2020年07月07日

映画・初代『ゴジラ』1954年元祖・怪獣の王!そのリアリティーを考察!/あらすじ・感想・解説・意味・ネタバレ・ラスト

元祖ゴジラの力

英語題Godzilla
製作国 日本
製作年 1954
上映時間 97分
監督 本多猪四郎
特殊技術 円谷英二
脚色 村田武雄、本多猪四郎
原作 香山滋


評価:★★★★★5.0点



この映画の存在感とは何事かと思う。

タイトルの最初ゴジラの重苦しい足跡が響いただけで、心の中に禍々しい災厄の予感を持つ。
<『ゴジラ』テーマ曲:作曲/伊福部昭>

続いてゴジラの咆哮を耳にしただけでもう、破壊と殲滅から逃れ得ないと覚悟してしまう程のリアリティーがある。

film1-Blu-sita.jpg

<目次>
映画『ゴジラ』ストーリー
映画『ゴジラ』予告・出演者
映画『ゴジラ』感想
映画『ゴジラ』考察・解説/ゴジラと戦争の傷
映画『ゴジラ』ネタバレ・結末

film1-Blu-sita.jpg

映画『ゴジラ』あらすじ

太平洋で、船舶が原因不明の沈没をする。
gozilla_ 1.png
その後も船舶の沈没は続き、船の乗組員家族が不安にさいなまれる中、関係当局が対応に当たっていた。
そんな中、新聞記者萩原(堺左千夫)は、大戸島に沈没船の生存者が漂着したと知り取材に赴いた。
gozilla_3.png
島では海にいる巨大な怪物「ゴジラ」の伝説を、老漁夫は口にし近頃の不漁もそのせいだという。
萩原は信じなかったが暴風雨の夜、島は各所で異様な破壊が起こった。

大戸島に、調査団が送られることになった。
Godzilla_inv.png
古生物学者山根博士(志村喬)を先頭に、その娘で助手の恵美子(河内桃子)、彼女の恋人サルベージ会社の尾形(宝田 明)、原子物理学の田畑博士などからなる調査団が派遣され、実際に伝説の怪物の怪異な姿をその眼で見た。
godzilla_first.png

政府の諮問委員会の席で、山根博士は二百万年前の生物ゴジラが、水爆実験により目覚め放射能を蓄積して火を吐く怪獣となって出現したと説明した。
godzilla_tadspe.png

そして、ついにゴジラは東京に上陸した。

品川駅を押し倒し、銀座で咆哮を挙げ、列車を引きちぎり、鉄橋を壊し、戦車や重砲の攻撃を受けても、国会議事堂やテレビ塔を破壊し、東京の街はゴジラに蹂躙(じゅうりん)された。

山根博士の弟子である芹沢(平田昭彦)は、恵美子に好意を持っていたが戦争で負傷した醜い顔になったのを苦に、実験室から出ず研究だけに没頭してきた。
godzilla_hi.png
芹沢の秘密の研究は水中の酸素を一瞬に蒸発させ生物を窒息させる破壊兵器「オキシジン・デストロイヤー」だった。その研究を知る恵美子は、それを尾形に打明け、共に芹沢の説得に向かう。
godzilla_disc.png
しかし戦争で人間を信じられなくなった芹沢はこれが殺人武器に用いられることを恐れて、説得に応じない。

しかし、ついに思いを寄せる恵美子を守るため、研究資料を悪用されないよう火に投じ、「オキシジン・デストロイヤー」と共に自ら海中に潜る決心をする・・・・・・・・・・
gozailla_4.png
film1-Blu-sita.jpg

映画『ゴジラ』予告


映画『ゴジラ』出演者

志村喬(山根恭平) /河内桃子(山根娘恵美子)/宝田明(尾形秀人)/平田昭彦(芹沢大助)/堺左千夫(萩原)/村上冬樹(田畑博士)/山本廉(漁夫政治)/鈴木豊明(弟新吉)/馬野都留子(新吉の母)/岡部正(田畑博士の助手)/小川虎之助(船舶会社社長)/手塚克巳(新聞社デスク)/橘正晃(アナウンサーA)/帯一郎(アナウンサーB)/中島春雄(変電所技師)/笈川武夫(対策本部長)/林幹(国会委員長)/恩田清二郎(大山代議士)/菅井きん(大沢婦人代議士)/榊田敬二(村長)/高堂国典(老漁夫)/東静子(ダンサー)/鴨田清(連れの男)/中島春雄(ゴジラ)

