2019年08月02日

ゴダール映画『軽蔑』(1967年)バルドーの眼力を見よ!完全再現ストーリー/あらすじ・ネタバレ・ラスト・結末

映画『軽蔑』(あらすじ・ネタバレ 編)

原題 LE MÉPRIS
英語題 CONTEMPT
製作国 フランス・イタリア合作
製作年 1963
上映時間 102分
監督 ジャン・リュック・ゴダール
脚色 ジャン・リュック・ゴダール
原作 アルベルト・モラヴィア


評価:★★★   3.0点



女優ブリジッド・バルドー時に29歳、その肉体美に眼を奪われ、その濃厚な女が迸るような蔑みの視線に脳を焼かれます。
一方監督ゴダールは、この映画の4年後の1967年8月「商業映画との決別宣言文」を発表する以前に、映画産業界に対する軽蔑をこの映画で表白しているように見えます。

そんな事でこの映画は、ブリジッド・バルドーのスター性が魅力的ながら、ゴダール的な思弁性を秘めた映画だという印象です。

film1-Blu-sita.jpg
film1-Blu-sita.jpg

<目次>
映画『軽蔑』ストーリー
映画『軽蔑』予告・出演者紹介
映画『軽蔑』解説/フランス映画の伝統と拡散
映画『軽蔑』ネタバレ・結末
映画『軽蔑』結末・ラストシーン

film1-Blu-sita.jpg

映画『軽蔑』ストーリー


女優が歩くところをカメラが追う、映画の撮影現場。
そこにキャストとスタッフの名が描かれる。
CONTEMPT_first.png

豊満な肉体がベッドの上に在る。
その肉体の主、女優カミーユ(ブリジット・バルドー)は夫に尋ねる。
私の体が好き?私の乳房と乳首のどちらが好き?
CONTEMPT_nake.png全部好きだと、夫で劇作家のポール(ミシェル・ピッコリ)は答える。

翌日、ポールはアメリカの映画プロデューサー、プロコシュ(ジャック・パランス)と撮影スタジオで会った。
通訳のフランチェスカ(ジョルジア・モル)を交え、監督フリッツ・ラング(フリッツ・ラング)の撮った映画『オデッセウス』のラッシュを見た。
CONTEMPT_con.png
見ながらプロコシュは、もっと色っぽいシーンを入れたいと言い、ポールにシナリオの改定を依頼した。ポールは胸に入れられた小切手を見てその仕事を受けた。

昼時になり、カミーユがスタジオに来た。
プロコシュはカミーユを見ると、二人を昼食に招待した。プロコシュはカミーユに、2シーターのスポーツカーに同乗しろと誘った。カミーユはポールと一緒に行きたいと言った。
しかし、ポールは気にしないから二人で先に行けと促した。
【意訳】プロコシュ:良ければ行こう。/プロコシュ:奥さん座って。/ポール:お宅で会おう。僕はタクシーを拾う。/カミーユ:彼に先に行ってもらって、2人でタクシーに乗りましょう。/プロコシュ:決めてくれ。

ポールがプロコシュ邸に着いた時、先着した二人は体を寄り添わせながら歩いていた。
妻カミーユは「遅い、30分も経っている」と夫を睨んだ。
CONTEMPT_looking.jpg
ポールは、事故があったと言い訳したものの、カミーユはそっぽを向いていた。
プロコシュは、カプリ島の別荘で行われるロケにポールとカミーユを誘った。それにカミーユは「夫が決める」と答えた。

アパートに帰ってから、カミーユは前夜と人が変わったように不愛想だった。
CONTEMPT_apart.jpg
夫ポールはその理由を問い質すが、妻は答えず苛立った夫は妻に手を上げた。
その日から、二人は寝室を別にした。

電話がなり夫婦は映画の参考にと、プロコシュと共に映画館に行くことを求められた。
ブロコシュからカプリ島への誘いが再び在り、ポールは「カミーユ次第だ」と返事し、それを聞いた彼女は再び不機嫌になり「もうあなたを愛していない。あなたを軽蔑する」と口に出した。
CONTEMPT_outcinema.png
映画館で夫婦はほとんど口をきかなかった。

結局カミーユはカプリ行きを承知した。
カプリ島の海に浮かんだ船上で撮影が進む。プロコシュは撮影中にもかかわらず、一足さきに別荘に帰ろうとカミーユを誘った。
カミーユは夫の顔を見つめたが、ポールは「行きなさい」とカミーユを促した。
CONTEMPT_boat.jpg

別荘に戻ったポールは、窓際で口づけを交わすカミーユとプロコシュの姿を目撃する。
CONTEMPT-kiss.jpg

拳銃を忍ばせたポールは、カミーユになぜ軽蔑するのかと詰問した。
カミーユはもう愛していない、あなたと別れると告げる。
CONTEMPT_sunburn.jpg
ポールは、もうこの映画の脚本の仕事は降りる。劇作家に戻るとカミーユに告げ、一緒に島を出ようと懇願した。
しかし、カミーユは裸で海に飛び込み泳ぎ去った。

翌朝、帰り支度をするポールのもとに、カミーユの置き手紙が届いた。
妻は「プロコシュとローマに立つ」と書き残していた。
film1-Blu-sita.jpg

映画『軽蔑』予告


映画『軽蔑』出演者


カミーユ・ジャヴァル(ブリジット・バルドー)/ポール・ジャヴァル(ミシェル・ピコリ)/ジェレミー・プロコシュ(ジャック・パランス)/フランチェスカ・ヴァニーニ(ジョルジア・モル)/フリッツ・ラング(フリッツ・ラング)/ラング助監督(ジャン=リュック・ゴダール)/撮影監督(ラウール・クタール)/シレン(リンダ・ベラス)
スポンサーリンク


film1-Blu-sita.jpg

映画『軽蔑』解説

フランス映画の伝統と拡散

いきなりですが、フランス映画といえば「ヌーヴェルヴァーグ」が思い浮かぶ、古い世代に属する私です。
しかし最近のフランス映画のバリエーションは、実に多岐に渡っており、是非その魅力をお伝えしたい・・・・・・
という事で、当ブログで紹介したフランス映画のレビューをご紹介しようという、ゴリ押し企画です。

まずは、ハリウッド的なフランス映画を撮るフランス人監督のパイオニア、リュックベッソン監督1990年の作品から。
関連レビュー:フランス映画の過剰なロマンティズム
『ニキータ』
リュック・ベッソン監督の語る美しき暗殺者
名作『レオン』につながる、ジャン・レノ主演作


しかし、フランス的伝統を継承する監督も。1991年レオス・カラックス監督。
関連レビュー:フランス恋愛至上主義映画
『ポンヌフの恋人』
フランス的恋愛の狂おしい世界
レオス・カラックス監督、ニュー「ヌーヴェルヴァーグ」


こちらもフランス的な味わい。2001年ジャン・ピエール・ジュネ監督。
関連レビュー:フランス恋愛至上主義映画
『アメリ』
パリのメンヘラ少女の恋
不思議少女のパリ生活を描いて大ヒット!!


フランスと世界で大ヒット2011年、ハリウッド的作風のエリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュ共同監督作品。
関連レビュー:実話映画!フランス階級社会の奇跡
『最強の二人』
フランスの大富豪障碍者と黒人失業者の絆
心温まる大ヒット・トゥルーストリー


アカデミー作品賞、 アカデミー主演男優賞2011年の ミシェル・アザナヴィシウス監督作品。
関連レビュー:フランス発・現代版サイレント映画
『アーティスト』
オスカー受賞の現代サイレント映画
この映画はレイプか?


フランス移民によるフランス映画、2012年ダニエルコーエン監督。
関連レビュー:差別的「笑い」表現の生まれた理由
映画『シェフ!三ツ星レストランの舞台裏にようこそ』
ジャン・レノの「侍」とミカエル・ユーンの「ゲイシャ」
監督ダニエル・コーエンと差別表現

こうやって、上げてみるとフランス的な作家主義が強い作品と、ハリウッド的明快な映画とに分かれるようにも思います。

そして2010年代に入ると、ハリウッド風の単純明快な映画が増えているようにも感じ、フランス的個性が喪われつつあるのかと、すこ〜〜し心配になったりします。
Film2-GrenBar.png

スポンサーリンク


film1-Blu-sita.jpg
以下の文章には

映画『軽蔑』ネタバレ

があります。
(あらすじから)
ハイウェイを走るスポーツカーにカミーユとプロコシュが乗っていた。
プロコシュはガソリンスタンドに給油で止まると、ローマで何をするとカミーユに尋ねた。
CONTEMPT_gas.jpg
カミーユはタイピストになると答え、再び車に乗り込む。

道路上の大型車との事故。
衝突したオープンカーでは、二人の男女が死んでいた。
CONTEMPT-crush.gif
カミーユとプロコシュだった。

映画『軽蔑』結末・ラストシーン

2人が事故に会った事も知らず、島を去るポール。
ラング監督と別れの挨拶に向かう。
【意訳】ポール:元気で/通訳フランチェスカ:さようなら/ポール:さようなら。(階段を上るポール)ラング監督さよならを言いに来ました。/ラング:さようなら。これからどうする?/ポール:ローマに帰り、劇を書きあげます。あなたは?/ラング:映画を仕上げる。いつだって始めたら終わらせなければ。/ポール:どんなシーンを撮ってるんですか?/ラング:ユリシーズが再び母国を眼にする場面だ。/スタッフ:準備オッケーですラング監督/スタッフ:お静かに!




posted by ヒラヒ at 16:56| Comment(0) | フランス映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント: [必須入力]