映画論(ホワイトウォッシュとハリウッド 編)
ここで取り上げたいのは、ハリウッドで何かとシビアな状況になっている「ホワイトウォッシュ(ホワイトウォッシングとも呼ぶ)」です。
それがどういう問題なのかを探り、映画の中で表現される実例を「日本人のホワイトウォッシュ」で見ていきたいと思います。
その上で、問題の根源にある人種差別をアメリカの例から確認し、「ホワイトウォッシュ」の被害を受けたマイノリティーにとってどういう意味を持つのか確かめられればと考えています。

<目次>解説・「ホワイトウォッシュ」とは?映画の中の「変な日本」ホワイトウォッシュ実例集 解説・アメリカ社会の差別の現実 解説・「ホワイトウォッシュ問題」の本質とは? |

「ホワイトウォッシュ」とは? |

1769年にはニューヨークの劇場で、ブラックフェイスの白人俳優としてルイス・ハラム・ジュニア演じたという記録があります。映画の歴史が始まってすぐ、1903年の『アンクル・トムの小屋』で主要な黒人役全てが白人がブラックフェイスで演じるという「ホワイトウォッシュ」作品で、それ以降のハリウッド映画も黒人役は白人が演じるのが普通でした。
更に時代は下り1920年代には、当時の「ブラックフェィス」人気者にアル・ジョンソンがおり、彼は黒塗りで劇場の満員の観客から喝さいを浴びていました。
そんな彼は、映画史に残る世界初のトーキー(音声入り映画)である、1927年の『ジャズ・シンガー』で主演を務め、歴史に名を残しています。
そんな「ブラックフェィス」や、黄色人種を演じる「イエローフェィス」など、様々な形で白人俳優が別人種を演じる「ホワイトウォッシュ」がハリウッド映画に表れるようになります。
映画におけるホワイトウォッシュ(えいがにおけるホワイトウォッシュ、英語: Whitewashing)は、アメリカ合衆国の映画業界で白人以外の役柄に白人俳優が配役されること。映画黎明期より度々白人俳優が白人以外の役に配役されてきており、映画の歴史と共にある。日系アメリカ人活動家のガイ・アオキは「アフリカ系アメリカ人がホワイトウォッシュの対象であるのと同様にアジア系民族も経験している」と語った。ネイティヴ・アメリカンにも同様のことがいえる。(wikipediaより)
古くは単純に該当するマイノリティーの俳優がいなかったり、知名度の低い俳優では映画の成功が見込めないなどの理由で、有名な白人スターを使って来たというハリウッド的な慣行と実利的側面がありました。
それが、問題視されるようになったのは、白人が他人種を演じることの是非と共に、結局のところそのマイノリティーの描かれ方が、しばしば白人から見た侮蔑的でステレオタイプな存在として描かれてきた点に問題があるように、個人的には感じられます。

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変な日本「ホワイトウォッシュ」の実例 |
ホントに80年代?『ベストキッド2』よりヘンテコな沖縄風景
そこにはアメリカ人が求める「エキゾチズム=日本情緒」を、誇張し追加しているのではないかと感じます。
何にせよ、アメリカ人から見て印象的な、日本的な異国情緒が映画史上そこかしこに埋め込まれ、その点は日本人からすると違和感を感じざるを得ません・・・・・・
また同時に、アジア人を白人俳優が演じる「イエローフェィス」の「ホワイトウォッシュ」が1960年代には頻繁に作られています。
そんな実例として、大物俳優が日本人を演じた「イエローフェィス」を、いくつか挙げてみたいと思います。

@『ティファニーで朝食を』(1961年)ミッキー・ルーニー |
出っ歯で吊り上った眼にメガネの典型的な日本人像"ユニオシ"を演じ、笑いを生み出しています。
しかしその侮蔑的な表現に、ミッキー・ルーニー自身演じた事を後悔しているとの言葉を語っています。
映画自体は、古典的名作ですので「ホワイトウォッシュ」に負けず、見て頂きたい作品ではあります。
関連レビュー:オードリーの名作
『ティファニーで朝食を』
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A『八月十五夜の茶屋』(1961年)マーロン・ブランド |
マーロン・ブランド演じる日本人通訳サキニの自己紹介シーン。日本訛りの英語で沖縄の歴史やアメリカの上陸に関する感想を語っている。
『ゴッド・ファーザー』でオスカーを受賞した、天下の名優マーロン・ブランドだって、眼をテープで吊り上げて、入れ歯を入れて、劇中では片言の日本語まで使ってガンバってくれています!
しかし、何故か日本人らしく見える名演技は、「アクターズ・スタジオ」仕込みの「メソッド演技」ゆえか!?
関連レビュー:マーロン・ブランドの演技革命
ハリウッド映画とアクターズ・スタジオ『メソッド演技』
多数のオスカー俳優を輩出した名門・俳優養成所、演技の秘密

B『青い目の蝶々さん』(1962年)シャーリー・マクレーン |
この映画で日本人芸者に化けるのは、シャーリー・マクレーン。
しかし、これまでの映画とは違い、夫を追ってきた妻(シャーリー・マクレーン)が夫に気づかれないよう「芸者」に変装し化ける。
やはり、日本人に見せるためには、眼を細くするのはお約束。

C『Majority of One』(1961年)サー・アレック・ギネス |
なんと、『スターウォーズ』のオビ=ワン・ケノービで有名な英国の誇る名優も、日本人”浅野浩一"を演じます。
ハリウッドの日本俳優ジョージ・タケイもこの映画に端役で出演していましたが、彼は自伝で”ギネスの目につけられた「異様に攻撃的な」ゴムのメイクと、また日本の描写の「理解できないデタラメ」に衝撃を受けた”と語っています。
さすがにヒド過ぎて日本公開はされなかったようです。
まだまだあります。
さらに、これをアジア人全般や、黒人・ヒスパニックなどのマイノリティーまで広げれば、枚挙にいとまがありません・・・・・・・
しかしハリウッドの名誉の為に、一言申し添えたいと思います。 上の映画の製作年代を見て頂ければ分かる通り1960年代には外国ロケの映画がとても多いのですが、これはアメリカの観客がカラーのワイドスクリーンに映される映像として、海外の風景を求めた事が大きい要因でした(この時期にイタリアで『ローマの休日』、モナコで『泥棒成金』など盛んに海外ロケが行われています) しかし、それ以外にも当時経済的に苦しんでいたアメリカ以外の国々に、戦後復興計画「マーシャル・プラン」で資金援助をしていたのですが、1955年当時でも約15%程度しか償還されてなかったのです。 そこで、ハリウッド映画で海外ロケをすることで、その償還に当てようという人助けでもあったようです。 |
第二次世界大戦終結直後のアメリカだけが頼りという世界情勢であれば、日本人から見て少々敬意に欠ける描写を感じるにしろ、「日本ロケ」にはアメリカ的な善意もあったのでしょう。
しかし、その善意が「独善」の色を帯びるのもアメリカ文化の特色のようで・・・・・
実は上で挙げた、日本人にとっては「うれしくない日本」の映画でも、そんなマイノリティーの意識なぞどこ吹く風、実はアメリカ国内の「ワスプ=白人・アングロサクソン・プロテスタント=アメリカ多数派」からは、愉快で楽しいと無邪気に喜ばれているのでした。

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「ホワイトウォッシュ」とアメリカのマイノリティー |
しかし個人的な意見を述べれば、「ホワイトウォッシュ」には侮蔑的では無い、敬意のある「ホワイトウォッシュ」もあるのではないかと思うのです。
たとえば最近では、2017年公開された実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』。
この映画のヒロイン日本人の草薙素子を、スカーレット・ヨハンソンが演じたことで、「ホワイトウォッシュ」だと海外では批判が強かったようです。
しかし、この映画に関しては決して「日本人」をステレオタイプで、侮蔑的に描いているようには見えません。
また、この映画の監督が日本アニメ『ゴースト・イン・ザ・シェル』を愛しており、むしろ敬意を持ちすぎて冒険できずに映画的には失敗をしてしまったようにすら感じます。
関連レビュー:センスオブワンダーの行方 実写『ゴースト・イン・ザ・シェル』 SF映画の歴史 日本アニメの系譜 |
しかし、アメリカ内のマイノリティーは、いかなる「ホワイトウォッシュ」も許すべきではないと主張します。
それを端的に示すのが、下の動画です。
<『ゴースト・イン・ザ・シェル』批判動画> 下の動画は、アジア系の少女が「同人種のヒーロー」に憧れを抱いていたのに、成長したある日その「人種的英雄」を白人に奪われ傷つく様子が象徴的に描かれています。この動画の最後のメッセージ「「映画は現実ではない、それでも現実の人々に影響を与える」と語られています。 |
以下この動画の示すその主張を、自分なりに解釈してみれば―
○他人種との摩擦や衝突そして差別がある社会では、マイノティーを代表する「ヒーロー=英雄」とは、一種の「心の救い・拠り所」として輝いている。 ○その「マイノティーヒーロー=人種的英雄」とは、その少数者・被差別者側にとっては「人種的財産=人種的アイデンティティ」となっている。 ○その「人種的財産=人種的アイデンティティ」を他民族に盗用されることで、マイノリティーは社会的な抑圧だけではなく、精神的にも混乱を受ける。 ○さらには自らの人種が、白人などマジョリティーから植民地支配された歴史的経緯を蘇らせ、その支配と簒奪の再現を許す事を意味し、自ら劣等であると認めてしまう事にもつながる。 |
この動画にある、他人種に財産を簒奪されたとする憤り―
それは、アメリカのように多くの人種が混在し、差別や格差が生じているような社会においては、マイノリティーにとって真に切実な損失なのかと想像します・・・・・・・

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アメリカ社会とマイノリティー差別 |
下の動画では、そんなアメリカのマジョリティー「白人」の言葉が、いかにマイノリティーであるアジア系の人々を傷付けるかを、マイノリティーがマジョリティーに逆に言うことで、気付かせようという主旨になっています。
<白人がアジア系に言うセリフを逆に言ったら・・・・・>【意訳】アジア男性:ああ、そう言えば、どこの出身か、もう一回いい?/白人男性:テネシー/アジア男性:違うって、本当の出身国はどこ?
【タイトル:アジア人が白人のセリフを口にすると】
アジア女性:スゴイ、どうやってナイフとフォークで食べれるワケ?それってタイヘンでしょ、私絶対できない。(白人が箸を見た時に言う)/アジア女性:あなたの英語ってうまい!どこでならったの?/アジア男性:それで、なんで君だけ白人達と付き合ってんの?/アジア人女性:あなたグループの中で居心地わるいでしょ?/アジア男性:なあみんな、白人がバラバラな問題を話そうか?俺にはみんながバラバラな事に口挟めないし。(分断されたアジア状況を白人が口にするからか?)/アジア人女性:ねえ、見て、私白人!(白人が目を吊り上げアジア人と言う)/アジア男性:あのさ、君は白人でホント不幸だよね。だって、君の人種って生まれつき太ってるでしょ。
アジア人女性:あなたは本当の名前もあるんでしょ、それとも白人名前だけ?/アジア人女性:あなたのご両親って、とっても白い?/アジア男性:ねえ、君のお母さんに会うのどう思う?僕はホントに白人文化に入りたいんだ。/アジア人女性:私は白人なまりが大好き。さあ、チーズを食べるぞ。/アジア男性:知ってる?俺は本当に最近、白人の宗教に入っていた事があるんだ。なんか、彼らはとっても怒って張りつめてるのが好きなんだ、分かる?部屋の壁紙をそれで全部飾ったんだ。だれか腹減った?/アジア人女性:あなたイタリア系?パスタ大好き。ピザ、ピザ。/アジア人女性:あなたのご両親は超過保護だったでしょう。何でもしたいことはさせてくれたんじゃない?/アジア人女性:うわ〜フォーク二本?それって私の髪に刺すとカワイイ。(箸を見て白人がこう言う)/アジア人女性:私白人とのデートって大好き。だって、とっても大きくて威張るんだもん。(アジア人に小さくて謙虚だと言う)/アジア男性:ねえ、俺って白人女性に向きで、白人女性とぴったりだと思うんだ。どこ行くの?/私、丸い眼を持ちたい、だって本当に白人になりたいんだもん。
この動画にあるように、優位にある「白人社会」より、上から目線の言葉が無意識のうちに発せられ、それに耐え続けることの憤りがマイノリティーに感じられます。
こんな悪意のない無意識の「白人優位」の言葉だけではなく、さらには下の動画のように、意図的な悪意にも晒されなければなりません。
<ニューヨークのスターバックスでの人種差別>老女:あんた達座って静かにしてるんなら、いいわ。私はあんた達の言語を聞きたくない。/【この女性はスターバックスで英語をしゃべらない客に怒鳴った】/老女:もし、彼らが座りたいなら、黙ってれば最高よ!/スターバックス店員:もしあなたが聞きたくなくても・・・彼らは何も悪くないですし、あなただけが問題を起こしてるんです。/老女:国に帰れ/女性:何ですって!?/【彼女は2人の客に”英語を話せ”と命じた。この時彼らは彼らの母国語の韓国語を話していた】/老女:東洋人を、私は嫌いなんだ!
スターバックス店員:彼らは彼らの言葉を話す自由があります。/老女:あんたに何が分かる!オバマ大統領は言った!アメリカに居る全ての人が・・・・アメリカに入りたいんだったら英語をしゃべるべきよ。/スターバックス店員:彼らは完全に、彼らの言語を使う事を認められている。どうぞ帰ってください。/老女:私はアイツらの言葉を聞きたくない!/スターバックス店員:私たちはいて欲しいんです。これが初めてじゃないでしょ・・・・あなたは前にも私達のお客様を不快にしましたよね。/老女:私はアイツらの言葉を聞きたくない!/韓国女性アニー:私達は自分の母国語を使う自由がある。/スターバックス店員:お帰り下さいませんか。/老女:もし、彼らが座って黙っているんだったら、いいわ。この(クレーム)の手紙を出したらどうなると思う。/スターバックス店員:あなたは何度も何度も数字を打ってるだけでしょ。/老女:何だって?/スターバックス店員:分かりました。帰ってください。もし帰らなければ警察に通報します。あなた次第です。/老女:けっこうね。【数分後警察が来て彼女を店の外に連れ出した。しかし彼女はまだ彼らの言葉を”気分が悪い”と叫んでいた。誰であれ、こんな仕打ちを受けるいわれはない。】
YouTubeにはこんな実例がたくさんアップされており、かの地のマイノリティーの現状に、同情を禁じ得ません・・・・・
そんな、アメリカの人種間の摩擦をリアルに知るのであれば、2005年のアカデミー賞作品『クラッシュ』をご覧になる事を、お勧めします。
関連レビュー:多人種が日々衝突する米国 『クラッシュ』 人種対立の悲劇と希望 2005年度アカデミー作品賞、脚本賞、編集賞 |

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アメリカの差別と「ホワイトウォッシュ」問題 |
そんな中で、マイノリティーはアメリカで言えば「白人」というマジョリティーに、無意識のうちに優位性を刷り込まれ、自らが所属する人種の誇りを守るためには、意識的に闘わざるを得ないのだろうと想像します。
そんな彼らにとって、人種を代表する「人種的英雄の盗用=ホワイトウォッシュ」や、さらには下で見られるような「人種的文化の盗用」を、問題視せざるを得ないのでしょう。
<「人種固有文化の盗用」と批判された例>
アメリカVOGUEに掲載された、人気モデルのカーリー・クロスの写真が「日本文化の盗用」だと批判を浴びました。
カーリー・クロスは批判を受けて、Twitter上で謝罪をします。
”この作品は私自身に縁のない文化を盗用したものでした。このような、文化的に不明瞭な撮影に参加したことを本当に申し訳ないと思っています。”
結局、厳しい人種的な対立や差別のある社会では、その「人種的財産」がマイノリティーのメンタリティーにとって、どれほど大事であるかという事実を示しているのが「ホワイトウォッシュ」という問題なのだと感じました。
つまりは、マイノリティーにとって、「自らを証明するもの=アイデンティティー」こそ、その「人種的財産」であり、その盗用を許すことは自らのアイデンティティーの放棄と同義なのでしょう。
そんな、人種間それぞれの文化や宗教を非難・排斥するような現代社会が悲劇なのであり、そのストレスの表れとして「ホワイトウォッシュ」を許せないという主張になっていると思います。
その昔、そんな現代社会の分断を憂え、乗り越えようという歌がありました・・・・・・
<ジョン・レノン『イマジン』>
Imagine there's no Heaven(想像してみよう、天国が無いと)
It 's easy if you try(試してみれば、簡単なこと)
No Hell below us(我々の下に地獄はない)
Above us only sky (我々の上には ただ空がある)
Imagine all the people (想像してみよう、みんなが)
Living for today...(今日を生きている)
Imagine there 's no countries (想像してみよう、国が無いと)
It isn 't hard to do(それは、難しいことでは無い)
Nothing to kill or die for(殺人や死も無く)
And no religion too (そして宗教すらも無い)
Imagine all the people(想像してみよう、みんなが)
Living life in peace(平和に暮らしているのを)
You may say I'm a dreamer(僕のことを夢想家だと言うだろう)
But i 'm not the only one(でも僕は一人じゃない)
I hope someday you'll join us (いつか君も我々に加わって)
And the world will be as one (そして世界はひとつになる)
Imagine no possessions (想像してみよう、何も所有しないと)
I wonder if you can (君なら出来るはずだ)
No need for greed or hunger (欲も飢えも必要ない)
A brotherhood of man(人々は全て兄弟だ)
Imagine all the people(想像してみよう、みんなが)
Sharing all the world(全世界を共有する)
You may say I'm a dreamer (僕のことを夢想家だと言うだろう)
But i 'm not the only one (でも僕は一人じゃない)
I hope someday you'll join us (いつか君も我々に加わって)
And the world will live as one (そして世界はひとつになる)
いつか、世界から人種やその文化に対する差別や嫌悪が無くなれば、「ホワイトウォッシュ」は単なる笑い話になるようにも思います。
実をいえば、すでに「ホワイトウォッシュ」が問題視されていないばかりか、むしろ歓迎していると思える国があるのです。
そんな「不思議の国・日本」での「ホワイトウォッシュ問題」を、次にご紹介したいと思います・・・・

関連レビュー:日本人が「ホワイトウォッシュ」を喜ぶ? サイード「オリエンタリズム」と日本人 日本人と「ホワイトウォッシュ」との深い関係 |

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1。動画の主張と異なり、攻殻機動隊は幼い少女が憧れるような作品ではなく、性的描写も多い成人男性向けの作品である。
作成者はマンガ版攻殻機動隊を理解していないので、批判が的を射ていない。
非ファンのアジア人の方が、ファンの非アジア人より解釈権を持つのか?
2。そもそも攻殻機動隊はロボ芸者(テレビアニメ版)やビルから突き出たたくさんの中国語の看板(アニメ映画版)など、オリエンタルな要素を強調した作品である。セルフオリエンタリズムや日本人による中国に対するオリエンタリズムはいいのか?
コメントありがとうございます。
ご意見を拝読し思った事をいくつか・・・・・
1:仰るとおり、この動画は「攻殻機動隊」の価値とは関わりなく、ホワイトウォッシングに反対するためのサンプルとして利用されただけだと感じます。
>非ファンのアジア人の方が、ファンの非アジア人より解釈権を持つのか?
この点はアメリカのマイノリティーの現実(歴史的に差別されてきた)という点で、政治的正当性としてホワイトウォッシング自体やってはいけないというのが、ハリウッド映画の現状のようです。
私個人としては、文化とは変容拡散していくものなので、人種差別の問題を考えても、好意的なホワイトウォッシングは、その作品もしくは人種的財産の価値を高めるものであれば、認めるべきだと思っています。
そんな日本人から観たホワイトウォッシングを次に書こうと思っています。
ただし、アニメ「攻殻機動隊」の海外ファンは、白人も含め日本人のイメージだったようでスカ・ヨハは不評のようです。
>2。そもそも攻殻機動隊はロボ芸者(テレビアニメ版)やビルから突き出たたくさんの中国語の看板(アニメ映画版)など、オリエンタルな要素を強調した作品である。セルフオリエンタリズムや日本人による中国に対するオリエンタリズムはいいのか?
これも、白人対マイノリティーという「アメリカ的状況」の中での文脈で、アジア人の財産という言い方をしているようです。
つまりは、白人に対してマイノリティーが自らの権利を主張するために、マイノリティー同士協力しようというのが、アメリカのマイノリティーの戦略だという事でしょう。
つまりは「攻殻機動隊」は、マイノリティーの権利主張のための「だし」として利用されたということかと思います。
さらに2に関し、仰るとおり、「SAYURI」という映画の中で、日本芸者を中国人が演じたと日中で問題になったことがあり、実は日本人や、アジアに住むアジア人にとっては「ホワイトウォッシング」より「アジアウォッシング」の方が重要なのではないかと次で書こうと思っています。