Film2-GrenBar.png
スポンサーリンク


film1-Blu-sita.jpg

映画『ゴジラ』感想


この映画のスゴいところは、その圧倒的なリアリティーにあると感じる。
俳優で言えば、志村喬の説得力に多くを負っていると感じたが、この役者のスゴいのは、明らかなフィクション世界を、そのたたずまい1つで現実世界に書き換えてしまうところにある。
関連レビュー:世界の黒沢の傑作時代劇
『七人の侍』
映画史に永遠に刻まれた日本映画
黒沢映画の時代劇と西部劇との関係?

しかし、それ以上に、本作品でリアリティーを生んでいるのは、全体に染み込んだ時代感にあるのではないか。
これが撮影された1954年とは第二次世界大戦が終わって、10年を経ていない。
つまり、この映画の、ゴジラという破壊の化身に、右往左往する人々の姿はそのまま、10年前の現実世界だったのだ。
<アメリカ軍の撮影した1945年の日本>

映画には間違いなく時代感覚が、映り込むことがある。
そして、しばしば傑作とは、監督の意図と、映り込んだ時代感がマッチした時に生まれるように思う。
関連レビュー:ロシア革命を描いた映画
『戦艦ポチョムキン』
映画と共産主義、2つの革命!モンタージュ理論誕生のワケ!?
エイゼンシュタイン監督の映画史上に輝く古典

この初代ゴジラの明らかな着グルミ感は、ビジュアル的にチープだと言わざるを得ない。
しかしその「作り物感」以上に、禍々しく怪異で重厚な、魔物とも、神とも見える存在として、その威容にリアリティを与えたのは、エキストラまで含め表現された、戦争の災禍の記憶が、ゴジラという存在に憑依したゆえだと感じた。

Film2-GrenBar.png
スポンサーリンク


film1-Blu-sita.jpg

映画『ゴジラ』考察・解説

特別企画「目撃者に直撃インタビュー」


Godzilla_press.pngこの映画が持つ圧倒的リアリティーの秘密を、作品中の人々の思いから読み解こうというのが、これ以降の文章の狙いです。

ということで、映画に登場した人々に新聞記者萩原がインタビューを敢行する、映画ファン待望の夢企画(嘘)である。

新聞記者萩原:あなたにとってゴジラとは?
godzilla_old.png
大戸島の老人:あれは祟神、大地の精霊、台風や地震のような大いなる気の表れじゃ。
あの顔を見よ、まるで狛犬のようじゃろ日本の神の姿じゃで。

新聞記者萩原:あなたにとってゴジラとは?
godzilla_20000.png
古生物学者山根:二百万年前の生物ゴジラが、水爆実験により目覚めた自然界の脅威です。

新聞記者萩原:映画で28分後に登場していましたね。あなたにとってゴジラとは?
Godzilla_trin.png
電車の中の女性:ど〜でもいいんだけど、長崎の原爆ですら生き延びてきたのに、いい加減にして欲しいんだけど。ホント災難でしょアイツ。

新聞記者萩原:映画で32分後に登場していましたね。あなたにとってゴジラとは?
godzilla_ship.png
32分の客船の乗客:私たちは平和になって、ようやくレジャーを楽しめるようになって、で急に海からゴジラが出てきてビックリなんだけど・・・あんまり言っちゃいけないんだけど・・・・実は遊びほうけている俺達を、戦争で死んだ人々が恨んで、ゴジラになって襲ってきたんだと・・・・・殺されてもしかたないと思った(号泣)

