アメリカのサブ・カルチャーのインターネット・サイト「バルチャー」が、映画史上の最高の「エンディング=結末」を101本選んだのが、この『史上最高の映画エンデイング・ベスト101』(The 101 Greatest Endings in Movies History)です。
このリストには、日本の作品も2本選ばれています。
<目次> |
米サイト「バルチャー」紹介 |
『Vulture(バルチャー=はげたか)』は、雑誌『ニューヨーク・マガジン』が展開するWeb サイトには、Daily Intelligencer (最新ニュース)、Cut (女性問題)、Grub Street (食べ物とレストラン)などがあり、Vulture はポップカルチャーをテーマに編集され、アメリカ国内では有名なサブカルチャーWeb サイトだということです。
このサイトでは、映画関連の記事も充実しており、私もかつて『ラ・ラ・ランド』のデミ・アンチャゼルのインタビュー記事を、引用・紹介させて頂きました。
関連レビュー:監督の語るラストの秘密 『ラ・ラ・ランド』 デイミアン・チャゼル監督のアカデミー賞6冠作品 極上のミュージカル・エンターテインメント! ! |
ということで・・・・・
まずは「Vulture(バルチャー) 」の企画冒頭の言葉から――
『史上最高の映画エンデイング・ベスト101』『史上最高の映画エンデイング・ベスト101』。良いフィナーレはカタルシスを提供します。ベストのものは、私たちの閉塞を完全に拒否します。
すべての素晴らしい映画に素晴らしい結末があるわけではありません。逆もまた然りです: 私たちは皆、素晴らしい結末 (有名な、または近作) のおかげで、忘れ得ない映画を見た経験をしているでしょう。間違いなく、これはどんな映画にとっても最も重要な部分です。映画作家が劇場に灯が点った時どう感じてもらいたいかは、多くの場合、その映画が真に何を描いたかの鍵となります。
史上最高の映画エンデイングのリストを作成するにあたり、私たちは非常に激しく何ヶ月にもわたって多くの議論を重ね、私たちが他のものよりも成功していると見なす特定のタイプに惹かれていることに気付きました。何らかを説明するつもりだったが、密かに説明しなかった結末。我々(と登場人物)の終焉を否定した結末。人々が踊るエンディングだが、必ずしも喜びに満ちた、勝利を収めているわけではない。それは、私たちが生きる時代を反映していたかもしれない。(暗く、不確かで、多くは人間の慄きが特徴として表されます。)時として、私たちはカタルシスで、幸福の涙に顔を濡らすフィナーレに向かいますが、私たちはしばしば、それが欠けている種類の物語に意見を述べていることに気づいた。それに終わりは無い。
以上、大幅に意訳してます。原文はこちら⇒『100-greatest-world-cinema-films』
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米サイト「バルチャー」 |
当ブログで記事にしている映画にはリンクが貼ってありますので、良かったらお読みください。
○映画リストに合わせてBGMに『マンマ・ミーア』のこの曲はいかが?
