2019年08月25日

映画『奇跡の海』人の愛と神の物語!完全再現ストーリー/あらすじ・ネタバレ・ラスト・解釈

映画『奇跡の海』(あらすじ・ネタバレ・結末 編)

原題 Amor omnie
英語題 Breaking the Waves
製作国 デンマーク
製作年 1996年
上映時間 158分
監督 ラース・フォン・トリアー
脚本 ラース・フォン・トリアー


評価:★★★★  4.0点



この映画には正直胸を打たれました・・・・・
ここには、若き日のラース・フォン・トリアー監督の、ある種「真摯な祈り」を見出す思いがします。
主演女優のエマ・ワトソンは、愛にのた打ち回るような悲痛な役を、リアリティーを持って演じ数々の賞に輝きました。

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<目次>

映画『奇跡の海』ストーリー
映画『奇跡の海』予告・出演者
映画『奇跡の海』解説/受賞歴
映画『奇跡の海』ネタバレ・結末
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映画『奇跡の海』ストーリー


北海に面した70年代のスコットランドの寒村。
キリスト教長老教会の閉鎖的な村。
教会の長老達は、よそ者である北海油田の労働者ヤン(ステラン・スカルスゲート)と結婚したいという申請の査問をしていた。
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申請者のベス・マクニール(エミリー・ワトソン)は、外で待つように言われた。
海風を浴びる彼女の顔には微笑みが浮かんでいた。
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<第一章ベスの結婚>
アイルランドの山を見下ろし、ベスの夫となるヤンの乗るヘリコプターが飛ぶ。
結婚式の当日、ウェディングドレスを着たべスは、一途に、必死に、油田からのヤンの戻りを待ちわびていた。
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ようやくヘリコプターで戻ったヤンを見ると、「遅い」と怒り、何度も殴りつけながら泣いた。

教会での式が終わり、披露宴パーティーは村人とヤンの仕事仲間を加え盛大に執り行われ、祝福の声と共に酔いが回り出す。その最中、ベスは待ちきれないというようにヤンをトイレに誘う。
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べスはそこで、男性との初体験をした。

<第二章ヤンとの生活>
静かな村の日々。新婚の2人は、朝昼強い愛を互いの体に刻み込み、村を歩く最中にもお互いを求めた。
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べスは夫のイビキすら愛おしく、片時もヤンの傍を離れがたかった。そんな中、村の葬儀に立ち会ったヤンは「地獄に落ちる」と告げられながら埋葬される死者を憐れんだ。

しかし、そんな幸福を貪るような生活は終わりに近づき、ヤンが油田に戻らねばならない日が来る。
ベスの義姉ドド(カトリン・カートリッジ)は、精神病棟への入院歴もある義妹べスを心配する。
ある晩、ヤンにべスを傷付けるなと訴えたが、ヤンはベスはもっと強いと答えた。
ヘリコプターで油田に飛び立つヤンを見送りながら、残されたベスは取り乱し泣き叫んだ。
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<第三章1人の生活>
北海油田にヤンは戻った。彼の不在はべスの精神を不安定にし、べスは教会で神と自問自答する。
その不安定な姿を見た家族は、再び精神科の診療を受けさせることにした。主治医リチャードソン(エイドリアン・ローリンズ)のもとへ、彼女は再び通い始める。

べスは教会で神と自問自答し、ヤンからの週に数回の電話だけを支えに日々を過ごした。
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そしてヤンが休暇で戻る日が後10日となった時、待ちきれずベスは教会で「ヤンが一日も早く戻りますように」と神に祈った。
【意訳】べスの神:べスマクニール、長きに渡り、愛のため祈り続けていた。再びお前からそれを引き離せと?それがお前の望みか?/べス:いいえ違います。私はまだ愛の喜びにいます。/べスの神:では今度は、何が望みだ/べス:私はヤンの帰宅を祈っています。/べスの神:10日で奴は戻ってくる、お前は忍耐を学んで、分かっているだろう。/べス:ああ!待てないのです。/べスの神:お前らしくもない、べス。そこには、彼とその仕事を必要とする人々がいるではないか。彼らをどうする?/べス:彼らはどうでもいい。他はどうでもいい。わたしはただ、再びヤンに帰って欲しいのです。それで祈ってるんです。ああ、どうか。/べスの神:お前は彼の帰還を望むのだな。間違いなく、それが望みなのだな。/べス:はい。

そして北海油田で働くヤンは、事故に巻き込まれ、瀕死の重傷を負い緊急搬送され町に戻って来た。
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病院では震えるべスが待つ中、ただちにヤンの治療が開始され、何とか一命だけは取り留めたが、全身麻痺のまま回復の見込みはなくベッドに寝た切りになってしまう。
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自分の祈りが今回の事故を引き起こしたと、ベスは自らを責め始める。

<第四章ヤンの病気>
教会で問いかけるべスに、べスの声の神は「お前の望み通りヤンを返した。これからお前の愛が試されるのだ」と告げる。
病院のヤンの横ベスが座り、義姉の看護婦であるドドも看病を尽くす。その甲斐あって、ヤンは病院を出てベスの家に入った。
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ベスは喜び、ヤンの誕生日には心づくしのパーティーをした。しかしある日ヤンは、自分は性的不能となってべスを愛せない。だから「愛人を作れ」とベスに告げる。
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抗うべスに対し、他の男とセックスをし、その内容を教えてくれれば、自分もお前と愛し合うことができる、自分を生かすことができるのはお前の愛だけだとヤンは言ったが、ベスは泣きながら扉を閉めた。
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しかし、ヤンの容態が悪化し意識不明で病院に戻った。
病院に駆けつけたベスに向かって、ヤンは再び俺のために愛人を作れと語った。

