2019年09月08日

実話映画『タイタニック』の主人公はホントにいた!?歴史的事実を解明/実在人物解説・史実・日本人乗客の運命

映画『タイタニック』(実話・時代考証 編)

英語題 Titanic
製作国 アメリカ
製作年 1997
上映時間 189分
監督 ジェームズ・キャメロン
脚本 ジェームズ・キャメロン


評価:★★★★    4.0点



この映画は恋愛劇であるには違いありません。
しかし実は、監督キャメロンは「タイタニック」に取り付かれ、「タイタニック」のありとあらゆる資料や研究を読み漁り、ついには沈没したその海にまで潜るという、強い情熱を持っていたのでした。
そこで、歴史上の事実と映画内の事象がどれほど正確かを確かめ、そのキャメロンの「タイタニック・オタク愛」の深さを感じて頂ければと思います。
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<目次>
映画『タイタニック』予告・出演者
映画『タイタニック』解説/映画内の史実再現性
映画『タイタニック』解説/映画のレオとローズは実在?
映画『タイタニック』解説/映画のタイタニック乗務員は実在?
映画『タイタニック』解説/映画の乗客は実在?
映画『タイタニック』解説/実在した日本人乗客の運命は?

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映画『タイタニック』予告

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映画『タイタニック』出演者

ジャック・ドーソン(レオナルド・ディカプリオ)/ローズ・デウィット・ブケイター(ケイト・ウィンスレット)/ルース・デウィット・ブケイター(フランシス・フィッシャー)/キャルドン・ホックリー(ビリー・ゼイン)/101歳のローズ(グロリア・スチュアート)/マーガレット・“モリー”・ブラウン(キャシー・ベイツ)/ブロック・ロベット(ビル・パクストン)/リジー・カルバート(スージー・エイミス)/ファブリッツィオ・デ・ロッシ(ダニー・ヌッチ)/スパイサー・ラブジョイ(デビッド・ワーナー)/トーマス・アンドリュース(ヴィクター・ガーバー)


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映画『タイタニック』解説

映画内の歴史公証

冒頭でも書いた通り、ジェームズ・キャメロンのタイタニック愛は筋金入りです。
後年彼はタイタニックを撮った理由を「本音は、実物のタイタニックの残骸へ、自分で潜って到達したかった。この映画は、そのために作った。」と言うほどです。
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実際に潜水艇でキャメロンがタイタニックに近づいた場面は、『タイタニック』冒頭で使われており、この時のキャメロンの感動を思うと、こちらまで胸が熱くなります。
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さらに『タイタニック』の成功を受けて、2003年にはドキュメンタリー映画『ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密』を撮り、再び海に沈むタイタニックに、より肉薄しました。

ここまで深い思い入れを込めた、タイタニックの映画内での再現は、本当に偏執的なほど史実にコダわったものです。
その一端をご紹介しましよう。

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船及び室内セット

タイタニックの船体、内装に至るまで、ジェームスキャメロンが長年集めた資料や図面設計図を元に、精密に再現されています。
実物の写真と映画の写真を見較べれば、その正確性に驚くのではないでしょうか?

更にそのコダワリは、調度品にまで及びシャンデリアや、食事に供される皿、ナイフやフォークまで再現していると言います。
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遭難の再現

この映画では、船の沈没を完璧に再現するために、ほぼ実物大のタイタニックを作り上げます。
<映画タイタニックの船体建設シーン>

さらに、大金を投じたその船を、ジャッキで力を加え真っ二つにへし折る力技を見せています。

常軌を逸していると思わざるを得ませんが、そんなジェームスキャメロンの事ですから、災難の経過や事故の状況も可能な限り再現しています。
<映画の沈没シーン>

氷山にぶつかってから、船員同士の会話や、パニックの発生、船が沈没して行く時の船体の角度など、飽くなきコダワリによって再現されています。

さらに現実のタイタニックが氷山にぶつかった時間37秒は、そのまま映画の衝突シーンの時間です。

また1912年当時を描いた映画内のシーン(現代を描いた時間と、オープニングとエンディングのクレジットを除く)が、タイタニックの沈没までの時間2時間40分と同一というのも、決して偶然だとは思えません。

そんな細部まで精密に構築された、この映画セットを訪れたタイタニック研究者は、その正確さに折り紙を付けたほどです。
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映画『タイタニック』解説

レオやローズは実在の人物?

そんなこだわりのこの映画。
主要な登場人物は架空の人物ですが、実在の人物もちりばめられ、ジェームス・キャメロン監督の歴史再現への執着が感じられます。
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ジャック・ドーソン(レオナルド・デカプリオ)

この映画のヒーロー、ジャックはジェームズ・キャメロン監督のオリジナル・キャラクターです。
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またそのジャックのイタリア人の友達ファブリッツィオ・デ・ロッシ(ダニー・ヌッチ)も架空の人物です。
しかし、キャメロン監督も脚本執筆時には知りませんでしたが、三等の乗客にJ.ドーソンという実在の人物がいました。
この一致は偶然でしょうか・・・・・・・今は亡きドーソンが訴えたような・・・・
もっとも、この頭文字Jはジャックではなくジョセフだったようです。

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ローズ・デウィット・ブカター(ケイト・ウィンスレット)

ヒロインのローズも、架空の人物です。
しかしキャメロン監督はそのモデルとして、アメリカ人芸術家ベアトリス・ウッドをイメージして書いたと言います。
Beatrice_Wood.jpgベアトリス・ウッド(Beatrice Wood、1893年3月3日 - 1998年3月12日)はアメリカ合衆国の芸術家である。マルセル・デュシャン、アンリ=ピエール・ロシェらとダダイズムの雑誌『Blind Man』を創刊し「ダダイズムの母」と呼ばれた。『突然炎のごとく』("Jules et Jim") のタイトルで映画化されたロシェの自伝的小説の奔放な女性、カトリーヌのモデルであったともされる女性の一人である。[写真デュシャンとベアトリス・ウッド](wikipedia より)
申し添えればローズの母親ルース(フランシス・フィッシャー)も実在しません。

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婚約者キャルドン・ホックリー(ビリー・ゼイン)

ローズの婚約者キャルドン・ホックリー(ビリー・ゼイン)とその執事スパイサー・ラブジョイ(デビッド・ワーナー)も実在していません。
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ただ、キャルドンの父親ネイサンはピッツバーグの鋼鉄王だと劇中で言われていますので、有名な鉄鋼王アンドリュー・カーネギーをイメージしていると思われます。
titanic_Carnegie.jpgアンドリュー・カーネギー(Andrew Carnegie [ˈændruː kɑːrˈneɪɡi]、俗に[ˈkɑːrnᵻɡi, kɑːrˈnɛɡi]とも, 1835年11月25日 - 1919年8月11日)は、スコットランド生まれのアメリカの実業家。崩れ行く橋を見て着想を得てカーネギー鉄鋼会社を創業し、成功を収めて「鋼鉄王」と称された。立志伝中の人物であり、ジョン・ロックフェラーに次ぐ史上2番目の富豪とされることが多い。事業で成功を収めた後、教育や文化の分野へ多くの寄付を行ったことから、慈善活動家としてよく知られている。1889年の『富の福音』はフィランソロピーを志す人々への啓蒙書となっている。(wikipedia より)

もっとも、カーネギーに息子は存在しなかったのですが・・・・・・
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映画『タイタニック』解説

タイタニック乗務員は実在の人物?

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ウィリアム・マードック一等航海士(ユアン・ステュアート)


マードック一等航海士は、タイタニックに乗船していた実在の人物です。
titanic-mardoc.jpgしかし劇中では、賄賂を受け取ったり、逃げようとボートに殺到する男性客を射殺し、最後には自殺してしまいます。
タイタニックの歴史研究家は、ある上級船員が同様の行動を遂げたことは事実だと見ていますが、それがマードックであったという証拠はありません。また、マードックが賄賂を受け取ったという証拠もありません。

それゆえマードック航海士の親族や、マードックの故郷の人々がキャメロンの描写に怒りを表明します。
そして、ついには20世紀フォックスの幹部がマードックの故郷に出向き謝罪と共に、マードックの記念基金に8,500ドルの寄付をしたそうです。

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エドワード・ジョン・スミス船長( バーナード・ヒル)

スミス船長は実在の人物です。
定年を間近に控えており、タイタニックの処女航海が最後の務めだったといいます。
titanic-captain.jpgタイタニック遭難時、スミス船長の死亡状況には諸説あり、その遺体が発見されてない事から生存説もあります。
ある生存者は、救命胴衣のスミス船長が海に浮かんでいたと証言しています。しかし他の証言者は、操舵室にいるスミス船長を目撃したと語っています。

タイタニックの研究者の大方の意見は、ベテラン船長の最期はキャメロンが撮影したのと同じように、船のブリッジ(操舵室)で亡くなったという説を支持しているようです。
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設計者トーマス・アンドリュース( ヴィクター・ガーバー)

タイタニック号の設計主任トーマス・アンドリュースも実在しました。
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アイルランド生まれの造船家で、ベルファストにある造船会社ハーランド・アンド・ウルフの常務取締役兼設計部門部長を担っていました。

タイタニック処女航海に乗船し、映画では氷山に激突したタイタニックの沈没を誰よりも早く察知し、一人でも多く脱出させるため尽力し、ローズから信頼される男性として描かれました。
事実、遭難を伝える当時の新聞でも、そのアンドリューズの行動を英雄と評しました。船の女性客室係メアリー・スローンは「アンドリューズ氏は、運命に立ち向かう真のヒーローだ。大きな危険を認識しながらも、命がけでタイタニック号の女性や子どもを救った。」と賛辞を送っています。
そして映画同様に、船と運命を共にし海に沈んで行きました。

アンドリュースが船内のどこで亡くなったかは定かではありませんが、キャメロン監督は船内の部屋の1つで、彼が物静かに死を迎える姿を描きました。

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船主ブルース・イズメイ( ジョナサン・ハイド)

タイタニック号の実質的オーナーである、ブルース・イズメイは実在の人物です。
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タイタニック号を建造した会社ホワイト・スター・ラインの社長、ブルース・イズメイはその処女航海に乗船しながら、遭難を生き残ります。

映画では、ニュースになろうと無謀な運転を要求し事故の引き金を作ったり、救命ボートを少なくしたりと、責任者として不適格なキャラクターとして描かれました。更には、利己的な行動で女性や子供たちより先に救命艇に乗る、臆病者の悪役として描写しています。
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この点に関し研究者の間では、イズメイの行動に関して意見が分かれています。

映画のように、災厄の後の新聞では、女性と子供たちが乗船している間に船を捨てたとして非難されました。
しかし、イギリス政府の調査によれば、イズメイは女子供の避難を見届け、最後に残ったボートの空席に乗り込んだのだと弁護され、名誉は回復されました。
しかしその後、イズメイ自身二度とタイタニックの名を口に出したことは無いと、その家族は証言しています。

実を言えば、この映画にタイタニック研究家としてコンサルタントを務めたルーデン・ブラウンは、イズメイの悪役的キャラクターは不公平だと訴えたそうです。
制作側からは「脚本は変えない。観客がそれを望んでいるからだ」と拒否されたそうです・・・・・

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タイタニックバンド

タイタニック号で最後まで演奏を続けた音楽隊は実在の人々です。
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ウォレス・ハートリーをリーダーとするタイタニックバンド8名は、避難のため逃げ惑う人々の中で、最初は一等のラウンジでみんなを落ち着かせようと演奏し、船が浸水し傾くと、船の甲板に移動し、自らの運命を悟ってもなお演奏を続けました。バンドのメンバーは海に沈みました。

その沈む直前まで演奏していた曲、最後の曲が何かは専門家の間でも意見が分かれています。
これは一等船客で救助されたカナダ人ベラ・ディック夫人の証言によれば、讃美歌「主よ 御許に近づかん(Nearer, my God, to Thee)」を聞いたとされ、当時大きく報道されます。

しかしディック夫人は救命ボートで船の沈む1時間20分前に出発しているとことが分かり、その説に懐疑的な研究者もいます。
一方、船の無線士ハロルド・ブライドは、船が海の底に沈む直前に 讃美歌351番「オータム 」を聞いたと証言しており、その説を支持する声も大きいようです。

映画では「主よ 御許に近づかん」の演奏を選んでいます。
これは、過去のタイタニック映画でもこの曲が使われており、名シーンとなっている事から踏襲したものと思われます。

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映画『タイタニック』解説

タイタニック乗客は実在の人物?

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イジドー( ルー・ポルター)&アイダ(エルザ・レイブン)ストラウス夫妻

映画タイタニック号がいよいよ沈む時、水没する部屋の中ベッドで抱き合う老夫婦は実在します。
この夫婦は、一等船客である夫イジドーと妻アイダ・ストラウスです。イジドーはアメリカの百貨店メイシーズの所有者でした。
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史実では、夫婦は2人ともも救命ボート8号艇に乗船するよう促されました。
しかし夫イジドーは「男の私が女性と子供を差し置いてボートに乗れない」とボートに乗り込むことを拒みます。

そして妻アイダは、夫にボートに乗るよう促されますが、彼女は「私たちは長年連れ添ってきました。あなたが行くところに私も向かいます」とタイタニック号にとどまることを選びました。
<映画タイタニック未公開シーン/ストラウス夫妻>
【意訳】夫:ダメだダメだ、どうかアイダ、ボートに乗ってくれ/妻:イヤよ。40年も一緒に生きて来たのよ。あなたが行くところ私も行く。どうか議論は良しましょう、イジドー。それが良くないと分かってるでしょ。(以下略)

史実の夫婦は映画とは違い、2人その最後をデッキチェアに座って迎えたそうです。

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マーガレット・“モリー”・ブラウン(キャシー・ベイツ)

ローズを応援し、危険の中遭難者救助にボートを戻させた、キップの良い女性マーガレット・ブラウンは実在します。
マーガレット・ブラウンは鉱山技師の夫が成功し、億万長者夫人になりました。
ブラウン一家はコロラド州・デンバーに移住し、彼女はその地の社交界で重きを成そうと努め、女性の地位向上にも尽力しましたが、彼女を「成り上がり者」と見る当地の名士から徹底的に拒絶されたといいます。
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そんな地元社交界の冷たい視線や、夫と1909年別居したことが、彼女を旅がちにさせたのかもしれません。
マーガレットはフランスのシェルブールから客船タイタニックに乗船し遭難します。
救命ボート6号に乗って船を離れますが、タイタニック乗組員が反対するのを怒鳴りつけ、遭難者救助のため戻ります。

カルパチア号に救助、収容されてからも、女性乗客の間でリーダーシップを発揮し、タイタニック号の悲劇の中でヒロインと見なされるようになりました。

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そんなマーガレットの、キップの良さを愛されていた事を物語るエピソードを一つ。

彼女は日ごろからタイタニックの音楽バンドを愛し、チップを忘れなかったと言います。
そんな彼女が船を離れる時、沈み行く甲板上でバンド演奏する彼等を見つけ、手を振りました。

すると、タイタニックバンドが演奏したのは『岸辺のモリー Molly On The Shore 』でした。
バンドの一員チェリストのロジャー・ブリコーが“モリー” ブラウンが無事に岸辺にたどり着けるように祈るためにと、仲間に提案し演奏されたものでした。

しかし、事件後のマーガレットは、夫の遺産を巡って二人の子供と5年間争うなど、決して穏やかなものではありませんでした。
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映画『タイタニック』解説

日本人唯一のタイタニック号乗客の運命

映画には出てきませんが、日本人でただ1人のタイタニック号乗客である細野正文氏の身に降りかかった運命は、タイタニックで生き残ってしまった者の運命を象徴していると思います。
細野 正文(ほその まさぶみ、1870年11月8日(明治3年10月15日) - 1939年3月14日)は明治期の鉄道官僚である。日本人唯一のタイタニック号乗客として知られる。titanic_Hosono.jpeg

二男は交通学者で中央大学名誉教授や日本学術会議会員等を歴任した細野日出男(ほその ひでお、1902年6月20日 - 1981年10月5日)。ミュージシャンの細野晴臣は孫。
『週刊文春』(1997年12月18日号)などの報道によれば、タイタニック生還者の一人であるイギリス人ローレンス・ビーズリーが1912年に出版した著作『THE LOSS OF THE SS.TITANIC』の中で「他人を押しのけて救命ボート(13号ボート)に乗った嫌な日本人がいた」と証言したことが日本国内で広まったことにより、細野は当時の新聞や修身の教科書などから批判に晒されたという。しかし1997年にタイタニック展示会主催団体「タイタニック・エキシビション・ジャパン」の代表マット・テイラーが、細野の手記や他の乗客の記録と照らし合わせた調査から、ビーズリーと細野は別の救命ボートに乗っており人違いであることを確認した。その調査によれば、記録では細野が乗り込んだ救命ボート(10号ボート)にはアルメニア人男性と女性しか乗っていなかったことになっているが、事故当時、細野はひげをはやしていたためアルメニア人と誤記されたのであり、一方ビーズリーの13号ボートには中国人がおり、ビーズリーはこの中国人を細野と勘違いしたのだという。これによって細野は「名誉回復」されたという(wikipedia より)


この細野氏の運命は、上で挙げた社長ブルース・イズメイの遭難後の人生にも重なります。

孫にあたる細野晴臣氏はナショナル・ジオグラフィックのインタビューに答え語っています。
(質問者)――未曾有の事故から生還したとなれば、拍手で迎えられても良さそうなものですが、正文さんは世間の中傷にさらされます。tit_hoso.jpg
(細野氏)明治の末年から大正時代にかけてのことですからね。
 タイタニックには、緊急時に救命ボートに乗るのは、婦女子が優先というルールがあったそうです。
 そのため、多くの人が犠牲になったのに、なぜおめおめと生き残って帰ってきたか、と思う人も少なくはなかったのではないでしょうか。かなり執拗に攻撃されたようです。

(質問者)――しかし、正文さんは、それに一切反論しようとはしなかった。
(細野氏)明治生まれの気骨でしょうか。あるいは、多少は生きて帰ったことを恥じる気持ちもあったのかもしれない。
 祖父は、その中傷のせいか、生還後に鉄道院の役職を解かれています。忸怩たる思いがあったでしょうね。(引用元)

まだ騎士道精神が残っていた当時の社会風潮の中では、成人男子でありながら生き残るというのは、弁解のしようがない事実だったのでしょう。

また、歴史上かつてない遭難事故だっただけに、世論がその責任を負わせるエスケープゴートを探していたのかとも思います。
細野正文氏やブルース・イズメイ社長が、その対象として十字架を背負わされ、生き残ってしまった後悔を噛み締めつつその後の人生を過ごさざるを得なかったのでしょう・・・・・・・・・・

つまりは、事故や災厄は死んだ者にも生き残った者にも、等しく過酷な運命を架すという事実を、タイタニックの事件は語っています。



posted by ヒラヒ at 17:42| Comment(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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