2022年06月20日

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』B級映画の王はなぜ偉大か?/考察・ネタバレなしあらすじ・アメリカ映画史とロジャー・コーマン

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』詳しいあらすじ・ネタバレ 編

原題The Little Shop of Horrors
製作国 アメリカ
製作年 1960
上映時間 162分
監督 ロジャー・コーマン、チャールズ・B・グリフィス、メル・ウェルズ
脚本 チャールズ・B・グリフィス、ロジャー・コーマン


評価:★★  2.0点



この映画は、申し訳ないが、見るとがっかりするほど低レベルな作品だ。

しかし、この映画を生んだロージャー・コーマンという監督は、チープなゴミのような映画を垂れ流しながら、ハリウッドの生きる伝説となり、アメリカ映画人から多くの尊敬を受けるに至った。

実を言えば、そのコーマンが生み出した「キワモノ(EXPROTATION)映画」というジャンルが、映画、特にアメリカ映画の誕生と発展を生んだ力の、正当な後継者であると思えるのだ・・・・
film1-Blu-sita.jpg

<目次>
映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』ネタバレなし簡単あらすじ
映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』予告・出演者
映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』解説/ロジャー・コーマンの栄光
映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』考察/キワモノ映画とアメリカ映画の伝統

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』簡単あらすじ

その花屋は経営者マシュニク(メル・ウェルズ) と、その娘オードリー(ジャッキー・ジョセフ)、そして。もう一人気弱で風采の上がらない若者シーモア(ジョナサン・ヘイズ) が雇われていた。お得意の老婦人や、花を食べる変な男が訪れるが、シーモアは失敗ばかりで、マシュニクは首だと怒鳴りつけると、シーモアは店の客寄せにと、自ら育てた新種植物を持って来た。しかし、その植物は、人の言葉を話す、恐るべき食人植物だったのだ・・・・・
film1-Blu-sita.jpg
film1-Blu-sita.jpg

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』予告

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』出演者

シーモア・クレルボーン(ジョナサン・ヘイズ) /オードリー・フルクアード(ジャッキー・ジョセフ) /グラヴィス・マシュニク(メル・ウェルズ) /バーソン・フォーチ(ディック・ミラー) /ウィニフレッド・クレルボーン(マートル・ヴェイル) /ウィルバー・フォース(ジャック・ニコルソン)

Film2-GrenBar.png
スポンサーリンク


film1-Blu-sita.jpg

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』考察
キワモノ映画とアメリカ映画の伝統

正直に言って、この映画がよい例だが、ロジャー・コーマンの作品は、基本的に「人を騙して金を出させる」詐欺まがいの商法だと言いたい。

しかし、この胡散(うさん)臭い 「サギ師=トリック・スター」が、なりふり構わず、映画を撮り続けた事で、アメリカ映画界は救われたのだ。
関連レビュー:ハリウッドの復活とコーマン
『ジョーズ』
スピルバーグ監督の描く恐怖の秘密とは?
獰猛な鮫と人間の息詰まる闘い描く大ヒット作

個人的に彼を、映画史に残るいかなるビッグネームの監督よりも尊敬するのは、その作品の質ではなく、なんでもいいから人から金を吐き出させるために、誠実に努力している点にある。
彼が映画作りに優先したのは、彼の自伝『私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか』というタイトルにも表れている通り、作品の質ではなく収益なのだ。

しかし、彼が作った「キワモノ映画」のビジネスモデルこそ、実は映画の原風景だった。

貴族階級にとっての娯楽が、至高の美と絶対的権威に向かって構築される「芸術」という姿を取るとすれば、庶民大衆の娯楽は下品な猥雑さと下世話な野次馬根性による「キワモノ」として現れる。

そして、貴族階級の存在しない、移民国家アメリカは民衆向けの娯楽として「ボードヴィルショー」や、それを撮影した数分程度の映画を上映する、エジソンが生んだ1888年のキネトスコープ(のぞき箱の中で数十秒の映像が流れる装置)の時代から、それは「キワモノ」的刺激を売りものにして始まったのである。
キネトスコープ(英: Kinetoscope)は、初期の映画鑑賞装置である。(中略)1888年にアメリカの発明家トーマス・エジソンが最初のアイデアを考案し、助手のウィリアム・K・L・ディクソンが中心になって開発した。(Wikipediaより)
<キネトスコープ紹介動画>
【大意】彼(エジソン)の貢献は素晴らしいカメラを作ったことだった。エジソンと緊密に働いていた助手のウィリアム・ディクソンは時にカメラマンも務め光学機器に大きな責任を持っていた。ディクソンは最初の映画を作り、その数を増やしていった。コレクションは短編で、それはコインを入れて一回見れるもので、人々はそれをキネトスコープと呼んだ。最初の映画娯楽装置は本物の珍奇な発明で、短いフィルムを何度も繰り返し見せた。キネトスコープは1894年船で各地を回り、すぐにマンハッタンでし常設の商業施設が開かれた。機会が設置されオープンすると、好奇心に駆られた人々は見物し、試すと圧倒された。人々は素晴らしく珍しい見世物に金を注いだ。

上の動画で分かるように、映画の最初期は動く写真自体が「不思議な見世物=キワモノ」だったということが分かる。

それは、リュミエールが映写機を使い、スクリーンに映画を上映するというスタイルになっても、「キワモノ」としての性格は変わらない。
例えば、最初期の上演作『ラシオタ駅への列車到着(Arrival of a Train at La Ciota)』を劇場で見た観客が、驚いて劇場から逃げ出したという伝説からも分かるように、当時の人々にとっては、動く写真とは現実と見分けのつかない「スペクタクル」性を持っていたのだと言えるだろう。
『ラシオタ駅への列車到着(Arrival of a Train at La Ciota)』


つまり、映画とは、その最初期から「動く写真という珍奇さ=キワモノ性」により人々の好奇心を掻き立て、その後も次々と技術革新を続け「キワモノ性」を維持することで、発展してきたのである。
camera.jpg
動く写真が見慣れた、ありきたりなものに変化していった際に、ドラマを描くという新機軸を生み、「映像ドラマ」自体に人々が慣れたと見るや、サイレント(無声映画)からトーキー(発声映画)、スクリーンのワイド化(シネマスコープ)、フルカラー(総天然色)、立体映画(3D映画)など、常に技術革新による「新たな刺激=キワモノ性」を維持することで、収益を上げることに成功してきた。