新聞記者萩原:映画で1時間2分後にゴジラに襲われていました。あなたにとってゴジラとは?
godzilla_dad.png
子連れの母親:おとうちゃんのところに行くのと子供に申しました。お父ちゃんは戦争で死んで、私は子供を抱えて苦しい生活で、あ〜ゴジラが救いにきてくれたなぁ〜って。私にとっては救い神のように思えました・・・

新聞記者萩原:映画で1時間6分後にゴジラに襲われていました。あなたにとってゴジラとは?
godzilla_ana.png
テレビ塔アナウンサー:戦争中大本営発表の嘘を言っていましたからね・・・・・ゴジラでも何でもいいんですが、命をかけても嘘は付きたくない・・・そう思っていました。

新聞記者萩原:調査隊にいてゴジラを見て、それからずっとゴジラに関わっていました。あなたにとってゴジラとは?
gozila_emiko.png
山根の娘恵美子:戦争が終わって10年。実は不安だったんです・・・・こんな不安定な世界情勢で、いつまで平和が続くんだろうって・・・そこにゴジラが現れて、ヤッパリ戦争が起きたって、そう思いました。
だから、なんとしてもゴジラを斃したかった。ゴジラは再び始まる戦争そのものです。

新聞記者萩原:恵美子さんの要請を受けてゴジラと戦われますが、あなたにとってゴジラとは?
godzilla_serizawa.png
芹沢博士:私は戦争に行きました。障害者となって戻りました。私は戦争で罪を犯したものとして、恵美子さんとの恋を諦めました。私とゴジラは結局、戦争の生き残り、戦争の傷跡なのだと思うのです。平和な世で生きていてはいけない者なのです・・・・・

新聞記者萩原:いろいろな意見を聞いて正直混乱しています・・・再び聞きます。あなたにとってゴジラとは?
godzilla_down.png
古生物学者山根:今となっては、正直なところ幻のようにも思えるのです。結局、ゴジラとは日本人が戦争で負った傷トラウマが形となって現れたものだったかと・・・・

新聞記者萩原:つまりは、ドキュメンタリーとしての強い力の上に、この禍々しい「祟り神」が現れるとき、フィクションを超えたパワーが発揮されたということでしょうか・・・・・・

新聞記者萩原:あっ!しまった!大事なインタビューを忘れていた!!!!

新聞記者萩原:いろいろあなたについてなんやかやと人間が言ってますが、また、あなたのこの映画以降の作品に関して評判が良くなかったりするのですが、あなたにとってゴジラとは?アッ!ギャァァァァァァ!!!
godzilla_up.png
ゴジラ:ペッ!不味いなコイツ!あ〜ウルセェ〜!人が見た数だけ違う姿を見せるのがスパースターってモンだろう!

Film2-GrenBar.png
スポンサーリンク


film1-Blu-sita.jpg
以下の文章には

映画『ゴジラ』ネタバレ

があります。
(あらすじから)
いよいよ、芹沢と緒方が、ゴジラとの対決に臨む。
gozilla7.png
皆に見守られながら「オキシジン・デストロイヤー」と共に海中に突入した。
その様子を見守る船上の人々の目の前にゴジラが現れ、断末魔の叫びを響かせた。
gozilla_9.png
film1-Blu-sita.jpg

映画『ゴジラ』結末

芹沢博士は自ら命綱を切って、ゴジラと共に海に沈んだ。
芹沢は、緒方と恵美子の幸福を祈ると言い残した。
gozilla_8.png
山根教授は、また水爆実験が繰り返されるなら、第二第三のゴジラが現れるだろうと呟いた・・・・・
船上の人々は、均しく頭を垂れ黙とうを捧げた。
gozilla_e1.png
海は静かに陽光を映していた・・・・・
gozilla_end.png


スポンサーリンク
ラベル:志村喬 宝田 明
posted by ヒラヒ・S at 21:10| Comment(6) | TrackBack(0) | 日本映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月18日

映画『私をスキーに連れてって』バブルに大スキーブームを生んだヒット作!/あらすじ・感想・解説・ネタバレ・ラスト・時代を描いた映画

ブームは絶好調、映画は?

