原題 To Kill a Mockingbird 製作国 アメリカ 製作年 1962年 上映時間 129分 監督 ロバート・マリガン 脚本 ホートン・フート 原作 ハーパー・リー |
評価:★★★★ 4.0点
この1962年の白黒映画は、旧き良きアメリカの理想主義を、古典的ハリウッド映画の品格と共に語ります。
アメリカ南部の人種差別がまかり通る地で、理想に燃え奮闘する弁護士の姿を、子供達の目を通して追っていきます。
弁護士役のグレゴリー・ペックは堂々たる説得力で、そのキャリアの中でも出色の演技を見せ、アカデミー賞を獲得しています。
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<目次>映画『アラバマ物語』ストーリー映画『アラバマ物語』予告・出演者 映画『アラバマ物語』解説/受賞歴 映画『アラバマ物語』ネタバレ・結末 |
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映画『アラバマ物語』ストーリー |
彼は相続手続きでアティカムに世話になったが、大恐慌の影響で弁護料を払えず、作物を持ってきているのだった。そんな困窮した人々がいる社会の一端を父から聞いて、スカウトは思わず我が家の心配をした。
そんなスカウトの幼い日々は、夏休み中の兄ジェム(フィリップ・アルフォード)と遊ぶことに費やされた。そこにミシシッピーから遊びに来たディル(ジョン・メグナ)が加わり、子供達の夏は小さな町の人々を興味津々観察しつつ、日々を過ごした。
中でも、子供達の最大の関心は町ではタブーとされている、悲劇の一家の息子ブー(ロバート・デュヴァル)だった。誰もその姿を見たことがないブーとその家は、子供たちの想像の中で危険と恐怖に満ちた刺激的な存在だった。
しかし夜のベッドで兄妹達は、亡き母のことを感傷的に語り合った。その言葉をポーチで聞くアティカスの元を、地元のタイラー判事(ポール・フィックス)が訪ねて来たのは、白人女性を暴行したとされる黒人男性の弁護の依頼だった。
黒人差別の根強い南部で黒人の弁護をすることの意味を知りつつ、アティカスは弁護を引き受けた。
日が昇ると子供達は、いつも通り元気に遊びまわり、恐怖と好奇心に駆られブーの家に近づいた。
町の裁判所では父アティカスが黒人容疑者のトム・ロビンソン(ブロック・ピーターズ)の弁護をするというので、白人の被害者女性メイエラ・ユーエル(コリン・ウィルコックス)の父ボブ・ユーエル(ジェームズ・アンダーソン)から嫌味を言われる。
子供達3人の夏が過ぎ、休みの終わりにディルが帰り、スカウトが学校に入学する日を迎えた。しかしスカウトは早速学校でケンカをし、兄が仲裁に入る。そしてケンカ相手のカニンガムの息子を夕食に招いた。その席で、アティカスと子供達は銃を扱う話題となって、アオカケスは撃っても良いが、人に悪さをせず歌を聞かせ楽しませるモッキンバード(マネシツグミ)を殺す事は罪だと語った。
その食事中叱られたスカウトが拗ねて外に飛び出した。アティカスが娘に話しかけると、もう学校に行きたくないと彼女は言った。
そんなスカウトにアカティスは、協調するというのは人の立場になって物事を考える事だと諭すのだった。
そしてある日、子供達の前に狂犬病の犬が現れ、それを射殺するアティカスの射撃の腕に子供達は驚く。
スカウトは、父の何でも知り優れた能力を秘めていることに改めて敬意を持った。
しかし、アカティスが黒人レイプ犯容疑者を弁護していることに、町の白人達は反感を持っていた。それは学校の子供たちの間にも波及し、スカウトは父の弁護を責めた子供とケンカをする。
学校から帰ったスカウトは父に、なぜ黒人の弁護をするのかと訪ねると、アティカスは弁護をしなければ自分に誇りを持てなくなるからだと語った。
一方ジェムは、ブーの家の前の木の洞で、何度も壊れた時計やメダル、ナイフなどを見つけており、そしてある日ジェムとスカウトの石鹸の人形も見つけた。そんな町に夏休みが来て、再びディルが兄妹と共に遊ぶようになった。
父アカティスの裁判が迫り、容疑者のロビンソンが町の警察へと移送されてきた。アティカムは人種差別的な町の人々が過激な行動を取ると予測し、警察署のポーチに一人座りロビンソンを警護した。夜が更け、トラックや車に乗った男たちが署に押しかけロビンソンをリンチにかけようと詰め寄る。そんな興奮した人々の前に一人立ち塞がったアティカスは、法の裁きを受けさせるべきだと主張した。しかし、その彼に人々は詰め寄って行き一触即発の状態になった。
アティカスを心配した、ジェムとスカウトとデイルは、アティカスの前に立つと大人たちの顔を見た。スカウトはその中にカニンガムがいることに気づき語り掛ける。カニンガムは狼狽し、俺は家に帰ると背を向けると、ほかの人々も沈静化し襲撃は未遂に終わった。
そして裁判が開廷されたが、当時の南部では陪審員は全て白人で、最初からロビンソンの有罪は決まったようなものだった。裁判では、被害者のメイエラが「ロビンソンに殴られ暴行された」と証言し、メイエラの父もそれを裏付けた。
しかし、アティカスの追及によって、むしろ誘惑したのがメイエラで、それを見つけた父ボブ・ユーエルが娘を殴ったもので、ロビンソンはボブに追われ必死に逃げただけという事実が浮上する。
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アティカスは弁論で白人の陪審員に向かい、事実を冷静に見つめてほしいと訴える。その様子を見守る二階黒人傍聴席にはジェム、スカウトとデイルも子供たちも見守っていた。
そして陪審員は評決のため2時間を費やし法廷に戻ってきた。判事が評決を問うと、陪審の答えは有罪だった。アティカスはロビンソンにまだ上告できるから希望を失うなと伝える。
一階の傍聴席から人が消え、一人法廷を去ろうとするアティカス。そんな彼を二階席の黒人傍聴人と、3人の子供たちは起立して見送った。
【意訳】黒人牧師:ジーン・ルイスさん、ジーン・ルイスさん、お立ちなさい。君のお父様が行かれる。
失意のアティカスと子供達が家に着くと、ヘック・テイト保安官(フランク・オーヴァートン)がやってきた。
そして、ロビンソンが護送中に逃亡を企て射殺されたと告げた。アティカスは希望を持てという言葉が届かなかったと悲痛な顔を浮かべた。
その事実を告げに、ロビンソンの家に向かったアティカス。
そのアティカスを訪ねて、メイエラの父ボブは弁護士の顔に唾を吐くのだった。
時は過ぎハロウィンの夜を迎え、スカウトとジェムもコスプレをして学校の催しに参加した。
そして家に帰ろうと、二人が森を通っている時、何者かが暗闇から現れ襲い掛かった。
ジェムはスカウトを守ろうと揉み合い、突き飛ばされ、魔の手はスカウトへと伸びた。スカウトは身動きが取れない衣装の中で必死に周囲を窺った・・・・・・・・・・・・・・
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映画『アラバマ物語』予告 |
映画『アラバマ物語』出演者 |
アティカス・フィンチ(グレゴリー・ペック)/スカウト(メアリー・バダム)/ジェム(フィリップ・アルフォード)/ディル・ハリス(ジョン・メグナ)/ヘック・テイト保安官(フランク・オーヴァートン)/モーディ・アトキンソン(ローズマリー・マーフィ)/デュボース夫人 (ルース・ホワイト)/トム・ロビンソン(ブロック・ピーターズ)/キャルパニア(エステル・エヴァンス)/タイラー判事(ポール・フィックス)/メイエラ・バイオレット・ユーエル(コリン・ウィルコックス)/ボブ・ユーエル(ジェームズ・アンダーソン)/ステファニー・クロウフォード(アリス・ゴーストリー)/ブー・ラドリー(ロバート・デュバル)/ギルマー検事(ウィリアム・ウィンダム)/ウォルター・カニンガム・Sr(クラハン・デントン)/事務官(チャールズ・フレデリックス)/スペンス・ロビンソン(ジェスター・ヘアーストン)/サイクス牧師(ビル・ウォーカー)/フォアマン(ガイ・ウィルカーソン)/成人したスカウトのナレーション(キム・スタンリー)
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映画『アラバマ物語』解説受賞歴 |
1962年度(第35回)アカデミー賞:主演男優賞(グレゴリー・ペック)、脚色賞、美術賞(白黒部門)
1962年度(第20回)ゴールデングローブ賞:主演男優賞ドラマ部門(グレゴリー・ペック)、作曲賞
1963年度(第16回)カンヌ国際映画祭:ゲイリー・クーパー賞(監督ロバート・マリガン)
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第35回アカデミー賞・主演男優賞スピーチ |
司会者フランク・シナトラに紹介されプレゼンターのソフィア・ローレン登場。
ソフィア・ローレンはシナトラに共演したことがないわねと言うと、シナトラはスペインで撮った『誇りと情熱』で一緒だったというと、あれはあなただったのと言うソフィア・ローレンの言葉に憮然としてシナトラは退場。
ソフィア・ローレンはノミネート者を紹介バート・ランカスター(終身犯)/ジャック・レモン(酒とバラの日々)/マルチェロ・マストロヤンニ(イタリア式離婚狂想曲)/
ピーター・オトゥール(アラビアのロレンス)/グレゴリー・ペック(アラバマ物語)
受賞者はグレゴリー・ペック(アラバマ物語)。
【受賞スピーチ・意訳】
ありがとう、アカデミー協会メンバーの仲間の皆さん。
ハーパー・リー、アラン・パクラ、R・マリガン、ラス・ハーラン、全ての私の友と映画スタジオのスタッフに感謝します。
私の仕事を認めてくれた、各地域の記者や、批評家、私の仕事を評価し言及してくれた全国的なコラムニストに感謝します。
そして、私は私にインスピレーションと精神的な援助と愛情を注いでくれた、私の家族と、我が良き、親しい友に感謝申します。
どうもありがとう。
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以下の文章には 映画『アラバマ物語』ネタバレがあります。 |
(あらすじから)
しかし、襲撃者は後からやってきた何者かに阻まれ、打ち倒され、助けた人物がジェムを抱きかかえ家に連れて行くのを、スカウトは見た。スカウトが家に着くと、ジェムは意識を失ってベッドに寝ており、そこにはブーが居た。
彼がジェムを家に送り届けたのだった。
そこにテイト保安官がやってきて、襲撃してきたボブは、すでに刺殺されていたと語る。ポーチで保安官と語るアティカスは、ジェムがナイフでユーエルを殺したと思い、正当防衛でも正式に届け出なければと保安官に語った。しかし、テイト保安官はジェムではないとキッパリ言うと、ブーに眼を向けた。
その上で保安官は、ユーエルは自分からナイフの上に倒れた、事故だと結論付けた。更に保安官は、真実を告げ、世間から隠れて暮らす障害のある男ブーを、世間の注目の的にすることは彼を破滅させかねない罪だと語り去った。
スカウトは父に近づき、ブーを告発するのは「マネシツグミを殺すことと同じ罪でしょ」とアティカスに語りかけた。アティカスはブーに近寄ると「子供の命の恩人」だと感謝を述べた。
映画『アラバマ物語』結末・ラスト |
手をつなぎながら帰るブーとスカウト。
【意訳】隣人は葬儀にはお供え物を贈り、病気の時には花を見舞い、お互いを気遣う。ブーは私達の隣人だった。彼は私達に、2人の石鹸人形や、壊れた時計と鎖、ナイフをくれ、そして命を救ってくれた。ある時アティカスは言った、その人のことを真に理解しようとしたなら、その人物の靴を履き、彼の場所を歩き回らなければならないと。それなら充分すぎるぐらいブーのポーチに立っていた。始まったその夏は、もうずっと昔に終わったことだ。そして別の夏に場所を譲った。そして秋。ブー・ラドリーが現れた。それらのジェムとデイル、ブーとロビンソン、そしてアティカスとの日々を、しばしば私は思い返す。アティカスはジェムの部屋で夜を徹し、そして朝ジェムが眼を覚ますまでそこにいた。
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