101. 愛のイエントル(バーブラ・ストライサンド, 1983)
100.ティングラー/背すじに潜む恐怖(1959,ウィリアム・キャッスル)
99. ビビアンの旅立ち (ドナ・ディッチ, 1985)
98. アス (ジョーダン・ピール, 2019)
97.大いなる幻影(ジャン・ルノワール、1937年)
96. ブレージングサドル (メル・ブルックス, 1974)
95. マイキー&ニッキー/裏切りのメロディ (エレイン・メイ、1976年)
94. 何がジェーンに起ったか? (ロバート・アルドリッチ, 1962)
93. アナザーラウンド (トマス・ヴィンターベア, 2020)
92. 未来世紀ブラジル (テリー・ギリアム, 1985)
91. High Tide (ジリアン・アームストロング, 1987)
90. ラガーン (アシュトーシュ・ゴーワリケール, 2001)
89. ザ・ペインター・アンド・ザ・シーフ (ベンジャミン・リー, 2020)
88. ピクニックatハンギング・ロック (ピーター・ウィアー, 1975)
87. マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー (オル・パーカー, 2018)
86. 忘れじの面影(マックス・オフュルス、1948)
85. 魂のゆくえ (ポール・シュレイダー, 2018)
84. フリークス(トッド・ブラウニング, 1932)
83. クレメンシー(シノニエ・チュクウ, 2019)
82. プレイヤー/死の祈り (ケイシー・レモンズ, 1997)
81.羊たちの沈黙(ジョナサン・デミ、1991)
80. ポゼッション (アンジェイ・ズラウスキー, 1983)
79.オーソン・ウェルズのフェーク(オーソン・ウェルズ、1977年)
78. ラスト・デイズ・オブ・ディスコ (ホイット・スティルマン, 1998)
77. Losing Ground (キャスリーン・コリンズ, 1982)
76. Sound of My Voice (ザル・バトマングリ, 2011)
75. 月の輝く夜に (ノーマン・ジュイソン, 1987)
74.イングロリアス・バスターズ(クエンティン・タランティーノ、2009年)
73.火垂るの墓(高畑勲, 1988)
72. ヒッチ・ハイカー (アイダ・ルピノ, 1953)
71. 隠された記憶(ミヒャエル・ハネケ、2005年)
70.アメリカン・グラフィティ(ジョージ・ルーカス、1973年)
69. パンと植木鉢 (モフセン・マフマルバフ, 1996)
68. ディセント (ニール・マーシャル、 ジョン・ハリス, 2005)
67.ギミー・シェルター(アルバート・メイスルズとデビッド・メイスルズ、シャーロット・ツヴェリン、1970年)
66.アダプテーション (スパイク・ジョーンズ, 2002)
65. パララックス・ビュー (アラン・J・パクラ, 1974)
64.ピアノ・レッスン(ジェーン・カンピオン、1993年)
63. ウィッカーマン (ロビン・ハーディ, 1975)
62.ありがとう、トニ・エルドマン (マーレン・アデ, 2016)
61.ソーシャル・ネットワーク(デヴィッド・フィンチャー、2010年)
60.戦場でワルツを (アリ・フォルマン, 2008)
59. プレステージ (クリストファー・ノーラン, 2006)
58.カサブランカ(マイケル・カーティス、1943年)
57.陽のあたる場所(ジョージ・スティーヴンス、1951)
56.ブレア・ウィッチ・プロジェクト(ダニエル・マイリック、エドゥアルド・サンチェス、1999年)
55.テルマ&ルイーズ(リドリー・スコット、1991年)
54. 永遠に美しく… (ロバート・ゼメキス, 1992)
53.ファニーとアレクサンドル(イングマール・ベルイマン、1983)
52.天国と地獄(黒澤明、1963年)
51.ムーンライト(バリー・ジェンキンス、2016)
50.赤ちゃん泥棒(イーサンとジョエル・コーエン、1987)
49. 失踪 (ジョルジュ・シュルイツァー, 1988)
48. フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法 ( ショーン・ベイカー, 2017)
47.ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド(ジョージ・A・ロメロ、1968)
46.ブギーナイツ(ポール・トーマス・アンダーソン、1997年)
45. ジェラシー(ニコラス・ローグ, 1980)
44. チャンス (ハル・アシュビー, 1979)
43. 女相続人 (ウィリアム・ワイラー, 1949)
42. 長く熱い週末 (ジョン・マッケンジー, 1980)
41.大樹のうた(サタジット・レイ、1959年)