英語題Take Me out to the Snowland
製作国 日本
製作年 1987年
上映時間 98分
監督 馬場康夫
脚本 一色伸幸
原作 ホイチョイ・プロダクション


評価:★★★  3.0点



この作品は、日本が空前の好景気を迎えようとしているバブル期が、始まったころに取られた映画です。

日々資産価値が上がり、社会に新たな富が溢れだし始めたころ、若者たちもその恩恵に預かり楽しく日々を過ごしていたのでした。

そんな時代に、若者達のレジャースタイルに革命を起こしたのがこの映画でした。
film1-Blu-sita.jpg

<目次>
映画『私をスキーに連れてって』ストーリー
映画『私をスキーに連れてって』予告・出演者
映画『私をスキーに連れてって』感想
映画『私をスキーに連れてって』解説/バブル期とレジャーと青春映画
映画『私をスキーに連れてって』評価
映画『私をスキーに連れてって』ネタバレ・結末

film1-Blu-sita.jpg

映画『私をスキーに連れてって』あらすじ

矢野文男(三上博史)は総合商社「安宅物産株式会社」に勤めているが今一つうだつが上がらない。しかし、週末には大学の部活で鍛えたプロ級の腕前を、ゲレンデでスキー仲間の佐藤真理子(原田貴和子)、小杉正明(沖田浩之)、羽田ヒロコ(高橋ひとみ)、泉和彦(布施博)、らと共に発揮していた。文男の滑りは秀でていても、異性との交際は苦手で、女性にも興味をもてないでいた。そんな彼が、クリスマスイブに志賀高原で滑走していると、転んでいる女性・池上優(原田知世)を見つけ心惹かれる。偶然にも優は文男と同じ安宅物産の秘書課に勤める同僚だった。
二人はヒロコの取り持ちもあって、大晦日の夜スキー場で互いの気持ちを打ち明けた、優と文男の交際が始まった。その時期の文男は、先輩と慕う田山雄一郎(田中邦衛)が企画した、スキー用品「SALLOT(サロット)」の新発売を、他部署ながら手伝い、自分の仕事も含め大忙しだった。しかし、付き合い出した優とは会えない日が続く。そんな二人のために、ヒロコ達仲間はバレンタインデーに志賀高原スキー場でのスキーを計画した。バレンタインデー当日、文男はみんなと発表前のSALLOTのスキーウェアを着てスキーを楽しんだ。 そんなさなか、万座温泉スキー場で開催されるSALLOTのプレス発表イベントが開かれる予定になっていた。しかし田山と対立する所崎(竹中直人)の策略によって、見本製品が会場に届いていなかった。イベント会場からの電話で、これを知った真理子とヒロコはその着ているウエアをイベント会場に届けようと、雪道をトヨタセリカでラリー車のように急ぐものの、無理な走りで横転事故を起こした。一方の優は、志賀高原の山頂を越えれば万座が直ぐだと気付き、自らスキーで危険な山越えに飛び出す―
film1-Blu-sita.jpg

映画『私をスキーに連れてって』予告

映画『私をスキーに連れてって』出演者

池上優(原田知世)、矢野文男(三上博史)、佐藤真理子(原田貴和子)、小杉正明(沖田浩之)、羽田ヒロコ(高橋ひとみ)、泉和彦(布施博)、恭世(鳥越マリ)、ロッジのオーナー(上田耕一)、ゆり江(飛田ゆき乃)、課長(小坂一也)、所崎(竹中直人)、田山雄一郎(田中邦衛)

Film2-GrenBar.png
スポンサーリンク


film1-Blu-sita.jpg

映画『私をスキーに連れてって』感想



え〜っと、です。

ヤッパリ映画としては、お金もかかってなさそうだし、ストーリーはマンネリだし、予定調和の結末だし、画面のそこここに隙間があるし、ドラマの魅力としては月並みで、映画技術として優れているとは感じませんでした。
もうちょっと詳しく言えば、三上博史演じる主人公のキャラクターはスポーツは得意でも女の子は苦手という「硬派」で、原田知世演じるヒロインは一歩引いて男を立てるような「良妻賢母」型です。
ski_pos1.jpg
今考えれば硬派も良妻賢母も死後に近いですが・・・・
その当時は、このタイプが理想形とされていました、で、そのままナンのひねりもなく描かれています。

