2020年11月14日

傑作映画『セブン』戦慄のダークムービー!再現スト―リー/詳しいあらすじ・感想・ネタバレ・結末

映画『セブン』詳しいあらすじ・ネタバレ 編

原題 Se7en
製作国 アメリカ
製作年 1995
上映時間 126分
監督 デヴィッド・フィンチャー
脚本 アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー


評価:★★★★  4.0点



デビッド・フィンチャー監督の恐るべき傑作。

脚本の研ぎ澄まされた精度。その脚本を最大源に表現する、演出と映像のビジュアルデザインの完成度の高さ。

そして、そのラストの衝撃ー
グロテスクな表現と、観賞後の後味の悪さに、耐性がある方なら、まずはご覧になられることをオススメする。
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<目次>
映画『セブン』詳しいあらすじ
映画『セブン』予告・出演者
映画『セブン』感想
映画『セブン』ネタバレ
映画『セブン』結末

映画『セブン』詳しいあらすじ

朝、停年を一週間後に控えた、刑事のウィリアム・サマセット刑事(モーガン・フリーマン)は出署の準備をしていた。
そこへ連絡が入り、殺人現場に向かうと、妻が夫を殺した血だらけの状況で、サマセツトは子供が現場を見たかどうかを気にし、同僚に俺達の仕事じゃないと嫌がられた。そこに、意欲に溢れた新人刑事デビッド・ミルズ刑事(ブラッド・ピット)が、赴任の挨拶に来た。
サマセツトはなぜこんな町を選んで来たと訊ね、当分は黙って見ていろと命じた。

月曜日
そんな二人が、ある事件の現場に向かうと、過剰に肥満体の男の死体が、スパゲッティの皿に顔を突っ込み死んでいた。死因は食物の大量摂取とその状態で腹部を殴打されたことによる内臓破裂だった。
サマセツトは、これは連続殺人の前触れで、退職を目前とする自分の事件ではないと、分署長(R・リー・アーメイ)に担当を拒否するが押し付けられる。

火曜日
事件の次の被害者はヤリ手弁護士のグールドで、現場には被害者の血で「GREED(強欲)」の文字が残されており、「ベニスの商人」のように、犯人が被害者に贅肉を削ぎ落とさせていた。
サマセットが最初の被害者の部屋を再調査すると、冷蔵庫の裏に「GLUTONY(大食)」という文字が発見される。
サマセットは分署長とミルズを前に、これは七つの大罪に基づく犯罪だと告げた。
その夜サマセットは図書館に行き「失楽園」など七つの大罪関連の本を調べた。

水曜日
強く雨が降っている。
サマセットはミルズの妻トレイシー(グウィネス・パルトロー)に夕食に招かれ、招待を受けた。
サマセットとトレイシーは地下鉄で揺れるアパートの冗談を言い、共に大笑いすると打ち解けた。
その晩、サマセットとミルズの2人は弁護士グールドの事件証拠を検討し、サマセットは「ベニスの商人」のように、犯人が被害者に贅肉を削ぎ落とさせていたことを発見する。その晩グールド夫人に写真を見てもらうと、夫人は一枚の絵が逆になっていると証言する。
2人が現場でその絵を調べると、壁に「HELP ME」と書かれ、指紋が残されていた。そこから犯罪歴のあるヴィクターという男が浮上した。

木曜日
警察ではスワット部隊によりヴィクターの部屋を急襲すると、左手首と舌を切断され、やせ細った状態で発見された。
壁には「SLOTH(怠惰)」の文字が書かれ、犯人は1年前からヴィクターを衰弱させるよう周到に計画を練っていたのだ。
被害者は病院に運び込まれたが死を前にして証言は望めなかった。

金曜日
サマセットはトレイシーに相談に乗って欲しいと呼び出された。
子供が出来たが、この町で子供を生むか迷っていると聞かされた。サマセットは自分の子供を宿した女がいたが、この酷い世界に子供を産むべきかと自問自答し、結局堕胎させ、そして未だにその事を考えると語った。
そして「もし産まないならミルズに言うな。もし産むなら、その子を精一杯甘やかしてやれ」と話す。
それを聞いた、トレイシーは吹き出すように涙をこぼした。

連続殺人は行き詰まり、ミルズは待つだけかとイライラしだす。そんな時、サマセットは図書館で「七つの大罪」関連書物を大量に借り出した名無しの権兵衛を意味する「ジョン・ドウ(ケヴィン・スペイシー)」と名乗る人物を割り出し、その住所であるアパートのドアをノックした。
そこに帰宅してきたジョン・ドウは銃を発砲し逃げた。

ミルズが追跡すると、ジョンに反撃され頭部を殴られもうろうとし、銃を頭に突きつけられる。

しかし、ジョンは撃たず立ち去った。
ジョンの部屋を捜査すると、一連の事件の証拠が出てきた。そこへジョン・ドウから電話が入り、彼は自分を見つけたミルズを誉めた。
そして、計画を変更すると告げ電話を切った。

土曜日
ジョンドゥの部屋で押収した資料を基に、ボンデージショップで聞き込みをする二人。
そこに連絡が入り、4番目の犠牲者として娼婦が殺されていた。現場には「LUST(肉欲)」と、書き残されていた。
その晩、バーで酒を飲む二人は、事件に関して語り合う。
サマセットが現代の他者への無関心への絶望を語るのに対し、ミルズは俺には関係ない無関心にはならないと語り、あんたが無関心なのは刑事を辞めるから、そう思いたいんだと言い捨て帰った。

日曜日
モデルが鼻を削がれた死体で発見され、そこには「PRIDE(高慢)」と書かれていた。
現場から戻るとき、サマセットは定年を延長し、この事件が終結するまで残るとミルズに告げた。
そんな、サマセットとミルズは警察署内で突然呼び止められた。

声の主は血塗れの服を着たジョンで、自首してきた彼に署内は騒然となった。

映画『セブン』予告

映画『セブン』出演者

デビッド・ミルズ刑事(ブラッド・ピット)/ウィリアム・サマセット刑事(モーガン・フリーマン)/トレイシー・ミルズ(グウィネス・パルトロー)/警部(R・リー・アーメイ)/マーティン・タルボット検事(リチャード・ラウンドトゥリー)/マーク・スワー弁護士(リチャード・シフ)/ジョン・ドゥ(ケヴィン・スペイシー)/テイラー刑事(ダニエル・ザカパ)/カリフォルニア(ジョン・C・マッギンリー)/マッサージ店の被害者の男(リーランド・オーサー)/マッサージ店の受付係(マイケル・マッシー)/ワイルド・ビル(マーティン・セレン)/ベアーズリー医師(リチャード・ポートナウ)/オニール医師(ピーター・クロンビー)/デイヴィス巡査(ジョン・カッシーニ)/ジョージ(ホーソーン・ジェームズ)/FBI捜査官(マーク・ブーン・Jr.)/図書館の警備員(ロスコー・デヴィッドソン)/グールド夫人(ジュリー・アラスコグ)/ミルズに詰め寄る女記者(ドミニク・ジェニングス)/ニュースキャスター(ビヴァリー・バーク)/案内する警官(デヴィッド・コレイア)/配達員(リッチモンド・アークエット)

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映画『セブン』感想


この作品は、本来否定されなければならない。
なぜなら、グロテスクで、残酷で、生理的不快感を感じさせ、悪意に満ちて、反社会的で、そんな「負の力」に満ちたドラマだと万人が感じるだろうからだ。
本来、そんな黒く塗られた世界のドラマに求められたのは、「負」を逆転させる「正の力」の行使だった。
つまり、勧善懲悪の明快な、正義の勝利であり、悪意を消し去る、愛の偉大さであった。
従来のドラマは、どれほど邪悪で反社会的な世界を描いても、最終的に正しい者、道徳モラルが勝利することでカタルシスを生んでいたのである。

ところが、この映画は圧倒的な悪の勝利で終わる。

私は、かつて「時計仕掛けのオレンジ」を評して、そのデザインとスタイリッシュな姿に魅了されながらも、そこで描かれたサイコパスを肯定するドラマを認められず、否定的に評価せざるを得なかった。
関連レビュー:サイコパスを美しく書くことは罪か?
『時計仕掛けのオレンジ』
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伝説のカルト映画が投げかける、暴力と美の関係とは?

この映画の場合、悪を魅力的に描いているわけではないが、善が悪に染まるという点で「勧善懲悪」というよりも「勧悪懲善」というドラマとなっており、それは見るものに確実にストレスを与えるものだ。
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そして、この作品の脚本は「悪に占拠された現代社会を生きる人々」の運命を描き、ほぼ完璧に近いと感じた。

この世を地獄として描き、その地獄の姿を渾身のビジュアルテクニックと、容赦ないストーリーで完膚なきまでに描きつくした。
そのラストのミルズの運命を含め、この映画にはこの世の醜さと救済の不在を、これでもかとばかりに展開され、見続ける事の苦痛を感じた。

しかし、そのグロテスクさと残酷なドラマの果てに、奇妙な事だが、ある種のカタルシスを感じたのである。
その感覚に気づいた時、この作品の映画力に雪崩のように覆い尽くされ、痺れた脳が洗脳状態になったのかと、正直自らを疑ったほどだ。

そこで、再度、視聴を重ねたが、やはり漆黒の中に一条の光のような、ある種の爽快感を感じたのだ。

この映画の中、「attrition(摩耗)」というキリスト教の概念が出てくる。
刑事サマセットは言う”Attrition. When you regret your sins, but not because you love God.”と・・・・

attrition(摩耗)とは「神への愛から発せず、罪を後悔すること」であり、それは、真の救済へと繋がらない、無駄な懺悔であると語られているだろう。
この映画は、そのattrition(摩耗)を描いたものだと思う。

描かれた、グロテスクな、酷い、醜悪な、悪意に満ちた、罪の存在を意識した観客は、現代社会の現実に「悔い」を感じるかもしれないが、その「悔い」の根源に神を意識しない限り、この映画は見た者の「魂を摩耗」させる映画なのだろう。

しかし摩耗であろうとも、強いストレスや苦痛は、ヨガの行者や、修験者が、修行として自ら求めるように、ある種の達成感と浄化を魂にもたらすものではないだろうか?

この映画の視聴感には、確かにそんな感覚を覚えた……
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以下の文章には

映画『セブン』ネタバレ

があります。
(あらすじから)
彼は取り調べを受けるが、本名、経歴、目的は一切不明であった。
ジョンは弁護士を通じてミルズとサマセットの2人を指名し、彼らに残る2つの死体の隠し場所を教えるという。
警察は取引に応じ、ジョンは2人を伴ってある荒野に連れて行かせる。
3人が待っていると、宅配便の車がやってきて1つの小さな箱を置いていく。その箱をサマセットが開いた。

【意訳】サマセット:血だ。/ジョン・ドゥ:あんたの静かな暮らし自分でどう思う刑事さん。多分誇りに思っている―/ミルズ:うるさい黙ってろ!/サマセット:カリフォルニア(ヘリコプターコード名)近づくな!俺が行くから、ここに近づくな。ジョン・ドゥが「うわ手」だった。(叫ぶ)ミルズ!/ジョン・ドゥ:彼が来たぞ。/ミルズ:何だ?/ジョン・ドゥ:私はアンタのような生活を望みー/ミルズ:黙れ!(サマセットに)何だってんだ!?/ジョン・ドゥ:聞いてるか刑事さん。私はアンタに説明したい、どれほど私がアンタとアンタの可愛い奥さんに憧れたか・・・・/ミルズ:何だって?/ジョン・ドゥ:トレーシー/ミルズ:何言ってんだ?/ジョン・ドゥ:記者の証明書で、いとも容易に分署で情報を仕入れられた。今朝、アンタが出かけてからアンタの家を訪ねた。私も夫を演じてみたくてね。私も普通の男の生活を味わいたくてね。でも上手くいかなくて・・・・それで記念品を取ったんだ。彼女の可愛い頭をね。/サマセット:ダメだ!銃をよこせ。/ミルズ:あれは何だ。箱は何だ。/ジョン・ドゥ:俺は妬んだ。普通の男の生活に嫉妬した。/サマセット:銃を下げろ。/ジョン・ドゥ:嫉妬が俺の罪だ/ミルズ:嫌だ!箱の中身は何だ!/サマセット:俺が言ってるのは―/ミルズ:箱の中身は何なんだよ!
ジョン・ドゥ:言った通りだ。/ミルズ:嘘をつくんじゃねェ!嘘だ!黙れ!/サマセット:ヤツが何をさせたいか、何を求めてるのか、分かるだろ?お前に撃たせたがってるんだ!/ミルズ:ダメだ!ダメだ!俺に言わないのか、本当じゃない―/ジョン・ドゥ:戻れ/サマセット:分かったお前が言ってくれ/ジョン・ドゥ:怒り/ミルズ:彼女は大丈夫だって言ってくれ!/サマセット:容疑者だぞ/ミルズ:嫌だ/サマセット:法で死刑だ。/ジョン・ドゥ:彼女は命乞いした。/サマセット:黙れ!/ジョン・ドゥ:彼女と、彼女が身ごもった赤ん坊の命を。(サマセット殴る)/ジョン・ドゥ:おや、彼は(赤ん坊を)知らなかったのか?/サマセット:銃をくれ。デヴィッド、もしヤツをお前が殺せば、ヤツの勝ちだ。/ミルズ:ああ神よ!神よ!


ジョンはミルズに箱の中身を教え、自分は彼を羨んでトレイシーとそのお腹の子を殺したと明かした。逆上したミルズはサマセットの制止を無視してジョンを射殺する。6番目の「ENVY(嫉妬)」はジョン・ドゥ自身、7番目の「WRATH(憤怒)」はミルズのことだったのだ。
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映画『セブン』結末

夜の闇が覆う中、パトカーの中には魂が抜けたようなミルズがいた。

連行されるミルズを見送りながら、分署長はミルズの面倒は見るとサマセットに約束した。
分署長は、サマセットにこれからどうすると尋ねると、「そこらをさ迷う(Around)」と答え闇に歩き出した。

サマセットのナレーション「ヘミングウェイはかつて書いた。”世界は素晴らしく、闘う価値がある。”後半部分には同意する」と言うナレーションで映画は終わる


<エンディング・クレジット>

デヴィッド・ボウイの歌う『ハート・フィルシー・レッスン(魂の淫らなレッスン)』も、映画と見事なマッチングだと思う。
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posted by ヒラヒ at 17:00| Comment(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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