原題 Out of Africa 製作国 アメリカ 製作年 1985年 上映時間 161分 監督 シドニー・ポラック 脚色 カート・リュデューク 原作 アイザック・ディネーセン 、ジュディス・サーマン 、エロール・トルゼビンスキー |
評価:★★★ 3.0
主演メリル・ストリープとロバート・レッドフォードのコンビで、1985年にシドニー・ポラックが監督を務めた、アフリカを舞台にした物語です。
アイザック・ディネーセンの回想録『アフリカの日々』を元にして、美しいアフリカの自然とエキゾチックな風情の中で、一人の女性の決して甘いだけではない半生が、語られていく・・・・・・
この映画は、興行的にも、批評的にも高く評価され、1986年開催の第58回アカデミー賞で、11部門にノミネートされ最優秀作品賞を含む 7 部門で栄冠に輝いた。
<目次> |
映画『愛と哀しみの果て』あらすじ |
小説家カレン・フォン・ブリクセン(メリル・ストリープ)は、デンマークの自宅で、アフリカを思い起こしていた。
アフリカに旅立つ前の1913年、裕福な家庭に生れたカレンは、スウェーデン貴族と男女の関係になったが失恋する。しかし貴族の身分を求め、持参金を条件に、その兄のブロア・ブリクセン男爵(クラウス・マリア・ブランダウアー)と結婚をした。
1913年、カレンは東アフリカのケニアで所有する農園を経営するため、先乗りした夫ブロアが待つ地に旅立った。
広大なアフリカの大地を行く列車に乗ったカレンは、突然止まった汽車に驚き、何事かと外を見ると、白人のハンターが巨大な象牙を運んでいた。
デニス・フィンチ・ハットン(ロバート・レッドフォード)と名乗った男は、夫ブロアも知っており彼女に挨拶すると、再び草原へと去って行った。
ナイロビの駅に着いたカレンだったが、そこにはブロアがいない。
代わりに、ブロアに雇われた地元民の召使いファラー・アデン(マリク・ボウエンズ)が出迎え、カレンをブロアのいる英国人クラブ・ムサイガに連れて行かれた。
しかし、そこは女人禁制のクラブで、カレンは追い出された。
そこにブロアが現れ、怒りを見せるカレンに今日結婚しようとその手を取った。
現地のイギリス人グループを前に式を挙げた2人は、周囲から祝いの言葉を受け、パーティーは盛況だった。
農園に付くとカレンは雇われた大勢の現地人に迎えられた。
しかし、ブロアが牧畜農場の計画を変更し、コーヒー農園にしたことを知りあっけにとられ、口論となった。
翌朝カレンが起きると、夫は狩りに出かけ当分戻らないと召使いファラーから聞かされた。
カレンは農場の経営と管理を、夫の不在を恨みつつ、自ら一から作り上げざるを得なかった。
カレンは農園の労働者を確保するため、近くの村を訪ねキクユ族の首長と話し、コーヒー農園への村人の協力を得たが、その地の標高はコーヒーの栽培に適さないと聞く。
カレンは村人と交流を重ねて行くうちに、ケガや病気を持った者達が居るのに気づき、治療の手助けをした。
ある日草原にでかけたカレンは、ライオンと遭遇して恐怖に固まっていると、ハンターのデニスが現れ危機を救った。
彼は、友人バークレー・コール(マイケル・キッチン)と共に、カレンの引越し祝いに来たのだ。
その夜、デニスとバークレーとカレンの3人はディナーを楽しむ。カレンがは求められ、創作の物語を話し、男達に感銘を与えた。
カレンとブロアの夫婦仲は冷めた関係であり、夫は狩りで家を長期に空け帰ってこなかった。それでもカレンは、ブロアの子を生みたいと、その不在を悲しむようになる。
そんな時、第一次世界大戦が勃発し、東アフリカでも民兵を組織し、国境を接するドイツ軍との戦闘が始まり夫ブロアもイギリス義勇軍に志願すると言う。
カレンはその旅立ちの際、あなたを愛していると言ったが、ブロアは君らしくないと言って戦地に赴いた。
1人農園を守るカレンの下に、食料を舞台まで届けて欲しいと、ブロアから連絡が入った。カレンは自ら届ける事を決意し、野生動物や敵に遭遇するかもしれない荒野を、使用人と共に困難な旅へと乗り出した。
途中ライオンに襲われ牛を喪い、更に道に迷い遭難しそうになった。その時、ハンターのデニス・フィンチ・ハットンに出会い、コンパスを貰い何とか部隊へたどり着いた。
男達が驚嘆する中、カレンと夫ブロアは再開を果たす。
その夜、カレンは農園をどうする積もりかと問うと、ブロアはハンターで生きて行きたいと口にした。アフリカに来た事を後悔しているのではと問うと、ブロアは答えずキスをしベッドへと誘った。
カレンが農園に戻ると高熱を発し、医者の診断は梅毒だというものだった。ブロアから移ったもので、ナイロビでは適切な治療を受けることが出来ないと言われ、治療のためにデンマークに帰ることになった。
ブロアは、責任を感じ、妻の不在中農場を管理することに同意した。そしてカレンがアフリカに戻ったときには、子供を産めない体となっていた。それでもブロアの遊び癖は抜けず、大晦日のパーティーで浮気が発覚し、カレンは夫に家を出ていくように告げた。
その一方カレンとデニスの仲は親密になり、共に暮らすようになる。デニスは複葉機を購入し、カレンと共に壮大なアフリカの大地の上を飛び楽しんだ。【意訳】デニス:乗れよ!/カレン:いつ操縦を習ったの?/デニス:昨日。
しかし付き合ううちに、カレンはデニスを束縛しようとし、彼は自由を求めた。デニスはカレンと一緒のときは、君を必要にしていると語り、カレンが結婚を求めると、それは二人の関係に重要な事ではないと応じなかった。最終的にデニスはカレンの家を出ていった。
そんな時カレンの農園は収穫期を迎え、幸いにも豊作となった。
しかし、火事で農場と工場が焼失し、彼女は農園を売却せざるを得なくなる。
彼女は農園で働くキクユ族のために、彼らが住む土地を与えるよう運動したが、受け入れられず、ついにはケニア新総督に直談判し、その約束を取り付けた。
カレンは残った財産を競売にかけ、デンマークへ帰る準備を整えた所に、心配したデニスが彼女の家を訪れると、そこには何もなかった。
カレンは、家はずっと空っぽだったと自嘲した。その夜デニスとカレンは最後のダンスを踊った。
デニスは、次の金曜日彼女をモンバサまで飛行機で送ると約束した。
映画『愛と哀しみの果て』予告 |
映画『愛と哀しみの果て』出演者 |
デニス・フィンチ・ハットン(ロバート・レッドフォード)/カレン・フォン・ブリクセン男爵夫人(メリル・ストリープ)/ブロア・フォン・ブリクセン男爵(クラウス・マリア・ブランダウアー)/バークレー・コール(マイケル・キッチン)/ベルナップ(シェーン・リマー)/ファラ・アデン(マリック・ボウエンズ)/カマンテ(ジョセフ・シアカ)/スティーブン・キナンジュイ(チーフ・キナンジュイ)/デラメア卿(マイケル・ゴフ)/フェリシティ・スパーウェイ(スザンナ・ハミルトン)/レディ・ベルフィールド(レイチェル・ケンプソン)/ベルフィールド卿(グラハム・クロウデン)/サー・ジョセフ・アロイシャス・バーン(レスリー・フィリップス)/レディ・バーン(アナベル・モール)/医師(ドナル・マッキャン)/大臣(ベニー・ヤング)/マリアモ(イマン)/カヌシア(ジョブ・セダ)
スポンサーリンク
映画『愛と哀しみの果て』解説映画の受賞歴・評価紹介 |
第58回アカデミー賞
受賞:作品賞/監督賞(シドニー・ポラック)/脚色賞/作曲賞/録音賞/美術賞/撮影賞
ノミネート:主演女優賞(メリル・ストリープ)/助演男優賞(クラウス・マリア・ブランダウアー)/編集賞
第43回ゴールデングローブ賞
作品賞(ドラマ部門)、助演男優賞(クラウス・マリア・ブランダウアー)、作曲賞
1977年に開催された第58回アカデミー賞で、『愛と哀しみの果て』は作品賞と監督賞で受賞し、監督兼プロデューサーのシドニー・ポラック は二つのオスカーを獲得した。
第58回アカデミー賞・監督賞スピーチ |
プレゼンターはバーブラ・ストライサンドノミネート者を紹介。
