2019年06月08日

名作映画『ティファニーで朝食を』オードリーの反資本主義/感想・解説・名曲ムーンリバー・ユニオシ問題

ティファニーで朝食を(感想・解説 編)



原題 Breakfast at Tiffany's
製作国 アメリカ
製作年 1961
上映時間 115分
監督ブレイク・エドワーズ
脚色ジョージ・アクセルロッド
原作トルーマン・カポーティ


評価:★★★★   4.0点



この映画の原作者トルーマン・カポーティはこの役を、マリリンモンローに演じさせたかったといいます。
ニューヨークでティファニーに代表される富を求めて、娼婦まがいの生活をする女性。
そんな役をオードリーが演じるのとマリリンが演じるのでは、まるで違う映画になったのではないかと思います。
そんな、この映画に関するモロモロを考察してみたいと思います・・・・・・

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<目次>
映画『ティファニーで朝食を』感想/オードリーの反資本主義
映画『ティファニーで朝食を』解説/ムーンリバー
映画『ティファニーで朝食を』解説/ティファニー
映画『ティファニーで朝食を』解説/ユニオシと人種差別

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映画『ティファニーで朝食を』予告

映画『ティファニーで朝食を』出演者

ホリー・ゴライトリー (オードリー・ヘップバーン)/ポール・バージャク(ジョージ・ペパード)/2E(パトリシア・ニール)/ドク・ゴライトリー(バディ・イブセン)/ユニオシ(ミッキー・ルーニー)/O・J・バーマン(マーティン・バルサム)/ホセ・ダ・シルヴァ・ペレイラ(ホセ・ルイス・デ・ヴィラロンガ)/メグ(ドロシー・ホイットニー)/サリー・トマト(アラン・リード)/ティファニーの店員(ジョン・マッギーヴァー)
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映画『ティファニーで朝食を』感想



冒頭でも書いた通り、この映画のホリー役は最初マリリン・モンローにオファーがあったといいますが、それこそあるべきこの映画の姿だったように思います。
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マリリン・モンローのちょっとおバカな可愛らしいキャラクターが、お金持ちが好きというのはどこか笑って許せる雰囲気があります。

たぶんマリリンだったら、アメリカ的な資本主義の象徴として「ティファニー」を信奉する姿とは、陰を感じさせない、愛らしい大らかさとユーモアーを生むドラマとして成立したと思うのです。

当ブログ関連レビュー:
『百万長者と結婚する方法』
マリリン・モンローが富豪との結婚を
目指すコメディー

ところが、イギリス生まれのオードリーには、「妖精」と呼ばれるように、どこか清潔さと、生命力の弱さがイメージとして付いて回るように思います。
tiffanys-audrey-2.jpgそんなオードリーが、貧しい少女時代から抜け出し、ニューヨークで成功を夢見て富豪と結婚しようと苦闘する姿は、どこか痛々しさや悲哀を感じさせるように思います。
事実オードリー自身も、ホリー役はミスキャストだと感じていたそうです。
しかし、この映画は、その娼婦役をオードリーが演じたからこそ名作になったのだろうと個人的には感じます。


オードリーは、美しさと同時に儚さと影をまとった、まさに妖精という呼び名がふさわしい女優ではないでしょうか。tiffa-hat.gif
だからこそ、ティファニーの美しさを求め、男達と際どい綱渡りをするホリーの役を演じても、汚さや醜さを感じさせず、逆に成功の影にある虚しさや哀しみを、表現できたのだと感じます。

USA-flag.pngたぶん、マリリン・モンローというアメリカ資本主義の価値観を、そのまま信じて体現したような女優にあっては、欲望に生きざるを得ない女達の悲しみは出なかったように思います。
そうするとこの映画のラストシーンは、本当はお金が大事なんだけど、男なんか好きになっちゃった私って「おバカねぇ〜」という、陰影に乏しいコメディーになったのではないでしょうか?

やはりオードリーが演じたことで、お金に執着する「貧しさの悲哀」が表現されたように感じます。
そしてそれは、貧しさゆえに富を求めざるを得ないアメリカ合衆国の建国基盤、貧しさゆえに移民してきたアメリカ国民の持つトラウマの切なさを表現しているようにも思うのです・・・・・

関連レビュー:アメリカの光と影を体現した男
『華麗なるギャッツビー』

F・スコット・フィッツジェラルドの金字塔
ロバート・レッドフォード出演作品

tifa-moon.jpgつまりこの映画のオードリーが表現していたのは、アメリカ資本主義に対するアンチテーゼであり、それはオードリーだからこそ表現できたように感じられてなりません。

やはり妖精に、お金は似合わないようで・・・・・・

もっとも、現代で「お金より愛」を選ぶ姿は、ファンタジーとしてしか成立しないという事も、オードリーの現実離れした美しさが表していたようにも思いました。

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映画『ティファニーで朝食を』解説

主題歌ムーン・リバー


この映画にはコマーシャルな要素が、実にふんだんに取り込まれていると思いますが、その一つがこの映画のテーマ曲「ムーン・リバー」にあることは間違いないと思います。
ヘンリー・マンシーニ作曲の、美しく、それでいて、どこか哀愁を帯びたメロディーは、都会の揺らぐ大人達のファンタジーを華麗に彩っていると思います。
オードリー・ヘップバーンの歌う「ムーン・リバー」

ムーン・リバー歌詞和訳
Moon River, wider than a mile, (月の川、一マイル(1.6Km)より広い)
I'm crossing you in style some day. (私はいつか堂々と、月の川を渡る)
Oh, dream maker, you heart breaker, (ああ月の川、夢紡ぐ者、夢奪う者)
wherever you're going I'm going your way. (どこでも月の川が進む所、私も進む)
Two drifters off to see the world.(二人の漂流者は、世界を見る)
There's such a lot of world to see. (世界には多くの見るべきものが)
We're after the same rainbow's end (私達は虹の終わるところへ)
waiting 'round the bend, (角を曲がった所に待ち受ける)
my huckleberry friend, (私のハックルベリーの友=最高の友)
Moon River and me.(月の川と私)

女優さんの歌ですね・・・・・
因みに、映画完成後の試写会で、就任したばかりのパラマウント映画の新社長が、歌のシーンに対し「ワシが思うに、まず第一に、この馬鹿な歌をカットすべきだ」と言い、オードリーは立ち上がり私が死んだらカットして!(Over my dead body!)」と叫んで、死守したシーンだったそうです。
この歌がなければ・・・・・・魅力半減ですけどねぇ・・・・
更に因みに・・・・
作曲家のヘンリー・マンシーニは、オードリーのためにこの歌を書き、その後多くの歌手が歌ってもオードリーの歌が一番良いと語っていたそうです。

一応他の歌手のムーン・リバーもご紹介・・・・・興味のある方は聴いて見てください。

ムーン・リバーと言えばこの人アンディー・ウイリアムス


ジャージなルイ・アームストロングのムーン・リバー


変り種、エリック・クラプトンとジェフ・べックのムーン・リバー


エルトン・ジョンのムーン・リバー(1分辺りから歌)


最後に一番沁みた、ジャズ歌手・アンドレア・ロストの素直なムーン・リバー

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映画『ティファニーで朝食を』解説

宝飾店ティファニー


映画の中でホリーは、嫌な事があるとティファニーに行くと語っています。
そんな女性を虜にする宝飾店ティファニーを、今更ながらご紹介。
ティファニー(英称:Tiffany & Co.)は、世界的に有名な宝飾品および銀製品のブランドである。
1837年9月18日にアメリカで創業され、今日では、ロンドン・ローマ・シドニー・東京など世界20カ国にブランドショップを持っている。
<下:ティファニーのダイヤの紹介>

[ティファニーの歴史]
1837年9月18日にチャールズ・ルイス・ティファニー(en)とジョン・B・ヤングの二人は、ティファニーの前身であるティファニー・アンド・ヤングという会社を設立した。
一番初めの店はニューヨークのブロードウェイ259番地におかれた。この店は当時一般的な時価でなく、「各商品に値札をつけ値引き交渉に応じない」という当時としては革命的なポリシーを貫いており、文房具や装飾品などを扱っていた。
1848年フランスでの二月革命発生に伴い、貴族から重要な宝石を買い入れ、宝石事業に進出した。この事業が大成功し、アメリカ第一の宝石商という現在の地位に繋がる。
1851年にニューヨークの銀細工師、ジョン・C・ムーアの事業を買収し銀製品製造を開始。アメリカ企業としては初めてスターリングシルバー基準を適用した。(wikipediaより引用)


なお映画では、おもちゃの指輪に文字入れのサービスをしてくれていますが――
注:ティファニーの公式サイトによると、「ティファニー商品以外の文字入れは、承っておりません」との事です。玩具の指輪を持ち込まないように注意しましょう・・・・・・・

[ティファニーの歴史]

1853年、チャールズ・ルイス・ティファニーは会社の全権を握り、社名を今の、Tiffany & Co.に改称した。そして本店の入り口にはギリシア神話の巨人、アトラースに支えられた大時計が設置された。ティファニーブルーと呼ばれるカンパニーカラーを初めて使用する。以降時計事業にも進出し、スイスに工場を設立する。
1877年に南アフリカのキンバリーで発見された287.42カラットのイエロー・ダイヤモンドの原石を1878年18000ドルで購入、Dr.ジョージ・フレデリック・クンツにカットさせた。このダイヤは128.54カラットの有名な「ティファニー・ダイヤモンド」として本店に展示されている。
1886年ダイヤモンドが最も美しく輝くセッティング(石留め)としてティファニーセッティングをデザイン。ラウンドブリリアントカットのダイヤモンドを6本の細い爪で支える立て爪のセッティングで、これは現在のエンゲージメントリングなどで主流とされている代表的なものである。
1967年にタンザニアで発見された青色のゾイサイトをタンザナイトと名付け売り出した。タンザナイトの産出は年々減少している。
本店は1940年にニューヨークの5番街・57丁目に移転した。この店はオードリー・ヘプバーンが主演した映画『ティファニーで朝食を』のおかげで観光名所の一つとなっている。(wikipediaより引用)

いずれにしても、全てのブランドの価値とは「付加価値」だと言えます。
それは希少性であったり、優雅さであったり、特別なデザインであったりしますが、ミモフタも無い言い方をすれば、物自体の原価価値に様々な意匠を加える事でバブル的価値を生んでいると定義すべきでしょう。

移民の国アメリカにおいては、ヨーロッパの王侯貴族が存在せず、従って王族を相手にし成長してきたヨーロッパの宝飾ブランドと、ティファニーは若干違う色を持つように思うのです。
それは、庶民的で、どこか権威主義的な色合いが薄いように感じられます。
そのブランドの趣は、アメリカ庶民がいつか手に入れる成功の象徴として、ちょうど良いバランスのブランド価値を保持していたと、この映画を見て思ったのでした。
これが例えば"エルメスで朝食を"って題名だと、何かイヤらしい響きが・・・・・・
それゆえ、テキサスの貧しい娘、ホリーが頑張って幸福になることの象徴として、ティファニーは見事な輝きを発していたように思います。


そういう意味ではティファニーとはアメリカ的なブランドであり、この映画はアメリカ的な物語だったんだなぁと感じたのでした。

<レディーガガの語るティファニー>

私はニューヨークで生まれ、ニューヨークで育った。そして生まれながらにしてティファニーが1番だと知っている。もしあなたが最も真実で価値ある瞬間を得たいなら、ティファニーの店に行ってショーウィンドウを見ればいい。私は平凡だった、でも19歳になってアーティストとなり、純粋に反逆者となるべき理由を得て、生まれ変わったといいたい。それはもっと力強いセンスを感じた。私はいつでも現状のステータスに挑戦し続けたい。私は変化を愛する。変化は私に活力を与える。私は不思議に満ち、ユニークさに溢れ、私は、飛び抜けすぎて、芸術的すぎる。あら、あまりにも思い上がった言葉かしら。でも分かる?創造的であるという意味。私には結局それ以外の道は無い。私は思うの。創造性に力を与え重要性を持たせるべきだって。私があなたを迎えに行くわ


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映画『ティファニーで朝食を』解説

人種差別とユニオシ

ハリウッド映画界では、白人が他人種を演じるという事例が昔から有りました。
白人が顔を黒く塗る「ブラックフェイス」はその代表的な例で、最近ではそんな人種偽装行為を「ホワイトウォッシング(漂白)」と呼んでいるようです。

そんな、「ホワイトウォッシング」の典型例として挙げられるのが、この映画の謎の日本人「ユニオシ」です。
ミッキールーニー演じるユニオシは、当時のアメリカ人が思い浮かべる日本人像をそのまま形にし、戯画的に表現しています。
関連レビュー:日本人を演じたハリウッドスター
『ホワイトウォッシング映画紹介』
ホワイトウォッシングとハリウッド
アメリカの差別と「ホワイトウォッシング」問題

しかし、この映画のユニオシに、個人的にはさほど嫌悪感を感じないのです。
それはなぜか、自分でも不思議なのですが・・・・・

実を言えば、「ホワイトウォッシング」には「悪意」のあるものと「善意」に基づくものの2種類あると思っています。
関連レビュー:愛の「ホワイトウォッシング」
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「ワパニーズ」の愛と希望!!


しかし、明らかにこの映画の「ユニオシ」はダメな方です。
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ダメではありますが、しかしナゼか「かわいらしい」と思ってしまった。
正直、自分でもよくわかりません・・・・・・・・・・・・・・・

このユニオシの小鬼のような顔を見ているうちに、オードリーの美しさがより引き立ち・・・・・・刺身のツマのようにあってもなくてもイイけども、あった方が確実に主役を引き立てるというような、しょせん本筋とは関係ない枝葉のニギヤカしに過ぎないと・・・・・・

まあ、そんなカンジです。

実際私は、映画の人種差別表現には敏感な方なんですが――
関連レビュー:差別的「笑い」表現の生まれた理由
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それでも、笑って許しているのは・・・・・・

たぶん妖精オードリーに魅入られたからでしょう。
posted by ヒラヒ・S at 20:00| Comment(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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