それは、映画の表現デバイスの革新のみに留まらず、作品内容に関しても常に「刺激的=キワモノ性」を追求する点では変わらない。
どんな形にせよ刺激を、それが戦争であれ、SEXであれ、暴力であれ、殺人であれ、異常気象であれ、動物の襲撃であれ、異常者であれ、猟奇事件であれ、幽霊であれ、宇宙人であれ、人々の好奇心を煽るモチーフであれば何でもよい。

乱暴だと思うかもしれないが、上に挙げた刺激物を映画のジャンルとして当てはめてみれば、驚くほど多くの映画がそれら刺激物をベースに作られているかが 分かるはずだ。
再び言うが、映画の創成期から、映像的刺激物という「見世物=キワモノ性」こそ、映画が表現してきた本質なのである。

いやいや刺激物だけではあるまい、そこには人間の真実や、世界の本質を求める、崇高な理想がサイレント映画の時代であっても、表現されていたではないかと言う言葉が聞こえてきそうだ。
そんな批判に対しては、愛や、人間の情や、哲学的なテーマなどは、しょせん文学や舞台劇という旧メディアが映像的な自由を持ち得なかったがゆえに生み出した、静的なモチーフに過ぎないと反論したい。
ビジュアルメディアの本質、映像刺激だけだと低俗だ、子供だましだ、と世間が騒ぎ立てるから、そこに文学的な味わいを足して人々を欺いているのだと言わせてもらおう。

100歩譲れば、たしかに貴族文化が根付いた欧州や、王朝貴族文化、武家文化を持つ日本であれば、芸術を映画に移植する必然性もあるだろう。なぜなら、そこにはそれらの「階級文化=芸術性」を求める層が存在する(した)からである。
しかし、アメリカ人にとって映画とは明らかに「大衆文化=キワモノ」であり、そこに芸術性を加えようという試みは、大衆受けによる収益を目的とするとき、むしろ邪魔な夾雑物としかなるまい。

アメリカ映画界は、例えばアカデミー賞を主宰する映画芸術科学アカデミーが、映画産業における芸術と科学の発展を図るとその設立趣意を掲げていても、そのオスカーが近年までアメリカ映画にのみ与えられていたように、芸術性よりもまずアメリカ映画産業の商業的利益が最優先という意図が透けて見えてしまう。

それは、やはりアメリカ映画が「大衆芸術=キワモノ」として、大衆の好奇心を掻き立て見物料を吐き出させるという目的から発した、その原初の姿からの当然の帰結であったろう。

そういうアメリカ映画の本質から見れば、ロジャー・コーマンこそは映画を、その原初の映像刺激に回帰させ、人々が求めているのはしょせん刺激物だということを明らかにした「詐欺師=トリックスター」だったのである。

そして、私はそんな「大衆文化=キワモノ」を愛して止まない1大衆として、そんな映画を作り続けてくれた「詐欺師」達に心から感謝を捧げたい・・・・・
Film2-GrenBar.png
スポンサーリンク


film1-Blu-sita.jpg

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』解説
カリスマとしてのロジャー・コーマン


上で、ロジャーコーマンを詐欺師だと書いた。

しかし、この詐欺師は、「映画の本質=映像刺激絶対主義」を唱えた「カリスマ=教祖」でもあった。

それゆえ、彼の門下にフランシス・フォード・コッポラやマーティン・スコセッシ、ジョージ・ルーカスそして間接的ながらスティーヴン・スピルバーグなどを輩出し得たのである。

これらの作家を見てみれば、テーマ性や格調で上手くコーティングしているものの、そのモチーフはコーマン的映像刺激が、その核にあることが判る。
アメリカ映画:1973年
『エクソシスト』
オカルト映画の古典!失神者や心臓麻痺を呼んだ衝撃作
世界的大ヒット・ホラー!アカデミー賞10部門ノミネート

それは、ハリウッド黄金期(1940)の世界を納得させる公序良俗に則った映画と比べ、驚くほど過激な刺激に満ちており、その刺激がなければハリウッドの復活はなかったのだ。
関連レビュー:ハリウッド黄金期の倫理規定「ヘイズコード」
映画『陽の当たる場所』
エリザベス・テーラーとロック・ハドソン主演のオスカー受賞作
ヘイズコードの実際と弊害

そんな彼の「映画コンセプト=キワモノ映画ビジネスモデル」は、若者たちの支持を受け、確かな種火となり、ついにハリウッドメジャースタジオの資金という燃料を得て、一気に爆発したのだ。

間違いなくロジャーコーマンはハリウッド映画界の救世主だった。

それゆえ、彼を慕う映画人が、彼のために尽力しアカデミー名誉賞を贈ったのである。
そんな、ロジャーの偉大さを表している、アカデミー賞受賞を紹介している動画がある。
Film2-GrenBar.png
<オスカープロフィール:ロジャー・コーマン>
【大意】司会:オスカーは秒読みですが、何十人もの監督を生み、100本以上の映画をプロデュースしたロジャーコーマンは有名ではなくとも、業界人は彼が多くの映画人をデビューさせその恩返しだ。『タイタニック』『デパーテッド』『ゴッドファーザー』『ビューティフルマインド』『羊たちの沈黙』『ビューティフルマインド』などのオスカー監督は、その映画の前に低予算で早く撮影する方法を学んだ。/マーティン・スコセッシ:私は24日間で映画を作る方法を学んだ。先生はロジャー・コーマンだった。/ロジャー・コーマン:私は若者がブレイクするのを楽しんでいた。/司会:新人俳優も同様だ。ロバート・デニーロ、シルベスター・スタローン、デニス・ホッパー、ウィリアム・シャウナー、23歳のジャック・ニコルソンは『リトル・ショップ・ホラーズ』に出演。/ロジャー・コーマン:それは3万トドルで2晩で作った/司会:1950年代100本の儲かる映画を作った。その題名は笑いを誘うが、記憶に残るものだ。/ロジャー・コーマン:私は低予算ばかりではなく中予算も作った。私は職人で可能な限り良いものを作りたい。

