2020年06月18日

古典映画『アフリカの女王』1951年のアフリカ冒険物語!監督の密かな欲望とは?/ 解説・アフリカロケの裏側・感想・評価・簡単あらすじ

映画『アフリカの女王』感想・解説・評価 編

原題 The African Queen
製作国 イギリス
製作年 1951年
上映時間 105分
監督 ジョン・ヒューストン
脚色 ジェームズ・エイジイ
ジョン・ヒューストン
原作 C・S・フォレスター

評価:★★★   3.0点



恥ずかしながら、アフリカの女王は「アフリカの秘宝」の名前で、インディジョーンズのように血わき肉おどる秘境冒険宝さがしかと思っていました。

ところが「アフリカの女王」は、なんとちっちゃなボートの名前なのでした・・・・・・・

まぬけな話はさておき、この映画はハンフリーボガートとキャサリンヘップバーンという、当時の大スター二人が共演し、大規模なアフリカロケを慣行した作品です。

しかし実は、監督ジョン・ヒューストンにはアフリカに行くべき、隠された欲望を秘めており、それゆえロケ現場は大混乱に陥ったのでした。
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<目次>
映画『アフリカの女王』簡単あらすじ
映画『アフリカの女王』予告・出演者
映画『アフリカの女王』解説/ジョン・ヒューストンの欲望と大混乱のロケ
映画『アフリカの女王』感想・評価

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映画『アフリカの女王』簡単あらすじ


イギリス人女性ローズ・セイヤーは宣教師の兄サミュエルとともに、ドイツ領東アフリカの奥地で布教活動をしていた。しかし、第一次世界対戦が始まり村にドイツ軍が現れ村を破壊し、そのショックで兄は病み死んだ。それを知った、アフリカの女王号という小さな船で生業を立てている、チャーリーは、ローズを乗せて村を離れた。ドイツ軍に復讐したいと言うローズに、途中にドイツ軍の砦や航行不能の激流や大瀑布があると反対したが、頑固なローズを前に渋々承諾させら、チャーリーはドイツ軍艦との戦いを決心し、数々の危険立ち向かう中で、二人の気持ちは通じ合うようになって行く。そして、ついにドイツ軍艦と対決の時を迎えるー
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映画『アフリカの女王』予告

映画『アフリカの女王』出演者

チャールズ・オルナット:チャーリー(ハンフリー・ボガート)/ローズ・セイヤー(キャサリン・ヘプバーン)/サミュエル・セイヤー(ロバート・モーレイ)/艦長(ピーター・ブル)/第一士官(セオドア・ビケル)/第二士官 (ウォルター・ゴテル)/ショーナの砦上官(ピーター・スワンビック)/ショーナの砦ドイツ兵(リチャード・マーナー)/下士官(ジェラルド・オン)

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映画『アフリカの女王』解説

監督の狩猟熱と撮影現場の苦難

この映画の撮影は実際、メチャクチャだったらしいです。

何せ、アフリカロケの真の目的は、監督ジョンヒューストンの、象狩りに有ったというのですから、混乱しない訳がありません。
リアリズムを追求するべく、アフリカで本格的なロケを敢行したこの映画の撮影は困難を極めた。天候不順でセットが流され、体調悪化や病気で倒れる出演者やスタッフが続出したため、撮影は長引いた。しかし、監督のヒューストンは撮影を軽視してハンティングに入り浸るなど消極的な態度を見せた。キャサリン・ヘプバーンはこの時の監督の態度を快く思わず、後年『アフリカの女王とわたし』という本を出版して彼を批判した。また、ロケに同行した脚本家のピーター・ヴィアテルも、この時の体験を元に小説『ホワイトハンター ブラックハート』を書いている。これはクリント・イーストウッドの監督、ヴィアテル本人も脚本に参加して映画化された。ヒューストンがモデルの映画監督ジョン・ウィルソンはイーストウッド自身が演じた。(wikipediaより)

そのジョン・ヒューストンの象狩りへの執念と、現場の混乱を描いたクリント・イーストウッドの映画があります・・・・・・
関連レビュー:伝説の監督ジョン・ヒューストン
『ホワイトハンター ブラックハート』
クリント・イーストウッド監督・主演
映画『アフリカの女王』の舞台裏で起きていた騒動とは?


そもそもロケ地の撮影場所の選択から、象狩り優先で変更されます。
ロケは最初、ケニアで行われる予定でしたが、監督の一存でベルギー領コンゴに撮影地を決めたのです。
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その理由は、ジョン・ヒューストンの熱望する象狩りがケニアでは違法だったからです。
思わず、目が点になりますが・・・・・

キャサリン・ヘップバーンは 、映画撮影時の裏側を描いた著書『アフリカの女王と私』で、ジョン・ヒューストンの狩猟への執着について、これでもかとばかりに糾弾しています。
ある日など、監督が無理やりヘプバーンを狩りに連れ出し、野生動物の群れに囲まれたりもしたようです。

そんな監督のハンティングに付き合うスタッフこそたまったものではありません。
撮影地に向かうために3.5マイルの道なき道を、キャスト、乗組員、装備を乗せた5台のトラックで乗り越えました。そこから、さらに船に積み換え、2.5マイル航海した、その先に現れたのは、赤痢、マラリア、汚れた飲料水、野獣と毒ヘビが潜むブッシュでした。

そしてなんと、出演者とスタッフのほぼ、全員が赤痢など病気になってしまうのです。

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そんな不完全な体調の中、撮影は遅々として進みません。

象がいると聞けば監督はライフルを持って飛び出し、撮影が始まっても突然のスコールで中断され、あらゆる害虫に襲われ、汚染された水のため、歯を磨くことすらできない過酷な状況でした。
そして食事も酷く、ボギーの妻ローレン・バコールも健気に同行していたのですが「何を食べているのか知りたくなかったので、尋ねないようにするのが賢明だと、最初の夜に決心した」と言うほどでした。

そんな、スタッフの苦痛を少しでも和らげようと、監督が現地人を雇い入れたものの、撮影隊は人を喰うという噂が誰も来なかったという・・・・
そんな難行がたたつて、キャサリン・ヘップバーンなどは、赤痢を発症し、撮影の間中用を足せるように、傍らにバケツを置いていたほどです。

例えば冒頭の教会内での讃美歌斉唱のシーンは、ピアノを弾きながら悪寒にさいなまれ、下痢に襲われている状態で、必死に演技していたのです。
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もっとも、周りのスタッフ出演者が苦しんでいる中、ハンフリー・ボガートとジョン・ヒューストンだけは、なんの疫病にも感染しなかったそうです。
それは、スコッチウイスキーを常にがぶ飲みし、他の物をまるで口にしないような生活で、蚊ですら血を吸って死んでしまったと豪語する日々だったためのようです。

そんなジョン・ヒューストンとハンフリー・ボガートの酒浸りに、キャサリンヘップバーンは嫌悪感を持ち敢えて水だけを飲んだと言います。
その抗議行動は、彼女を赤痢の激しい発作で苦しめることになりました。

つまり、映画の中のボガートの酔っ払い振りは本物であり、ヘップバーンが川に酒を捨てる怒りの表情も、演技というよりは素の迫力だったのです。
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しかし、ボギーは撮影開始直後からアフリカに不満を言い、温度、湿度、危険、食べ物、全てを罵り呪ったと言います。

その反面、赤痢にかかっても、キャサリン・ヘプバーンはアフリカを「完璧な神聖」と呼び、崇拝したそうです。

いずれにしても、こんな過酷なロケが、2か月に渡り繰り広げられた結果の、この映画なのです・・・・・・

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映画『アフリカの女王』感想と評価


この映画は、1951年の公開当時は高い評価を受けました。
アフリカの異国情緒をカラーで描き、冒険アクションの迫力、そしてハリウッド2大スターの意外性のあるラブコメ的恋愛劇が観客と批評家の心を掴んだようです。

しかし、今見ると、正直さほど魅力的には見えません。
アクション映画と言うジャンルは、その破壊の物量と、規模の拡大が、年々進み続けています。
その結果を見れば、結局アクション映画の娯楽性は、破壊が大掛かりであればあるほど、増すという事実を認めざるを得ないでしょう。

例えば、ポリスアクションの古典『ダーティハリー』では、発砲するシーンはさほど多くはないのです。
それから比べて、現代の破壊量は地球を吹き飛ばすほどであり、その差は驚く程です。
関連レビュー:アクション映画のアクション増加
映画『ブラック・ドッグ』
パトリック・スウェイジ主演のトラック爆走映画
そのアクション量の多さにビックリ!
それゆえ、今のアクションドラマを見慣れた身には、アクション活劇として見た場合、高い評価は下せませんでした。

しかし、この映画はアクションだけではなく、ラブロマンスの要素も持っています。
恋に落ちるヒロイン、品行方正な、シスターを演じるのは、当時のハリウッドで人気と実力を兼ね備えた、キャサリン・ヘップバーンであり、ヒーローは圧倒的な人気を誇ったハンフリーボガートです。

しかし、『カサブランカ』のニヒルでクールな、ボギーを期待すると肩透かしを喰らいます。
アメリカ映画:1942年
映画『カサブランカ』
映画史に輝くハリウッドスターの古典的作品!
この脚本は何でこんなにメチャクチャなのか?

この映画のボギーは、労働者階級の、少々下品なキャラクターを演じており、その粗野な風体の意外性が、むしろ演技として高い評価となり、彼のオスカー獲得につながっていると思います。

しかし、そんなボギーの姿は、2枚目スターとしての魅力としてはマイナスに作用していると言わざるを得ません。
そして、相手役のキャサリンヘップバーンも、絶世の美女と言うより、ハキハキした明快さが魅力の実力派ですから、そんな恋しそうもない彼女が恋に落ちる意外性を、このキヤスティングは狙ったものかと思います。

確かに、同時代を生きた人々からすれば、このスターの新たなキャラクターで描く、恋の物語は斬新で驚きを感じるものだったかもしれません。

しかし、この二人を後追いで知った身からすれば、このロマンスはどこか物足りない感じがしました。

やはり、ハリウッド黄金期の美男美女が目と目を見交わし「君の瞳にカンパイ」なんて、現実離れしたロマンスこそハリウッドスターの恋愛劇ではないかと思ったりします。
関連レビュー:美男美女のラブロマンス
映画『麗しのサブリナ』

オードリーヘップバーンとボギー共演のラブコメディー
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そんなわけで、当時の斬新なデザイン性を感じられなかった、現代の刺激まみれの映画で育った私としては、この映画に高い評価をつけられませんでした・・・・・

もっともそれは、冒頭で述べた、アフリカの宝捜しではありませんが、私が映画を見る前に勝手に妄想を膨らませているせいかもしれません。

その証拠に、アメリカの大手映画批評サイト「ロッテン・トマト」でも、『アフリカの女王』は、今なお高く評価されています。
このサイトでは、評論家のレビューを集計しランク付けしていますが、何と98%の「高レビュー」を保持しており、平均評価は8.75 / 10です。

ウェブサイトの本作品に対するコメントは、「完璧にキャストされ、巧みに書かれ、美しく撮影されたアフリカの女王は、その創造的なDNAから自由に進化した冒険映画の半世紀の成果の後でさえ、スリリングで、笑えて、すぐに楽しめます。」

ぜひご自分の眼で、この映画の評価を確かめて下さい。



posted by ヒラヒ at 17:00| Comment(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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