2018年08月05日

映画『ジャズ大名』維新とジャズと殿様と・再現ストーリー/あらすじ・ネタバレ・ラスト・結末

文明の衝突と昇華

英語題 Dixieland Daimyo
製作国 日本
製作年 1986
上映時間 85分
監督 岡本喜八
脚本 岡本喜八、石堂淑朗
原作 筒井康隆

評価:★★★★☆    4.5点



この1986年公開の日本映画は、混乱し、猥雑で、映画85分のなかで、ジャズセッションの割合が3/1を軽く越えているだろう。
そんなこの映画は、映画的技術や、説明の細やかさ、更には時を経たせいもあり、ワケの分からない、メチャクチャな、つまらない映画だと思われるかもしれない------
しかし幕末という変革期に生じた狂乱に、上は大名から下は庶民まで、それぞれ時代にもみくちゃにされながら、生きるという動物的な本能がほとばしり巨大なエネルギーを生じたという事実が、言葉ではなく音楽の形で表現されているようで心を揺さぶられる。
それゆえ、誰が何と言おうと、個人的には傑作だと信じて疑わない、偏愛の映画なのだ。

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映画『ジャズ大名』ストーリー

南北戦争が終結し、奴隷解放がされた時代。黒人奴隷だったジョー(ロナルド・ネルソン)は、1人バーモント近くを放浪するうち、弟サム(レニー・マーシュ)、従兄ルイ(ファーレズ・ウィッテッド)、叔父ボブ(ジョージ・スミス)の3人と偶然にも出会えた。彼ら4人はニューオリンズまで行き、そこから船に乗り、故郷のアフリカへ帰ろうと相談をした。その船賃を得るために、それぞれ持っていた楽器、ボブのクラリネット、ルイのコルネット、サムの太鼓、ジョーのトロンボーンを使いバンド演奏で稼ごうと、ジョーが中心になって道々練習を続けた。
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ニューオリンズで流行っているという、新しいスタイルをまねた曲は、明るく軽快にジャズらしくなり、4人は夢中になって吹き続けた。
数か月後、4人は道中で出会ったメキシコ商人にだまされた。
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アフリカ行の船だと信じ香港行の船の中にいた。
そして旅する事数か月、ボブが船はアフリカに向かっていないと言い残し、病気で死んだ。3人はその言葉でダマされている事に気付き、ある大嵐のなか小型ボートで船から逃げ出した。

3人が流れ着いたのは、時は幕末、駿河湾の小藩庵原藩。
黒船来航以来、日本はパニックに陥り天皇から庶民まで右往左往していた時代、たまらず徳川慶喜が大政奉還をしたものの、薩長の討幕の意思は固く、鳥羽伏見の闘いが始まろうとしていた。
jazz_furuya.jpegそんな世相を反映して、庵原藩の領内でも、狂気のように集団で踊リ続ける「ええじゃないか踊り」の一団が練り歩く。
家老・石出九郎左衛門(財津一郎)は幕府と薩長のいずれに着くのかと苦慮する中、庵原藩の藩主、海郷亮勝(古谷一行)は、そんな騒ぎもどこ吹く風。
そんなおり、薩摩の使者益満休之肋(唐十郎)と他1名(六平直政)が城の中を通過したいと申し入れた。藩主亮勝は、お淑やかな文子(神崎愛)と、男勝りの松枝(岡本真実)という二人の妹と共に接見し、薩摩の申し出を許した。
jazz_karou.jpegしかし、場内の侍の佐幕派は薩摩藩士の命を狙っていた。
そんな混乱の中、亮勝は下手な篳篥(ひちりき)を出し吹き、浜に黒人3名が漂着したと知ると、会いたいと好奇心を剥き出しにするのだった。しかし家老の九郎左衛門は、異人は幕府のご法度、追って沙汰のある事ゆえ会うことはならないと止める。

ジョーたち三人は医師、玄斉(殿山泰司)の手当を浜近くの農家で受け、意識を取り戻し回復した。本藩からの指示は、黒人の処分は亮勝に任せるとのお達しだった。亮勝はでは勝手にすると、城の地下座敷牢にジョー達を入れた。
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時を同じくして、江戸から世継ぎ誕生の知らせが来たが、それが不義密通の子だとわかり、九郎左衛門は監督不行届をの責任を取って切腹をすると、腹を剥き出しにした。
jazz_zaitu.jpegしかし亮勝は黒人たちと会えるならと九郎左衛門の切腹を許した。
ついに念願かない、亮勝は黒人たちと対面した。鈴川門之助(本田博太郎)を通訳に、漂着の経緯と、楽隊であることを聞く。
サムがリズムを刻み、ルイがコルネット、ジョーがトロンボーンの演奏を見せた。亮勝はボブのクラリネットを譲り受け、リードを篳篥(ひちりき)のもので直し、吹き始めた。
亮勝は自らの部屋に戻ってもクラリネットを吹き続け、その音に呼応するように地下からも黒人3人の演奏が鳴りだした。

江戸薩摩屋敷が焼き討ちにあったとの報を聞いた亮勝は、部屋の間仕切りや邪魔な調度を片付け城内を素通しとした。そして、薩長と幕府の両陣営にこの城の往来を自由に開放すると言い、両者が戦おうと一切関わらないと言い放つ。
驚く九郎左衛門を尻目に、クラリネットを持ち、亮勝は喜々として黒人たちの待つ地下へと降りて行った。
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映画『ジャズ大名』予告



映画『ジャズ大名』出演者

古谷一行(海郷亮勝)/財津一郎(石出九郎左衛門)/神崎愛(文子姫)/岡本真実(松枝姫)/殿山泰司(玄斉)/本田博太郎(鈴川門之助)/今福将雄(由比軍太夫)/小川真司(中山八兵衛)/利重剛(過激派・赤坂数馬)/ミッキー・カーチス(メキシコ商人・アマンド)/唐十郎(薩藩・益満休之肋)/ロナルド・ネルソン(ジョー)/ファーレズ・ウィッテッド(ルイ)/レニー・マーシュ(サム)/ジョージ・スミス(アンクル・ボブ)/細野晴臣/山下洋輔/タモリ
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以降の文章には

映画『ジャズ大名』ネタバレ・ラスト

があります。ご注意ください。

今や地下牢も、演奏ステージに変わり、ジョーたちと亮勝の演奏に、城中の者もいつしか体を揺すり出す。
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1人また1人と、城中の者達も鼓、横笛、算盤、薩摩琵琶、琴、鍋、釜、桶、三味線などで、演奏に加わり出し、家老の九郎左衛門さえも自慢の山鹿流陣太鼓で参加した。
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こうして庵原藩・家中を挙げての大ジャム・セッションが地下で繰り広げられた。
その上を、江戸に向かう討幕派、押し止めようとする幕府方の兵が激しく斬り結ぶ。
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しかし地下では朝か夜かもすでに判らない、狂乱の演奏が続いていた。
そして「ええじゃないか踊り」の集団がなだれ込んだ時、廊下が抜け地下へと踊りながら落下した。
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亮勝や黒人3人がリードするセッションは、ますます狂乱の度を加え、すでに集団トランス状態となり、夢か幻か、時代すらも超越し、ミッキー・カーティスのエレキギターや、おもちゃのピアノを叩く山下洋輔、そしてラーメン屋台を引くタモリのチャルメラまで鳴り響く。
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そして時は、明治元年!



posted by ヒラヒ at 17:20| Comment(0) | 日本映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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