アメリカの雑誌「ローリングストーン」といえば、ロック系のコアな記事に定評があり、ロックの聖典のごとき印象があります。
しかし実は、サブカルチャーに留まらず、アート、文学、社会問題、政治をも語る雑誌なのでした。
『ローリング・ストーン』(Rolling Stone)は、音楽や政治、大衆文化を扱うアメリカ合衆国の隔週発行の雑誌である。雑誌は1967年に雑誌編集者ヤン・ウェナー、音楽評論家ラルフ・J・グリースン、作家・詩人ジョナサン・コットらによって創刊された。サンフランシスコで創刊されたが、1977年にニューヨークに移転した。(wikipediaより)
そんな「ローリングストーン誌」が2000年を目前にした1999年12月30日に発表したのが、この『100年間の反逆者の映画ベスト100』でした。
リストの選出は、当雑誌の映画評論家ピーター・トラヴァース氏が担当しています。彼は、その記事の冒頭、実に「ロック」な言葉でこのリストの決意表明をしています。
まずはその言葉から、ご紹介。
『100年間の反逆者の映画ベスト100』
20世紀の重要な映画を作ったフリーク、オタク、変質者、および門外漢は、決してルール通りには動かなかった−彼らは、ロックンロールの挑戦的な魂で、それらを破壊した。
私の視点、大声で推奨するのは、過去100年間の最高の映画は、映画の規則に従う強迫観念を破壊した、反逆者によって製作された映画だ。我々は1世紀に渡る映画を語っているが、それは未だに、私にとってはロックンロールなのだ。私は一定の基準を持った。それぞれの映画は、芸術的な反抗のロック精神を体現している事。1人の監督に1本の映画に限定する事。でなければ、アルフレッド・ヒッチコック、オーソン・ウェルズ、ジョン・フォード、ビリー・ワイルダー、マーティン・スコセッシの作品をリストアップすれば終わりとなってしまう。私のポリシーに従った映画。その中に、最大収益作(タイタニック)、最多オスカー受賞作(ベン・ハー)、または戦艦ポチョムキンのような映画学校の中心作品を探さないで欲しい。このリストにある100の反逆者の映画は、共通してもう一つの要素を持っている:それらは生きているのだ。(原文⇒https://www.rollingstone.com/movies/movie-news/100-best-movies-20th-century-peter-travers-40636/)
スポンサーリンク
それでは、いよいよ『100年間の反逆者の映画ベスト100』のリストをご紹介。
当ブログで紹介した映画にはリンクを貼っていますので、よろしければご覧ください。
ローリングストーン誌発表『100年間の反逆者の映画ベスト100』リスト |
◎当リストのBGMに、このリスト81位のテーマ曲はいかが?<ピアノ・レッスンのテーマ>
1.ゴッドファーザー三部作(1972、1974、1990、フランシス・フォード・コッポラ)
2.めまい(1958年、アルフレッド・ヒッチコック)
3. 捜索者(1956年、ジョン・フォード)
4. 2001年宇宙の旅(1968年、スタンリー・キューブリック)
5.市民ケーン(1941年、オーソン・ウェルズ)
6.レイジングブル(1980年、マーティン・スコセッシ)
7.チャイナタウン(1974年、ロマン・ポランスキー)
8.黄金(1948年、ウォルター・ヒューストン)
9. ブルーベルベット(1986年、デビッド・リンチ)
10.パルプ・フィクション(1994年、クエンティン・タランティーノ)
11.キングコング(1933年、メリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シェードサック)
12. 影なき狙撃者(1962年、ジョン・フランケンハイマー)
13.ファーゴ(1996年、ジョエル・コーエン)
14.イブの全て(1950、ジョセフ・L・マンキエヴィッツ)
15. ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年、スパイク・リー)
16.狩人の夜(1955年、チャールズ・ロートン)
17.キートンの探偵学入門(1924年、バスター・キートン)
18.お熱いのがお好き(1959年、ビリー・ワイルダー)
19.ナッシュビル(1975年、ロバートアルトマン)
20.オズの魔法使い(1939年、ビクターフレミング)
21.成功の甘い香り(1957年、アレクサンダー・マッケンドリック)
22.未来世紀ブラジル(1985年、テリーギリアム)
23.ボディ・スナッチャー/恐怖の街(1956年、ドン・シーゲル)
24.地獄の逃避行(1973年、テレンスマリック)
25. 赤い影(1973年、ニコラス・ローグ)
26.風と共に去りぬ(1939年、ヴィクター・フレミング)
27.カサブランカ(1942年、マイケル・カーティス)
28.素晴らしき哉、人生!(1946年、フランク・キャプラ)
29.雨に唄えば(1952年、ジーン・ケリー、スタンリー・ドネン)
30.波止場(1954年、エリア・カザン)
31.ジョーズ(1975年、スティーブン・スピルバーグ)
32.カッコウの巣の上で(1975年、ミロス・フォアマン)
33.アラビアのロレンス(1962年、デビッド・リーン)
34.羊達の沈黙(1991年、ジョナサン・デミ)
35.スターウォーズ/帝国の逆襲(1980年、アーヴィン・カーシュナー)
36.エド・ウッド(1994年、ティム・バートン)
37.フェイシズ(1968年、ジョン・カサベテス)
38.アニーホール(1977年、ウッディ・アレン)
39.ボニーとクライド/俺たちに明日はない(1967年、アーサー・ペン)
40. わらの犬(1971年、サム・ペキンパー)
41.第三の男(1949年、キャロル・リード)
42.大統領の陰謀(1976年、アラン・J・パクラ)
43.フランケンシュタインの花嫁(1935年、ジェイムズ・ホエール)
44.理由なき反抗(1955年、ニコラス・レイ)
45.風と共に散る(1957年、ダグラス・サーク)
46.有頂天時代(1936年、ジョージ・スティーブンス)
47. 赤い靴(1948年、 マイケル・パウエル、 エメリック・プレスバーガー)
48.ネットワーク(1976年、シドニー・ルメット)
49.サリヴァンの旅(1941年、プレストン・スタージェス)
50.卒業(1967年、マイク・ニコルズ)
51. M(1931年、フリッツ・ラング)
52.新学期・操行ゼロ(1933年、ジャン・ヴィゴ)
53.ゲームの規則 (1939年、ジャン・ルノワール)
54.天井桟敷の人々(1945年、マルセル・カルネ)
55.自転車泥棒(1947年、ヴィットリオ・デ・シカ)
56.たそがれの女心(1953年、マックス・オフュルス)
57.東京物語(1953年、小津安二郎)
58.七人の侍(1954年、黒澤明)
59. 大地のうた(1955年、サタジット・レイ)
60.勝手にしやがれ(1959年、ジャン=リュック・ゴダール)
61. 大人は判ってくれない(1959年、フランソワ・トリュフォー)
62.甘い生活(1960年、フェデリコ・フェリーニ)
63.ビリディアナ(1961年、ルイス・ブニュエル)
64.仮面/ペルソナ(1966年、イングマール・ベルイマン)
65.暗殺の森(1971年、ベルナルド・ベルトルッチ)
66.アギーレ/神の怒り(1972年、ヴェルナー・ヘルツォーク)
67. セブン・ビューティーズ(1976年、リナ・ウェルトミューラー)
68. ベルリン・天使の詩(1988年、ヴィム・ヴェンダース)
69.神経衰弱ぎりぎりの女たち(1988年、ペドロ・アルモドバル)
70.狼 男たちの挽歌・最終章(1989年、ジョン・ウー)
71.街の灯(1931年、チャールズ・チャップリン)
72.キャバレー(1972年、ボブ・フォッシー)
73.クイズ・ショウ(1994年、ロバート・レッドフォード)
74.オペラは踊る(1935年、サム・ウッド)
75.プロデューサーズ(1967年、メルブルックス)
76. Lost in America(1985年、アルバート・ブルックス)
77.ターミネーター(1984年、ジェームズ・キャメロン)
78.白熱(1949年、ラオール・ウォルシュ)
79.ヒズ・ガール・フライデー(1940年、ハワード・ホークス)
80. 過去を逃れて(1947年、ジャック・ターナー)
81. ピアノ・レッスン(1993年、ジェーン・カンピオン)
82.欲望(1966年、ミケランジェロ・アントニオーニ)
83. ミッドナイトクロス(1981年、ブライアン・デ・パルマ)
84. フィラデルフィア物語(1940年、ジョージ・キューカー)
85.日本人の勲章(1955年、ジョン・スタージェス)
86.ニノチカ(1939年、エルンスト・ルビッチ)
87.ダイナー(1982年、バリー・レビンソン)
88. To Sleep With Anger(1990年、チャールズ・バーネット)
89. 許されざる者(1992年、クリント・イーストウッド)
90.真夜中のカーボーイ(1969年、ジョン・シュレシンジャー)
91.真実の囁き(1996年、ジョン・セイルズ)
92. 裸のキッス (1964年、サミュエル・フラー)
93. クライング・ゲーム (1992年、ニール・ジョーダン)
94. ブロードキャスト・ニュース (1987年、ジェームズ・L・ブルックス)
95. 戦慄の絆(1988年、デヴィッド・クローネンバーグ)
96.My Little Chickadee(1940年、エドワード・クライン)
97.ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(1968年、ジョージ・A・ロメロ)
98. モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル(1975年、テリー・ギリアム、 テリー・ジョーンズ)
99. イントレランス(1916年、D・W・グリフィス)
100.フリークス(1932年、トッド・ブラウニング)
スポンサーリンク
ローリングストーン誌発表『100年間の反逆者の映画ベスト100』リストの感想 |
私も数ある「ベスト100企画」を見てきましたが、評論家や映画関係者が選ぶ作品を集計した場合、古典作品が並ぶケースが多い印象があります。
◎AFI(アメリカ映画協会)発表ベスト映画 『史上最高のアメリカ映画100本』 アメリカ映画界が選んだアメリカ映画のベスト100!!! AFI『100年100本』シリーズの第一弾 |
◎英国映画協会のベスト映画企画 『映画評論家が選ぶ映画ベスト100』 日本映画が6本選出!!! 世界中の映画評論家が選んだ映画の中の映画とは? |
そんな中このリストは、個性的な作品、一点光るキラメキを見せる作品、そして知る人ぞ知るカルト作品が、散りばめられたリストだと感じました。
こういう個人の主義主張が込められた、ある意味偏った映画リストも、新たな映画の愛し方の指針になると感じました。
映画を見るときの参考になればと、当ブログでは世界各国、様々な選定者の「ベスト100企画」を、拙いながら以下の記事で紹介しています。
◎いろいろな『映画ベスト100』企画紹介 世界各国で選ばれた『映画100本』のリストを紹介!!! 映画界、映画ファン、映画評論家など、選定方法もさまざま! 日本映画も各リストでランクイン! |
また、映画の歴史に興味があれば、アカデミー賞の歴代受賞はいかがでしょうか?
関連レビュー:オスカー受賞一覧 『アカデミー賞・歴代受賞年表』 栄光のアカデミー賞:作品賞・監督賞・男優賞・女優賞 授賞式の動画と作品解説のリンクがあります。 |
【関連する記事】
- 雑誌マリ・クレール2023年発表!『史上最高の映画ベスト100:絶対見るべき映画..
- 英国映画協会(BFI)発表!2022年版『史上最高の映画ベスト100』全リスト/..
- 2020年3月発表!『映画史からの記念碑的映画110本とあなたがそれを見るべき理..
- 2021年12月発表!『史上最高の映画べスト100』アメリカ情報発信会社”スタッ..
- 米サイト「Vulture(バルチャー) 」選出『史上最高の西部劇映画・ベスト50..
- 雑誌「タイム」が『オールタイムベスト100映画』を選出!/2011年10月発表・..
- 雑誌「エンパイア(Empire) 」選出『最も偉大な映画キャラクター・ベスト10..