<第五章疑惑>
ベスは夫の「愛人を作れ」ば生きられるという言葉を信じ、主治医リチャードソンの部屋に押し掛け誘惑し、全裸になってベッドに入った。
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しかし、リチャードソンは患者とは関係しないと言いベスの望みは果たせなかった。
そこでべスは、バスに乗り込むと老人の股間に手を伸ばした。
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老人を手で満足させた後、バスを降りたベスは嘔吐した。
しかし、病院でバスでの話をヤンに聞かせると、翌日ヤンの病状が好転した。

<第六章信仰>
ベスはバスの一件でヤンを救ったと確信を持った。
ヤンのためにさらに性的交渉を重ねようと、バーで知り合った見知らぬ男に近づき、関係を持つことに成功した。
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その話をヤンに聞かせると、再びヤンの病状が好転の兆しを見せた。ベスの声の神は「お前の愛の証をみせよ」と語りかけ、さらに見知らぬ男性たちと情交を重ねて行く。日増しに服装も淫らになり、村人は彼女を娼婦として見るようになる。
義姉ドドと主治医リチャードソンが止め、母(サンドラ・ヴォー)も教会から追放されると叱ったが、べスは止めない。
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見かねたリチャードソンは、精神病院に入れる以外べスを救う道はないと、夫ヤンに入院の同意書への署名を求めた。break_sign.png夫ヤンも妻が危険な状態なのを知り、サインに応じた。

<第七章ベスの犠牲>
ベスはヤンのために、他の娼婦達が行かない沖合いのトロール船へと向かった。
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しかし、ナイフを持ち出す異常な性衝動の男達と知り、必死に逃げ出した。教会に向かったベスはそこで教会からの追放を告げられた。
べスはヤンの待つ病院へと向かうと、そこには警察官が待ち受け、ベスを精神病院へと隔離するため車に乗せた。
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隙を見て逃げ出したベスは、家に戻るが母に扉を閉ざされた。
傷心のべスは教会へと足を向けるが、その背中に村の子供たちが娼婦と嘲り石を投げた。たどり着いた教会でべスは崩れ落ちた。
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そこに義姉のドドが現れ、夫ヤンが危篤だと告げた。
それを聞いたベスは、ドドに行くところがあると言うと、よろよろと立ちあがった。
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教会に背を向け去っていった・・・・・・・・・・

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映画『奇跡の海』予告

映画『奇跡の海』出演者

エミリー・ワトソン(ベス)/ステラン・スカルスガルド(ヤン)/カトリン・カートリッジ(ドド)/ ジャン=マルク・バール(テリー)/エイドリアン・ローリンズ(リチャードソン医師)/サンドラ・ヴォー(ベスの母)/トロール船の男(ウド・キアー)
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映画『奇跡の海』解説

受賞歴

1996年ヨーロッパ映画賞 作品賞
1997年ボディル・デンマーク最優秀作品賞他
1997年セザール賞最優秀外国映画
1996年ヨーロッパ映画賞 女優賞エミリー・ワトソン
1996年ニューヨーク映画批評家協会賞 主演女優賞、監督賞
1996年全米映画批評家協会賞 作品賞、主演女優賞、監督賞
1997年デンマーク映画アカデミー・ロバート賞 最優秀作品賞、監督賞他
1997年サテライト賞 外国語映画賞
他多数


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以下の文章には

映画『奇跡の海』ネタバレ

があります。
(あらすじから)
ベスは危篤のヤンを救うために男との性交渉が必要だと信じていた。
そこで再び、危ない眼に遭ったトロール船へと再び乗り込んだ。
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しかし船内から出てきたべスの体は、船長(ウド・キアー)と船員によって、何カ所もナイフで刺されていた。
病院に運び込まれたベスは、薄れゆく意識の中で、混濁した意識の中で母に詫びた。
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薄れゆく意識の中で、ヤンの病状が良くなっていないと知る。
自分が間違っていたのかと呟き、この世を去った。

映画『奇跡の海』結末・ラスト

<終章 葬儀>
事件の審議が行われ、リチャードソン医師は意見を求められた。
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その席で、神経症によるという自分のかつての医学所見を翻し、ベスの行動は「善意」によるものだとリチャードソン医師は語った。
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その法廷には、奇跡的に回復したヤンがいた。

ベスの体は葬儀も行われず、密かに教会に埋葬されたが、その魂は地獄へ行くと宣告される。
しかし、埋葬された棺の中身は海岸の砂だった。
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ヤンとその仲間が密かにベスの遺体を運び出していたのだ。
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そして、船でベスの体を北海油田へと運ぶと、べスの体を海中へと滑り込ませた。

【意訳】同僚A:確かめてみろ。何かあるか?/ヤン:何もないだろ。/同僚B:周囲をくまなく探しても、何もない。/同僚A:じゃあ、確かめてみよう。

外に出てみると、天空高く鐘の音が響き渡った。




posted by ヒラヒ at 17:27| Comment(0) | デンマーク映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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