司会:皮肉な見方をすればB級映画の王で、低俗映画だ。/ロジャー・コーマン:あるフランスの新聞が私を「ポップシネマの教皇」と呼んだのは気に入った。/司会:その後生徒たちはトップに立ち、大作映画に彼を出演させた。『羊たちの沈黙』『フィラデルフィア』『アポロ13』『ゴッドファーザーPART2』『影なき狙撃者』、そしてアカデミー賞という褒美をもらった。/ジョナサン・デミ:どうかあなたのオスカーを受け取ってください。/司会:彼はアカデミー協会から第一回のアカデミー名誉賞を受け取った。/ロジャー・コーマン:成功するチャンスをつかめ。/ロン・ハワード:ロジャーは、他の誰もくれなかった、人生のチャンスをくれた。もし、私のための映画のような良い仕事(演技)を今後も続けるなら、もう二度と一緒に仕事する必要はない。(笑い)/司会:もしコーマンと共に働いていなくとも、その遺産を映画産業は感謝すべきだ。/ジョージ・ルーカス:もし22歳で映画監督のチャンスがあってお金がもらえるとしたら/トム・ハンクス:彼らは映画で何ができどう語るかの偉大なレッスンを受けたんだ。/司会:ロジャーは生徒からの栄誉を受け、もうすぐ87歳になるが、まだレッスンを続けている。/ロジャー・コーマン:今日行われている最高の映画は、チャンスをつかんでギャンブルをする勇気を持った独創的で革新的な映画製作者によって作られていると私は信じています。だから私はみなさんに言います:ギャンブルをしろ、チャンス掴み続けろと、ありがとうございます。/司会:彼は多分多くの金を使うなと言いたいに違いない。
Film2-GrenBar.png

2010年に開催されたアカデミー賞・名誉賞授賞式のスピーチ全文
Film2-GrenBar.png

第82回アカデミー賞・アカデミー名誉賞

Film2-GrenBar.png

【意訳】言うまでもなく、このオスカーを個人的に獲得できて嬉しいです。しかし、長年私の制作パートナーである妻のジュリーの代わりに、そしてまた、私のキャリアの大部分を費やしてきた、インディペンデント映画製作の現場で、働いてきた人達に代わって、受け入れたいと思います。
我々は皆、私が思う唯一の真の現代美術形態で働いています。他のすべての芸術は起源を古代に持っているため、したがって幾分か静的です。映画は、我々の時代の重要な特徴の1つである動きを内包し、現代的です。
別の理由もあります。その理由は、伝統的な芸術がしてきた事で、我々に言わせれば、作曲家、作家、詩人、画家、彼らが自分の芸術を個人的に製作した事です。映画は求めます、映画製作者は俳優とスタッフを必要とし、そして彼らは支払いを受けねばなりません。その結果、我々の芸術はやや妥協しています。私たちはアートとビジネスの間で妥協しており、それは私たちが住んでいる妥協した世界の何物かを表していると思います。
Rodger_oscar.jpg

私は、この世界で成功するには、チャンスをつかむ必要があると思います。私の友人や仲間、そして私と一緒に始めた人々の多くが今夜ここにいます、そして彼らは皆成功しました。
彼らの何人かは人並外れた成功をしました。そして私は、チャンスをつかんでギャンブルをする勇気があったから、彼らが成功したと信じています。しかし、彼らはオッズが彼らにあるとを知っていたので賭けたのです。彼らは自分たちが作りたいものを作る能力があることを知っていたのです。
メジャースタジオや他の誰かが成功を繰り返したり、リメイクや特殊効果主導の大がかりな映画に莫大な金額を費やしたりするのは非常に簡単です。しかし、今日行われている最高の映画は、チャンスをつかんでギャンブルをする勇気を持った独創的で革新的な映画製作者によって作られていると私は信じています。だから私はみなさんに言います:ギャンブルをしろ、チャンス掴み続けろと、ありがとうございます。


しかし、私は彼を映画監督として、ロジャー・コーマンを評価する事がはばかられる。

なぜなら、彼が映画で表現したのは、実は『グレーテストショーマン』で描かれた、サーカスプロモーター、P・T・バーナムが、ひげ女や、犬男、三本足の男や、シャム双生児を使って儲けた手法と変わらない。
関連レビュー:「キワモノ」ショーの成功者
映画『グレイテスト・ショーマン』
ヒュー・ジャックマン主演の感動ミュージカル
実在のPTバーナムとそのサーカス団員の姿とは?

私はコーマンを映画監督としてよりも、ショウビジネスの大プロモーターとして、その名を永遠に刻むべきなのだと思う。



posted by ヒラヒ・S at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年05月22日

映画『ジョーカー』映画史上最狂のヴィラン誕生秘話!再現ストーリー/詳しいあらすじ解説・評価・ネタバレ・ラスト

映画『ジョーカー』詳しいあらすじ・ネタバレ 編

原題JOKER
製作国 アメリカ
製作年 2019
上映時間 122分
監督 トッド・フィリップス
脚本 トッド・フィリップス、スコット・シルバー


評価:★★★★  4.0点



ジョーカーは、言わずと知れた、DCコミックス「バットマン」シリーズに登場する、ヴィラン中のヴィランである。

その誕生の軌跡を、リアリティーを持って語り説得力がある。そしてジョーカーの出現が、バットマンを生み出す契機になったという事実が語られている・・・・・

本作は、営業的にも評価的にも高い結果を残し、第76回ヴェネツィア国際映画祭でプレミア上映され金獅子賞を受賞、第92回アカデミー賞では最多11部門にノミネートされ、主演ホワキン・フェニックスが主演男優賞を獲得した。

film1-Blu-sita.jpg

<目次>
映画『ジョーカー』ストーリー
映画『ジョーカー』予告・出演者
映画『ジョーカー』解説/受賞歴
映画『ジョーカー』ネタバレ
映画『ジョーカー』結末

film1-Blu-sita.jpg

映画『ジョーカー』あらすじ

1981年ゴッサム・シティ。アーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)はピエロの化粧をしていた。
jok_1.png
コメディアンを目指すアーサーは、派遣会社に所属し今日ピエロ姿でサンドイッチ・マンをする仕事が入ったのだ。しかし、数人のティーンエイジャーがいたずらし、看板を取り逃げ出した。必死に追いかけたアーサーだったが、返り討ちに合い暴行を受ける。
jok_2.png
ゴッサム・シティは不況下で、失業者や犯罪者があふれ犯罪が多発していた。そんな中アーサーは、緊張が引き金となり、笑いが止まらなくなる発作を抱えており、カウンセリングと、精神安定剤が必要だった。
jok_3_0.png
カウンセリングの帰り、黒人の少年を笑わせようとし、母親から厳しく拒絶されると、笑いの発作が出てしまい止まらず、苦しい中その理由を説明しなければならなかった。
jok_3_1.png
アーサーの収入はわずかで、病気を持った老母ペニー(フランセス・コンロイ)を抱え、苦しい生活を余儀なくされていた。老母ペニーは、困窮生活に苦しみ、30年前にメイドをしていた街の名士トーマス・ウェイン(ブレット・カレン)に窮状を訴える手紙を何度も送っていたが、返信はなかった。
jok_5.png
それでもアーサーは大物芸人マレー・フランクリン(ロバート・デ・ニーロ)に憧れており、彼が司会を務めるトークショーをTVで見ては、そこに出演する自分を想像していた。
jok_6.png

アーサーが会社に行くと事件を知った、同僚ランドル(グレン・フレシュラー)が護身用だと言い銃をアーサーに押し付けた。そこにマネジャーからの呼び出しがあった。
jok_7.png
派遣会社のマネジャーは壊れた看板の弁償と、仕事が契約通りではなかったとのクレームが入ったと言われ、長々と叱責を続けた。それを聞くアーサーは鬱憤を溜め顔を歪めた。
jok_8.png
アーサーがアパートのエレベーターに乗ると、同じアパートのソフィー・デュモンド(ザジー・ビーツ)が娘と走りこんで来た。古いエレベーターが動きを止めると、ソフィーはアーサーを見て笑顔を見せた。アーサーはこっそりソフィーの後をつけるようになった。
jyok_m1.png
その日、アーサーはピエロ姿で小児病棟で仕事をしていた。歌い踊るうちに、そこでランドルからもらった銃を落としてしまった。病院からクレームが入った。
jyok_m2.png
その夜電話で、派遣会社からクビを宣告され、その話の中で銃を押し付けた同僚ランドルが、アーサーが銃を買いたがっていたと、嘘を告げていたと知る。
jok_phon.png
アーサーは魂が抜けたようにピエロの顔のまま地下鉄に揺られていた。その時車内で、酔った背広姿の3人が、若い女性に絡みだした。それを見たアーサーは発作症状が出て、激しく笑い出した。
jok_lol.png
背広の3人は嘲笑されたと思い、アーサーに近寄ると、3人がかりで襲い掛かる。ついにアーサーは拳銃を取り出して3人を射殺し、その場から立ち去った。
jok_fire.png
その晩アパートに帰ったアーサーは、ソフィーの部屋を訪れると、驚く彼女に深く口づけを交わすと、彼女もそれに応えた。
jok_kiss.png

事件は連日報道され、死んだ3人がウェイン証券のエリートだったため、貧困層の復讐として流布された。ウェイン財閥の当主、トーマスは顔を隠す犯人も貧困層も「ピエロだ」とTVで発言し、貧困層の怒りを更に買っていた。
jok_TV.png
仕事を失ったアーサーは、会社の自分のロッカーを片付け、同僚たちがなぜ銃を持って行ったと問うのに、ランドルの銃だ奴に聞けと言い捨て、タイムカードを破壊し去って行った。
jok_ask.png

アーサーはゴッサムの財政事情により、補助が打ち切られカウンセリングと薬の入手が出来なくなる。そこで以前から狙っていたクラブの舞台に挑戦し、及第点を得た。
jok_stage.png
そんなある日、アーサーは母ペニーの書いた手紙を読むと、そこにはアーサーがトーマス・ウェインの息子だと書かれていた。衝撃を受けたアーサーが母に事実を聞くと、母は認めトーマスに言われ身を引いたと語った。
jok_letter.png

それを知ったアーサーはウェイン邸の門の前に立った。門の中には、トーマスの息子ブルース・ウェイン(ダンテ・ペレイラ=オルソン)がいた。アーサーはウェインの前で手品を見せ、言葉を交わし始める。
jok_gate.png
それを見た、執事のアルフレッド・ペニーワース(ダグラス・ホッジ)が警戒して立ちはだかる。アーサーは母ベニーの話をすると、アルフレッドはペニーの妄想だと否定し取り合わない。怒ったアーサーはアルフレッドに詰め寄る。
jok_attack.png
しかし少年ブルースの視線に気づき、動きを止め、逃げるように帰宅する。

アーサーが帰えると、老母ベニーが救急車で運ばれる所で、その病院に付き添ったアーサーは、地下鉄事件を捜査するギャリティ刑事(ビル・キャンプ)と、バーク刑事(シェー・ウィガム)の訪問をうけ、自分が疑われているのを知った。
jok_H1.png
病院でアーサーは、付き添ってくれたソフィーと共に、母の病室でその容態を案じて過ごした。
jok_h2.png
その晩、病院のテレビでは、憧れのコメディアンのマレーのトークショーが流れていた。番組中で、アーサーのクラブ出演の映像が流され、そのパフォーマンスを揶揄し笑いを取っており、アーサーはショックを受ける。
jok_h3.png

翌日の夜、街の劇場では富裕層が優雅に集まり、チャップリンの『モダン・タイムス』が上映され、その周囲は貧民層がピエロの格好で取り囲み、もはや常態化したデモを繰り広げていた。
jok_h4.png
地下鉄事件の犯人ピエロは抵抗の象徴となり、富豪トーマス・ウェインが彼らの憎悪の槍玉に上がっていた。

その劇場にトーマス・ウェインがおり、彼と会うためにアーサーは劇場へ忍び込み、トイレにいるトーマスに隠し子の話を切り出す。
jok_h5.png
トーマスはアーサーがペニーの養子だという真実を告げる。ペニーは精神的に止んでおり、トーマスとの関係を妄想し、最後は逮捕され強制入院させられたと語った。
jok_h6.png
アーサーは激怒し、罵声を挙げトーマスに襲い掛かるが、発作が起きて狂ったように笑い出し、動けなくなる。トーマスはアーサーを殴りつけ、息子ウェインに近づくなと警告し去った。

そんなアーサーに、マレーのトークショーへの出演オファーが舞い込む。マレーの嘲りのネタになると知りつつアーサーは、出演を承諾した。
jok_b1.png
アーサーは老母ベニーが逮捕入院させられていた病院を訪れ、その過去のべニーのカルテを職員から強引に奪って確かめると、そこにはトーマス・ウェインが言った通り、ペニーが妄想障害を患い、息子の虐待で有罪となったことや、幼いアーサーを母親の恋人が暴力的に虐待していたと書かれていた。
jok_b2.png
母は、虐待されても笑っているアーサーを見て、恋人の暴力を止めなかったと記録されていた。
事実を知ったアーサーは、泣きじゃくりながら、同時に激しく笑い続けた。
jok_b4.png
雨の中アーサーはずぶ濡れで、アパートに戻ると、ソフィーの部屋へ入って行った。しかし、ソフィーは部屋にいるアーサーを見て、怯え緊張した顔を見せた。
jok_bang.png
アーサーがソフィーと作り上げたと思った関係は、実はアーサーの妄想の産物だったのだ。

一晩泣き笑いを続けたアーサーは、翌朝老母ペニーの病室に姿を現した。そして目覚めないペニーに向かい、自らの人生が悲劇ではなく、喜劇だったと気付いたと語ると、彼は母の顔に枕を押し当て窒息死させた。
jok_bed.png

マレーのトークショーの出演が明日と迫ってきた日、アーサーは放送中に自殺をするリハーサルを念入りに行い、ついに放送日を迎えた。
ピエロの化粧を施しているところに、元同僚の二人がゲイリーとランドルが訪ねてきた。
jok_visit.png
母ペニーの死を悼んだ小人のゲイリーと、地下鉄事件で自分の渡した銃が使われたことに気づいたランドルだった。
jok_blod.png
ランドルは警察が来て自分の身が危ないと心配する様子を見せると、アーサーは手にしたハサミを突き刺し、さらにその頭を何度も壁に打ちつけ殺し、部屋は血に染まった。
jok_buy.png
恐怖の眼差しを向けるゲイリーに、その友情と優しさへの感謝を伝え、彼を部屋の外へと送り出した。
film1-Blu-sita.jpg

映画『ジョーカー』予告

映画『ジョーカー』出演者

アーサー・フレック / ジョーカー(ホアキン・フェニックス)/マレー・フランクリン(ロバート・デ・ニーロ)/ソフィー・デュモンド(ザジー・ビーツ)/ペニー・フレック(フランセス・コンロイ)/トーマス・ウェイン(ブレット・カレン)/ギャリティ刑事(ビル・キャンプ)/バーク刑事(シェー・ウィガム)/ランドル(グレン・フレシュラー)/ゲイリー(リー・ギル)/ジーン・アフランド(マーク・マロン)/アルフレッド・ペニーワース(ダグラス・ホッジ)/ブルース・ウェイン(ダンテ・ペレイラ=オルソン)/カール(ブライアン・タイリー・ヘンリー)

Film2-GrenBar.png
スポンサーリンク


film1-Blu-sita.jpg

映画『ジョーカー』評価・受賞歴


アカデミー賞/受賞:主演男優賞 ホアキン・フェニックス/作曲賞 ヒドゥル・グドナドッティル
英国アカデミー賞/受賞:主演男優賞ホアキン・フェニックス/キャスティング賞
ゴールデングローブ賞/受賞:主演男優賞 (ドラマ部門)ホアキン・フェニックス/作曲賞
日本アカデミー賞/受賞:最優秀外国作品賞
全米映画俳優組合賞/受賞:主演男優賞ホアキン・フェニックス
ヴェネツィア国際映画祭/受賞:金獅子賞
Film2-GrenBar.png
『ジョーカー』は興行的にも成功を収め、数々の映画賞に輝いた。
しかし、映画賞の頂点「アカデミー賞」では最多ノミネートを獲得したが、主要賞は主演男優賞のホアキン・フェニックスと作曲賞 の獲得にとどまった。
個人的に言えば、この映画の完成度は非常に高く、アカデミー賞の作品賞や監督賞を受賞して当然の作品だと思われた。
しかし不運なことに、この年には韓国映画『パラサイト/半地下の家族』という強力なライバルがいたのだ。
実はその『パラサイト』とこの『ジョーカー』は、格差社会の歪みという共通のテーマを扱っているのだが、見比べてみると『パラサイト』は映画表現技術・娯楽性において上回っていると感じる。
関連レビュー:パラサイトが傑作な理由とは?
『パラサイト/半地下の家族』
映画史上初の快挙!非英語作品のオスカー受賞
パラサイトとハリウッド映画の深い関係
言ってみれば『パラサイト』は傑作だが、『ジョーカー』は秀作という印象なのである・・・・
本作にとってはバッド・ラックと言うべきだろう。

しかし、オスカーを獲得した主演男優のホアキン・フェニックスは、力の籠った言葉でその受賞スピーチを行い大きな拍手を受けた。
film1-red-ue.jpg

第92回アカデミー賞・主演男優賞スピーチ

プレゼンターはオリヴィア・コールマン

ノミネート者を発表アントニオ・バンデラス(ペイン・アンド・グローリー)/レオナルド・ディカプリオ(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド)/アダム・ドライヴァー(マリッジ・ストーリー)/ホアキン・フェニックス(ジョーカー)/ジョナサン・プライス(2人のローマ教皇)
受賞者はホアキン・フェニックス(ジョーカー)。
【受賞スピーチ・意訳】
やあ、皆どう?ハイ。神よ、今は感謝の気持ちでいっぱいだ。僕はここにいる候補者たちや、この場にいる皆と比べて自分が特に優れているとは全く思えない。なぜなら僕らは全員、同じく映画への愛を共有しているからだ。この種の表現活動は、僕に本当に素晴らしい人生をもたらしてくれた。もし演技がなかったら、僕自身はどうなっていたか分からない。しかし演技が、僕とこの場にいる僕ら全員にくれた最大の贈り物は、自分たちの声を声を発せない者の為に使うチャンスを得た事だと思う。
最近、僕は我々全てが現在直面している幾つかの悲惨な問題について多く考えてきた。そして時々、我々は様々に異なる問題に、戦わざるを得ないように思ってしまう。だけど僕には、そこには共通しているものがあると思う。私が思うに、ジェンダーの不平等、人種差別やLGBTの権利、先住民の権利や動物保護、それらはすべて不正義に対する戦いなんだ。我々は、あるひとつの国家、ひとつの国民、ひとつの人種、ひとつのジェンダー、もしくはひとつの種がその他を支配し、コントロールし、利用し、搾取することに対して罰せられ無いという固定観念と戦うことについて話しているんだ。

私は、我々が自然世界と断絶してしまったように思う。そして我々の多くは、自分たちが宇宙の中心だと思い込む利己的な世界観の保持という罪を犯してしまっている。僕らは自然界の中に侵入し、その資源を強奪している。僕らは牛を人工的に交配させ、その牛が産む仔牛を、母牛が怒りのあまり泣き叫んでいるのが明白なのに、当然の権利であるようにその仔牛を奪い去り、本来その仔牛のためである母牛のミルクを奪い、自分たちのコーヒーやシリアルに入れている。
私は、我々が個人的な変化という観念を恐れているのだと思う。なぜならそれは自分たちの何かを犠牲にし、何物かを諦めさせると思わせるからだ。しかし人類は、最高の状態では、発明的で、創造的で、独創的だ。それで私は愛情と慈悲を我々の原則として、我々は、これより全生命体と環境にとって利益があるように変わり得るシステムを創造し、発展させ、実現させていくことが可能だと思っている。
私はこの人生でずっと、悪党だった。私は利己的で、冷酷で、共に仕事するのが難しい人間だった。だから、こんな僕にセカンドチャンスをくれたここにいる多くの方々に感謝している。我々の最高のときには、お互いを支え合うことができる。それは過去に犯した間違いで互いを傷つける時ではなく、お互いの成長を助け、教え合い、お互いを救いへと導く時だ。それが人間性の最高の状態だ。17歳の時、私の兄(リバー・フェニックス)はこの詩を書いたと言った。「愛をもって救済へ迎え。 そうすれば、平和がその後を追うだろう」感謝します。
film1-red-ue.jpg
関連レビュー:オスカー受賞一覧
『アカデミー賞・歴代受賞年表』
栄光のアカデミー賞:作品賞・監督賞・男優賞・女優賞
授賞式の動画と作品解説のリンクがあります。
film_oscar.png

そしてこの映画の主人公ジョーカーはハリウッド映画を代表する、映画史に永遠に刻まれる名悪役だ。
そのキャラクターはアメリカ映画協会の編集した映画ランキング『アメリカ映画100年のヒーローと悪役ベスト100』で、25位で登場している。
◎『アメリカ映画100年のヒーローと悪役ベスト100』紹介
アメリカ映画界が選んだ映画キャラクター100人のリストを紹介!!!
正義と悪の映画史を飾る名キャラクター100人!
アメリカ映画100年100本シリーズの映画ランキング!

当ブログでは、様々な映画ランキングを紹介しています。
◎いろいろな『映画ベスト100』企画紹介
世界各国で選ばれた『映画100本』のリストを紹介!!!
映画界、映画ファン、映画評論家など、選定方法もさまざま!
日本映画も各リストでランクイン!

Film2-GrenBar.png
スポンサーリンク


film1-Blu-sita.jpg
以下の文章には

映画『ジョーカー』ネタバレ

があります。ご注意ください。
(あらすじから)
ピエロのメークアップでアーサーはアパートを出ると、華麗に踊りながら階段を下って行った。
<階段でのダンスシーン>

そんなアーサーを、刑事のギャリティとバークが追って来た。地下鉄へ逃げ込んだアーサーを、刑事が逃がすまいと車内に入ると、そこはデモに向かうピエロを満載しており、ついにアーサーを見逃がしてしまう。
jok_l0.png
TVスタジオに到着したアーサーは、マレーと挨拶を交わし、ピエロの扮装に難色を示したプロデュサーの反対に政治的意図はないと答え、マレーに「ジョーカー」と呼んでほしいと頼んだ。
jok_l1.png
マレーのショーが始まり、登場したアーサーだが、マレーの揶揄によって苛立ち、自ら地下鉄事件の犯人であると告白し、この社会は不平等だと言い、マレーも自分を笑いものにするために出演させたと責めた。
jok_l2.png
一方のマレーも、アーサーが地下鉄の犯人だと知ると激高し、自分の不満を世間に転嫁しているだけだと激しくなじり出した。するとアーサーは銃を出し、生放送中にマレーを射殺した。
jok_l3.png
手錠のアーサーがパトカーから街を見ると、ゴッサムの市街はいたる所でピエロの仮面を被った暴徒たちが暴れていた。
jok_l5.png
その暴動を窓越しに見ながら、アーサーはその様子を美しいと言った。
jok_l4.png

その同時刻、トーマス・ウェインと妻、息子のブルースも、危険を感じ裏道へと帰路を急いでいたが、暴徒は富裕層の象徴であるウェイン夫妻を見逃さなかった。
jok_e3.png
夫婦は射殺され、少年ブルースだけが路地に呆然と立っていた。

暴徒がアーサーを救助するためパトカーにトラックを激突させた。引きずり出されたアーサーはボンネットで、意識を取り戻した。
jok_e2.png
暴徒の声に呼応し、パトカーの上に立ち上がると、血でその口を、笑い顔のメイクに書き換えた。
jok_e5.png
彼を見上げる大勢のピエロが挙げる熱狂的な歓声に、大きく手を広げて応えた。
jok_e6.png

映画『ジョーカー』ラスト・シーン


病院の一室で、手錠をかけられたアーサーは、精神分析を受けていた。
「ジョークを思いついた」と言うと、カウンセラーが話すよう促すが、アーサーは話さなかった。
jok_end1.png
アーサーが部屋から出て、廊下をひょこひょこと歩いた後には、血が足跡となって残されていく。
jok_end2.png
病院の職員が追いかけて来るのを、アーサーは足取り軽く逃げ始めた。
jok_ending.png




posted by ヒラヒ・S at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年05月15日

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』チープなキワモノ・コーマン映画!再現ストーリー/詳しいあらすじ解説・ネタバレ・ラスト・感想

