2020年08月29日

映画『ムーンライト』アフリカ系米国人のリアル!再現ストーリー/詳しいあらすじ・感想・ネタバレ・ラスト

映画『ムーンライト』あらすじ・ネタバレ 編

原題 Monnlight
製作国 アメリカ
製作年 2016年
上映時間 111分
監督 バリー・ジェンキンス
脚本 バリー・ジェンキンス


評価:★★★★  4.0点



この作品は、2017年第89回アカデミー賞で助演男優賞と作品賞に輝いた。

プロデユーサーに、ブラッド・ピットが名を連ねているとはいえ、小予算のビッグスターが出ていないこの映画が、メジャー作品を敵に回し作品賞を獲得し得たのは、この映画の真摯(しんし)なメッセージが伝わったためだろう。

この「ブラック・ムービー=黒人映画」を見ると、もう一つのアメリカの顔が暴き出されてると思った。
film1-Blu-sita.jpg
film1-Blu-sita.jpg

<目次>
映画『ムーンライト』詳しいストーリー
映画『ムーンライト』予告・出演者
映画『ムーンライト』感想
映画『ムーンライト』ネタバレ
映画『ムーンライト』結末

film1-Blu-sita.jpg

映画『ムーンライト』あらすじ

T.リトル
マイアミ、リバーシティーのキューバ系麻薬ディーラーのフアン(マハーシャラ・アリ)は、今日も高級車で縄張りの見廻りをしていた。
moon_1.png
級友からいじめられ「リトル」とあだ名される少年、カイロン(アレックス・ヒバート)と出会い助ける。
moon_3.png
フアンは口を開かないカイロンを家に連れ帰り、彼のガールフレンドのテレサ(ジャネール・モネイ)と会わせた。
moon_4.png
一緒に夕食を囲むと、カイロンは重い口を開き、話をすると家に帰りたくないと言った。
Moon_5.png
一晩泊めてから母親ポーラ(ナオミ・ハリス)の元に戻すが、ポーラに冷たく追い返される。
moon_mum.png
その後もカイロンとフアンは時々会っては共に時間を過ごす。フアンは海岸で彼に泳ぎ方を教え、海の中カイロンは静かに浮かんでいた。
moon_swim.png
そして浜で、昔キューバーで老人に「黒人の子は月の光で青く見える」と言われたと語り、「人生の人生を自分で選べ。人に任せるな」と語った。
moon_blue.png
そんなある夜、ファンは自分の手下の売人からカイロンの母親ポーラが麻薬を買い、近くで吸引しているのを見て口論となる。
フアンは麻薬に溺れ息子カイロンの育児放棄を非難した。ファンが、カイロンの世話をしっかり見ろと文句を言った。
moon_sayit.png
ポーラは自分に麻薬を売ってるくせに偉そうに言うなとファンに反論し、彼女はカイロンの「歩き方」をまねし、カイロンがいじめられている理由を、ファンが説明できるのかと問い詰め、ファンは答えに詰まった。
moon_buyyou.png

ある日カイロンはフアンの家で食事をし、テレサに母親を憎んでいることを認めた。
moon_gay.png
そして、「ファゴット(オカマ)」とは何かを尋ねると、フアンはそれを「ゲイの蔑称」だと説明し、大人になれば分かるが、もし自分が同性愛者でも問題はないのだから、他人からそんな事を言われるのを許すなとファンは語った。
moon_sall.png
下を向いたカイロンはファンに、母親ポーラに麻薬を売ったのかと尋ねた。フアンは動揺しながらも、その事を認めると、カイロンは去って行った。
moon_yes.png

U.カイロン
10代へと成長したカイロン(アシュトン・サンダース)。
moon_hischool.png
しかし、学校ではいじめっ子のテレル(パトリック・デシル)から相変わらず標的にされていた。
moon_terel.png
学校の放課後カイロンは、いじめを避けるため校内に残っていると、幼なじみのケビン(ジャレル・ジェローム)が話しかけた。
moon_blind.png
彼は階段でガールフレンドとセックスし説教を受けていたと語る。

家に帰ったカイロンはドラッグの依存が悪化し、売春婦に身を落としていた母ポーラから、今夜は帰ってくるなと言った。
moon_night.png
仕方なく、カイロンはファンが死んだ後も付き合いの有る、テレサの家で泊めてもらった。
moon_tresa.png
翌朝家に帰ると、母はカイロンがテレサから金を貰っただろうと、その金を取り上げ麻薬の購入資金とする始末だった。
moon_money.png

そんなある夜、ケビンはかつてファンと泳いだビーチでカイロンと偶然に出会った。
moon_beach.png
マリワナを交互に吸いながら、2人はさまざまな事を話し合い、ケビンは少年時代にケビンがカイロンに付けたあだ名ブラックと呼んだ。
moon_kiss.png
そして、2人は顔を見つめ合うと、近づきキスをした。ケビンはカイロンの股間に手を伸ばすと、カイロンはケビンの手で果てた。

翌日学校で、ケビンはいじめっ子のテレルから、昔やった殴り合いの決闘をまたやろうと誘われた。相手も分からないまま、逆らえずに応じると、その相手はカイロンだった。
moon_fight.png
躊躇するもののテレルからの声に反応し、ケビンは拳を振るう。崩れ落ちたカイロンに立つなと言うケビンだったが、カイロンは何度も立ち上がりそのつどケビンは殴らざるを得なかった。
moon_beat.png
そして、ついに倒れたケイロンを、いじめのグループが寄ってたかって蹴りつけた。校長がケイロンに加害者の身元を問い質しても、カイロンは口を閉ざし、その名前を知っても何も解決しないと言った。
moon_hurt.png
翌日、授業が始まっている教室にカイロンが足を踏み入れ、いじめっ子テレルの頭に椅子を叩きつけた。
moon_attack.png
警察が到着し、カイロンは暴行罪で少年院に送られた―
moon_police.png
film1-Blu-sita.jpg

映画『ムーンライト』予告

映画『ムーンライト』出演者

カイロン (成人:トレヴァンテ・ローズ/青年期:アシュトン・サンダース/少年期アレックス・ヒバート)/ケヴィン (成人:アンドレ・ホランド/青年期:ジャレル・ジェローム/少年期:ジェイデン・パイナー)/ポーラ(ナオミ・ハリス)/テレサ(ジャネール・モネイ)/フアン(マハーシャラ・アリ)/テレル(パトリック・デシル)

Film2-GrenBar.png
スポンサーリンク


film1-Blu-sita.jpg

映画『ムーンライト』感想


この映画を見て、この少年のあまりにひどい環境に衝撃を受けた。
これが、世界一富める国アメリカ合衆国のもう一つの真実だ。
例えば、通常ハリウッド映画で見る、明るく華やかな白人社会の幸福な日常と、明らかに違う世界がその社会に在るのである。
その事実の一端は、ポール・ハギス監督の2004年『クラッシュ』に、アメリカ社会の分断と格差の現実が生々しく表現されている。
関連レビュー:人種間の相互不信を抉る映画
映画『クラッシュ』
アメリカ合衆国の人種対立の悲劇と希望
2005年度アカデミー作品賞、脚本賞、編集賞に輝く作品

多人種がアメリカ合衆国には混在するが、それらの人種間には「融和や協調」よりも、「差別と対立」がその基調としてあると感じる。

そんなマイノリティーに対する根深い差別意識は、マイノリティー達が日々感じている不満として有る。
関連レビュー:マイケルが見た黒人差別の壁
マイケル・ジャクソン『ムーン・ウォーカー』
マイケル・ジャクソンが歌って踊る!
マイケル・ジャクソンが原案・製作総指揮・主演


しかし、マイノリティーが感じる差別感を、差別する側「マジョリティー=白人側」が感じていない点にこの問題の根深さがある。
関連レビュー:マイノリティーから見た差別意識とは?
『ハリウッドとホワイトウオッシュ』
日本人を演じたハリウッドスターがいっぱい
ホワイトウオッシュアメリカ社会の差別の現実


そんな相互不信によって、基本的には、警戒心と猜疑を他人種に対して持たざるを得ない、そんなアメリカ社会の現状を反映して、アメリカの街は明確に人種や豊かさによって居住区域が分かれている。
moon_pos3.jpg
富める者達の住むセレブ街は、高い塀が巡らされ、ガードマンが常駐し、その町に足を踏み入れるには、いちいちチェックを受ける必要があると言う。
そこまでしなければ、その人種間対立や貧富の差が生む、犯罪や衝突の発生から、自らを守れないのが現実なのだろう。
それゆえ、マイノリティー達が住む、黒人街や貧民街には、富裕な白人が足を踏み入れることは無い。

この映画の黒人スラム街の、貧しく、希望を持てない状況を見れば、そこに住む者達はワンチャンスにかけて犯罪に走らざるを得ないのも分かる気がする。
アメリカの一握りのセレブの陰で、ここに描かれた、貧しく悲惨なマイノリティー達の姿は、何万倍も存在する事を知るべきだろう。

これは決して、一部の黒人の特殊な例ではないのだ。

例えばこの映画にかかわった、監督バリー・ジェンキンスと、原案マクレイニーの二人は、実際この映画の麻薬地帯で育った。
テレサ役のジャネール・モネイもドラッグや性的アイデンティティに苦しむ家族がいたと明かしている。

そして、そのアメリカ社会の現実や、その姿が、ほぼ日本で知られていないのも恐ろしい。

例えば、同年にアカデミー賞を争った『ラ・ラ・ランド』の、白人社会の夢に燃える若者の姿と、この映画のシャロンとケビンの黒人系の若者の人生を比べてみれば、これらの青春が同一の国の中で併存していることに驚きを感ぜざるを得ない。
関連レビュー:成功を夢見る白人カップル
『ラ・ラ・ランド』
デイミアン・チャゼル監督のアカデミー賞6冠作品
極上のミュージカル・エンターテインメント! !

しかし、さらに皮肉なことを言えば、この映画がアカデミー作品賞を獲得してなければ、日本で公開されることはまずなかっただろう。

実際、日本の観客はこの映画を見ても、海を隔てた「黒人の物語」だとして、この物語に共感を感じず「つまらない」とする声も聞こえる。

しかし、もし自分の母親が麻薬中毒で、育児放棄され、学校で苛められ、そしてそれが根源的には社会の不平等にあるとしたら、あなたは自分を否応無く歪めてしまう社会を許せるだろうか・・・・・・

物語を主観的に見て「自らの物」とすることこそ、その物語世界を正しく受け取る唯一の方法であり、その時初めて人種や国境を越えて「共感」が生まれるのだ。

そして、共感がないからこそ、今アメリカ社会で起きている「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大事)」の問題が生じているのだと思う。

何はともあれ、この地味ながら上質な映画に表現された、もう一つのアメリカの真実を直視すべきだ。
Film2-GrenBar.png
スポンサーリンク


film1-Blu-sita.jpg
以下の文章には

映画『ムーンライト』ネタバレ

があります。
(あらすじから)
Bブラック
鍛えられた肉体と、金の入歯をした、いかつい男が、成長したカイロンだった。
moo_black_car.png
今はニックネーム「ブラック」と呼ばれ、刑務所出所後はアトランタで麻薬の元締めになっていた。
彼は薬物治療センターに居る母ポーラから頻繁に面会を求められていた。
moon_kevin_phon.png
そんなある日、ケビンから電話があり、マイアミに来るなら訪ねてくれと言い残した。

そしてカイロンは母ポーラがいる施設を訪れた。
moon_talk.png
母がカイロンの今を心配するのに反発し怒る。ポーラは最も必要とするときに愛さなかったと、涙ながらに謝罪した。
moon_mumcry.png
そして、カイロンが自分を愛してくれなくても、彼を愛していると語ると、カイロンの眼にも涙が流れた。そして、2人は抱き合った。
moon_balcry.png

ある日、カイロンはマイアミに向かい、レストランで働いているケビンの元を訪ねた。
moon_meet.png
かつてと様変わりしたカイロンに、最初は気付かなかったケビンだったが、気付くと笑顔を見せ料理を振る舞った。
店がひと段落すると、ケビンは酒を持ってカイロンと話を始める。
moon_eat.png
ケビンは結婚し子供ができたが、別れてひとりだと語り、人の言いなりになって刑務所に入り、人生を無駄にしたと言った。そして、ケビンはカイロンに今何をしているのかと尋ね、カイロンは薬物売買の元締めをしていると語る。
moon_juke.png
カイロンはケビンに、なぜ彼に電話したのかを尋ねると、ケビンはジュークボックスから聞こえてきた曲のせいだと、その曲を店内に流した。

店を出た2人は、カイロンの車でケビンのアパートに向かった。その豪華な車を見たケビンは、麻薬の元締めだと言う話をようやく信じた。
moon_toapart.png
カイロンはアパートの駐車場に車を止めると、その前が思い出のビーチだと知り感慨に浸った。
moon_looksea.png
film1-Blu-sita.jpg

映画『ムーンライト』結末

ケビンのアパート。
moon_touch.png
カイロンは、ケビンとの高校のあの夜から、その体を誰も触らせていないと告白した。
moon_hold.png
2人はその体を寄せ合った。
夜青い月に照らされた、海に立つ少年の姿で映画は終わる。
moon_last.png




posted by ヒラヒ・S at 00:00| Comment(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント: [必須入力]