40.ライフ・オブ・ブライアン(テリー・ジョーンズ、1979年)
39. 『ミニミニ大作戦』(ピーター・コリンソン、1969年)
38. ラスト、コーション (アン・リー, 2007)
37.メランコリア(ラース・フォン・トリアー、2011年)
36.モーヴァン (リン・ラムジー, 2002)
35. ローカル・ヒーロー/夢に生きた男 (ビル・フォーサイス, 1983)
34. ラヴソング (ピーター・チャン, 1996)
33. Z (コスタ=ガヴラス、1969)
32. レイダース/失われたアーク (スティーヴン・スピルバーグ、1981)
31.街の灯(チャーリー・チャップリン、1931年)
30. The Thin Blue Line (エロール・モリス, 1988)
29.ナッシュビル(ロバート・アルトマン、1975年)
28.イヴの総て(ジョーゼフ・L・マンキエヴィッツ、1950年)
27.鳥(アルフレッド・ヒッチコック、1963)
26.捜索者(ジョン・フォード、1956)
25.25時(スパイク・リー、2002年)
24.ゴッドファーザーV(フランシス フォード コッポラ、2020 年)
23.逢びき(デヴィッド・リーン、1945)
22.花様年華(ウォン・カーウァイ、2000)
21.情熱の航路 (アーヴィング・ラパー, 1942)
20.最後の誘惑(マーティン・スコセッシ、1988)
19.ベスト・フレンズ・ウェディング(PJ・ホーガン、1997年)
18.ハートブルー(キャスリン・ビグロー、1991)
17.ビフォア・サンセット(リチャード・リンクレイター、2004)
16.ヒート(マイケル・マン、1995年)
15. ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン (シャンタル・アケルマン, 1975)
14.オリーブの林をぬって(アッバス・キアロスタミ、1994)
13. アクト・オブ・キリング (ジョシュア・オッペンハイマー, 2012)
12. 遊星からの物体(ジョン・カーペンター, 1982)
11.マルホランド・ドライブ(デイヴィッド・リンチ、2001年)
10. 燃ゆる女の肖像 ( セリーヌ・シアマ, 2019)
9. 孤独な場所で (ニコラス・レイ, 1950)
8.アイズ ワイド シャット(スタンリー キューブリック、1999)
7. 8 1/2 (フェデリコ・フェリーニ、1963)
6. あの日のように抱きしめて (クリスティアン・ペツォールト, 2014)
5.お熱いのがお好き(ビリー・ワイルダー、1959)
4.ビッグ・ナイト(スタンリー・トゥッチ、キャンベル・スコット、1996)
3.母(ポン・ジュノ、2009)
2.第三の男(キャロル・リード、1949年)
1. 美しき仕事 (クレール・ドニ, 1999)
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米サイト「バルチャー」『史上最高の映画エンデイング・ベスト101』リストの感想 |
面白い切り口だと思うのですが―
実を言えば、ランクイン作品で見逃してる映画も多く、正当な評価できるとは言いかねるものの、それでも個人的にはこの映画のラストが入っていないのかと疑問に思う作品が、数多くあります。
そして、私にとって印象深かった「エンディング」を紹介したいという衝動を、どう〜しても抑えられません。
そこで、順不同でこのラストは見逃すなという映画を、ごり押し紹介させていただきます。
私的『史上最高の映画エンデイング』リスト |
『ニューシネマパラダイス』
映画好きなら同意して頂けるでしょう、珠玉のラストに涙!
イタリア映画:1989年
『ニューシネマパラダイス』
ジュゼッペ・トルナトーレ監督の語る映画の快楽
旧き映画のノスタルジー
『市民ケーン』
映画史上最高作品との声も高い古典は、ラストも象徴的!
アメリカ映画:1941年
映画『市民ケーン』
ユニークな映画技術のオンパレード!!
映画史上に永遠に刻まれた古典的傑作
『サイコ』
サイコホラーの古典!このラストの驚くべき真実に恐怖!
アメリカ映画:1960年
ヒッチコック『サイコ』
巨匠ヒッチコック監督の驚愕の傑作!!
サイコ・ホラーの地平を切り開いたパイオニア
『ローマの休日』
オードリー・ヘップバーンの古典的恋愛劇の最後は、切なくも気品と威厳が漂う!
アメリカ映画:1953年
『ローマの休日』
オードリー・ヘップバーンのデビュー作
プリンセスの一夜の恋を描く古典的名作
『太陽がいっぱい』
フランス映画の傑作、アラン・ドロンの完全犯罪が迎えた結末とは?フランス映画の「フィルム・ノワール」のラストはキレの良いものが多い。
フランス映画:1960年
『太陽がいっぱい 』
アラン・ドロン主演のアイドル映画の傑作!
名匠ルネ・クレマン監督の傑作サスペンス!!
ルイ・マル監督『死刑台のエレベーター』、アンリ・ヴェルヌイユ監督『地下室のメロディー』、そしてヌーヴェル・ヴァーグを代表するジャン・リュック=ゴダール監督『勝手にしやがれ』のラストもクール!そしてアメリカン・ニュー・シネマ『俺達に明日はない』『イージー・ライダー』などに影響を与えていると思える。
『猿の惑星』
このSF映画の古典、そのラストシーンは、当時あまりに衝撃的!!
アメリカ映画:1968年
『猿の惑星』
猿の惑星オリジナル版!衝撃のラストを見逃すな!
当時のアメリカ社会を反映した、人種間の軋轢を解説。
SF映画は鮮烈なラストが多い。メジャーな所ではスタンリー・キュブリック監督『2001年宇宙の旅』の難解な叙事詩的ラストシーンや、マイナーながら衝撃的な『未知への飛行』、『ソイレント・グリーン』など見逃せないラストが多い。
『セブン』
デヴィッド・フィンチャー監督の映画史上最高のバッドエンド!
アメリカ:1995年
映画『セブン』
デヴィッド・フィンチャーの驚愕の傑作!!
ブラッド・ピットとモーガン・フリーマンの現代の黙示録
同様のバッド・エンド作品には、 ラース・フォン・トリアーの『ダンサー・イン・ザ・ダーク』も思い浮かぶ。
『ライフ・オブ・パイ』
映画のラストで、それまでの物語の意味が逆転する、哲学的映画。
アメリカ映画:1999年
『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
アン・リー監督のアカデミー賞督賞含む最多4部門受賞
虎と漂流する少年の驚愕の秘密とは!?
『テキサスの五人の仲間』
まさかの結末の代表作はこれ!!
アメリカ映画:1966年
『テキサスの5人の仲間』
絶対内容には触れられないけど、おススメしたい映画!!!
何が何でも見て欲しいと強引にプッシュします。
同様のどんでん返しのラストは、古くはドイツ象徴主義の古典『カリガリ博士』や、ビリー・ワイルダー監督『情婦』や『スティング』、そして『シックス・センス』など、ラストの定型表現として数々思い浮かぶ。
『東京物語』
日本映画の古典で言えば、小津安二郎監督の『東京物語』のラストは、日本的「もののあわれ」を感じる。
日本映画:1953年
『東京物語』
世界的にも高く評価される小津監督の名作
日本的な世界観、美意識が映像として定着
日本映画で言えば、溝口健二監督の『近松物語』の愛の愉悦に満ちたラストや、山田洋次監督『幸福の黄色いハンカチ』のラストも忘れられない。
チャップリン『独裁者』
この映画のラスト、力強い人類へのメッセージは、映画が世界に示した崇高な理想。
アメリカ映画:1940年
チャップリン『独裁者』
ヒットラーに見せたチャップリンの意地!
映画史上に残る古典!ラストの名演説は必見
チャップリンで言えば『サーカス』のラスト、小さくなる後ろ姿も思い浮かぶ。このチャップリンの後ろ姿は、イタリアン・ネオ・リアリズモ『自転車泥棒』でも使われ、一つの典型として今に残る。例えばオスカー受賞作『マンチェスタ―・バイ・ザ・シー』のラストシーンもこの伝統に則ったものだと感じる。
映画好きなら、みんな心に残るラストシーンをお持ちでしょう。
このリストを見て、私がそうだったように、皆さまの中の最高のエンディングを発見する契機になれば幸いです。
世界中で、いろいろな観点で、さまざまな企画で映画ランキングが発表されています。
◎いろいろな『映画ベスト100』企画紹介 世界各国で選ばれた『映画100本』のリストを紹介!!! 映画界、映画ファン、映画評論家など、選定方法もさまざま! 日本映画も各リストでランクイン! |
また映画の歴史に興味があれば、アメリカのアカデミー賞の歴代作品のリストはいかがでしょうか?
関連レビュー:オスカー受賞一覧 『アカデミー賞・歴代受賞年表』 栄光のアカデミー賞:作品賞・監督賞・男優賞・女優賞 授賞式の動画と作品解説のリンクがあります。 |
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