2020年05月30日

古典映画『キッド』1921年チャップリン・コメディー!再現ストーリー/あらすじ・ギャグ動画・感想・解説・ネタバレ・ラスト

映画『キッド』サイレント時代の古典

原題 The Kid
製作国 アメリカ
製作年 1921
上映時間 68分
監督 チャールズ・チャップリン
脚本 チャールズ・チャップリン
製作 チャールズ・チャップリン


評価:★★★☆  3.5点



この作品は、1921年のサイレント映画ながら、高い表現力を持った作品だと思います。

喜劇王と呼ばれたチャップリンが、新たな挑戦をこの映画で試み、それは当時見事に成功を収めました。

個人的には、この映画の表現した「情感」こそ、チャップリンが持つ本質的な資質だとも感じます。
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<目次>
映画『キッド』ストーリー
映画『キッド』予告・出演者
映画『キッド』感想
映画『キッド』解説/『キッド』から生まれた映画
映画『キッド』評価
映画『キッド』ネタバレ
映画『キッド』結末

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映画『キッド』あらすじ



「これは笑いと、たぶん涙の物語」
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救護院を出た母と赤ん坊。母親は結婚せずに子を産んで、途方にくれながら道を歩む。
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未婚の母の胸に子の父の顔が浮かぶ。男は画家で娘を捨てたのだ。

娘は赤ん坊を育てる術がなく、豪邸の前の豪華な車の座席に、赤ん坊を置いて逃げて行った。
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しかし、その車を二人組の車泥棒が盗んで走り出した。
途中で赤ん坊に気づいた車泥棒は、赤ん坊だけを貧民街に捨てて去った。
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そこに通りかかったチャーリーは、赤ん坊の泣き声に気づき、抱き上げるものの始末に困り、他人の乳母車に入れようとして怒られた。もう一度道に置き去りにしようとすると、警官に見とがめられ、仕方なく空きあげて、通りすがりの老人に抱かせて、走って逃げた。
【意訳】1分29秒:すみません。何か落としたのかと。

老人は途中乳母車に赤ん坊を捨て、チャーリーがその乳母車の前を通ると、先ほどの母親がチャリーの仕業だと見て、手にした傘でさんざんにチャリーを引っぱたいた。
赤ん坊を抱えて困り果てたチャリーは下水口をのぞき込み、思い直す。その時、赤ん坊に添えられた手紙を発見した。そこには”この孤児の赤ん坊にどうか愛情と世話を”とあった。

捨てた母親は後悔し、再び子供を探し車の在った屋敷に戻るが、すでに行方は分からず、あまりのことに扉の前で気を失う。
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5年の歳月がたった。キッド(ジャッキー・クーガン)は成長し、チャーリーと共にガラスの詐欺まがいの商法の片棒を担ぐようになった。キッドが石でガラスを割り逃げ、そのあとをガラスを担いでチャーリーが通るのだ。
そして、何度か続けるうちに、キッドの後ろに警官が立ち、キッドが走って逃げた。不審に思った警官が進んでいくとガラスを修理するチャーリーを発見し、疑念は更に深まる。
仕事を終え、急いで立ち去るチャーリーの後を警官が追うと、チャーリーの元にキッドが駆け寄る。チャーリーは必死にキッドを蹴って近づけまいとするが、ついに2人は走って逃げだした。

チャーリーはその日13件目の家の窓を修理していると、その家の妻と軽口で盛り上がるが、そこは先ほどの警官の住まいで勤務を終えて帰宅して来た。
窓から二人の様子をみる警官の眼が怒りをたたえ、チャーリーの首を背後から絞める。驚いたチャーリーが逃げ出した後を警官が追うが見失った。警官をまいた、キッドとチャーリーは家に帰ってきて、祈りをあげて鍋のシチューを一緒に食べる。

その頃キッドの母親は、女優となり成功しスターになっていた。花束に埋まりながら、興行主グイドの賞賛の言葉を笑顔で受けていた。
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そんな彼女は慈善活動に精を出し、チャーリーの家の前で、近所の赤ん坊を抱き遠い眼をした。
そこにキッドが現れると、わが子とは知らず玩具を与え帰って行った。
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ある朝キッドは朝食のパンケーキを山ほど焼くと、まだベッドにいるチャーリーを呼ぶ。
チャーリーは、パンケーキをキッドに分け与え、最後に残った一枚も、きれいに半分に分けると、お祈りを捧げてから仲良くかぶりつく。

キッドは近所のガキ大将に玩具を奪われ、喧嘩が始まった。周囲の住人が野次馬で集まる。チャーリーも気付きボクシングのセコンドよろしく、キッドにアドバイスする。キッドが優勢になり相手が泣き出すと、ガキ大将の乱暴者の兄(チャールズ・F・ライスナー)がやってきて、チャーリーに「キッドが弟を殴れば、俺がお前を殴る」と脅す。チャーリーははらはらし、キッドの足を引っ張るが、キッドが勝ってしまう。
【意訳】1分53秒:お前のガキが俺の弟を殴ったら、お前を殴ってやる。/3分18秒:あなたはこの方を殴られたの?そう?/3分50秒:片方の頬を殴られたら、もう片方の頬を差し出せと申してよ。/4分50秒:退却成功/4分53秒:ああ、そうか、奴は中じゃないのか
ガキ大将の兄貴は、チャーリーに殴りかかり、警官までなぎ倒し、チャーリーは襲い掛かる。チャーリーがパンチをかわす所に、キッドの母親が止めに入り、チャーリーはキッドの母親の言葉で反省したガキ大将の兄を、何度もレンガで叩きフラフラにした。

その時キッドの母親がキッドが病気だと気付き、チャーリーの部屋に医師(ジュール・ハンフト)がやってきた。
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医師はキッドを診察し、チャーリーに父親かと尋ねる。チャーリーは不明瞭に答え、キッドが捨てられた時に持っていた”この孤児の赤ん坊にどうか愛情と世話を”と書かれたメモを見せた。メモ書きを持って医師は、部屋を出ながらキッドに手厚い看護が要ると言って去った。

そして、キッドが元気を取り戻した頃、突然2人の男が訪れキッドを乱暴に連れ出そうとした。キッドは激しく抵抗し、必死にチャーリーに助けを求めた。2人の男は医師から連絡を受けた当局の者で、孤児院にキッドを連行するために来たのだった。

チャーリーは阻止しようと、必死に立ち向かい、暴れるが、ついに警官に取り押さえられキッドはトラックで連れ去られた。しかしチャーリーは、男達を振り払い窓から飛び出し、屋根を走り車に追いつくと、荷台に飛び移った。そして固く抱き合ったチャーリーとキッドは、トラックから逃げ出した。

キッドの母親はキッドが心配でチャーリーの部屋を訪れ、医師と出くわす。そしてキッドが自分の書いたメモを持っていたことを知り、キッドこそが我が子だと知る。
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逃げたチャーリーとキッドの二人は、安宿に一人分の宿泊代で泊まろうとして、宿屋の管理人(ヘンリー・バーグマン)に見つかり結局二人分の代金を取られた。
【意訳】56秒:お前腕の中の小僧の分払ってないぞ。
新聞を読み始めた管理人の眼に「キッドを見つけた者に1000ドルの報酬」という文字が飛び込む。宿の管理人はチャーリーが寝ている隙に、キッドを抱いて警察に駆け込む。
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キッドがいなくなったことに気づいたチャーリーは、夜明けまで街中を探し続けた・・・・
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映画『キッド』予告

映画『キッド』出演者

放浪者チャーリー( チャールズ・チャップリン)/キッド(ジャッキー・クーガン)/キッドの母親(エドナ・パーヴァイアンス)/芸術家の男(カール・ミラー)/木賃宿の男(アルバート・オースチン)/スラム街の看護婦(ネリー・ブライ・ベイカー)/木賃宿の管理人(ヘンリー・バーグマン)/自動車泥棒・客・夢の中の悪魔(三役)(ジャック・クーガン・シニア)/夢の天使(リタ・グレイ)/医師(ジュール・ハンフト)/芸術家の友人(グランヴィル・レドモンド)/エドナのメイド(メイ・ホワイト)/警官(トム・ウィルソン)/街の乱暴者(チャールズ・F・ライスナー)

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映画『キッド』感想


この映画を見ると、子供を連れたシングルファーザーという物語の原型が、この映画にあると再認識しました。

喜劇王と言われ、ハリウッドで飛ぶ鳥を落とす勢いだったチャーリー・チャップリンが、自らの映画作家生命をかけた挑戦として、発表した最初の長編映画でした。

そもそも、無声映画時代の初期ギャグ映画は10分程度の、激しい動きを使ったドタバタな笑いを詰め込んだような作品だったのです。
<チャップリン『チャップリンの活動狂(A Film Johnnie:1914』><iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/aA-CLlHWhWE?start=35" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen>

それは、正統的「劇映画=悲劇」の箸休めのような存在でした。

しかしチャップリンは、喜劇の中に悲劇を組込むという大いなる試みに、この映画『キッド』で着手したのです。
チャップリンの挑戦は、彼自身を苦しめ、出資者など周囲を不安に落とし入れたと言います。
<『キッド』出資者説明会:ジャッキー・クーガンのダンス>
新しいドラマ形式と長引く撮影に出資者い不安が広まり、チャップリンはそれら関係者を集め、ジャッキー・クーガンの可愛らしさをアピールし、不安解消に努めた。

結果的に、それは1921年に2番目に高い収益を上げるという、商業的な大成功と、評論家からの高い評価を、勝ち得ました。

その成功は、喜劇と悲劇の融合が可能だという、芸術表現史上、初の証明だったに違いありません。
そんな、過去に例を見ないドラマの革新性は、時代を下った日本マンガ界の革新者手塚治虫を、思わせます。
関連レビュー:日本マンガの革新が生まれた理由
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手塚治虫が描く日本マンガの金字塔!
鉄腕アトムが戦うことに秘められた日本マンガのオリジンとは?

この世界に誕生した、笑いとペーソスの融合したドラマ。

そのエポックメイキングなこの映画が成功したからこそ、世の人々は「ピエロの滑稽さの裏に人生の悲哀がある」のだという真実を知ったのだと信じています。

そしてその幼少期より、もっとも「人生の悲哀」を知る者こそ、「喜劇王チャップリン」と呼ばれた天才の、真の姿だったと思えてなりません・・・・・

チャップリンの伝記作家の多くは、映画に描かれている情感は、制作が始まるわずか10日前にチャップリンの初めて生まれた子が亡くなった事実が、影響を与えていると考えています。また、貧困の描写と、孤児院スタッフの残酷さもまた、チャップリン自身のロンドン時代の幼少期の実体験が活かされていると言われます。

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映画『キッド』解説

『キッド』にオリジンを持つ作品

父と子の物語、または大人と拾った子供という関係を持つ映画作品には、この『キッド』をそのルーツに持つ作品が少なくないと思います。
ここでは、当ブログでレビューしたそんな作品を挙げて見ました。よろしかったお読みください。

サイレント時代をほうふつとさせる、ノスタルジックな父娘の旅。
アメリカ映画:1973年
『ペーパー・ムーン』
テータム・オニールとライアン・オニールの親子共演!
父になりたくない父と娘のロードムービー

ヤップリンを尊敬するイタリアのコメディアンロベルト・ベニーニ 監督作品
イタリア映画:1997年
『ライフ・イズ・ビューティフル』
ロベルト・ベニーニ出演, 監督, 脚本のアカデミー賞作品
ホロコーストで見た愛と希望の物語

トト少年と映画の父サルバトーレの魂の結びつき。
イタリア映画:1989年
『ニューシネマパラダイス』
ジュゼッペ・トルナトーレ監督の語る映画の快楽
旧き映画のノスタルジー

コーエン兄弟が描く、子供欲しさに赤ちゃんを誘拐した夫婦。
アメリカ映画:1987年
映画『赤ちゃん泥棒』
コーエン兄弟なのにコーエン兄弟じゃない!!
映画の舞台から大ブーイング!

障碍者の父と引き離された娘の愛の物語。
アメリカ映画:2001年
映画『I am Sam アイ・アム・サム』
知的障害を負っている父親と、幼い娘の純粋な愛
ダコタ・ファニングとショーン・ぺンの名演

いなせなアネゴと少年のハードボイルド旅
アメリカ映画:1980年
『グロリア』
元祖ハンサム・ウーマンの子連れ旅
監督ジョン・カサベテス主演ジーナ・ローランズ

寡黙な殺し屋と少女の絆。
アメリカ・フランス合作映画:1994年
『レオン』
リュック・ベッソン監督の描くアクション映画の名作
ジャン・レノと12歳のナタリー・ポートマン「凶暴な純愛」

ちょっと、遠い作品もありますが、基本的にはキッドの物語原型を踏襲していると思います・・・
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映画『キッド』評価


この映画は、「コメディーと悲劇の融合」という画期性で、歴史に残される古典であることは間違いありません。
その作品より前に存在せず、その作品より後にエピゴーネンが産まれる作品の価値はどれほど賞賛してもしたりません。

それを承知で、私の評価は★3.5個です。

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なぜなら、先に「コメディーと悲劇の融合」と書きましたが、実はその融合が不十分だと感じたから出す。

それは、一本の映画の中に「スラップスティック・コメディー」と「悲劇」が、交じり合わず分離し、両者の要素がお互いの言葉を打ち消し合っているかのように感じたのです。
もちろん、当時の短編コメディーの笑いを求める観客に応えつつ、新たな悲劇を語ることの困難さは分かっているつもりです。

その時代においては、商業映画として、これが精いっぱいの「攻め方」だとも思えます。
それでも、例えば、映画の中で上で紹介した「パンケーキ」の動画のように、「笑い」と「ドラマ要素」の相互が生きる表現を多用する事が、この映画の最もふさわしいバランスだったと感じられてなりません。

例えば、後年の『ライムライト』では、そんな笑いと劇のバランスが見事な融合を見せていることを思えば、まだまだ過渡期の作品だと思え高い点は付けられませんでした。

これは大変申し訳ないとは思うのですが、現代を生きる者は、古典作品を見る前に、すでに古典作品から派生したより高い精度の同種作品を見てしまう運命にあります。

100年前の映画と現代の映画を較べてしまう観客としての、これが正直な感想で、評価なのです。

それは、この『キッド』と、『キッド』そっくりな2001年の映画『アイ・アム・サム』を見比べて、エンターテーメント性や、ドラマの完成度、どちらがより高いかと問われれば、私は間違いなく『アイ・アム・サム』と答えます。

それゆえ、この映画の持つ古典的な価値に敬意を払いつつも、現代作品を多く見てしまった私にとって、この作品の評価は★3.5と成りました。

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以下の文章には

映画『キッド』ネタバレ

があります。
(あらすじから)
夜明けになり、キッドの母親が警察にやってきて、息子と再会する。一方キッドを一晩中探し回ったチャーリーは自分のアパートの前で、疲れて眠りにつき夢を見た。
大勢の天使が踊り歌う中、家の中から天使のキッドが現れ、チャーリーは喜び抱き合う。チャーリーも天使の羽を手に入れ、キッドと共に空を飛んで遊ぶ。ハープを引くチャーリーに、悪魔に囁かれた少女の天使が誘惑する。チャーリーは、誘惑に負け彼女にキスをするが、少女の彼氏と喧嘩が始まる。

そこに天使となった警官が現れ、宙を逃げるチャーリーをアパートの玄関前に撃ち落とす。警官天使が乱暴に天使チャーリーを引きずり起こそうとし、眼が覚めるとそれは現実にチャーリーを警官が起こしているのだった。
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映画『キッド』結末

チャーリーは首根っこを掴まれながら、警官に連行され車に乗せられた。
着いた先でも、警官につままれるように、ドアまで連行される。
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そのドアが開くと、中から出てきたのは、キッドの母親とキッドだった。
キッドがチャーリーに飛びつき、二人は固く抱き合う。
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警官が明るい笑声を上げ、チャーリーと握手を交わし帰って行った。
キッドの母親はチャーリーを屋敷の中に招き入れた。
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posted by ヒラヒ・S at 17:00| Comment(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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