原題 highnoon 製作国 アメリカ 製作年 1951年 上映時間85分 監督 フレッド・ジンネマン 脚本カール・フォアマン 原作ジョン・W・カニンガム |
評価:★★★★ 4.0点
この作品は、7部門でアカデミー賞にノミネートされ、4部門で栄冠に輝きました。
しかしその栄光の影で、この映画は、その政治的テーマのために公開時に論争を巻き込していたのです。
下のストーリーでその点がご理解いただけるか不安がありますが、本来の西部劇の伝統からすれば、実は反西部劇的な映画だと考えたりします・・・・
<目次> |
映画『真昼の決闘』あらすじ |
荒野でタバコを吸う男、ジャック・コルビー(リー・ヴァン・クリーフ)。そこにジム・ピアス(ロバート・J・ウィルク)とベン・ミラー(シェブ・ウーリー)が加わり、3人のアウトローは、凄みのある顔でハドリーヴィルという荒野の町へと馬を乗り入れた。
日曜の町では教会に向かう人々が行き交う中、3人を見た者は思わず十字を切るのだった。
時を同じくしてその町の役所ではパーシー・メトリック判事(オットー・クルーガー)立会いの下、保安官ウィル・ケーン (ゲイリー・クーパー)とエイミー・ケーン (グレイス・ケリー)の結婚式が執り行われていた。
参列のジョナス・ヘンダーソン市長(トーマス・ミッチェル)を始め町の有力者に見守られる中、ウィルは結婚を機に保安官を止め、エイミーと雑貨店を営む計画を話し、2人の姿は幸福に包まれていた。
しかしそこに一通の電報が届く。
5年前ウィルが殺人罪で逮捕し絞首刑の判決を受けた凶悪な男が、減刑を受け町に戻ってくると言うのだ。アウトローの三人組は町の外れの駅で、12時の汽車で到着する、そのフランク・ミラー(イアン・マクドナルド)の帰還を待っていた。
フランクは絞首刑判決が出た時、ウィルに向かって、絶対戻って殺してやると捨て台詞を吐いていた。
市長をはじめ結婚式の参加者は、ウィルとエイミーを馬車に乗せると、少しでも遠くに逃げろと送りだした。馬に鞭をくれて道を急ぐウィルだったが、その馬車を止めると再び町へと戻り出した。
エイミーがなぜと問うと、明日までは町の保安官だと言い、敵に背を向けられない、例え逃げても銃がなければ逃げ切れないと語った。
町に到着したウィルに、敬虔なクエーカー教徒で平和主義者のエイミーは逃げようと訴えた。
ウィルはそれは出来ないと言うと、エイミーは昼の列車に乗って町を出ると、彼に別れを告げた。
ウィルは逮捕時の裁判官メトリック判事を訪ねると、彼は町を逃げる所だった。判決を下した自分も狙われることが判っており、ウィルにも逃げたほうが良いと忠告し去った。
ウィルは、正午までの一時間に、自警団を結成しようと動き出した。
最初に保安官補佐を勤めていたハーベイ・ペル(ロイド・ブリッジス)に声を掛けるが、彼はウィルが自分を保安官に推薦しなかった事を根に持ち協力を断った。
その後ウィルはもともとミラーの情婦で、その後はウィルと交際していたヘレン・ラミレス(ケイティ・フラド)と会う。
ミラーが復讐に戻る事を伝えると、すでに知っていたヘレンは店も人手に売り逃げ支度を整えていた。
ウイルは人集めに酒場に入ると、共にフランクと戦う志願者を募ったが、フランクの友達も多く冷たい視線を向けられる。
ウィルはかつて保安官助手だった者もいると訴えるが、その当時とは保安官の数が違うと応じなかった。
かつての仲間を求め家を回るウィル。しかし共に戦ったサム・フラー(ハリー・モーガン)は居留守を使い逃げた。
酒場にいた片目のアル中ジミーは、共に戦うと言うものの、酔っており、銃を扱える状態ではなく帰らせた。
次にウィルは教会を訪れると、礼拝中の町民にミラーの到来を語り、かつてミラーがいた時の無法の町に戻りたくなければ、一緒に戦おうと訴えかける。
その呼びかけに数人の男が、応じた。しかし、市長をはじめ町の有力者は、事なかれ主義から町を上げて対決することが正しいのかと疑問を投げ掛けた。それはウィルの私闘では無いかと言いい出し議論が紛糾する。
そして市長は、今この町に発展のチャンスが訪れているが、銃撃戦が起これば、評判が落ちる。ウィルは自分のためにも、町のためにも戻るべきではなかったし、今からでも町を出るべきだと言った。
ウィルは力なく、教会を後にした。
ウィルは前の保安官マーティン・ハウ(ロン・チェイニー)を訪ねるが、老年で手も動かずウィルを助けられないと語った。
汽車の到着まで、エイミーはホテルに入りヘレンの部屋を訪れていた。ウィルが町に留まるのがヘレンを守るためかと思ったのだ。
ヘレンは、その疑いを否定すると、ウィルが自分の男なら一緒に戦うと言った。
エイミーは、その過去に父と兄も正義を主張しながら銃で倒れており、それによりクエーカー教徒になり、非戦論者となっていたのだ。
ウィルは厩舎に行くと、自分の馬の前で逃げる事を考える。そこにハーべイがやって来て、さっさと逃げろと迫り、無理矢理馬に乗せようとして、殴り合いの喧嘩になる。
最後は、ハーべイを殴り倒し、町へと戻った。
ただ1人ハーブ・ベイカー(ジェームズ・ミリカン)という男が、保安官代理を買って出ていたが、彼がただ1人の助力者だと知ると、女房子供もいて命を落とせないと、バッチを返し逃げ出した。
正午が迫る中、ウィルは覚悟を決め、エイミーに向け遺書を書き出す。
そこに、人集めを頼んだ14歳の少年が戻り誰も集まらなかったと告げ、そしてウィルを助けると申し出た。
しかし、ウィルは彼に礼を言いつつも、彼を戦いに参加させることは無かった。
正午と成り駅に近づく汽車の汽笛が重く鳴り響く。
真昼の日曜なのに、町は不気味に静まり返っている。
保安官事務所から歩みを進めるウィル。
その前をエイミーとヘレンを乗せた馬車が駅へと走り抜ける。
駅に到着した汽車からはミラーが降り、仲間のジャックとジムとベンが周りを固めた。
それと入れ替わりで、エイミーとヘレンは汽車へと乗った。
ウィリーが無人の町を進み、ミラーの一味も歩を進める
そして最初の銃弾が発射された−
映画『真昼の決闘』予告 |
映画『真昼の決闘』出演者 |
ウィル・ケイン(ゲイリー・クーパー) /エイミー・ファウラー・ケイン(グレース・ケリー)/ジョナス・ヘンダーソン市長(トーマス・ミッチェル)/ハーベイ・ペル(ロイド・ブリッジス)/ヘレン・ラミレス(ケイティ・フラド)/パーシー・メトリック判事(オットー・クルーガー)/マーティン・ハウ(ロン・チェイニー)/サム・フラー(ハリー・モーガン)/フランク・ミラー(イアン・マクドナルド)/ミルドレッド・フラー(イヴ・マクヴェイ)/マヒン博士(モーガン・ファーリー)/クーパー(ハリー・シャノン)/ジャック・コルビー(リー・ヴァン・クリーフ)/ジム・ピアス(ロバート・J・ウィルク)/ベン・ミラー(シェブ・ウーリー)
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映画『真昼の決闘』評価・受賞歴 |
【第25回アカデミー賞】
男優賞(ゲイリー・クーパー)/編集賞/カメラ賞(ドラマ・コメディー部門)/最優秀主題歌賞(正午のバラード)
第25回アカデミー賞・主演男優賞スピーチ |
プレゼンターはジャネット・ゲイナー
ノミネート者を紹介。
マーロン・ブランド(革命児サパタ)/ゲイリー・クーパー(真昼の決闘)/カーク・ダグラス(悪人と美女)/ホセ・ファーラー(赤い風車)/アレック・ギネス(ラベンダー・ヒル・モブ/原題:The Lavender Hill Mob)
受賞者はゲイリー・クーパー(真昼の決闘)。
1952年開催の米国アカデミー賞で、主演のゲーリー・クーパーが主演男優賞を獲得し、盟友のジョン・ウェインが代理で受賞した。
【代理受賞ジョン・ウェイン:受賞スピーチ・意訳】
紳士淑女の皆さん、私は、最も相応しいだけでなく、我々全員が彼を誇りに思える、私達の仕事のモラルを一年を通じて彼自身が導いた、そんな人物に皆がこれを与えたことが嬉しい。クープ(クーパーの愛称)と俺はずっと、狩りや釣りや、俺が 覚えている以上に何年も友達だった。俺が知る限り最高の仲間だ。俺は奴以上に良い奴を知らない。そして俺たちは友情より強い親族で、なぜなら俺たち2人とも映画で落馬した。さて、俺は常に良き競争者だった、良いスポーツマン精神を噴出させて、俺は戻って仕事のマネージャーと代理人とプロデューサーと3つの名を持つ脚本家を探し、そしてなぜ、真昼の決闘のクーパーの代わりにならなかったか突き止める。なぜなら、俺はその高給取りの仲間を首にできないし、でも俺は結局1930年のシボレーで走り、奴らの一人はでかい新車の黒いキャデラックに乗っている。
その他受賞歴
<ボディル賞>最高のアメリカ映画
<シネマライターズサークルアワード>最優秀外国映画
<全米監督協会賞>映画における卓越した監督賞
<ゴールデングローブ賞>映画の最優秀俳優賞(ゲイリー・クーパー)/最優秀助演女優賞(ケイティ・フラド)/最高の脚本(映画部門)カールフォアマン/最高の楽曲賞(映画部門)ディミトリ・ティオキン/最高の撮影賞(白黒部門)
<ニューヨーク映画批評家協会賞>最優秀映画/最優秀監督賞(フレッド・ジンネマン)
<全米脚本家組合賞>アメリカドラマの最優秀脚本賞(カールフォアマン)
映画『真昼の決闘』映画ランキング |
<AFI(アメリカ映画協会)100年-100本ランキング>
アメリカ映画ベスト100・・・・・33位
スリルを感じる映画ベスト100・・・・・20位
100人のヒーローと悪役・・・・ヒーロー部門5位
アメリカ映画100年の主題曲ベスト25・・・・・・・10位真昼の決闘 (1952年/作曲者ディミトリ・ティオムキン)<真昼の決闘主題曲 "Do not forsake me, My Darling">
雑誌「ペースト」発表『1950年代の映画ベスト100』・・・・・30位
世界中で、いろいろな観点で、さまざまな企画で映画ランキングが発表されており、そのリストを下にまとめています。
◎いろいろな『映画ベスト100』企画紹介 世界各国で選ばれた『ベスト映画ランキング』のリストを紹介!!! 映画界、映画ファン、映画評論家など、選定方法もさまざま! 日本映画も各リストでランクイン! |
また映画の歴史に興味があれば、アメリカのアカデミー賞の授賞式紹介と受賞リストはいかがでしょうか?
関連レビュー:オスカー受賞一覧 『アカデミー賞・歴代受賞年表』 栄光のアカデミー賞:作品賞・監督賞・男優賞・女優賞 授賞式の動画と作品解説のリンクがあります。 |
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以下の文章には 映画『真昼の決闘』ネタバレがあります。 |
(あらすじから)
銃の発射音を聞いたエイミーは、汽車の座席から立ち上がった。
出発直前の列車を飛び下り、ウィルのもとへと走り出す。
そのエイミーの眼に、路上で倒れる男の姿が飛び込んできた。
それは、ミラーの仲間ベンでウィルの先制弾に倒れたものだった。
安堵したのもつかの間、交錯する銃撃の音にエイミーは保安官事務所に逃げ込んだ。
ウィルの闘いは、更にミラーの手下ジャック・コルビーを倒すことに成功し、残りは2人となったがウィルも傷を負った。
ウィルが厩舎へ逃げ込むと、ミラーは火を放ち紅蓮の炎が厩舎を包む。
ウィルは馬の群れを暴走させ、その1頭に跨り厩舎を抜け出した。
しかし追撃され、落馬したウィルは2人から弾を浴びせられた。
その時、ミラーの最後の仲間ベン・ピアスが崩れ落ちた。
ウィルの危機に、平和主義者のエイミーも、ついに銃を取り敵を倒したのだった。
最後に残ったミラーは、事務所に踊りこむとエイミーを捕えて、道へと歩み出てウィルに姿を見せろと怒鳴った。
ミラーの呼びかけに応じ、その正面に立ったウィル。
ミラーが、ウィルに向って発砲しようとした瞬間、エイミーが暴れて注意が逸れた。
その時を逃さずウィルはミラーを撃ち倒した。
映画『真昼の決闘』結末 |
ウィルとエイミーは、固く抱き合った。
町の人々が家の中から少しずつ二人の周囲に集まってくるが、声を掛ける者はいなかった。
ウィルはただ一人自分の味方をした少年に微笑むと、町民には怒りの眼をむけつつ、沈黙の中静かに保安官バッジを外すと、地面に捨てた。
そしてエイミーとともに馬車に乗り町を去っていった。
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