに安く刺激物を生み出すか」という一点が勝負なのである。
そのためには嘘をつくことさえもいとわないのだ!
<『CONAN on TBS』出演ロージャー・コーマン>
【大意】司会:あなたは映画予告に多大な影響を与えていますね。皆、特に若者は、予告編が映画と等しく、本当にあなたは予告を変え、革新しました。/コーマン:ジョー・ダンテがよくやってくれた。彼はよく知られた成功した監督になったが、最初は我々の予告の編集者から始めた。ある予告の編集を見て、私は「ジョーこれはあいまいでボヤけた予告だ、もっと盛り上げてくれ」と言うと、午後になって戻って来て、同じボヤけた予告の中間に、ヘリの爆破を入れると答えた。
司会:本当にヘリの爆破が映画内にあったんですか?/コーマン:予告の場面を映画に入れろと言う法律はない。(爆笑)/司会:すごい、最高だ!トークショウでも盛り上げたかったら、ヘリを落とそう。/コーマン:素材を提供するよ。/司会:請求する?/コーマン:ほんのちょっと。/司会:あなたは凄いタイトルを付けます。私が好きな映画に『巨大カニ怪獣の襲撃』がありますが、タイトルがスゴイ、他の作品のタイトルも。最初にタイトルを思いつくんですか?/コーマン:時としてそうで、ロン・ハワードの監督デビュー作『バニシングIN TURBO』はタイトルが先だ。しかし、前作の『Eat My Dust』はタイトルを付け忘れて撮影し、カーチェイスものでサンフェルナンド谷で、そこら中ホコリが舞ってる所だったから、監督が映画を「イート・マイ・ダスト」と呼ぶべきだと言った。それで、それにした。監督は冗談だと言ったが、冗談じゃ無いと言った。それで、タイトルが途中でついたんだ。

ほ〜〜んと、コーマン監督は、安いコストで「刺激」を生むという目的にどん欲だ。
それが戦争であれ、SEXであれ、暴力であれ、殺人であれ、異常気象であれ、動物の襲撃であれ、異常者であれ、猟奇事件であれ、幽霊であれ、宇宙人であれ、人々の好奇心を煽るモチーフを、これでもかとスクリーンに、安上がりにぶちまけることだ。

基本的に「やらずぶったくりの詐欺商法」と、私が言う由縁である。
実は、アメリカの「B級映画」には、そんな映画が多かったりする。

のちにクリント・イーストウッドから師匠と呼ばれた、ドン・シーゲルもバリバリのB級監督だった。
関連レビュー:B級監督の真骨頂
『ボディー・スナッチャー/恐怖の街 』
表現の稚拙さと恐怖の関係!この映画はボッタクリなのか?
映画表現とリアリティーの関係とは?

また、ティム・バートン監督の映画『エド・ウッド』で名高い最低監督エド・ウッドもB級監督を代表する一人だろう。
<『エド・ウッド』予告>

しかし、そんな「安っぽい刺激物」が、ハリウッドのブロックバスター映画の原型としてあることを考えれば、これも現代の古典と呼ぶべきだろう。
関連レビュー:コーマンのキワモノ映画とハリウッド
『ジョーズ』
スピルバーグ監督の描く恐怖の秘密とは?
ハリウッドを再生させたコーマン映画とジョーズの関係とは?!

そして、 ロジャー・コーマンは、新たな人材の発掘も相まって、映画史に間違いなく残る映画作家なのである。
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以下の文章には

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』ネタバレ

があります。
(あらすじから)
おりしもその日は花協議会による、オードリーJrの表彰日だった。
オードリーとシーモアの母、そして警察の刑事二人も含め、大勢の人が見守る中、その花のつぼみが開いた。
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すると、その花はエサになった人々の顔で、店の中が騒然となった。
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刑事に詰めよられたシーモアは店から逃げ出し、必死に走り追跡者を撒くと、再び店に帰って来た。
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そんなシーモアは、オードリーjrは相変わらず貪欲にシーモアにエサをねだる。
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やけっぱちになったシーモアは、ナイフを手にオードリーJrを倒そうと、ナイフを持ち口の中に飛び込んだ。

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』ラスト・シーン


しばらくして店に、みんなが戻ってきた。
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その前でオードリーjrは新しい花を開いた。
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そこにはシーモアの顔があり。「僕は悪くない」とつぶやくと枯れて下を向いた。
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posted by ヒラヒ at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年05月07日

古典映画『風と共に去りぬ』1939年のハリウッドの本気!再現ストーリー/詳しいあらすじ解説・ネタバレ・結末

映画『風と共に去りぬ』(あらすじ・ネタバレ・結末 編)

原題 Gone with the Wind
製作国 アメリカ
製作年 1939
上映時間 233分
監督 ヴィクター・フレミング
脚色 シドニー・ハワード
原作 マーガレット・ミッチェル


評価:★★★★☆  4.5




この1939年の古典映画は、堂々たる長編作品で、そのボリュームと重厚感に圧倒される。
第二次世界大戦前に撮影された、このハリウッド映画は戦争に負けた日本で戦後公開され、これを見た多くの日本人は改めてアメリカの国力をこの作品によって思い知らされたと言う。

当時の時代感覚を反映して、現代ではタブー視される価値観を含んでおり、それゆえ今では映画としての評価が下がる傾向にある。
しかしCGのない時代に、この圧倒的な物量と、細部まで緩むところない品格ある映像は、ハリウッド黄金期の映画製作力が遺憾なく発揮された、無視しえない一本である。
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<目次>
映画『風と共に去りぬ』ストーリー<第一部>
映画『風と共に去りぬ』ストーリー<第二部>
映画『風と共に去りぬ』予告・出演者
映画『風と共に去りぬ』ネタバレ・結末

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映画『風と共に去りぬ』ストーリー
<第一部>


1861年、南部ジョージア州の広大なタラ綿花農園は、旧き良き南部の美しい佇まいを見せていた。
しかし、南北戦争により、それも風と共に去っていった・・・・・
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アメリカ南北戦争の前夜、タラ農園の令嬢スカーレット・オハラ(スカーレット・オハラ)は農園主の父ジェラルド・オハラ(トーマス・ミッチェル)と母エレン・オハラ(バーバラ・オニール)と2人の妹と多くの奴隷とともに住んでいた。
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明日はパーティーがあり、浮き立っていたスカーレットだったが、そこで父ジェラルド・オハラから、スカーレットが思いを寄せるアシュリー・ウィルクス(レスリー・ハワード)がいとこのメラニー・ハミルトン(オリヴィア・デ・ハヴィランド)と結婚すると聞かされショックを受けた。父は、お前なら相手はたくさんいると言い、アイルランド人の誇りと、スカーレットが引き継ぐタラ農園の価値を語りかけるのだった。
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その晩家に戻った、フランス貴族の血を引く母エレンは、農場監督ジョナサン()の女性スキャンダルを知り夫に解雇すると告げた。
そして娘達と共に館内の礼拝場で祈りを捧げた。
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翌日、2日間続くパーティーの初日、スカーレットは黒人の乳母マミー(ハティ・マクダニエル)に手伝わせ、コルセットを締め上げ豪華なドレスに身を包むと馬車に乗り込んだ。
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パーティー階上では、スカーレットは男達の注目の的で、さらに自身も積極的に誘惑した。そんなスカーレットを見つめ、皮肉な笑いを浮かべる一人の男がいた。それが悪名高いレット・バトラー(クラーク・ゲイブル)との出会いだった。
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2日目のパーティーでも、スカーレットはバーベキューの昼食で、多くの男たちに囲まれるが、アシュリーとメラニーのカップルの婚約が発表されると、スカーレットは書斎でアシュリーへ愛の告白をした。しかし、アシュリーはスカーレットと自分はあまりにも違うと断ると、怒ったスカーレットは彼を平手打ちした。
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その一部始終を、書斎のソファーに寝ていたレットが聞いていた。スカーレットが怒りの目を向けると、レットはアシュリーより、君には俺がお似合いだと言い、更に彼女の怒りを買った。
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その時南北戦争が始まったとのニュースが入り、男達は戦争に志願すると沸き立っていた。メラニーの弟であるチャールズ・ハミルトン( ランド・ブルックス)は、従軍する前に思いを伝えたいと、スカーレットに結婚を申し込むと、アシュリーとメラニーの結婚にショックを受けた彼女は、衝動的に受け入れた。
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しかし、戦争で夫チャールズが死んだ知らせを、手紙で受け取った。
傷心のスカーレットは母の勧めに応じ、アトランタのメラニーの家で喪に服すことに同意したが、その秘めた想いはアシュレーとの再会に有った。
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しかしスカーレットは喪中ながら、チャリティーのダンスパーティーに参加し、メラニーの家族は眉をひそめさせた。
そこで彼女はレットと再会し、彼は南軍の海軍に身を投じ、戦争の英雄となっていた彼は提督となっていた。そして、南軍へのチャリティー企画で寄付すれば、男性が好きな相手と踊れるという場で、レットは150ドルを支払い、スカーレットを指名した。
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喪に服するのに飽いていたスカーレットも応じ、踊り始めた。その後、レットは、贈り物を持って、彼女のもとを訪問するようになる。

南北戦争はゲッティスバーグの決戦が行われ南軍の敗走で終わり、アトランタの町は沈うつな面持ちで家族の安否を気遣う人々で溢れた。
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クリスマスとなりアシュリーが帰って来たが、スカーレットに妻メラニーを助けて欲しいと頼み、南軍の敗北は近く自分は戻れなくとも君が妻のそばにいてくれれば安心だと言い残し、去ろうとする。
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スカーレットは彼に口づけし、愛してると告げた。アシュレーはそれに応えず戦地へと出発して行った。

戦況は北軍が勢力を伸ばし、南部諸州にも戦火が及んだ。スカーレットは志願して、傷病兵の世話をする看護師として働いていたが、ついに戦火はアトランタの町も飲み込もうとしていた、逃げ出す市民と、前線に進む兵士達で、大混乱になった。
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スカーレットは逃げようとしたが、医師に説得され、アシュレーとの約束もあり、臨月を迎え体調を崩したメラニーの出産の介助をすることを決意する。
南軍はアトランタから後退を強いられ、アトランタ駅の周辺が南軍傷病兵で溢れる中、陣痛を迎えたメラニーのために、スカーレットは医師を探す。ようやく見つけた医師は、何百人が死にかけている現状で、出産に立ち会うことは出来ないと断った。
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やむなく、自ら赤ん坊を取り上げる決心をしたスカーレットは、何とか男の子を取り上げた。
しかし、北軍の攻撃は目前に迫る中、スカーレットは弱ったメラニーと赤ん坊を連れて、街を脱出しタラへと向かうためレットを頼った。
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北軍の攻撃で街で炎が燃え広がる中、4人と嬰児は馬車で決死の逃避行を繰り広げ、何とか安全な場所まで逃げることが出来た。
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タラまでは、まだ距離がある中、レットは南軍で再び戦うためスカーレットを残し去った。
スカーレットは頼りにならない黒人奴隷と、産後の肥立ちが悪いメラニーと、生まれたばかりの赤ん坊を乗せた馬車を、レットが残した銃を頼りにタラへと走らせた。
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戦火は南部の奥まで拡大し、女性たちは北軍から身を隠しながら、なんとか無事タラにたどり着いた。
しかし美しかったタラ農園は、驚くべき荒廃を見せており、母は腸チフスで世を去り、農場主の父は、現実が分からないほどボケ、廃人同然だた。
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その、あまりの惨状にショックを受けたスカーレットだったが、今は餓えないために、彼女がすべきことを何でもすると決意する。
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<第一部終了>
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映画『風と共に去りぬ』予告


映画『風と共に去りぬ』出演者

ヴィヴィアン・リー(スカーレット・オハラ)/クラーク・ゲイブル(レット・バトラー)/レスリー・ハワード(アシュレイ・ウィルクス)/オリヴィア・デ・ハヴィランド(メラニー・ハミルトン)/トーマス・ミッチェル(ジェラルド・オハラ)/バーバラ・オニール(エレン・オハラ)/ハティ・マクダニエル(マミー)/ボニー・バトラー(カミー・キング)/ジェーン・ダーウェル(ドーリー)/ウォード・ボンド(トム)/ ランド・ブルックス(チャールズ・ハミルトン)


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映画『風と共に去りぬ』ストーリー
<第二部>

戦争は北軍の勝利が目前となり、南部は戦火に焼き尽くされようとしていた。
しかしタラの農園では、スカーレットと彼女の家族、その奴隷達が総出で再び綿の栽培を始めたが、妹達はそんな農作業に不満顔だった。
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そんな時、農園に強奪に入った北軍の脱走兵をスカーレットは銃で射殺し、北軍に見つからないようメラニーと友印密かに埋めた。
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南北戦争はついに南軍の敗北で終結し、戦地に行った兵士達も、疲労に重い足取りで、それぞれの故郷に向かい、そして終結と共に南部には、北部の政治家や利権を求める商人達に侵略された。
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タラの農園にも、多くの敗残兵が休息を求めて寄宿していた。その中には戦前、妹スエレン(イヴリン・キース)と交際していたフランク(キャロル・ナイ)がおり、彼女との結婚をスカーレットに求めた。
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そして、北軍の捕虜となっていたアシュリーも、ついに妻メラニーの元に帰還し、感動の再会を果たした。
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しかしタラ農園の苦境は改善せず、更に敗北した南部諸州には復興税として大金が課せられ、農園タラには300ドルの税金が課税された。
その支払いに苦悩するスカーレットは、まだ思いを寄せるアシュレーに、農園タラを捨て逃げようと求めた。彼はメラニーを捨てる事はできない、スカーレットもタラを離れられないだろうと語る。
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スカーレットがタラには未練がないと言うと、アシュレーは君には誇りがないのかと問うた。スカーレットが泣くのを、抱きしめたアシュレーは、彼女を慰めキスをした。
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そして、心が揺れるが妻と子を裏切れないと言うアシュレーに、スカーレットが私には何もないと呟くと、君には大切なタラがあるとアシュレーは語りかけた。

そんな時、女性問題で亡き母エレンから首にされた、元農場監督のジョナサンは北部に協力し羽振りが良く、農園を自分が購入すると、スカーレットに持ち掛ける。
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スカーレットは拒絶し、それを見た父は怒って監督を馬で追おうとし、落馬して死んだ。

父が亡くなり、スカーレットに課せられた税金の重みは増すばかりで、彼女はマミーに言い、カーテンをドレスに仕立て上げ、アトランタで北軍により投獄されているレットを訪ねる。
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面会したスカーレットは、しおらしくレットの身を案じそぶりを見せるが、金が目時だと見抜かれ、彼に断られると、縛り首になれば良いと言い残し牢屋を後にした。

帰路スカーレットがアトランタの街を歩いていると、妹スエレンに求婚していた、フランクと出会う。今は、雑貨店を構え、街の開発を見越して材木の商いも始めており、貯金は1000ドルを超えたと言う。
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それを聞いたスカーレットは、スエレンとの結婚を改めて口にするフランクに、妹が他の男と結婚したと噓を言い、フランクを自分の夫にした。

税金300ドルを払わせ、更に木工所を設立すると、その責任者として、家を出ようとしていたアシュリーを据えた。しかし、スカーレットは囚人を労働力として使役し、利益重視のえげつない経営を行ったのだった。
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そんなスカーレットは、一人馬車で木工所に向かうが、その途中には貧民窟があり、ある日二人の浮浪者に襲撃された。スカーレットが絶体絶命と思われたとき、助けたのは、かつてタラ農園にいた黒人奴隷ビッグ・サムだった。
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命からがら帰ったスカーレットと入れ違いに、夫のフランクは集会だと夜間に外に出ていき、スカーレットは怒りを感じる。スカーレットがメラニーの家に行くと、そこでメラニーの妹のインディ(アリシア・レット)から、迷惑をかけないでと言われ混乱する。
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実は、スカーレットの夫フランクやアシュレーなど、南部のこの地の男たちは、スカーレットの事件の復讐として貧民窟を焼き討ちするとして、今夜出ていったのだ。しかし、それは北軍が知るところとなり、メラニーの扉がノックされ、北軍がアシュレーを逮捕するため乗り込んできた。
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そこに、アシュレーを抱えたレットが、酔っぱらった様子で帰ってきた。北軍がどこにいたかと尋ねると、レットは言いにくそうに街の娼館の名を挙げ、疑うなら女主人に聞いてみろと言うと、北軍は帰っていったた。
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しかし、アシュレーは襲撃の時に肩を撃ち抜かれており、更にフランクは現地で死亡したと聞き、スカーレットは驚く。

その晩、娼館主人ミリー(イザベル・ジュウェル)が訪れ、メアリーが礼に来ると聞き、私に関わらないほうが良いと告げるために来たと言った。それを聞いたメアリーは、町であなたと会えば必ず挨拶しますと言って、ミリーを感動させた。
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ミリーは、あなたはスカーレットと大違いの良い人だと言うと、メアリーはスカーレットは誤解されているとかばった。

フランクの死によって、スカーレットはその遺産を手にする。
そんなスカーレットのもとを、豪華な帽子を土産に尋ねたレットは、スカーレットに求婚した。
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スカーレットはもう結婚はこりごりと断るが、レットが強引に口づけをすると、抵抗は弱まり、ついには、私たちは似たもの同士ねと、結婚を受け入れた。
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ミシシッピー河を蒸気船でニューオリンズまで行く、豪華な新婚旅行を楽しんだ。レットのなんでも叶えてやるという言葉に、スカーレットはタラに帰りたいと答えた。
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そしてタラに帰ったスカーレットはここを昔のタラに戻したいと言い、アトランタにも家が欲しいとねだり、レットは大豪邸でそれに応えた。
スカーレットに付き従う黒人メイド達は、レットの財力に驚いた。
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アトランタに新居を構えた2人に、ボニー(カミー・キング)と名付けた娘が誕生し、レットはさっそく親バカぶりを見せ、溺愛するようになった。しかし夫婦仲は、徐々に冷え込む。
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ある日、スカーレットがアシュリーの写真を見ていると、レットが入ってくる。スカーレットはもう子供は欲しくないと言い、寝室を別々にしたいとレットに告げると、彼は怒り家から出ていった。
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レットは娼館に行くと、女主人のミリーに愚痴をこぼすが、彼女はレットが娘を愛しているから離れられないと指摘されると、図星を突かれ家へと戻った。

それからレットは、ボニーを一流のレディーにするため努力し、何かと悪評の高い彼とスカーレットの印象を改善させるため、つとめて上流階級の人々と交流を持った。
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ボニーはすくすく成長し、ポニーに乗れるまでになり、そんな娘をレットは溺愛した。

一方のスカーレットは、アシュリーの誕生日の日、木工所の彼のもとを訪ね、昔を懐かしむ。そして、お互いの人生を慈しむように、ハグしたところを、メアリーの妹インディーに目撃されてしまう。
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ショックでスカーレットがベッドに寝ていると、レットが部屋に入り、インディーが見た事を町中に吹聴していると告げた。スカーレットが、今晩のアシュリーの誕生パーティーにはいけないと言うと、レットは娘ボニーのために行かなければならないと、強引にパーティーに参加させた。
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アシュリー家のドアを開けたとき、室内の音が止み、冷たい視線がスカーレットに突き刺さった。
そんなスカーレットに、アシュリーの妻メアリーが駆け寄り、歓迎の言葉を述べ、出席者の輪に迎え入れ、救った。

その晩、酔ったレットはスカーレットに襲い掛かり、アシュリーを永遠にスカーレットの心から追い出すと宣言した。長い階段を、スカーレットを抱え寝室に運び入れた。
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その翌朝、スカーレットは機嫌がよく、乳母のミリーを驚かせるほどだった。しかし、レットが顔を見せると、冷たい顔を装うのだった。レットは前夜の蛮行を詫び、少し離れたほうがいいと、娘ボニーと共にロンドンへ旅立つとスカーレットに告げた。
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しかしロンドンでは、幼いボニーは慣れない町に不安を覚え、ホームシックとなり母を求めたため、レットは止む無く帰国した。
家に戻ったレットに喜びを浮かべたスカーレットだったが、レットの皮肉な言葉に反発し、スカーレットがレットの子を身ごもっているのを知ったレットの喜びは、スカーレットの残念ながらあなたの子で、もう子供は欲しくないという言葉に怒った。
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レットは子供が流産するといいと吐き捨てると、スカーレットはなぐろうとしてバランスを崩し、階段を転げ落ちてしまう。
そして宿った命は喪われてしまった。
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ベッドに伏せる彼女の口からレット行かないでと言う言葉が漏れているのを、レットは知る由もなかった。
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映画『風と共に去りぬ』受賞歴


2000年第53回カンヌ国際映画祭/パルム・ドール、ビョーク主演女優賞受賞

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以下の文章には

映画『風と共に去りぬ』ネタバレ

があります。
(あらすじから)
スカーレットの流産に責任を感じたレットは、落ち込み苦悩した。そんなレットを訪ねたメラニーは、彼を慰め嫉妬に苦しんでいるというレットに、スカ―レットはあなたを愛していて気がついていないだけだと話した。
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私ですら新たな命を授かったのだから、スカーレットにもきっと授かると口にする。過去の出産で子を宿すことが、メラニーに取って命にかかかわると知っていたレットは、その身を案じると、彼女は「親は子供のために命を懸けるものよ」と話し、レットはその言葉に打たれた。
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回復したスカーレットにレットは謝罪し、今後は夫婦の関係修復に努めると語りかけ、ボニーと三人で旅にでようと提案した。
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しかし、そんな会話の最中に、娘ボニーが子馬のポニーで、高い障害を飛び越えようとして失敗し、落馬し命を落としてしまいレットを打ちのめした。
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レットは死んだ娘をベッドに寝かせたまま、いつまでもその顔を見ていた。周囲が可哀そうだからを埋葬して欲しいと嘆願しても、その埋葬を認めなかった。心配したメラニーは身重で体調が悪いにもかかわらず、訪れ葬儀を執り行うことを認めさせた。
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メラニーの妊娠は彼女の体力を削り、ついに落命の危機を迎え、レットとスカーレットも駆け付けた。
一同が悲嘆にくれる中、メラニーは死の直前スカーレットを部屋に招き入れた。
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彼女にアシュリーと子供の世話を見て欲しいと頼み、更にレットはずっとスカーレットを愛していた、彼に優しくしてあげてと遺言しこの世を去った。
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アシュリーは妻の死に絶望し、泣き崩れる。アシュリーを慰めるスカーレットの様子に嫉妬したレットは、先に一人家に帰った。
スカーレットはアシュリーの様子に、彼の妻への愛の深さ、夫婦愛の深さを知り、アシュリーが自分に思いを寄せていると思ってきたのは幻想だったと、スカーレットは思い知る。
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スカーレットは、レットが自分を愛してくれていたという言葉を噛みしめ、一足先に帰ったレットを追って家へと急いだ。
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映画『風と共に去りぬ』結末・ラスト


家に着いたスカーレットは、レットが自分から去ろうとしているのを知り、必死に自分の愛を訴える。
スカーレット:何をしているの?/レット:俺は君の元を去るんだ。離婚が君の望む全てだろ、君はアシュレイと一緒になる夢を叶えるがいい。/スカーレット:違う。違うわ、あなた間違ってる。ひどい間違いよ。離婚なんて望んでない。ああ、レット、今夜分かったの!私はあなたを愛していたんだって。それを伝えに走って来たの。ああ、あなた、あなた。どうか行かないで。レット:俺たちの結婚を終えるのに、少しは尊厳も残しておこう。これが最後、別れよう。/スカーレット:最後?ああ、レット、どうか聞いて。私は多分、長くあなたを愛していたの。ただ、私がとても愚かで馬鹿だったから、それに気づかなかったの。どうか信じて。無視しないで。/レット:楽しいことを言うね。君を信じたとして、アシュリー・ウィークスをどうするんだ?/スカーレット:私は決してアシュリーを本当には愛してなかった。/レット:そうかな。この朝までそうは見えなかったがね。スカーレット。俺は全て試した。もし、君が俺の半分でも努力したなら、ロンドンから帰ったあの時も。/スカーレット: 私あなたに会えて嬉しかったわ。そうなのよレット 。でもあなたはとても嫌味だった。

レット:俺の失敗で、君が寝込んだ時だって、俺は君が俺を呼んでくれるんじゃないかと、かすかな希望を持った。でも君は呼ばなかった。/スカーレット:私はあなたを求めてた。必死にあなたを求めたの。でも、私は、あなたがが私を求めてないと思ったのよ。/レット:俺たちはまるでちぐはぐだったんだ、そうだろ。しかし、もう何の意味もない。ボニーが生きていさえすれば、まだ幸せになれるチャンスもあったろう。俺はボニーを、少女時代に戻った、戦争前の、裕福な時代の君だと思っていた。彼女は本当に君に似てた。それで、俺は彼女を溺愛し、甘やかした、俺が君を甘やかしたかったように。/スカーレット:ああ、レット!レット!どうかそんな事言わないで!私が悪かったの。本当に全てに謝ります。/レット:ダーリン、君はそんな子供だったのかい。 御免なさいと言えば過去の全てが正当化されるとでも思っているのか。 ほら、俺のハンカチを使え。絶対に、君の人生のどんな危機でも、ハンカチなんか不要だと思ってたがね。/スカーレット:レット!レット!どこに行くの? /レット:俺はチャールストンに行く。俺の場所に帰るんだ。/スカーレット:どうか、どうか私も連れてって。/レット:ダメだ。俺はここで全てやった。平穏が欲しい。もしどこか、魅力的で優雅な人生の終わりを向かえられるところを、俺は見つけたい。俺が何を言っているか分かるか?スカーレット:分からない。ただ分かるのは、私があなたを愛していること。/レット:それはお前の不運だったな。/スカーレット:ああ、レット、レット、レット 、レット、レット !でも、もしあなたが去ったら、私はどうしたらいいの?わたしはどうしたら?/レット:正直に言おうか、ダーリン。俺の知ったこっちゃないね!/スカーレット:タラ、タラ、タラ!我が家に帰ろう。そして、彼を取り戻す道をさがすの。だって、明日はまた別の日よ。







posted by ヒラヒ at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月02日

映画『イングリッシュ・ペイシェント』ラブストーリーと戦争の関係とは?/感想・解説・考察・ネタバレなし簡単あらすじ

映画『イングリッシュ・ペイシェント』感想・解説 編

原題The English Patient
製作国 アメリカ
製作年 1996
上映時間 162分
監督 アンソニー・ミンゲラ
脚本 アンソニー・ミンゲラ
原作 マイケル・オンダーチェ


評価:★★★☆  3.5点



第二次世界大戦前夜、サハラ砂漠で出会った、国籍も地位も違う2人の男女。

その2人の間に生じた強い愛は、戦争によって無残に断ち切られる・・・・・

この映画は古典的な恋愛ドラマが主筋ではあるが、その背景には戦争によって分断されていく、個人の想いが語られている。
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<目次>
映画『イングリッシュ・ペイシェント』簡単あらすじ
映画『イングリッシュ・ペイシェント』予告・出演者
映画『イングリッシュ・ペイシェント』感想
映画『イングリッシュ・ペイシェント』解説
映画『イングリッシュ・ペイシェント』考察

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映画『イングリッシュ・ペイシェント』ネタばれなし・あらすじ

第二次世界大戦中のサハラ砂漠。広大な砂漠の上を飛ぶ複葉機、ドイツ軍の防空網に捕えられ撃墜され、操縦席にいたンガリーの伯爵ラズロ・アルマシー(レイフ・ファインズ)は全身やけどを負い、カナダ軍の野戦病院に収容された。アルマシーは記憶喪失だったため、「英国人患者=イングリッシュ・ペイシェント」と呼ばれ、フランス系カナダ人看護婦ハナ(ジュリエット・ビノシュ) の看護を受けた。看護婦ハナは恋人を戦争で失う過去を持ち、戦火で崩れた修道院で、重態となったアルマシーの看護をすると決め、二人の生活が始まった。そこに、 アルマシーを仇と狙うカナダの工作員デヴィッド・カラヴァッジョ(ウィレム・デフォー) が現れ、アルマシーの記憶を呼び覚まし始める。
アルマシーは、サハラ調査隊・国際サンド・クラブの一員として、彼の親友である英国人ピーター・マドックス(ジュリアン・ワダム) と地図製作に携わっていた。そこでジェフリー・クリフトン(コリン・ファース) と、その妻キャサリン(クリスティン・スコット・トーマス) と出会い、 アルマシーの運命は大きく変わることになる・・・・
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映画『イングリッシュ・ペイシェント』予告

映画『イングリッシュ・ペイシェント』出演者

ラズロ・アルマシー(レイフ・ファインズ) /キャサリン・クリフトン(クリスティン・スコット・トーマス) /ハナ(ジュリエット・ビノシュ) /デヴィッド・カラヴァッジョ(ウィレム・デフォー) /キップ(ナヴィーン・アンドリュース) /ジェフリー・クリフトン(コリン・ファース) /ピーター・マドックス(ジュリアン・ワダム) /ミュラー少佐(ユルゲン・プロホノフ) /ハーディ軍曹(ケヴィン・ウェイトリー) /ダゴスティーノ(ニーノ・カステルヌオーヴォ) /フアド(ヒシャーム・ロストム) /オリバー(ジョーディ・ジョンソン) /メリー(トーリ・ヒギンソン) /ジャン(リーサ7・レポ=マーテル) /ルパート・ダグラス(レイモンド・クルサード) /アイチャ(リム・ターキ) /ハンプトン夫人(アマンダ・ウォーカー)

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映画『イングリッシュ・ペイシェント』感想


この映画は、オスカーの各賞を総なめした高い評価の作品である。

エキゾチックなアフリカの大地を背景に、大人の恋愛を描き、その恋が第二次世界大戦という悲運に見舞われ、翻弄される悲恋を丹念に描いている。

この物語の背景には、戦争によって人々の「想い」が分断される現実があり、それは反戦テーマとして見るべきだと感じる。

映像もきれいで、長い作品ながら、脚本の巧みさもあり最後まで見せる力は十分にある。

考えてみれば、アフリカという「異国情緒」の中で繰り広げられる恋は、数多くの恋愛映画を生み出して生きた。

たとえば、1930年の大ヒット恋愛劇『モロッコ』は、「恋こそ人生」という自由恋愛の象徴のような映画だった。
関連レビュー:砂漠に賭けた恋
『モロッコ』
マレーネ・デートリッヒとゲーリー・クーパーの大ヒット映画
1930年ハリウッドの恋愛映画の古典


更には1942年の古典映画『カサブランカ』は、イングリッド・バーグマンとハンフリー・ボガードのこれぞハリウッド恋愛映画という一本だ。
アメリカ映画:1942年
映画『カサブランカ』
映画史に輝くハリウッドスターの古典的作品!
この脚本は何でこんなにメチャクチャなのか?


またハンフリー・ボガードだと、アフリカオール・ロケの『アフリカの女王』という、恋愛アクション映画もあった。
アメリカ映画:1951年
『アフリカの女王』
1951年のハリウッドの大ヒット映画の再現ストーリー
アフリカを舞台にカ ップルの冒険を痛快に描く


また、『ラスト・エンペラー』のベルナルド・ベルトッチ監督も『シェルタリング・スカイ』という、砂漠を行くカップルの物語を描いた。
イギリス映画:1990年
映画『シェルタリング・スカイ』
西洋と東洋の出会う砂漠の蜃気楼
美しい砂漠と混乱したストーリーの関係とは?

こう見てくると、「異国情緒=エキゾチズム」と恋愛劇は、昔から強い相乗効果を発揮してきたのかとも思う。

しかしである、個人的な感想を言えば、この『イングリッシュ・ペイシェント』にはそこまで深い感動を覚えなかった。

その理由を掴みかね、さまざまに考えてみたのだが、どうやら二つの点で高い評価を付けられなかったようだ。

一つは「現代の恋愛劇」の困難さであり、もう一つはこの映画に「反戦テーマ」が、真に相応しかったのかという点だった。

その2点に関して以下の文章で語らせて頂きたい。
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映画『イングリッシュ・ペイシェント』解説

恋愛劇と映画


この映画は、そう言っては何だが、一種オールドファッションなラブ・スト−リーである。

恋愛映画はハリウッド映画のドル箱ジャンルであり、それは映画の歴史とともに有ったと言っていい。

例えば、1927年のサイレント映画『第七天国』は、貧しい男女が自由恋愛によって相互の価値を生み、ついに奇跡を生む物語だった。
関連レビュー:恋愛映画とハリウッド
『第七天国 』
ボーイミーツガールの恋愛天国!!
『ラ・ラ・ランド』監督もラストを参考にした古典!
上で上げた、『モロッコ』も含め、個人的にはハリウッド映画が「自由恋愛=恋愛結婚」の夢を、全世界に広めた推進力だったと信じている。

かつてのハリウッドの恋愛劇は、何らかの要因によって、自由恋愛ができない恋人たちが、その状況の中で愛を貫くハッピーエンドか、仲を裂かれる悲恋となる物語だった。

そもそも古典的なラブストーリーの筋立ては、『ロミオとジュリエット』の昔から、愛し合う二人が、個人の力ではいかんともしがたい運命によって、その恋を邪魔されるものと相場が決まっている。
<『ロミオとジュリエット』1968年予告>

それは、ドラマの盛り上がりとして、やすやすと成就する恋愛は、何らかの問題が生じて、それを乗り越えるというダイナミズムを秘めていないと共感を呼び難いのだろう。

なぜなら恋愛とはそもそも、他者を自らに取り込むために、激しい摩擦を経て、初めて「一体化=恋愛成就」するという、運動法則を持っているからであり、その点を強調するためには「恋愛阻害要因」が必要とされるのだと考えたりする。

さらに言えば、ドラマとしての訴求力は、大きな力が拮抗するストレスが解消される時カタルシスを迎えるという図式からして、恋愛劇をいかに効率よく表現するかという事を考えた場合、導き出される必然でもあるだろう。

例えば、恋愛ドラマとして大ヒットした『タイタニック』であれば、二人を引き裂く「恋愛阻害要因」は船の沈没という悲運だった。
アメリカ映画:1997年
『タイタニック』
世界一の興行収入記録を打ち建てた大ヒット作
レオナルド・デカプリオとケイト・ウィンスレットの恋愛劇

そして、この映画『イングリッシュ・ペイシェント』で描かれた二人を引き裂く運命の正体は「戦争」である。

それは前に述べた、真に愛し合うものが、「運命=外部」の邪魔によって愛を妨げられるストレスと、それを超えることで(もしくは超えられない事)でカタルシスを生む古典的な恋愛映画の構造に則ったものだ。

その「古典的恋愛劇」が、かくも人々に愛され、その共感を呼んできたのは、現実世界に間違いなく、自由恋愛を阻害する制度なり環境が、過去の世界にあまねく社会に存在していたがゆえに、そのスクリーンでのドラマは恋人たちの夢として輝いたのである。

しかし、この「運命=外敵な 阻害要因」自体が、現代では減少する傾向にあることは間違いなく、例えば先進国であれば「親の許し」は必須要素ではないし、経済的障壁も、階級制度や人種的偏見などの社会的な因習も、すでに過去の遺物に近いとすら感じる。

そんな外的恋愛阻害要因は、戦争や社会的な混乱、天然災害などが、現代に残されたものであり、その点、この映画が戦争によって分断された恋人を描いたのは、例えば第二次世界大戦後も何らかの形で紛争や戦争に関与してきたアメリカ合衆国の映画であれば、それなりにリアリティーを感じ得るのかとも思う。

実際、映画の発表年代を考えれば、1997年ごろとはアメリカがイラクに侵攻した、二回に渡る湾岸戦争の間に撮られている。

しかしそんな外的要因にせよ、現代社会において恋愛の自由を謳歌できる環境にあるという事実が、古典的恋愛ドラマの訴求力を弱めていると思わざるを得ない。

更に言えば、かつて信じられていた「自由恋愛=恋愛結婚=幸福な結婚」という公式はが絶対ではないと、人々は多くの離婚事例で知ってしまった現在であれば、「恋愛ドラマ」がどれほど人々の心を打ち得るかと考えたりする・・・・・
関連レビュー:現代の恋愛事情のリアル!
『そんな彼なら捨てちゃえば』
豪華キャストの男子禁制ガールズ・トーク映画!
男の本音と女の勘違いを描いたロマンティック・コメディ!

正直に言えば、現代で古典的恋愛劇は、旬の若いスター性のある男女が演じる以外成立しがたいのではないかと思う。

現代であれば、30代ですら恋愛の経験値が高く、恋愛への幻想を抱きがたいのが実情である。

そうなれば、恋愛に夢を持ち、そこに全身全霊で突進するというのは、10代の初恋に近い者達だけが可能な特権であり、彼らであれば「恋愛ドラマ」はリアリティーを持ち、共感し得るだろう。

その点で『タイタニック』はレオナルド・デカプリオとケイト・ウィンスレットの若さの勝利だったと思える。
関連レビュー:タイタニック・コンビ再び!!
『レボリューショナリーロード』
あの『タイタニック』カップルが送る、夫婦の崩壊劇
50年代アメリカ社会の「絶対的虚無」と「フェミニズム」

しかし、この『イングリッシュ・ペイシェント』に関しては、中年近い男女が「古典的恋愛劇」を演じても、もちろん時代背景や、主人公が恋に奥手であるなど、言い訳をつけてはいるものの、どこか説得力に欠けた。

この不倫の恋の描写は、たとえば『マディソン郡の橋』の表現に較べれば、その深さ強さ、切なさのリアリティーが響かなかった。
アメリカ映画:1995年
映画『マディソン郡の橋』
クリントイーストウッド監督の切ない不倫劇
メリルストリープ主演の永遠の「恋」
何度か見たが、やはり主人公カップルの恋愛シーンは、弱く感じられてならなかった。

その点について、さらに言えば、この映画は本来「恋愛ドラマ」として、語られるべきだったのかという疑問も感じる。

その点に関して、下の文章で考察してみたい。
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映画『イングリッシュ・ペイシェント』考察

映画のテーマとドラマ様式

この映画の姿は、基本的に「恋愛ドラマ」の顔を見せているのは間違いない。

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しかし、細かくその内容を見てみれば、この映画の主人公とヒロインは、国際サンドクラブという多国籍の調査隊で出会い、国境線など引かれていない、どこまでも続く砂漠で愛を育んだ。

しかし、二人の愛は、結婚という社会制度によって、更には国家のエゴの果てに勃発した戦争が、個人を国家に従属させ、その自由を奪おうとしたことで、自由恋愛の道を閉ざされたのだと見える。
その戦争によって分断される人々の関係性は、この映画のそこかしこに埋め込まれている。

例えば看護婦ハナとインド人軍人の恋愛や、インド人軍人とイギリス人下士官との友情、カナダ人工作員カラバッジョとイタリア娘、サンドクラブのヨーロッパ人男性と現地人男性の関係など、人種や、宗教、国籍を超えた、人のつながりが描かれるのだ。
そして、それらの関係が、戦争によって断ち切られ、戦争終結後に、再び結ばれるであろう予兆が描かれている。
こう見てくれば、この映画が語ったテーマとは、その物語構造から「愛を分断する戦争の悲劇」であり、つまるところ、反戦映画として描かれているのだと感じた。

ヒロインの書き残した言葉に、その事実が明確に示されている。
「人は誰でもひとつの国、国が引いた国境も、権力者の意向も関係ない」
実に、しっかりと反戦を謳っている映画なのである。
しかし個人的には、その反戦の基礎設計が、あまりにしっかりしているものだから、逆に恋愛映画としてみたとき、その反戦の主張が、恋愛に感情移入させ難くしていると感じられた。

個人的には、反戦メッセージと、恋愛ドラマの、どちらを軸に見るべきか迷ってしまい、上手く映画に乗り切れなかった。
反戦をメインに語るのであれば、この映画の戦火による人々の分断の悲劇の主張は、この恋愛を介することで弱めてしまったと感じる。

反戦を語るなら、例えばスピルバーグ監督『戦火の馬』のように、人と動物という純粋な繋がりとして描いた方が、明確に戦争が壊す関係性を語りえたと思う。
関連レビュー:スピルバーグ監督の反戦映画
映画『戦火の馬』
第一次世界大戦を駆け抜けた軍馬を描く感動作
「現実世界の物語」と「おとぎ話」の融合とは?
例えば、恋愛劇を軸にするのなら、もっとラテン系の映画のように、狂おしいぐらいお互いを求める情熱的な恋愛であれば、それらの反戦メッセージにも対抗でき、この悲恋をもっと強く訴えられたのではないかと思わずにはいられない。

つまり、この映画は映画の基礎設計が反戦映画でありながら、反戦テーマを強く訴えるわけではなく、恋愛ドラマとして見ても、現代の恋愛映画の弱体化もあり、強くお互いを求める恋ではなく「大人の恋愛」として語られている分、その弱い反戦テーマすら邪魔になって見えたのだろう。

あくまで、個人的な鑑賞感ではあるが、自らの気持ちに正直に評価すれば、その構成力の見事さを評価しつつも、この映画の評価は標準作を多少上回る★3.5となった。

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posted by ヒラヒ at 17:00| Comment(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする