原題기생충 英語題 PARASITE 製作国 韓国 製作年 2019 上映時間 132分 監督:ポン・ジュノ 脚本:ポン・ジュノ、ハン・ジンウォン |
評価:★★★★★ 5.0点
第72回カンヌ国際映画祭では韓国映画初となるパルム・ドールを受賞し、さらに第92回アカデミー賞で6部門にノミネートされ、4冠に輝いた。
アカデミー賞に関しては英語ではない作品で、最優秀作品賞を受賞するというのはアカデミー賞の長い歴史の中でも前例のない快挙だった。
この映画のストーリーを追ってみるとは、実に丹念な伏線と、観客の気持ちを逸らさない濃密な脚本で、高い完成度を持っていると思った。
<目次> |
映画『パラサイト 半地下の家族』あらすじ |
地面からかろうじて顔を覗かせせているような、半地下の狭く薄汚れたアパートに、キム・ギテク長男ギウ(チェ・ウシク)の声が響く。無断借用していた携帯のWiFiがつながらなくなったのだ。
その部屋には父ギテク(ソン・ガンホ)、母チュンスク(チャン・ヘジン)、娘ギジョン(パク・ソダム)のキム一家が住み、近所のピザ屋の宅配箱を組み立てる内職の僅かの収入で、何とか生きていた。
そんなある晩、ギウの友人、名門大学に通う青年ミニョク(パク・ソジュン)が訪れ、幸運を呼ぶ山水景石という石を手渡し、留学する自分の代わりに英語の家庭教師のアルバイトの代行を持ちかけた。
四 浪中のギウは躊躇する。しかし、ミニョクはその生徒である、上流階級のパク家の女子高生ダヘ(チョン・ジソ)と、真剣に交際を考えているので、信用できる人間にしか任せられないと頼んだ。
ギウは高い報酬もあって、美大を受験したこともある妹ギジョンに大学の証書を偽造させ、ケビンという偽名を名乗りパク家を訪問した。
ギウは有名建築家が建てたという、山手の豪華な邸宅で、パク家の夫人ヨンギョ(チョ・ヨジョン)の面接を受ける。
女子高生ダヘとの最初の授業を乗り切ったギウは無事採用され、さらにダヘから好意を寄せられることになった。
ギウを信用したダヘの母は、壁にある息子ダソン(チョン・ヒョンジュン)の絵を前に、ダソンの絵の才能を伸ばせる美術教師を求めていると語る。
それを聞いたギウは、妹のギジョンにジェシカと名乗らせパク家に紹介した。
ギジョンは付け焼刃の情報を使い、美術心理学的にダソンの絵にはストレスが見えるというと、ダソンが一年生の時に起きた事件に結び付けたパク夫人は、すっかりギジョンを信用した。
ギジョンが帰宅する時間に、仕事を終えたパク家当主、パク・ドンイク(イ・ソンギュン)が戻ると、ギジョンを自分の車で送らせた。
運転手が運転するベンツの後部座席で駅まで送られる途中、ギジョンは自分のパンティーを脱ぎ、座席の下に放置した。
下着を発見したパク氏は運転手がカーセックスをしたと誤解し解雇する。
そして運転手の後釜には、ギジョンが父ギテクの素性を隠し推薦し採用された。
最後にパク家の家政婦ムングァン(イ・ジョンウン)を追い出す策略を立て、父ギテクはパク夫人にムングァンが結核なのではないかと吹き込む。そして、ムングァンが桃アレルギーなのを利用し、激しくパク夫人の前で咳き込ませた。
こうして、母チュンスクも、パク家の家政婦として雇われ、キム家一家4人は全員身元を隠しながら、パク家へ取り入った。そのころには長男のギウは、生徒のダヘと相思相愛の関係になっていた。
パク家は息子ダソンの誕生日を、キャンプで祝うため出発して、その留守を家政婦チュンスクにまかせた。
キム家の4人はパク邸に入り込むと、高級な洋酒を浴びるように飲み、豪華な時間を満喫する。
そんな夜、雷雨の中インターホンが鳴り一家に緊張が走る。来訪者は元の家政婦ムングァンで、地下に忘れ物があるから入れて欲しいというのだった。
チュンスクがムングァンを入れると、彼女は建築家が秘密に作った地下室へと入る隠し扉を開けた。
すると、そこには、ムングァンの夫のオ・グンセ(パク・ミョンフン)がいた。ムングァンは借金取りから逃げる夫を、密かにここに匿っていたのだ。
ムングァンがチュンスクにどうか見逃して欲しいと懇願する。
その時、隠れて盗み聞きしていたキム家の3人が足を滑らせ、階段から転げ落ちて来た。
ムングァンは、4人がグルなのを知って、すかさずスマートフォンで証拠を押さえたため、立場は逆転してしまう。
正座させたキム一家を前に、撮影した動画をパク夫人に送信すると脅しながら、夫とともに食事にありつく。
窮地に追い込まれたキム一家だったが、一瞬のスキにスマホを奪おうとし、グンセとムングァン夫婦も必死に抵抗しもみ合いとなる。
ついにキム一家がスマホを押さえ、胸をなでおろした時、パク夫人から電話が入った。
大雨による川の増水でキャンプどころではなくなり、あと5分で家に着くという。
焦ったキム一家はグンセとムングァンを地下室に放り込むと、手足を縛り付け、食い散らかした痕跡を乱暴に片づけた。チュンスクはパク夫人に頼まれたジャージャーメンの準備をする。
ギテクはムングァンとグンセを地下室に隠し、階段から落ちたムングァンは脳震盪を起こす。
ギテクが地下の様子を見に行くと、グンセは地下にある家の照明のスイッチを押し、モールス信号を送っていた。グンセを更に身動き取れないよう縛って猿轡をかませた。
パク一家が戻った時、ジャージャー麺を出すチュンスク以外のキム家3人は、家を抜け出す暇がなく、再び邸内に身を隠した。
帰って来たパク夫人は、ジャージャー麺を食べながらダソンが小学一年生の誕生日、夜中に幽霊(地下室から出たグンセ)を見たと打ち明けた。
それ以来パク夫婦は息子の誕生日は家で過ごさないと決めているという。
その晩、息子ダソンは庭にインディアンテントを張り、大雨の中そこに 立て籠もった。庭のテントが見える居間のソファーで、ダソンを見守りつつ、寝ることを決めたパク夫妻。
パク氏が運転手ギテクの匂いが酷いと愚痴る、そのそばにギテクは隠れていた。そうとは知らないパク氏は、そこで妻の体を求め、ソファーは二人の体で激しく揺れた。
パク夫妻が眠りに落ちた隙に、パク邸から逃げ出したキム家の3人。
豪雨の中を、山の手からキム家のアパートに永遠に続くかと思われる下り階段を急ぐ。
その途中で、娘のギジョンは地下室のムングァンとグンセ夫婦をどうするのかと尋ねると父ギテクは「計画がある」と答え、家へと急いだ。
低地の家の周りは豪雨の大量の雨水で、大洪水に見舞われ半地下の部屋は首まで浸かるほど浸水していた。
3人は避難所となった体育館で一晩を明かした、地下室の夫婦の問題に動揺するギウは、寝床で父ギテクが口にした計画の内容を尋ねた。するとギテクは「俺の計画は無計画だ」と言い、計画があるから予定外の事態が起こる、計画がなければ人を殺そうと国を売ろうと、なんでもないと口にする。
これを聞いたギウは、ギテクに謝罪し責任をとると言うと、その顔を父は心配げに見るのだった。
一晩明けた翌日、晴天の空の下テントに眠る息子ダソンのために、パク夫人はサプライズパーティーを思いつく。
家政婦のチュンスクを始め、ギテクとギウとギジョンの3人も、急遽パーティーの手伝いに駆り出された。
キム一家は地下の二人を気にしつつ、確かめるチャンスがなく、庭では優雅な上流階級のパーティーが笑い声と共に進んでいた。
父ギテクはパク氏とともにインディアンの格好で、ダソンを驚かせるため隠れていたが、ギトクの不満顔を感じたパク氏は仕事だと思えと命令した。
地下室のムングァンとグンセの夫婦が気になるギウは、昨晩から肌身離さず持っている山水景石と共に、地下室へと降りていくと、グンセが逆襲に出て、ギウに襲いかかった。
昨晩妻ムングァンは死んだが、その前にグンセの拘束を解いてくれていたのだ。
ギウは必死に地下室から階上のキッチンまで逃れたが、山水景石で頭を殴られ大量の出血が床を染めた。
そのままグンセはキッチンの包丁を手に取ると、華やかなパーティーが開かれている、陽の当たる芝生の上に足を踏み入れた。
映画『パラサイト 半地下の家族』予告 |
映画『パラサイト 半地下の家族』出演者 |
キム・ギテク(ソン・ガンホ)/キム・ギウ(チェ・ウシク)/キム・ギジョン(パク・ソダム)/チュンスク(チャン・ヘジン)/パク・ドンイク(イ・ソンギュン)/パク・ヨンギョ(チョ・ヨジョン)/パク・ダヘ(チョン・ジソ)/パク・ダソン(チョン・ヒョンジュン)/ムングァン(イ・ジョンウン)/オ・グンセ(パク・ミョンフン)/ミニョク(パク・ソジュン)
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映画『パラサイト 半地下の家族』評価・受賞歴 |
米国アカデミー賞:作品賞/監督賞(ポン・ジュノ)/脚本賞/国際長編映画賞/美術賞
英国アカデミー賞:脚本賞/非英語作品賞 『パラサイト 半地下の家族』
カンヌ国際映画祭:パルム・ドール
ゴールデングローブ賞:外国語映画賞
ハリウッド映画賞:フィルムメイカー賞(ポン・ジュノ)
インディペンデント・スピリット賞:外国語映画賞
ロサンゼルス映画批評家協会賞:作品賞/監督賞(ポン・ジュノ)/助演男優賞( ソン・ガンホ)
全米映画批評家協会賞:作品賞
ニューヨーク映画批評家協会賞:外国語映画賞
シドニー映画祭:作品賞
毎日映画コンクール:外国映画ベストワン賞
キネマ旬報:ベスト・テン外国映画1位/読者選出外国映画ベスト・テン1位/外国映画監督賞(ポン・ジュノ)/読者選出外国映画監督賞(ポン・ジュノ)
日本アカデミー賞:優秀外国作品賞
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また、映画ランキングにも登場している。
○ビジネスインサイダー誌『批評家によるオールタイムベスト』42位
関連レビュー:各国の映画ランキング紹介 ◎いろいろな『映画ベスト100』企画紹介 世界各国で選ばれた『映画100本』のリストを紹介!!! 映画界、映画ファン、映画評論家など、選定方法もさまざま! 日本映画も各リストでランクイン! |
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映画『パラサイト 半地下の家族』ネタバレがあります。ご注意ください。 |
(あらすじから)
パーティーは佳境に入り、ダソンの絵画教師ギジョンによる、ケーキ贈呈へと進んでいた。
そのギジョンに向かい、血まみれの顔のグンセが包丁を振りかざし突進すると、ギジョンの胸に深々と包丁を突き立てた。
パク家の息子ダソンは、グンセを見ると、再び「幽霊」を見た恐怖に意識を失う。
パク氏とギテクは、それぞれ自分の子に駆け寄る。
グンセは妻の仇の家政婦チュンスクを見つけ襲いかかるが、チュンスクも抵抗しもみ合いとなる。
その混乱の中、ひきつけを起こしたダソンを病院に運ぶため、パク氏は車を運転しろとギテクに叫ぶ。呆然としているギトクに苛立ったパク氏は、鍵を投げろと命じた。
ギトクが投げたベンツの鍵は、チュンスクとグンセがもみ合う体の下に入り込んだ。
その時、ギトクが振り下ろした包丁をかわしたチュンスクは、バーベキューの串をグンセの体に深々と刺し命を絶った。
パク氏は動揺しつつも、死んだグンセの体の下から、鍵を引っ張り出すが、その時グンセから放たれる悪臭に吐きそうになる。
そんなパク氏を見たギテクの、顔がこわばる。
瞬間、落ちている包丁を拾い上げると、パク氏の体に渾身の力を込めてめり込ませ、その命を断った。
パーティー会場が大混乱に陥り人々が逃げ惑う中、ギテクはどことも知れず姿を消した ・・・・・
映画『パラサイト 半地下の家族』ラスト・シーン |
数週間後、ギウは脳の外科手術を経て昏睡状態から目覚めると、その顔は笑っていた。
警察に逮捕され、裁判で執行猶予となり、半地下のアパートに戻っても、刺されてこの世を去った妹のギジョンの位牌を目にしても、長期にわたりその顔から笑いの表情が消えることはなかった。
時は過ぎ、ギウは事件のあった邸宅を見下ろす丘へと登り、中の様子を祖眼鏡で覗く。そこにはドイツ人一家が今は住んでいた。
その屋敷の電灯が点滅しているのに気付いたギウは、それが父の送るモールス信号であると気づく。
信号は、ギテクは家から食べ物を盗みながら地下室での孤独な生活を続けるつもりだという内容を伝えていた。
ギウは、母チュンスクと共にあの邸宅の門をくぐる。事件から長い時を経て、この家の所有者となったのだ。
陽の当たる緑の芝生にたたずむ母と息子。
暗い家の中から、その二人によろめきつつ近づくのは、ギテクだった。
再会の時を向かえ、親子は固く 抱き締めあった。
半地下のアパートで、ギウはあの邸宅を購入する資金をこれから貯め、いつの日か父と再会するという「計画」を手紙を書いた。
その実現を心に誓うのだった。