ということで、キャラクターの設定がプロトタイプ過ぎるという気がします。
また、ストーリーのクライマックスは、先輩のスキーブランドの発表会のため危険を省みず、発表会場に向かうというものですが、これも良くある熱血パターンの筋立てに見えます。

更に言えば、映画全体の中でこのシーンが長すぎるため、おしゃれなスキー映画として見ていたら、なにやら汗臭くなってきてしまい、最後にはスポーツで勝利したようなヘンな後味となってしまいました。

けっきょく、映画が語るイメージははスキー場のおしゃれな恋物語だったはずなのに、特に後半は熱血スキー物語になってしまい、映画として混乱したように思います。

そういう意味では、製作者側がどういう映画にしたいという、完成形が不明瞭だったということだったのでしょうか?

または、出来上がりのゴールは見えていたのに、その通りに出来上がらなかったのか・・・・・イロイロ考えられるとは思いますが、いずれにしても映画のテーマと物語のマッチングが十分では無い様に感じました。

まぁ〜とはいうものの、そんな技術的にイカガナモノカという点があるにせよ、私はこの映画を高く評価したいと思います。

この映画は間違いなく、バブル時代の若者達に一つのライフスタイルを供給し、たいへんなレジャーブームを巻き起こしたのですから。

Film2-GrenBar.png
スポンサーリンク


film1-Blu-sita.jpg

映画『私をスキーに連れてって』解説

バブル期とレジャーと青春映画

ユーミンの歌と、週末のスキー。

この映画はバブルが始まり出した時代に、社会にお金が溢れていた頃の若者達の「娯楽」を求める心に照準を合わせ、完璧なプレゼンテーションを見せています。
バブル景気(バブルけいき、英: bubble boom)は、好景気の通称で景気動向指数(CI)上は、1986年(昭和61年)12月から1991年(平成3年)2月[2]までの51か月間に、日本で起こった資産価格の上昇と好景気、およびそれに付随して起こった社会現象とされる。情勢自体はバブル経済と同一であり、バブル経済期(バブルけいざいき)または、バブル期(バブルき)や平成景気(へいせいけいき)、平成バブル(へいせいバブル)とも呼ばれる(wikioediaより)

トレンディーでファッショナブルな恋愛スタイルとして「彼女ができたらスキーデート」をする。
ゲレンデは彼女を見つける場。

そんな、若者世代のマストアイテムとしてスキー場は求められたのでした。

特に女性にとっては、そのゲレンデはスキーの娯楽性以上に、自分をファッショナブルに華麗に見せる事に労力を注ぎ、恋の社交場と化し、男達も女性陣の心をつかむために、スキー場に向かうのに4WDの車を購入し、女性達の要望に応えようとガンバッタのです。
<映画内で走るセリカ>

この映画のおかげで、リフトに乗るのに何時間も待つなんて、とてつもないスキー渋滞を巻き起こすことになってしまったのです。

クリスマスは彼氏と、スキー場のホテルに行くなんて話も、実際よく聞かれたようです。
<ユーミンの『恋人がサンタクロース』>
そんなの映画の観客層10代後半から30代前半に向けて、確実に彼らが求めているレジャーをプレゼンテーションした、マーケット力に敬意を表しての評価です。

たとえば古くは1977年『サターデーナイトフィーバー』のディスコ、1986年『ハスラー2』のビリヤードや、最近で言えば2009年からアニメ放送された『けいおん!』のガールズバンドブームのように、何か楽しい事を求めている若者達の心に訴えかけるコンテンツを持った映画は、商業的な成功を手に入れられるという好例だったでしょう。
関連レビュー:トムクルーズ主演の大ヒット作
『ハスラー2』
第2次ビリヤード・ブームを生んだ映画
ポール・ニューマンのアカデミー賞受賞作

そんな若く感受性イッパイの時に見た、青春期の映画は「永遠の命」を持つものだったりしないでしょうか。
この映画は、劇としての力を十分に持ち得なくても、人々の憧れを描きえるという稀有な例とも思えるのです。
その実態以上に過大にイメージされた世界とは、けっきょく表現物を見た鑑賞者の中で結ばれた、心の中の理想像で在るように思います。

こんな対象と鑑賞者の間に結ばれた、現実を超越した絶対的な価値を持つものを「アイドル」と呼びはしないでしょうか・・・・
つまりは映画の持つ情報以上に、自分の夢や理想を、観客の心の中で「輝ける偶像=アイドル」として結ぶことに成功した作品だと感じました。

そういう意味では、この映画は時代を象徴する「アイドル映画」としての力を、明らかに持っているように思います。

その「アイドル力」が、当時19歳の知世ちゃんの笑顔に、鮮烈に表れていると思います。
有名なシーン<バーン>
しかし実力を十分に持たない「アイドル」が、「旬」を越え輝く時期を過ぎると急激にその力を減じるように、映画もまたシッカリした内容を持ってないと「時代」を越える事ができないのではないでしょうか。

今見ると、祭りの後の寂寥感に似たものを感じます―

もっとも、見た人々にな〜んも残せない映画が山ほどあることを考えれば、ある世代の心に「青春の象徴」となる、永遠の輝きを与えただけでも成功と言うべきでしょう・・・・・・・

この映画には、明らかにその時代が持つ「時代感」が、意図せず埋め込まれているのも、その時代を肌で感じられる貴重な一本だと思います。
Film2-GrenBar.png
スポンサーリンク


film1-Blu-sita.jpg

映画『私をスキーに連れてって』考察

時代を反映した日本映画


映画には、図らずも、時代が映り込む事が有ります。

ここでは過去のレビューから、そんな時代を代表する映画を紹介したいと思います。

関連レビュー:敗戦から5年後の日本映画
映画『お嬢さん乾杯!』
監督 木下恵介、脚本脚本 新藤兼人のラブコメ!
これは「ローマの休日」のもとでは?

関連レビュー:復興の姿を見せる1953年の日本
『東京物語』
世界的にも高く評価される小津監督の名作
日本的な世界観、美意識が映像として定着

関連レビュー:核家族化の進む1962年の日本
『私は二歳』
名匠・市川昆監督の若夫婦の子育て奮闘記
戦後日本の高度成長期の輝き

関連レビュー:1963年の日本の憧れ
『ハワイの若大将』
加山雄三主演の昭和の大ヒットシリーズ
庶民の夢を体現した憧れのヒーローの誕生!

関連レビュー:1977年の日本と高倉健
『幸福の黄色いハンカチ』
高度成長の担い手と若者の交流
監督山田洋次、主演高倉健、共演武田鉄也、桃井かおりの大ヒット映画

関連レビュー:1983年・昭和の団塊世界の家庭崩壊
森田芳光『家族ゲーム』
核家族の崩壊を描いた昭和の真実
松田優作主演、森田芳光監督の難解映画を解説!

関連レビュー:1997年バブル崩壊の男達が喪った楽園
森田芳光『失楽園』
男達の生きがいの喪失と女達の母性
不倫愛を描いた大ヒット日本映画

関連レビュー:2010年バブルの後始末をする女達
『川の底からこんにちは』
満島ひかり 主演の、平成『スポコン』娘!!
がんばる元気をくれる傑作人間コメディ

関連レビュー:2012年の日本の高校生
『桐島、部活やめるってよ』
スクールカーストのリアリティーを描いた名作
平成時代の青春群像

いずれも、時代感が乗り移った作品群だと思います・・・・

Film2-GrenBar.png

スポンサーリンク


film1-Blu-sita.jpg
以下の文章には

映画『私をスキーに連れてって』ネタバレ

があります。
(あらすじから)優が万座までの危険な山越えルートを目指したと手紙で知った文男は急いであとを追い優を捕まえた。泉、小杉も加わり4人は、夜の暗い山中を万座を目指し必死に滑走する。しかし、たどりついた万座の屋内会場は無人だった。間に合わなかったと、落胆した四人だったが、外のステージでは車で駆け付けたヒロコと真理子がカメラに囲まれポーズをとっていた。
film1-Blu-sita.jpg

