映画『告発の行方』(あらすじネタバレラスト 編)
原題 The Accused 製作国 アメリカ 製作年 1988 上映時間 111分 監督 ジョナサン・カプラン 脚本 トム・トーパー |
評価:★★★☆ 3.5点
この映画は、その体当たりの迫力ある演技でジュディー・フォスターがレイプ被害者を演じ、アカデミー主演女優賞を獲得した裁判劇です。
法廷劇としてのエンターテイメント性を持ちながら、同時に、男性に虐げられる「ジェンダー=女性性」が持つ悲劇という、重いテーマも強く迫って来る作品です。
この映画のテーマは、2010年代に入って女性達によって告発され始めた「ミー・トゥ(me too)運動」の先駆的な主張だったように感じられます。


映画『告発の行方』ストーリー |

「酒場「ミル」で女性が男達にレイプされている。早く来てほしい」と訴えていた。
その背後を、肌も露になった被害者の女性、サラ・バイアス(ジョディー・フォスター)が走り去り、通りすがりのトラックに助けられ去った。
サラは病院でレイプの傷の検査を受けていた。

そこに、女性検事補のキャサリン・マーフィ(ケリー・マクギリス)とダンカン保安官(テリー・デイヴィッド・ムリガン)が面会に訪れ、サラはレイプの事情聴取で、屈辱的な体験を語らされた。
聴取を終え、犯人逮捕のため、更にキャサリンとダンカンはサラを伴って「ミル」を訪れる。

カート(キム・コンドラショフ)とダニー(ウッディ・ブラウン)という暴行犯人をサラがその場で確認し、もう一人の犯人・大学生のボブ(スティーヴ・アンティン)も後日逮捕された。
しかし、犯人たちの雇った弁護士は有能だった。

キャサリンの上司ポール・ルドルフ(カーメン・アルジェンツィアノ)は、「レイプ事件での裁判では勝てない。傷害事件として立件すべきだ」と忠告した。
ミルでバーテンにも話を聞き、さらにサラの友人のウェートレス、サリーからも話を聞いた。
しかし、キャサリンもこの裁判に勝つことは無理だと考えた。
キャサリンは加害者弁護士と取引をし、レイプ的性犯罪ではなく、それと同様の刑期ではあるものの、通常数ヶ月の服役で出所する、過失傷害で決着させた。
サラはその事実をニュースを通じて知った。
キャサリンの家に乗り込み、なぜ強姦罪ではないのか?
強姦罪でなければ、私が誘ったと皆が思ってしまうと、怒りをぶちまける。

しかしキャサリンは、陪審員次第では無罪の可能性があり、止むを得なかった。
ベストを尽くしたと説明したが、サラは納得せず帰って行った。
サラは自らのトレーラーハウスに帰ると、髪を切る。

そんなサラを同棲中のラリーが慰めようとするが、彼女は拒絶し、彼を家から追い出した。
そんなある日、レコード店でサラは、見知らぬ男から声をかけられた。
その男クリフ(レオ・ロッシ)が、しつこく口説きからむのを、サラは強い口調で断り自分の車に乗り込んだ。
しかし、クリフはなおも追いかけ「思い出した、ミルでピンボールをしてた女だ」と言った。

彼は、事件当日現場にいてレイプ犯人を、煽っていた男だったのだ。
聞いたサラは怒りと屈辱で、車を発車させようとしたが、クリフはその進路を自らの車で妨害した。

激情に駆られたサラは、クリフの車に自分の車を、何度も激突させ、自らも傷を負う。
サラを病院に見舞ったキャサリンは、クリフが帰るところに出くわした。
クリフが事件現場にいて、サラを嘲ったと聞かされ、彼女の深い苦悩を知る。
また、サラが自分を味方だと信じていたという言葉に、胸を打たれた。

その姿を見たキャサリンは、サラの名誉を回復しようと決意する。
キャサリンはレイプ現場にクリフのように、周囲で見物し煽動した者がいたことを知り、すでに刑が確定してしまった犯人の代わりに、この野次馬たちを教唆犯として立件することを思い立つ。
もし教唆犯と確定すれば、実行犯のレイプも証明でき刑は重くなるとキャサリンはサラに説明した。

サラはキャサリンに取引をしないと約束させた上で、自ら裁判で証言する決意する。
しかし、キャサリンの計画を知った検事局の上司ポールは、勝てない裁判は許さない、キャリアを棒に振るのかと恫喝した。

キャサリンは、絶対立件する、邪魔をするなら検事局を訴えると、全面対決する覚悟を示した。
そんな状態で、裁判に向けて準備を進めるなかで、サラの友人のミルでウェートレスとして働くサリーから話を聞いた時、彼女が彼氏と喧嘩していて、酒場の大学生を見て抱かれても良いと言っていたと知る。
キャサリンはサラに、ケリーはもう証人には使えない、他に隠していることはないかと詰問した。
サラは怒って去ったものの、後でキャサリンに謝り、裁判に向けて協力することを約束した。
キャサリンは現場ミルでゲーム機の高得点記録にあるケンという名前から、実行犯の大学生の友人が現場にいたことを突き止める。
そして警察に通報したのも彼だと、通報時のテープで確認させ、裁判での証言を認めさせた。

そして、クリフを含めた3名が、レイプを煽ったかどうかを巡る裁判の日となった。
サラは証言台で、事件のことを涙ながらに告白する

しかし、弁護側はサラが誘ったのではないか、合意の上ではないかと厳しく追求した。
そして、事件の時サラが目を閉じてたという証言から、本当に誰が囃し立てたか判るのかと、弁護人は尋ねる。
サラは判らないと言わざるを得なかった。
一方大学生の証人ケンは、親友のボブを刑務所に訪ね、裁判で証言すると伝えた。
ボブはレイプを証言されれば、刑期が7年も延びる、忘れたと言って証言するなと言った。

ケンは検察局の上司ポールと共に、キャサリンとサラの前に現れ、記憶が無いので証言しないと言った。ポールも裁判は諦めろと吐き捨てるように言って去って行った。
サラは、ケンに「何故?怖いの?」と問いかけた。

ボブがうなずくと、サラは「自分も怖い」と告白し、ボブを見つめた。
ボブの表情に変化が生まれた・・・・・

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映画『告発の行方』予告 |
映画『告発の行方』出演者 |
サラ・トバイアス(ジョディ・フォスター)/キャサリン・マーフィー(ケリー・マクギリス)/ケン・ジョイス(バーニー・コールソン)/クリフ(レオ・ロッシ)/サリー(アン・ハーン)/ポール・ルドルフ(カーメン・アルジェンツィアノ)/ボブ(スティーヴ・アンティン)/ラリー(トム・オブライエン)/ポールセン(ピーター・ヴァン・ノーデン)/ダンカン保安官(テリー・デヴィッド・ミュリガン)/ダニー(ウッディ・ブラウン)/ウェンライト弁護士(スコット・ポーリン)/カート(キム・コンドラショフ)

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以下の文章には 映画『告発の行方』ネタバレがあります。 |
(あらすじから)
そして、裁判の証言台には、ケンが立ち事件を語った・・・・・・・・・
ミルの店内、サラとサリーが、話をする後ろにケンとボブ。
酒場の奥のピンボール台に向かうサラ。
そのサラを、男2人が取り巻き、共にマリファナを廻しのみする。
サラは流れ出したジュークボックスの曲に合わせ腰を振り、男達はそれを淫らな目で見つめた。
サラの誘いにカートが近づき共に踊り出し、その体を密着させ、サラにキスをした。
サラも応じていたが、徐々に口づけが深くなり、サラは止めてと拒否をした。。
しかし、男たちの欲望はブレーキが効かず、サラが悲痛な声で絞り出す「ノー」の声は、周囲で囃し立てる声に掻き消されて、気づかれない。
そんなかで、男達の興奮した声に乗せられ、次の、また次のレイプ犯を生んだ。
サラは屈辱の中、一瞬の隙をつき男達の輪店から逃げ出し、店を後にした。
キャサリンは、その証言が有っても、なお告発の行方は五分五分だとサラに言った。
映画『告発の行方』結末・ラスト |
そして、検事キャサリンの論告求刑が始まった。
対する弁護側の最終弁論が繰り広げられた。
2日間にわたる審理の結果、クリフと他2名は犯教唆の罪で有罪となり、サラとキャサリンは勝訴する。
記者に取り込まれるサラとキャサリンを俯瞰で捕え暗転。
テロップが写される。
In The United States a rape is reported every six minutes.One out of every for rape victims is attacked by two or more assailants.
(アメリカ合衆国で発生するレイプ事件は6分に1回と報告されている。レイプ被害者の4人に1人は複数の犯人に襲われている)
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