原題 The Godfather 製作国 アメリカ 製作年 1972 上映時間 177分 監督 フランシス・フォード・コッポラ 脚本 フランシス・フォード・コッポラ、マリオ・プーゾ 原作 マリオ・プーゾ |
評価:★★★★★ 5.0点
この映画は、すでに古典映画として評価が確立した一本だ。
当時タブーだったイタリアン・マフィアの姿を重厚に描いて、ある種の神話的風格を持った映画として今に残る。
商業的にも批評的にも成功を収めたこの作品は、当時オスカー3冠に輝き、公開後50年を経とうとする今となっては、古典として歴史に刻まれる映画となった。
<目次> |
映画『ゴッドファーザー』詳しいあらすじ |
屋敷の暗い書斎、ニューヨーク・マフイアの一家のドン、ビトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)が、知り合いの困りごとを聞いている。そこには、長男のソニー(ジェームズ・カーン)、次男のフレド(ジョン・カザール)、そして孤児を養子とし弁護士となったトム・ハーゲン(ロバート・デュヴァル)が傍らに控えていた。
ドンは、自分を頼る陳情者の願いを聞き入れ、金はいらないが、友情と敬意を払い、自分が必要とした時には協力すると約束させ、その頼みを聞き入れた。
その庭では縁者や、友人、ファミリーのメンバーが集り、華やかに彼の娘コニー(タリア・シャイア)の結婚パーティーが繰り広げられていた。そこに、第二次世界大戦から戻った三男のマイケル(アル・パチーノ)も、恋人のケイ(ダイアン・キートン)を連れて式に現れる。
しかしケイはコルレオーネ家がマフィアだとは知らず驚く。
その参列者の1人に、ドンの名付け子の歌手ジョニー・フォンテーン(アル・マルティーノ)もいた。
今は落ち目になっている彼は、映画の仕事を得て俳優として華々しくカムバックしたいと、ハリウッドで権力を持つプロデューサー、ウォルツ(ジョン・マーレイ)に働きかけてくれと泣きつきに来たのだ。
ドンはその頼みを聞き入れ、ウォルツにコンタクトを取るが、激しい拒絶にあった。
すると、ある朝ウォルツのベッドに60万ドルのサラブレッドの首が転がっていた。
そして、フォンテーンは映画の役を獲得した。
そんなドンの下に、麻薬を扱うギャング、ソロッツォ(アル・レッティエーリ)が政界や警察にコネのあるドンと、提携したいと面談に来た。
ドンは麻薬を扱うことは出来ないと断る。
するとソロッツォは、街頭でドンを強襲し数発の銃弾を撃ち込んだ。
ソロッツォの後ろにはタッタリア・ファミリーがおり、ニューヨークの五大ファミリーは激動を迎え、コルレオーネ・ファミリーはその挑戦の矢面に立った。
ドンは一命を取り止め病院に入ったものの、息子マイケルが見舞いに駈けつけた時、そこには警護の者がいず襲撃の危険があり、咄嗟の機転で父の命を守った。
長男のソニーは部下を指揮し、臨戦態勢を整え、タッタリアの二代目を殺した。
顧問役のトムは、和平の道を模索していたが難しくなり、ソニーと激しい口論となる。
しかし、ソロッツォが調停を申し込み、その交渉役としてマイケルを指名した。
マイケルはファミリーの仕事に手を染めていなかったが、父と一家の危難にソロッツォの暗殺を買って出た。
彼は交渉の場であるレストラン『ルイズ』に赴き、この大役を果たすと、父の故郷シシリーへ身を隠した。
マイケルはシシリー島の娘アポロニア(シモネッタ・ステファネッリ)と恋に落ち妻とし、ひと時の安らぎを得たが、その妻を車に仕掛けられた爆弾で殺された。
抗争は更に激しさを増し、結婚した妹・コニーの夫カルロ(ジャンニ・ルッソ)の罠に落ち、長男ソニーもタッタリアの手勢に殺される。
そんななか退院したドンは、長男の死を嘆き、これ以上犠牲者を出すまいと、ニューヨークの各ファミリーのドンを集めた。
その場で、ドンにとっては大きな譲歩を提示し、和解を求め手打ちが成立した。
ドンはマイケルの命を守るため、抗争を止めたのだった。
映画『ゴッドファーザー』予告 |
映画『ゴッドファーザー』出演者 |
ヴィトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)/ マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)/ソニー・コルレオーネ(ジェームズ・カーン)/フレド・コルレオーネ(ジョン・カザール)/トム・ヘイゲン(ロバート・デュヴァル)/ケイ・アダムス(ダイアン・キートン)/コニー・コルレオーネ(タリア・シャイア)/サル・テッシオ(エイブ・ヴィゴダ)/マクラウスキー警部(スターリング・ヘイドン)/アポロニア(シモネッタ・ステファネッリ)/カルロ・リッツィ(ジャンニ・ルッソ)
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映画『ゴッドファーザー』解説映画の評価 |
映画『ゴッドファーザー』映画ランキング評価 |
世界各国で映画のベストを集計するランキングが企画されており、そこでは『ゴッドファーザー』がランクインしないのが不思議だと思えるほど、高く評価されています。
「映画史上最高の作品ベストテン」(英国映画協会『Sight & Sound』誌発表)※10年毎に選出
2002年:「映画批評家が選ぶベスト100」第4位
2002年:「映画監督が選ぶベスト100」第2位
2012年:「映画批評家が選ぶベスト100」第21位
2012年:「映画監督が選ぶベスト100」第7位
「AFIアメリカ映画100年シリーズ」(AFIアメリカ映画協会発表)
1998年:「アメリカ映画ベスト100」第3位
2001年:「スリルを感じる映画ベスト100」第11位
2005年:「映画音楽ベスト100」第5位
2005年:「アメリカ映画の名セリフベスト100」第2位
2007年:「アメリカ映画ベスト100(10周年エディション)」第2位
その他のランキング
2000年:「20世紀の映画リスト」(米『ヴィレッジ・ヴォイス』紙発表)第11位
2008年:「歴代最高の映画ランキング500」(英『エンパイア』誌発表)第1位
2008年:「史上最高の映画100本」(仏『カイエ・デュ・シネマ』誌発表)第36位
2010年:「エッセンシャル100」(トロント国際映画祭発表)第4位
2013年:「オールタイムベスト100」(米『エンターテイメント・ウィークリー』誌発表)第2位
2015年:「100本の偉大なアメリカ映画」(英BBC選出)第2位
2019年:『史上最高の映画ベスト100』(『Time Out』誌発表)第2位
日本のランキング企画
1995年:「オールタイムベストテン・世界映画編」(キネマ旬報発表)第18位
1999年:「映画人が選ぶオールタイムベスト100・外国映画編(キネ旬創刊80周年記念)」(キネ旬発表)第7位
2009年:「映画人が選ぶオールタイムベスト100・外国映画編(キネ旬創刊90周年記念)」(キネ旬発表)第1位
関連レビュー:◎『映画ベスト100』企画を紹介! 世界各国で選ばれた『映画100本』のリストを紹介!!! 映画界、映画ファン、映画評論家など、選定方法もさまざま! 日本映画も各リストでランクイン! |
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映画『ゴッドファーザー』映画祭・受賞歴 |
また各国で開催される、映画祭でも高い評価を獲得しています。
第74回ゴールデングローブ賞
作品賞 (ドラマ部門)/監督賞:フランシス・フォード・コッポラ/主演男優賞 (ドラマ部門):マーロン・ブランド/脚本賞:フランシス・フォード・コッポラ、マリオ・プーゾ/作曲賞:ニーノ・ロータ
英国アカデミー賞
アンソニー・アスキス賞:ニーノ・ロータ
ニューヨーク映画批評家協会賞
助演男優賞:ロバート・デュヴァル
アカデミー賞
作品賞/主演男優賞:マーロン・ブランド/脚色賞:マリオ・プーゾ、フランシス・フォード・コッポラ
第45回アカデミー賞・主演男優賞スピーチ |
プレゼンターはリブ・ウルマンとロジャー・ムーア。
ノミネート者を紹介。
マーロン・ブランド(ゴッド・ファーザー)/マイケル・ケイン(探偵スルース)/ローレンス・オリヴィエ(探偵スルース)/ピーター・オトゥール(The Ruling Class)/ポール・ウィンフィールド(サウンダー)
受賞者はマーロン・ブランド。
代理出席サチーン・リトルフェザーにプレゼンターのロジャー・ムーアがオスカー像を差し出すが、受け取りを拒否した。
【マーロン・ブランド受賞スピーチ・意訳】
代理サチーン・リトルフェザー:こんにちは。私の名前はサチーン・リトルフェザーです。私はアパッチです。私は全米先住民族イメージ向上委員会の会長です。私は今夜マーロン・ブランドの代理です。彼の依頼は非常に長いスピーチを皆さんに伝えることです。それを今現在、限られた時間で私がここで共有することはできませんが、幸いなことにマスコミを通じ、後ほど皆さんにお伝えします。彼は非常に残念ながら、この寛大な賞を受け入れることができません。その理由は、今日の映画産業によるアメリカインディアンの扱いです。失礼ですが。テレビの映画再放送、および最近のウンデッド・ニー事件(白人によるインディアンへの残虐行為)です。私は今夜、その場に立たないことで、我々が将来、我等の心と我等の理解が愛と寛大さと出会うことを願っています。マーロン・ブランドに代わって感謝します。
第89回アカデミー賞・脚色賞スピーチ |
プレゼンターはジャック・レモン。
【大意】この世を去った、記憶に残り、時代を反映した、我々に多くのギフトと才能を与えてくれた、この場の全ての者が感謝すべき作家がいる。比すべき者のないノエル・カワード氏だと語り拍手を浴びた(授賞式前日ノエル・カワードは死去)
ノミネート者を紹介。
ジェイ・プレッソン・アレン(キャバレー)/ ベント・フォルスランド、ヤン・トロエル(移民者たち)/ フランシス・フォード・コッポラ、マリオ・プーゾ(ゴッドファーザー)/ ジュリアス・J・エプスタイン(おかしな結婚)/ ロン・エルダー三世(サウンダー)
受賞者はマーロン・ブランド。
【マーロン・ブランド受賞スピーチ・意訳】
ドロシー・アンプーゾ:私の父は、この素晴らしい名誉を、アカデミー協会に感謝していると思います。
私は父に感謝したいと思います。そして、私は彼がこの場に居れて、彼自身がこの名誉を完全に受けとれたら良かったと思っています。どうもありがとうございました。
フランシス・フォード・コッポラ:
私がここに到着したとき、私がここに来ても何も言う準備をしてなかったので、とても神経質になりました。そして約40分後に何か言うことを考えたのですが、しかし、ここに来てそれを言えなくなってしまったので、私の緊張が始まってます。そして、それが何だったにしても、私はそれを忘れてしまいました。
最初に、ピーター・バートに感謝したいと思います。私のこの仕事の最初から助けてくれ、サンフランシスコの素晴らしい、ロマンチックな資金獲得の冒険から救ってくれ、生き延びさせてくれた。それから信頼を込めて、私はマーロンとアル・パチーノの非常に美しい庭のシーンを書いたボブ・タウンに感謝したいと思います。それがボブ・タウンのシーンでした。そして最後に、ボブ・フォスを祝意を表したいと思います。また、監督が獲得できる最高の賞は、彼の一番の友、親愛なる仲間、俳優である3人、ジミー・カーン、アル・パチーノ、ボビー・デュバルが同じカテゴリで、ノミネートされたことです。どうもありがとうございました。
第89回アカデミー賞・作品賞スピーチ |
プレゼンターはクリント・イーストウッド。
ジョン・ウェインの映画で撃たれた全てのカウボーイになり代わってプレゼンターを務める。全ての候補作を見たが、どれも素晴らしく、違いが際立っていたと、各作品に言及し素晴らしい映画だとして、ノミネート者を紹介。
キャバレー/脱出/移民者たち/ゴッドファーザー/サウンダー
受賞作はゴッドファーザー。
【ゴッドファーザー受賞スピーチ・意訳】
アルバート・S・ルーディー:
今、失敗しないように!少し緊張しています。ニューヨークは真夜中過ぎで、親戚の何人かが寝たがってるので、この2つをすばやく行います。
他の皆と同じように、感謝に値する人がたくさんいます。ボブ・エヴァンス、時間と創造性の中でスタジオ所長より多を与えてくれた。この映画を売って母を金持ちにする勇気と想像力を持っていたフランク・ヤブランス。映画に資金を提供する勇気があったチャーリー・ブラドルン、私は狂気との境界線だと推測します。そしてずっと友達だったピーター・バート。
そして、最後に、何百万人もの人々がそこにいて、映画を愛し、映画を作りたいと願い、これを見たい人たちがいるのは不思議なことです。アメリカには映画ビジネスが必要であり、映画ビジネスにはアメリカが必要です。良い映画には良い視聴者が必要なので、良い視聴者には良い映画が必要です。私たち全員が、少なくとも私が望んでいるアメリカンドリームは、これに代表されます(オスカーを上げる)。もし我々が働こうと思い、夢を持って、これを手に入れようとするなら、それは誰でも可能です。大変感謝しています。
関連レビュー:アメリカ映画界の歴史アカデミー賞紹介 『アカデミー賞・歴代受賞年表』 栄光のアカデミー賞:作品賞・監督賞・男優賞・女優賞 授賞式の動画と作品解説のリンクがあります。 |
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以下の文章には 映画『ゴッドファーザー』ネタバレがあります。 |
(あらすじから)
マイケルはアメリカに戻ると、ドンの下ファミリーの仕事に手を染めつつ、恋人ケイにプロポーズをし彼女は受けいれた。
そして、マイケルはドンの跡を継ぐと、徐々にその勢力を伸ばして行った。
引退したビトー・コルレオーネは、孫アンソニーと遊び、マイケルの相談者として日々を過ごす。
ビトーは、マイケルに、お前は議員のような表の人間になって欲しかったと、複雑な胸中は吐露し詫びた。
ある日曜日の朝、ビトー・コルレオーネは、緑に茂った畑で孫と遊ぶ中、その人生を終えた。
葬儀の場では、早速ニューヨーク五大ファミリーが不穏な動きをみせていた。
しかしマイケルも、それまで実行を控えていた復讐を決行する。
妹コニーの息子の洗礼式の日。マイケルは子供の名付け親(ゴッドファーザー)と成った。
その同時刻タッタリアを初め、ニューヨークの五大ファミリーのドンを抹殺した。
そして、組織の裏切り者を粛清し、長兄ソニーを罠に陥れたコニーの夫カルロも殺した。
映画『ゴッドファーザー』結末 |
妹コニーはマイケルを訪れ、カルロを殺したことを責めた。
それを聞いたマイケルの妻ケイは、眼に涙を浮かべ夫にカルロを本当に殺したのかと問うた。
マイケルは怒りを見せ、「仕事に口を出すな」と声を荒げたが、妻の顔を見て「今回だけ答えてやる」と質問を受けた。
妻ケイは「本当にカルロを殺したの?」とマイケルに問う。
マイケルは「ノー」と答えた。
【意訳】マイケル:ヒステリーだ。/ケイ:本当なの?/マイケル:おれに仕事のことは聞かないでくれ。/ケイ:いやよ!/マイケル:もういい!(机を叩く)分かった、これ一度きりだ。この一度だけ君の質問に答える。/ケイ:本当なの?/マイケル:いいや。/ケイ:私達飲み物が必要ね。/手下:ドン・コルレオーネ。
安堵するケイの背後で、マイケルを取り囲んだ手下たちが“ドン・コルネオーレ”と彼に臣従を誓う声が聞こえた。
そして、その書斎のドアが閉じられた。
THE END。
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