映画『私をスキーに連れてって』結末

カップルの「SALLOT」モデルとして、舞台に上げられた二人。ステージの上で優は文男にバレンタインチョコを渡し、手で銃を作り「バーン」と狙い撃ち、笑った。
ski_las.png




posted by ヒラヒ・S at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月11日

映画『川の底からこんにちは』行け!お笑い平成熱血娘!/ネタバレなし簡単あらすじ・感想・解説・「スポ根」と平成

ゆけ!平成『スポコン』娘!!

英語題 Tales of Ugetsu
製作国 日本
製作年 2009年
上映時間 112分
監督 石井裕也
脚本 石井裕也


strong>

評価:★★★★  4.0点



だらけた生活を送るOLが、突然、実家のしじみ工場を経営!
そんなヒロインを満島ひかりが演じ、監督石井裕也の演出力で笑える一本になっております。
しかし、ここには、昭和時代の負の遺産が平成時代にどう姿を変えたのかが描かれているものと愚考します・・・・
film1-Blu-sita.jpg

<目次>
映画『川の底からこんにちは』簡単あらすじ
映画『川の底からこんにちは』予告・出演者
映画『川の底からこんにちは』感想
映画『川の底からこんにちは』解説/スポ根と平成

映画『川の底からこんにちは』簡単あらすじ

上京して5年目のOL木村佐和子(満島ひかり)は、適当に仕事をし、彼氏も冴えない職場の上司・新井健一(遠藤雅)と付き合っている。彼はバツイチで娘・加代子(相原綺羅)というコブつきだったが、佐和子は「中の下」の自分の相手としては相応だと思っている。そんなとき、佐和子の叔父・信夫(岩松了)から、彼女の父・忠男(志賀廣太郎)が急病で入院したと連絡が入る。父に代わって、一人娘の佐和子は実家のしじみ工場の経営を求められ、なぜか交際相手の健一は会社を辞め、佐和子の故郷で工場を継ごうと主張する。引きずられるように佐和子も、健一と加代子を連れ実家に帰るが、工場の従業員のおばちゃんたちから冷たい眼を向けられた。経理の遠藤(菅間勇)は工場の経営に危機感を持ち、佐和子に改善を求めるが、経営は悪化の一途をたどっていた。更に健一は、佐和子の幼なじみの友美(鈴木なつみ)と駆け落ちしてしまう。健一の子加代子を抱え、人生の絶望の底で開き直った佐和子は、工場に乗り込むと、自分を無視するおばちゃん達を前に、自らの心の内をぶちまける。その言葉でおばちゃんたちに変化が生まれた―

映画『川の底からこんにちは』予告

映画『川の底からこんにちは』出演者

木村佐和子(満島ひかり)/新井健一(遠藤雅)/新井加代子(相原綺羅)/木村忠男(志賀廣太郎)/木村信夫(岩松了)/高木正樹(並樹史朗)/塩田敏子(稲川実代子)/塩田淳三(猪股俊明)/村岡友美(鈴木なつみ)/遠藤進(菅間勇)/斎藤響子(牧野エミ)/月島さん(工藤時子)/杉山さん(安室満樹子)/中島さん(しのへけい子)/江口さん(よしのよしこ)/腸内洗浄スタッフ(目黒真希)/川上良男(森岡龍)/ギャル(廣瀬友美)/サユリ(山内ナヲ)/モトカ(丸山明恵)/医者(潮見諭)/保育園の先生(とんとろとん)

Film2-GrenBar.png
スポンサーリンク


film1-Blu-sita.jpg

映画『川の底からこんにちは』感想


いや〜ワロタwww。

ケッコウべたな設定に、熱血的な解決で、ハナシとしてはオールド・ファッションな感じですが、コメディーって言うのは保守的な設定の方が生きるモンデス。
しかもこの映画のように、シチュエーション・コメディーであればなおさら、べたな古臭いジミーな貧乏たらしい救いの無いドンヅマリのこれでもかというタタミカけが、笑いを生みだすでしょう。

この主人公、駆け落ちして田舎から出てきて、男に騙されてというあたり、昭和の演歌の香りさえ漂う。
しかもその状況の対策が、ひとえに耐えて、熱血でがんばるというのも、かつての肝っ玉かあさんを見るようだ。

その、耐えていつか花咲く的な主人公に引っ張られて、冷めていた周囲もいつしか引きづられて、共に栄光を目指すというのも「スポ根」ものの常道だ。

つまりこの映画は、日本のドラマの伝統に則ったベーシックな作品なのだと思います。
Film2-GrenBar.png
スポンサーリンク


film1-Blu-sita.jpg

映画『川の底からこんにちは』解説


そもそも、日本における「物語の原型」は大別すれば二つに分かれる。

一つは平安貴族に端を発する王侯貴族の優美な物語だ。
「源氏物語」に代表されるような、生き死にに関わらない、どうでもよい話であるがゆえに美しくはかない物語だ。

もう一つは、武士階級の伝統に則った、武道・士道の物語だ。
この目標に向かって、艱難辛苦を耐えながら、自らを厳しく律するストイックな武芸物語こそ「スポ根=スポーツ根性」の源流であるはずだ。

そしてまた、その自らを高める一点に向かって全身全霊をこめる「スポ根の熱血」の姿とは、貧しい日本を復興させた高度成長期の男たちの似姿だったろう。
<アタックNo1主題歌>
女の子達も熱血だった!!

たとえば「巨人の星」の星飛雄馬にしても、「明日のジョー」の矢吹ジョーも、はたまたポケモンの「さとし」にしても、遮二無二に自らの望む方向に暴走するだけだ。

それら「スポ根」主人公が成した一種はた迷惑な暴走行為は、「仕事のため」という錦の御旗を盾に、妻や子を置き去りにした団塊の男たちを英雄として描いたものだったろう。
関連レビュー:昭和の団塊世界の家庭崩壊
森田芳光『家族ゲーム』
核家族の崩壊を描いた昭和の真実
松田優作主演、森田芳光監督の難解映画を解説!

しかし、この映画の主人公を演じる「満島ひかり」の姿は、かつての「スポ根」の主人公とは決定的に違っている。

それは、自らを客観視し、過大評価をしていないところだ。
つまりは周りが見えて、その中で自分の力の至らなさを自覚しつつも、自分の置かれている状況が、遮二無二「スポ根」に向かわせてしまう運命にあるということだ。

その状況とは、この映画の中で言えば、死にそうな父親であったり、父に捨てられた娘であったり、主人公が関わるどうしようもない男であったりする。
つまりは、父ちゃんがだらしないから母ちゃんがガンバルみたいな「よいとまけの唄」状態が現出しているのだ。
<三輪明宏『よいとまけの唄』>

それはつまるところ、昭和の男達が築いた高度成長期がバブルの前に、虚しくはじけ、団塊の世代が突然の喪失に茫然自失となった「体たらく」と重なる・・・・・・・
関連レビュー:団塊の男達が喪った楽園
森田芳光『失楽園』
男達の生きがいの喪失と女達の母性
不倫愛を描いた大ヒット日本映画


結局、この映画における「スポ根」が笑いを、それもどこかシニカるな味を帯びているのは、昭和の男たちの負の遺産が産んだ格差「中の下」の女が、高度成長期の男たちの真似をし、後始末をしなければ、現代日本が立ち行かないという皮肉を表しているからに他ならない。

しかし実は、日本の「女の底力」は、昭和の時代からその属性として、密かに力を発揮していたとも思える。
関連レビュー:昭和の男と昭和の母
高倉健『あなたへ』
昭和の男達と女達の関係
高倉健の遺作としての戦後の終焉




posted by ヒラヒ・S at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする