2018年05月03日

実話映画『大統領の陰謀』ワシントン・ポストVSニクソン・再現ストーリー/あらすじ・ネタバレ・ラスト

映画『大統領の陰謀』(あらすじ・ネタバレ・ラスト 編)

原題 All the President's Men
製作国 アメリカ
製作年 1976
上映時間 139分
監督 アラン・J・パクラ
脚本 ウィリアム・ゴールドマン



評価:★★★    3.0点



この映画は、ニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件を暴いた、ワシントンポストの二人の記者の飽くなき努力を描いています。
ロバートレッドフォードとダスティン・ホフマンの2大スターが、それぞれの持ち味を活かし、説得力のある演技を見せています。
実話を描いたこの映画は、スピルバーグ監督の2017年の映画『ペンタゴンズ・ペーパー』が、ワシントン・ポスト対ニクソンの第一ラウンドを描いているとしたら、この作品は確執ある両者の最終決戦だと言えるでしょう・・・・・
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映画『大統領の陰謀』あらすじ


1972年6月1日とタイプが打たれる。
その日、大統領ニクソンは、ソヴィエト連邦とのデタント(冷戦緩和交渉)で成果を挙げ、アメリカ連邦議会に歓呼で迎えられていた。
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その16日後、1972年6月17日、深夜2時30分。ワシントンのウォーターゲート・オフィス・ビル民主党本部に5人の男たちが侵入し、駆けつけた警官に逮捕された。「ウォーターゲート事件」の始まりだった。
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その事実を知ったワシントン・ポスト紙の首都ワシントン担当デスク、ハリー・ローゼンフェルド(ジャック・ウォーデン)は事件に違和感を感じ、入社9ヶ月の記者ボブ・ウッドワード(ロバート・レッドフォード)を、早朝たたき起こし取材を命じた。またポスト紙ベテラン記者カール・バーンスタイン(ダスティン・ホフマン)も、この事件に興味を示し上司に自ら取材したいと売り込んだ。
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ボブが侵入犯の裁判に行くと、ただの窃盗犯であればありえない、政府関連事件を扱う高名な弁護士がその場にいた。

さらに侵入犯の1人のジェームズ・マッコードは裁判所で、最近CIAを辞めた事実を語った。調べると残った4人もCIA関係者だと判明する。
また、犯人が保持していた名簿にハワード・ハントという名前と「WH=ホワイトハウス」と記されていたことも判明した。
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ボブは早速ホワイトハウスに電話をかけ、ハントの事を尋ねる。
すると彼がCIAに関わり、ニクソン大統領補佐官チャールズ・コルソンと、共に仕事をしていた事実が浮上した。

上司ハリー・ローゼンフェルドとボブは、局長のハワード・サイモンズ(マーティン・バルサム)に状況を報告し、更にボブは質問してもいないのに、ホワイトハウスの広報が「ウォーターゲートの事件に無関係だ」とコメントしたのが不自然だと話した。
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ハワードも重要性を認め、注意して記事を書けとボブに指示し、彼が去ってからホワイトハウス絡みの事件なら、政治部の記者に任せると言い出した。
しかしワシントン地区デスク、ハリーはボブのネタだと主張し対立した。
編集主幹のベン・ブラッドリー(ジェイソン・ロバーズ)も含めて首脳会議が開かれた。
ハリーは「ウォーターゲート事件」を、ボブ・ウッドワードとカール・バーンスタインの担当に決めさせた。
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ボブとカールは関係者の取材を続け、カールがハントの下で働いていた女性事務員に取材すると、大統領選挙のライバルであるケネディの資料を借りていたと知り、ハントがニクソンの大統領選挙に関わっていた疑いが強まる。
資料貸し出し事実を確認しようとするが、ホワイトハウス図書館司書は事実を否定し、国会図書館の貸出票にも証拠は見つからない。
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とりあえず現在まで掴んだ情報で記事を書き上げ、編集局長ベン・ブラッドリーに見せたが、ベンは確かな事実を調べろと言った。
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行き詰ったボブは、事件を知る政府高官のディープ・スロート(ハル・ホルブルック)と呼ばれる、情報提供者と連絡を取った。
夜、密会した地下駐車場で、ボブはディープ・スロートから「侵入犯へ払われた25,000ドルの出所を探れ」と示唆を受けた。
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(上:金をしっかり追え)

そんな時、侵入犯がホワイトハウスに事件当日十数回電話をしているというスクープを、ニューヨーク・タイムズが報道した。
カールはニューヨークタイムズに情報を提供した検事の元に乗り込み、強引に通話記録や事件関係資料を開示させた。
その中に犯人達に払われた報酬の資料があり、高額な小切手の差出人はニクソン大統領の再選委員会の中部地区の財政委員長で、その小切手は再選委員会本部に入金したものと判明した。
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ボブが再選委員会本部に連絡すると、前任者のミッチェル委員長に訊けと言われた。

そのミッチェルとはニクソン政権の前司法長官だった。更にスタンズという、再選委員会の財務委員長に、小切手が渡っていた事が明らかになる。
「犯人達の報酬がニクソン再選委員会から出ていた」とポスト紙は、報道した。
その報道により会計監査院が調査に乗り出したが、調査結果は大統領戦後に発表するとされ、ボブとカールは再選委員会が多額の不明瞭な資金がある事を知った。

しかし、世間はホワイト・ハウスと「ウォーターゲート事件」は無関係と見なし、ニクソンの再選はほぼ確実な状況だった。
主幹ベン・ブラッドリーは、深追いはポスト紙の命取りになりかねないと、事実を掴めと2人に警告した。
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(上・ブラッドリー:クソッタレな話はどうなった。/ボブ:何にせよこれは金が鍵だ。)

すでに、ニューヨーク・タイムズなど他の報道機関は事件を取り上げることがなくなり、ワシントンポストの2人だけが取材を続けた。
2人は再選委員会の名簿を手に入れると、そのリストの家を片っ端から訪ねて歩いたが、みな一様に口封じをされていた。
ニクソンは共和党の次期大統領候補の指名を勝ち取った。

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そんな時カールは、再選委員会簿記係の女性ジュディ・ホバック(ジェーン・アレクサンダー)から、資金の流れを5人の人間が管理していたと聞いた。
更に、今は辞職したヒュー・スローン(スティーヴン・コリンズ)という経理係が、ミッチェルの身代わりとして関わっていたと知る。
5人の内、リディー・ゴードン、バート・ポーター、マグルーダというミッチエルの部下3人の名前が浮上した。

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カールとボブは、スローン宅を訪問し直接話を聞いた。

スローンは重い口を開き、再選委員会が巨額の資金を扱い、その使途が不明瞭であった事、そして、再選委員会の人事はホワイトハウスから指示があったと証言した。

ついに、前司法長官ミッチェルの関与が明らかになり、その記事掲載を本人に連絡をした。
ミッチェルは、「もし書いたら、(ポスト紙社主)キャサリン・グラハムの胸を、デカい搾乳機で絞ってやる」と口汚く脅したが、それを聞いた主幹ブラッドリーは、胸のクダリを削除し、記事にしろと命じた。
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そしてブラッドリーは、ジョンソン大統領時代に「FBI長官更迭」という記事を、政府にダマされて書いた失敗を語り、お前たちはまだ間違っていない、怖がらずにやれと言ってオフィスを去った。
2人の調査でニクソン再選委員会が、ウォーターゲート事件の1年前にも、民主党の大統領選候補の妨害工作に資金を調達していたことを掴む。
そこでは大統領首席補佐官、H. R. ホルドマンが指令を出している疑いが強くなり、ヒュー・スローンも裁判で聞かれていればそう証言したと語った。
しかし、アメリカ第2の権力者H. R. ホルドマンの名前を書く重大さに、編集局では議論が沸騰ししていた。
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カールは裏付けを取るため、FBIの情報源に電話し、肯定的反応を得たことで、ブラッドリーは掲載に踏み切った。
そしてポストは「ニクソン側近(ホルドマン)が機密費関与との証言」と、二人の書いた記事を載せた。
しかし、その新聞が発行されるや否や、ホワイトハウスは、その報道が酷い誤報だと声明を出した。
同時にTVでは、スローンが弁護士と共にインタビューを受け、その弁護士はスロ−ンがホールデマンの関与を証言していないと答えていた。
カールもFBIの情報源を確認するが、勘違いしたと電話で応えた。

カールとボブは、ニクソン陣営にハメられたのだった・・・・・・・・・・・・・

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関連レビュー:スピルバーグ監督の描くワシントン・ポストの戦い
『ペンタゴン・ペーパーズ』
ニクソンVSポストの第一ラウンドの戦い
トム・ハンクスとメリル・ストリープ主演


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映画『大統領の陰謀』予告

映画『大統領の陰謀』出演者

カール・バーンスタイン(ダスティン・ホフマン)、ボブ・ウッドワード(ロバート・レッドフォード)、ハリー・ローゼンフェルド(ジャック・ウォーデン)、ハワード・シモンズ(マーティン・バルサム)、ベン・ブラッドリー(ジェイソン・ロバーズ)、ディープ・スロート(ハル・ホルブルック)、ジュディ・ホバック(ジェーン・アレクサンダー)、ダーディス(ネッド・ビーティ)、ヒュー・スローン(スティーヴン・コリンズ)、ケイ・エディ(リンゼイ・クローズ)、ポール・リーパー(F・マーリー・エイブラハム)、ヒュー・スローンの弁護士(ジェームズ・カレン)


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以下の文章には

映画『大統領の陰謀』ネタバレ

があります。

各所から抗議の電話が鳴り響き、ポスト社内は騒然としていた。
編集局内では、謝罪記事を出した方が良いのではないかとの声も上がった。
しかし、ブラッドリーは「絶対に出さない。2人の記者を守る」と強い覚悟を示した。
president_denger.pngボブは真実を求めて、再びディープ・スロートとの接触を持った。
その口から、謀略は広く深く張り巡らされ、CIA、FBI、司法機関が関わっており、ボブとカールの取材記者2人は命の危険すらあると警告した。また、ワシントン・ポストの幹部すら、盗聴・監視下にあると知らされる。(右:君の命も危ない)

深夜、カールに状況を伝えたボブは、連れだってブラッドリー主幹の家を訪れ、常に見張られており命を落とす危険すらあると伝えた。
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上:例外なく、(報道の自由を)妨害しようとする者に異議を唱える

それに対してベン・ブラッドリーは、合衆国憲法修正第一条で保証されている“報道の自由”をかけ、そして“この国の未来を守る”ために、あくまで戦い抜くと告げる。
そして、カールとボブの2人に向かって「二度とヘマをするな」とハッパをかけた。

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映画『大統領の陰謀』ラストシーン


1973年1月20日、ニクソン大統領は再選を果たし、就任式で宣誓する様子がポスト社内のテレビにも流れていた。
そんな中、ウッドワードとバーンスタイン両記者は、一心不乱にタイプライターを打ち続け、記事を世に送り出していた。
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1973年1月11日ハント共謀と不法侵入の罪状を認める
1973年8月17日マグルーダ不法侵入幇助を認める。
1973年11月5日セグレッテイ6ヶ月の禁固刑。
1974年2月26日カームバック不正資金調達を認める。
1974年4月6日チェーピン偽証で有罪。
1974年4月12日ポーター、FBIへの偽証で30日投獄。
1974年5月17日クラインディーンスト罪状を認める。
1974年6月4日コルソン重罪の司法妨害を認める。
1975年3月13日スタンズ不正献金受領を認める。
1975年1月2日ミッチェル、ホールドマンら有罪。
1974年8月6日録音テープによりニクソンの隠蔽が発覚。
2人が報じた事件の記事が端緒となって世論を動かし、そして1974年8月9日にニクソンは大統領を辞任。ジェラルド・フォードが第38代合衆国大統領に就任した。




posted by ヒラヒ at 17:05| Comment(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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