2018年06月04日

映画『ニューシネマパラダイス』映画の中に出てくる映画タイトル/解説・ネタバレ・映画紹介

映画『ニューシネマパラダイス』(劇中映画解説 編)



原題 Nuovo Cinema Paradiso
英語題 Cinema Paradiso
製作国 イタリア フランス
製作年 1989
上映時間 123分
監督 ジュゼッペ・トルナトーレ
脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ
音楽 エンニオ・モリコーネ

評価:★★★★★ 5.0点


この映画はイタリアの監督ジュゼッペ・トルナトーレが生んだ、間違いなく映画史に残る名作だと思います。
イタリアのシチリアを舞台にして繰り広げられる、ノスタルジックで甘美な物語です。
この作品には、映画こそ全世界だった時代の「黄金期の映画」の断片が、そこかしこに数多く埋め込まています。
とても全ては分かりませんが、可能な限りその映画作品タイトルを、探求したいと思います。
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映画『ニューシネマパラダイス』予告


映画『ニュー・シネマ・パラダイス』出演者

サルヴァトーレ・ディ・ヴィータ(少年期サルヴァトーレ・カシオ/青年期マルコ・レオナルド/中年期ジャック・ペラン/アルフレード(フィリップ・ノワレ)/エレナ(若年期アニェーゼ・ナーノ/中年期ブリジット・フォッセー:ディレクターズカット版)/マリア(中年期アントネラ・アッティーリ/壮年期プペラ・マッジオ/神父(レオポルド・トリエステ)/スパッカフィーコ:パラダイス座支配人(エンツォ・カナヴェイル)/イグナチオ:劇場の案内人(レオ・グロッタ)/アンナおばさん(イサ・ダニエリ)/広場の男(ニコラ・ディ・ピント)
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映画『ニュー・シネマ・パラダイス』解説

劇中挿入される映画紹介


この映画には、1930年代以降の映画がそこかしこに埋め込まれ、その映画の題名を可能な限り追求してみました・・・・・・・イタリア映画が多く分からない作品もありますが、参考までご紹介させて頂きます。
○9分:
映画館内ポスター『駅馬車』(1939)cinema-09.png
監督ジョン・フォード
出演ジョン・ウェイン
イタリア語の 「Ombre Rosse」題名が読める
○10分:
検閲される映画『どん底』 (1936) cinema-verso.png
監督ジャン・ルノアール
出演ジャン・ギャバン

○13分:
cinema-casa.png映写室のポスター『カサブランカ』(1942)
監督マイケル・クルーズ
出演ハンフリー・ボガード
イングリッドバーグマン
映写室のポスター「ローレル&ハーディー」
○19分:
cinema-019.pngトトが見た映画予告『駅馬車』(1939)
監督ジョン・フォード
出演ジョン・ウェイン

○21分
cinema-22.pngトトが見た映画『揺れる大地』(1948)
監督ルキノ・ヴィスコンティ
出演シチリアの島民

○22分
Cinema-chap-Nockout.jpgトトが見た映画『ノックアウト』(1914)
監督チャールズ・アヴェリー
出演ロスコー・アーバックル、チャールズ・チャップリン

○30分
cinema-30.pngトトが見た映画『ポー川の水車屋』(1949)
以下のクレジットからの類推
プロデューサー:カルロ・ポンティー
監督:アルベルト・ラットゥアーダ
音楽:イルデブランド・ピツェッティ

○31分
cinema-31.png映写室ポスター
@『チャップリンのカルメン』(1915)

監督・脚本チャーリー・チャップリン
出演 チャーリー・チャップリン
A『底抜け極楽大騒動』(1938)
監督ジョン・G・ブリーストーン
出演ローレル&ハーディ
B『望郷』(1937)
監督 ジュリアン・デュヴィヴィエ
出演ジャン・ギャバン、ミレーユ・バラン
C不明
○34分
映写室ブロマイド
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@「バスター・キートン」
A「クラーク・ゲーブルとジョーン・フォンティーン」
B「エリッヒ・フォン・シュトロハイムとグレタ・ガルボ」