ヘクトール・バベンコ(蜘蛛女のキス)/シドニー・ポラック(愛と哀しみの果て)/ジョン・ヒューストン(女と男の名誉)/黒澤明(乱)/ピーター・ウィアー(刑事ジョン・ブック 目撃者)
受賞者はシドニー・ポラック(愛と哀しみの果て)
【受賞スピーチ・意訳】大変感謝しております。フランク・プライス(プロデューサー)がこの映画を可能にしました。彼は最も重要なときに勇気を持ち、簡単にノーと言えました。私はこの素材から脚本を作ることが不可能だとわかっていたので、挑戦しなかった。Kurt Luedtke は、それが不可能であると知らなかったので、それを成し遂げました。David Rayfiel は我々を正直にさせました。メリル、ボブ、クラウス、マリックは、これらのキャラクターに命を吹き込み、信じられないほどの世界を作りました。我々全ては、我々が前進するのを、Terry Cleggによって常に助けられてきました。私は編集者のチームがいて、週 7 日、1 日 12 時間、私と一緒に部屋に閉じこもり、世界に他に何も存在しないかのように振る舞っていました。ジョン・バリーはすべてを歌い上げました。カレン・ブリクセンはその人生を生き、そして、それを芸術に変え、その世代に散文を書く新しい方法を教えました。我が妻のクレアは、私が持つ権利以上の励ましをくれ、耐えてくれ、寛大でした。私は彼ら全員にお世話になりました。これを言わずに私は表彰台から去れません。私はメリル・ストリープがいなければ、この映画を作ることはできなかったでしょう。彼女は個人的にもプロとしても、あらゆる点で驚くべき存在であり、感謝してもしきれません。ありがとうございました。
関連レビュー:アカデミー賞紹介 『アカデミー賞・歴代受賞年表』 栄光のアカデミー賞:作品賞・監督賞・男優賞・女優賞 授賞式の動画と作品解説のリンクがあります。 |
ランクイン映画ランキング紹介
AFI(アメリカ映画協会)選出「AFI100年... 100本シリーズ」
AFI(アメリカ映画協会)100年ベスト100本リスト
AFIが映画100年を記念して、各ジャンルごとに100本の映画のランキングを発表した。
2002年:『最も情熱的なアメリカ映画ベスト100』- 13位
2005年:『アメリカ映画100年の主題曲ベスト25』- 15位
◎いろいろな『映画ベスト100』企画紹介関連レビュー:映画ランキング紹介 世界各国で選ばれた『映画100本』のリストを紹介!!! 映画界、映画ファン、映画評論家など、選定方法もさまざま! 日本映画も各リストでランクイン! |
スポンサーリンク
以下の文章には 映画『愛と哀しみの果て』ネタバレがあります。 |
(あらすじから)
しかし金曜日が来ると、デニスは現れず、変わってブロアが姿を見せ、デニスがツァボで墜落して死亡したと彼女に伝えた。
失意の中、カレンはンゴング・ヒルズでのデニスの葬儀に参列し、弔辞を読んだ。
一人残ったカレンは自分はアフリカを愛したが、アフリカは私を愛してくれただろうかと問いかける・・・・
帰国の日、ホテルで出発前の手続きをしているカレンは、初めて来たときに入室を断られた、男性専用クラブのメンバーに招かれ、彼らから別離の乾杯を受け見送られた。
モンバサ行き列車に乗る前、カレンの召使いファラに、「道を教えてくれた」とデニスからもらったコンパスを与えた。
そして、別れ際ファラに名前を呼ぶよう求め、彼が「カレン」と応えると、微かな笑みを浮かべ汽車へ向かった。
映画『愛と哀しみの果て』結末・ラスト |
デンマークに戻ったカレンの下に、手紙が届く。
デニスの墓の上に雄ライオンと雌ライオンがしばしば現れ、そこで長い時間草原を見つめくつろいでいるというもので、カレンは、それを読んで「デニスが喜びそうだ」と思った。
カレンは1934年イザック・ディネーセンという名前で最初の本『アウト・オブ・アフリカ』を出版した。彼女はその生涯で再びアフリカに戻ることはなかった・・・・