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』詳しいあらすじ・ネタバレ 編

原題The Little Shop of Horrors
製作国 アメリカ
製作年 1960
上映時間 162分
監督 ロジャー・コーマン、チャールズ・B・グリフィス、メル・ウェルズ
脚本 チャールズ・B・グリフィス、ロジャー・コーマン


評価:★★  2.0点



この映画は1960年代のハリウッド映画低迷期に、その窮地を脱するビジネスモデルを示した、ロジャー・コーマン監督を代表する作品だ。

コーマン監督が生み出した作品は、俗に「キワモノ映画=エクスプロテーション(EXPROTATION)映画」と呼ばれ、その手法は1970年代ハリウッドで「ハイ・コンセプト」というマーケット手法として結実し、ブロックバスター映画のヒットを生んだ。

そんな歴史的に偉大な作品であるにも関わらず、ほんとに安っぽく、低レベルなのに驚く・・・・・
film1-Blu-sita.jpg

<目次>
映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』ストーリー
映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』予告・出演者
映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』感想/解説
映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』ネタバレ
映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』結末

film1-Blu-sita.jpg

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』あらすじ

littl_1.png花屋には経営者グラヴィス・マシュニク(メル・ウェルズ) と、女性店員オードリー(ジャッキー・ジョセフ)、そしてもう一人、気弱で風采の上がらない若者シーモア・クレルボーン(ジョナサン・ヘイズ) が、店員として雇われていた。
littl_2.png
店には葬式続きのお得意さんの老婦人シヴァや、花を食べる変な男が訪れるが、シーモアがいつものように失敗を重ねると、マシュニクは首にすると宣言した。

慌てたシーモアは自ら育てている、新種植物を持ってくると言って、「オードリーJr」と名付けた貧相な草を取りに、自宅に戻ると母親(マートル・ヴェイル) がそんな草でクビがつながるのかと不思議がった。
littl_3.png

マシュニクはシーモアの持って来た草をにらみつけ、いくら新種でもみすぼらしい、一週間やるからもっと大きくしろと言った。
できなければクビだと再び脅した。
little_4.png
しかし、シーモアがさまざまに手入れしても花は大きくならない。
そんなある日、シーモアがケガをし、その血が「オードリーJr」に滴ると、その植物は貪るように吸い込んだ。
そして「腹が減った! 何か食わせろ!」とシーモアに声を出して要求した。
little_5.png
それから、シーモアが自分の血を与え続けると、オードリーJrは勢いよく成長し、それを見に新たな客が増えたのを喜んだ、店主マシュニクも褒めたたえて息子と呼びかけた。しかし、シーモアが貧血気味となるとオードリーJrはたちまち萎れだした。
店主マシュニクは手のひらを返して、シーモアに何とかしないとクビだとおどした。
little_6.png

もう血を絞り出せなくなったシーモアは、その夜深夜の町にオードリーJrのえさを探しに出掛け、ひょんなことから殺人を犯してしまう。
その死体の始末に困り店に持ち帰ると、オードリーjrが相変わらず「飯食わせろ!」と絶叫していた。シーモアは、死体をオードリーjrに食べさせて証拠隠滅を思いつき実行した。
little_hand.png
すると翌朝、オードリーjrはグロテスクなほど成長し、店は黒山の人だかりだった。

その日シーモアは虫歯で歯科医院に出掛けたところ、そこは苦痛を求めるマゾの患者ウィルバー・フォース(ジャック・ニコルソン)も来る、患者に苦痛を与え喜ぶサディスト歯医者だった。
little_m1.png
シーモアはあまりの痛みに腹を立て、歯医者と決闘をし殺してしまう。しかたなくシーモアはこの歯医者をオードリー jrに与え、さらに成長させた。
little_m2.png

度重なる失踪事件に警察が調査に乗り出し、花屋にも聞き込みに来る。それと入れ違いに、花協議会のメンバーが新種の花の検分に訪れ、もっと大きくなれば表彰したいと言って去った。
little_m4.png

オードリーとシーモアがデートをするというので、店主マシュニクがその晩オードリーjrの世話を買って出た。その深夜、店に強盗が侵入し金を要求した。マシュニクは命乞いをしつつ、オードリーjrの口の中に金があると言うと、強盗は真に受け口の中に頭を突っ込むと、そのまま植物の中へ吸い込まれていった。
little_m5.png

その事件で懲りたマシュニクは再びシーモアにオードリーJrを任せた。シーモアはその貪欲なオードリjrの要求を拒み抵抗した。するとオードリーjrは催眠術を使い、シーモアにエサ探しを命じた。
little_m7.png
シーモアは夜の町にさまよい出ると、出会った娼婦を連れ帰り、オードリーjrの餌とした・・・・・・・・
Little_m8.png
film1-Blu-sita.jpg

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』予告

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』出演者

シーモア・クレルボーン(ジョナサン・ヘイズ) /オードリー・フルクアード(ジャッキー・ジョセフ) /グラヴィス・マシュニク(メル・ウェルズ) /バーソン・フォーチ(ディック・ミラー) /ウィニフレッド・クレルボーン(マートル・ヴェイル) /ウィルバー・フォース(ジャック・ニコルソン)

Film2-GrenBar.png
スポンサーリンク


film1-Blu-sita.jpg

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』 感想・解説


正直に言って、この映画は、時間が有り余っていたとしても見るべきではないと思う。

ま〜、そう言っては何だが、チープで、演技者の演技も、ドラマの質も、お粗末としか言いようがない。

個人的な印象を言えば、昔よくあったトイレの落書きに近い。

下品で、モロで、安っぽく、お世辞にも上手いとは言えない絵のことだ。

しかし、これで金を取ろうというのはギリギリではないかとすら思える・・・・・・

ぶっちゃけ、この映画の監督、ロジャー・コーマンの作品は、基本的に「人を騙して金を出させる」詐欺まがいの商法だと言いたい。
ロジャー・コーマン(Roger Corman、1926年4月5日 - )はアメリカ合衆国ミシガン州デトロイト生まれの映画プロデューサー、映画監督。日本語では「低予算映画の王者」「B級映画の帝王」、英語では"King of the Bs"、"The Pope of Pop Cinema"などと呼ばれる。
自伝『私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか』(ISBN 978-4152035035) では、彼の映画産業でのB級映画制作の体験を描いた。また、2011年には、コーマンや関係者にインタビューしたドキュメンタリー映画『コーマン帝国』(原題: Corman's World: Exploits of a Hollywood Rebel、監督: アレックス・ステイプルトン)が公開された。

<映画『コーマン帝国』予告>


実は、コーマンの製作手法は、いかに安く早く、刺激的な映画を作るかであり、例えばこの作品『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』は、わずか2日で撮影している。
その理由は、コーマン監督の前作『血のバケツ』で使ったセットが、2日間使えるとなって急遽撮影したものであり、更には1960年1月1日以降、新しい映画製作上の規則が施行され、俳優への出演料がその映画撮影期間だけでなく、DVD販売など再使用の際にも支払いが課されるようになると知って、1959年12月の最後の週に駆け込みで撮り上げたというのだ。

そんなコストに厳しい彼が、若手を積極的に登用したのは、単にコストが安かったからだ。
なぜなら、アメリカ映画界には監督にしても俳優にしても協会が存在し、そこに所属している人材を使おうとすれば、「俳優のギャラが土日は倍になる」、「8時間労働の原則(超過分は1時間につき5割、10割増し)」など、厳しいルールが徹底され割高になる。

そこで、俳優や監督を協会に所属前の若手を使うことで、低コストの映画製作を実現したのだった。

この例でも分かる通り、コーマンの基本戦略は「いかに安く刺激物を生み出すか」という一点が勝負なのである。
そのためには嘘をつくことさえもいとわないのだ!
<『CONAN on TBS』出演ロージャー・コーマン>
【大意】司会:あなたは映画予告に多大な影響を与えていますね。皆、特に若者は、予告編が映画と等しく、本当にあなたは予告を変え、革新しました。/コーマン:ジョー・ダンテがよくやってくれた。彼はよく知られた成功した監督になったが、最初は我々の予告の編集者から始めた。ある予告の編集を見て、私は「ジョーこれはあいまいでボヤけた予告だ、もっと盛り上げてくれ」と言うと、午後になって戻って来て、同じボヤけた予告の中間に、ヘリの爆破を入れると答えた。
司会:本当にヘリの爆破が映画内にあったんですか?/コーマン:予告の場面を映画に入れろと言う法律はない。(爆笑)/司会:すごい、最高だ!トークショウでも盛り上げたかったら、ヘリを落とそう。/コーマン:素材を提供するよ。/司会:請求する?/コーマン:ほんのちょっと。/司会:あなたは凄いタイトルを付けます。私が好きな映画に『巨大カニ怪獣の襲撃』がありますが、タイトルがスゴイ、他の作品のタイトルも。最初にタイトルを思いつくんですか?/コーマン:時としてそうで、ロン・ハワードの監督デビュー作『バニシングIN TURBO』はタイトルが先だ。しかし、前作の『Eat My Dust』はタイトルを付け忘れて撮影し、カーチェイスものでサンフェルナンド谷で、そこら中ホコリが舞ってる所だったから、監督が映画を「イート・マイ・ダスト」と呼ぶべきだと言った。それで、それにした。監督は冗談だと言ったが、冗談じゃ無いと言った。それで、タイトルが途中でついたんだ。

ほ〜〜んと、コーマン監督は、安いコストで「刺激」を生むという目的にどん欲だ。
それが戦争であれ、SEXであれ、暴力であれ、殺人であれ、異常気象であれ、動物の襲撃であれ、異常者であれ、猟奇事件であれ、幽霊であれ、宇宙人であれ、人々の好奇心を煽るモチーフを、これでもかとスクリーンに、安上がりにぶちまけることだ。

基本的に「やらずぶったくりの詐欺商法」と、私が言う由縁である。
実は、アメリカの「B級映画」には、そんな映画が多かったりする。

のちにクリント・イーストウッドから師匠と呼ばれた、ドン・シーゲルもバリバリのB級監督だった。
関連レビュー:B級監督の真骨頂
『ボディー・スナッチャー/恐怖の街 』
表現の稚拙さと恐怖の関係!この映画はボッタクリなのか?
映画表現とリアリティーの関係とは?

また、ティム・バートン監督の映画『エド・ウッド』で名高い最低監督エド・ウッドもB級監督を代表する一人だろう。
<『エド・ウッド』予告>

しかし、そんな「安っぽい刺激物」が、ハリウッドのブロックバスター映画の原型としてあることを考えれば、これも現代の古典と呼ぶべきだろう。
関連レビュー:コーマンのキワモノ映画とハリウッド
『ジョーズ』
スピルバーグ監督の描く恐怖の秘密とは?
ハリウッドを再生させたコーマン映画とジョーズの関係とは?!

そして、 ロジャー・コーマンは、新たな人材の発掘も相まって、映画史に間違いなく残る映画作家なのである。
Film2-GrenBar.png
スポンサーリンク


film1-Blu-sita.jpg
以下の文章には

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』ネタバレ

があります。
(あらすじから)
おりしもその日は花協議会による、オードリーJrの表彰日だった。
オードリーとシーモアの母、そして警察の刑事二人も含め、大勢の人が見守る中、その花のつぼみが開いた。
little_open.png
すると、その花はエサになった人々の顔で、店の中が騒然となった。
littleface.png
刑事に詰めよられたシーモアは店から逃げ出し、必死に走り追跡者を撒くと、再び店に帰って来た。
little_run.png

そんなシーモアは、オードリーjrは相変わらず貪欲にシーモアにエサをねだる。
little_las0.png
やけっぱちになったシーモアは、ナイフを手にオードリーJrを倒そうと、ナイフを持ち口の中に飛び込んだ。

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』ラスト・シーン


しばらくして店に、みんなが戻ってきた。
little_last1.png

その前でオードリーjrは新しい花を開いた。
last_end.png

そこにはシーモアの顔があり。「僕は悪くない」とつぶやくと枯れて下を向いた。
little_end2.png






posted by ヒラヒ・S at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする