原題 Alien 製作国アメリカ 製作年1979 上映時間 118分 監督 リドリー・スコット 脚本 ダン・オバノン 原案 ダン・オバノン 、ロナルド・シュセット |
評価:★★★★☆ 4.5点
ストーリーを実際に追ってみて、エイリアンの出現シーンの驚くほど少ないことに驚く。
サイレント時代のドラキュラ映画さながら、可能な限り恐怖の対象を見せない事によって、観客に暗黒の恐怖を想起させる。
この映画は、実は、そんな古典的な恐怖を表現しているように思う・・・・・


<目次> |

映画『エイリアン』ストーリー |

しかし謎の信号を受信したノストロモ号のコンピューター「マザー」は、その発信源を確認すべくコールドスリープ装置を解除し、乗員を覚醒させた。

7人の乗組員、船長のダラス(トム・スケリット)、一等航海士ケイン(ジョン・ハート)、科学担当アッシュ(イアン・ホルム)、技師パーカー(ヤフェット・コットー)、機関長ブレット(ハリー・ディーン・スタントン)の男5人と、二等航海士リプリー(シガーニー・ウィーバー)、操縦士ランパート(ベロニカ・カートライト)の女性2人、更に猫のジョーンズが乗り込んでいた。

彼らは、久しぶりの食事を取ると、自分たちが地球外生物の可能性を探るため起こされたのだと知る。
電波源の小惑星に近づき、着陸船で降り立った。

しかし、着陸船に故障が発生し、機関士のブレットとパーカーが修理するが、時間給を稼ごうと故意に修理を遅らせた。その間乗組員たちは、その星の地表で長時間滞在する事になった。
船長ダラス、副長ケイン、航海士ランバートの3人は惑星に降り立ち、異様な宇宙船が横たわっているのを見つけ、中に入るとミイラ化した地球外生物をコクピットで発見する。

着陸船に残ったリプリーは分析の結果、信号は警告だと知る。モニターを監視していたアッシュは、もう地下に入った3人には届かないと言った。
地表の3人は地下に通じる道を見つけ、奥へと深く足を進めた。洞窟のような通路を抜けると、広場にたどり着くが、そこには異様な卵がびっしりと並んでいた。茫然とした3人の1人、副長ケインが足を滑らせ卵に接近する。

すると、その卵から飛び出して来た生物は、宇宙服のヘルメットも貫通してケインの顔にへばりついた。

ケインを助けるため、ダラス船長とランバートは着陸船に急遽戻り、船内に入ろうとするが、危険を感じたリプリーは入れず口論となった。
しかし、アッシュがドアを開け、3人は中に飛び込んできた。

ケインは医務室に運ばれ、アッシュが治療にあたる。
ケインの顔にへばりついた甲殻類のような地球外生物を、アッシュははがそうとするがケインと癒着し果たせなかった。

傷を付けると、その物体から強力な酸が吹き出し、超合金の床に穴をあける始末だった。
医務室で調査をするアッシュに近づいたリプリーは、なぜ規則に反して3人を入れたのかと問い質した。アッシュは船長の命令だと答え、科学担当者として判断したと抗弁し、自分の仕事をしろと冷めた眼で言った。

医務室で昏睡状態のケインの顔から、謎の生物が消えていたと、ダラス船長にアッシュから連絡が入った。
ダラス船長、リプリーとアッシュが警戒しつつ救護室に入ると、天井から謎の生物が落下してきて、リプリーは恐怖の声を上げた。

しかしその生物は抜け殻で、すでに死んでいた。
アッシュはその生物の死骸を地球に持ち帰ると言い、リプリーは反対したが、船長は承認した。

リプリーはなお船長を追いかけ、アッシュは何者かと尋ねると、船長は出航2日前に急に変わって乗り込んだから良く知らないと答えた。リプリーは彼を信用できないと言った。
着陸船は星を離れ貨物船に再び戻り、地球への帰途の旅へと戻ったが、その船内でケインが眼を覚ました。周囲に集まった乗組員と平静に話しながら、腹が減ったと食事を取り始めた。
しかしその時、ケインが一転苦悶の表情を浮かべ、身を反らせて痙攣をしだした。

周りの者が急いで四肢を押さえて、その動きで傷つかないように掴んだ。
すると、ケインの胸が急激に膨張し、そこから血しぶきが飛び散った。パニックになる船員に向かって、その胸から蛇のように飛びかかる生物が現れた。

その生物は、驚きに身を硬くした船員を前に、瞬時に医務室の物陰に身を隠した。
姿を消した謎の生命体が凶暴な攻撃性を持っていると知り、クルー達は探知機や武器を作り捕獲のため二班に分かれて捜索に出た。

その捜索中、ブレットは猫のジョーンズを追って行くうちに、脱皮し巨大化したエイリアンに暗闇にから襲撃され、連れ去られた。

船長ら乗組員は、エイリアンが通風孔を伝って船内を移動していると予想し、火炎放射器で追い立て、エアーロックに追いやり、宇宙空間に放出する作戦を立てた。
作戦を開始する前、船長のダラスはコンピューターにエイリアンの対処法を問いかけるが、「計算不能」と回答された。

武器を携え、ダクトの中を船長ダラスが進んでいく。

探知機に現れる信号が近づき消えたかと思うと、また接近し、ついに船長に近づいたエイリアンが襲い掛かる。

後に残されたのは火炎放射器のみだった。
生き残った4人が船室に集まったた。
探知機でダラス船長の運命を追っていた、女性二等航海士のランバートは、パニックに陥り取り乱してシャトルで脱出するしかないと叫ぶ。しかしシャトルは3人乗りだった。黒人機関士のパーカーは怒りに満ちた声で「今すぐエイリアンを殺すと」吐き捨てた。

今は、残った船員の皆に命令を下す立場になった二等航海士リプリーは、エアーダクトを使ってエイリアンが移動しているから、作戦を続行しエアロックから射出すると決定した。
リプリーは、エイリアンを調査した結果を科学主任アッシュに尋ねるが、彼は「調査中だ」と答えた。

リプリーは苛立ち「あなたは何もしてないと」怒ると、自分で調べると言い渡した。
コンピューター「マザー」と向き合ったリプリーは、中々明確な回答を返さないコンピュータに眼を潤ませながら、質問を次々と打ち込むと、ついにそこにエイリアンに関する驚愕の秘密司令を発見した。
それは「ノストロモ号の最優先事項はエイリアンを生きたまま地球に移送する事で、乗員の命は二の次」だとするものだった。

リプリーはその答えに唖然とする。
リプリーが気付くとアッシュが横に居た。彼女は秘密を隠していたアッシュに怒り、彼に掴みかかるとを壁に突き飛ばした。

背を向けたリプリーをにらむアッシュの額から白い液体が一筋流れた。
アッシュはリプリーに襲い掛かり、髪の毛をむしり取り、彼女を放り投げたアッシュは、更に殺意を込めて襲いかかった。

そこへパーカーとランバートが駆け付け、アッシュを止めようとするが、大男のパーカーよりも力が有った。思わずパーカーは手に取った鉄パイプをアッシュの首に打ちつけた。ゼンマイが切れたような、異様な動きをすアッシュに向けて、パーカーは横殴りにその顔を打つと、彼の頭がもげ首からぶら下がった。

その首から人工的な配線とチューブが剥き出しになって、動きを止めた。
パーカーは尻餅をつくと「ロボットだ」と呟いた。
リプリーはアッシュに情報を訊くため、再び首から上部のみ機能を復活させ、呼びかけた。
アッシュは目を開けると変質した機械的な声で、リプリーに答えて「自分がエイリアン捕獲の計画を推進するために、会社が送り込んだロボットで、会社はエイリアンを究極の生物兵器として獲得しようとしていた」と打ち明けた。

リプリーはエイリアンを、どうすれば倒せるのかと訊くと、アッシュは「エイリアンは完全で、良心も呵責も無い究極の原始生物だから、乗員全て死ぬ運命にある。同情するよ」と哀れむように笑った。
リプリーは怒りを込めて、アッシュの電源を引き抜き、パーカーは立ち去る時に振り返り火炎放射器でアッシュを焼いた。

残った、リプリー、パーカー、ランバートの3人は、シャトルで脱出し、エイリアンは貨物船もろとも爆破することに決め、それぞれ離脱の準備を始めた。
リプリーはシャトルをスタンバイさせ、パーカーとランバートはシャトルに積む酸素ボンベを調達に、船の倉庫に入っていった。
作業を続けるランバートの背後に怪しい影が迫り、エイリアンがその姿を現した。

悲鳴を聞きつけたパーカーが駆けつけたが、エイリアンは彼をあっという間に殺害すると、振り返ってランバートの命も奪った。
救助のため通路を倉庫へと急ぐリプリーの耳に、死に行くランバートの悲鳴が響き、足を踏み入れた倉庫にパーカーの遺体を発見した。

リプリーは、恐怖に急き立てられ踵を返した。
管理室に入ると、”爆破まで5分を切ると解除できない”と書かれている船の自爆装置をセットし、シャトルを目指して船内を走る。

船内に爆破のカウントダウンのアナウンスが流れる中、リプリーは進路に立つエイリアンを眼にした。
必死に爆破装置まで戻ったリプリーは稼動を停止しようとしたが、5分以内に解除を果せなかった。

決死の覚悟でリプリーは脱出艇の入口に戻るが、そこにエイリアンの姿は消えていた。
エイリアンが通路から立ち去っていることを何度も確認し、猫のジョーンズと共に脱出シャトルへ搭乗し、急いで発進させる。
その直後にノストロモ号は大爆発した。

全ては終わったかに思われたが・・・・・・・
映画『エイリアン』予告 |
映画『エイリアン』出演者 |
ダラス(トム・スケリット)/一等航海士ケイン(ジョン・ハート)/科学担当アッシュ(イアン・ホルム)/技師パーカー(ヤフェット・コットー)/機関長ブレット(ハリー・ディーン・スタントン)/二等航海士リプリー(シガーニー・ウィーバー)/操縦士ランパート(ベロニカ・カートライト)

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映画『エイリアン』解説 |
あらすじで紹介しているのは劇場版です。
以下違いを列記します。
○船内で謎の信号を聞くシーンが追加 |
問題となる音波信号を乗組員が聞くが、初めて聞く異様な音で、声なのかともが、聞いただけでは分からずじまいです。
○ランバートがリプリーに平手打ちシーンが追加 |
自分たちを入れるのを拒否したリプリーに、ランバートが平手打ちをする。
○エイリアンのブレッド襲撃の際、その血を浴びるパーカーのシーンを追加 |
○エイリアンの繭にされたダラス船長のシーンが追加 |
脱出前、船の下層を通ったリプリーは、「繭にされた」ブレットとダラス船長を発見し、意識があるダラス船長はリプリーに「殺してくれ」と頼み、リプリーはその願いをかなえる。
○オリジナル版にあってディレクターズ・カット版では、カットされたシーン |
○リプリーがダラスにアッシュの素性を尋ねるシーン
○ダラスがマザーコンピューターからエイリアンの情報を入手しようとするシーン
なお上映時間は<オリジナル劇場公開版(117分)><ディレクターズ・カット版(116分)>となっています。

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以下の文章には 映画『エイリアン』ネタバレがあります。 |
(あらすじから)
リプリーは逃げ切った安堵で一時虚脱状態となったが、立ち上がると猫のジョーンズと共に、冷凍睡眠に入るための準備を始めた。そして、リプリーが着替えを始めたとき、船内の一部がうごめいた。
彼女はエイリアンが船内にいると悟り、恐怖に駆られ船外活動用の宇宙服の格納庫へと逃げ込んだ。
リプリーはエイリアンの存在に恐怖を浮かべながらも、その体を宇宙服の中に収めた。
そして、その体を移動させると、ガスベントを開きエイリアンを隠れ場所から追い出した。
エイリアンが姿を見せた時、彼女はエアーロックのボタンを押して宇宙空間への扉を開いた。
船内の空気は瞬時に吸い出され、エイリアンも宇宙へと排出されるかと思われた。<エイリアンとの最終対決シーン>
しかしエイリアンの長い両手が出口を掴み、大の字になって外に吐き出されるのを耐えている。そのエイリアンに向かって、リプリーはロープの付いた銛を発射し、エイリアンを船外へと飛ばした。しかしロープに絡まったエイリアンはなおも船外から中へと潜り込もうとする。
リプリーはエイリアンがロケット噴射口に潜り込むのを見て、思いっきり噴射ボタンを押した。
白い光に包まれ、吹き飛ばされたエイリアンは、宇宙の虚無へと消えていった。

映画『エイリアン』結末 |
闘いが済んだリプリーは、地球に向けて救助の通信を終えると、猫のジョーンズと一緒に冷凍装置に入り、その体を横たえた。
眼を閉じたリプリーは、ガラスに覆われた装置の中、静かな横顔を見せ眠りに入った。
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