○34分
映写室トイレポスター『血と砂』(1941)cinema-34-2.png
監督ルーベン・マムーリアン
出演タイロン・パワー、リタ・ヘイワース
ポスターにイタリア公開名「Sangue e arena」

○36分
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ポスター:左『The Black Arrow』(1948)
監督ゴードン・ダグラス/出演ルイス・ヘイワード
ポスター:右『アリババと40人の盗賊』(1944)
監督アーサー・ルービン/出演マリア・モンテス、ジョン・ホール
○37分
外看板ポスター『The Black Arrow』(1948)cinema-37.png
監督:ゴードン・ダグラス
出演:ルイス・ヘイワード

○41分
上映中の映画『無法者の掟』(1948)Cinema-41.jpg
監督:ピエトロ・ジェルミ
出演:マッシモ・ジロッティ、シャルル・ヴァネル

○41分
検閲中の映画『苦い米』(1949)cinema41.png
監督: ジュゼッペ・デ・サンティス
出演:シルヴァーナ・マンガーノ、ラフ・ヴァローネ
○42分
上映中の映画cinema-42.png
『ジキル博士とハイド氏』(1941)

監督:ルーベン・マムーリアン
出演:フレドリック・マーチ、ミリアム・ホプキンス
○43分
ブロマイド「リタ・ヘイワース」cinema-43.png
○44分
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ポスター@『玩具の国』(1934)

監督:チャーリー・ロジャース
出演:スタン・ローレル、オリヴァー・ハーディー

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ポスターA『ギルダ』(1946)

監督:チャールズ・ヴィダー
出演:リタ・ヘイワース
○上映中の映画:ニュース映画
○45分
ポスター『風と共に去りぬ』(1939)cinema-45.png
監督:ヴィクター・フレミング
出演:ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル
○46分
上映映画『ヴィッジュの消防士たち』(1949)cinema-47.png
監督:マリオ・マットーリ
出演:トト
○46分
館内ポスター上下とも『風と共に去りぬ』cinema-46.png
○58分
映画上映 『アンナ』 (1952)cinema-58.png
監督:アルベルト・ラットゥアーダ
出演:シルヴァーナ・マンガーノ、ヴィットリオ・ガスマン

○1時間02分
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上映映画@『L’oro di Napoli』(1954)
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
出演:ソフィア・ローレン、トト
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上映映画A『素直な悪女』(1956)
監督:ロバート・ロッセン
出演:ブリジット・バルドー
○1時間03分
壁のブロマイドcinemaH034.png
@クラーク・ゲーブル
A『つばさ』(1927)のチャールズ・ロジャース?
Bマリリン・モンロー
Cアニタ・エクバーグ?
Dマリリン・モンロー
○1時間04分
cinma_1h04.png上映映画@『暗黒街の顔役』か?


○1時間04分
cinema_1h04_29.png上映映画A『青春群像』(1953)
監督:フェデリコ・フェリーニ

○1時間13分
cinema_0103.png映画ポスター、『チェーン(Catene)』(1949)
監督:ラファエッロ・マタラッツォ
出演:アメデオ・ナザリ、イヴォンヌ・サンソン
○1時間16分
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館内上映『チェーン(Catene)』(1949)
映画ポスター『ビリーザキッド』(1941)
監督:デヴィッド・ミラー、フランク・ボーゼイギ/出演:ロバート・テイラー

○1時間16分
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エドモンオブライエンとラオル・ウオルシュという名前から・・・・・
館内ポスター、『白熱』(1949)
監督:ラオル・ウオルシュ
出演:ジェームス・キャグニー、エドモンド・オブライエン
○1時間29分
cinema_1h29.png屋外上映映画 『サンフレディアーノの娘たち (Le ragazze di San Frediano)』(1954年)
監督:ヴァレリオ・ズルリーニ
出演:アントニオ・シファリエッロ、ロッサナ・ポデスタ

○1時間31分
cinema_1h30.png屋外上映映画 『ユリシーズ』(1954年)
監督:マリオ・カメリーニ
出演:カーク・ダグラス、シルヴァーナ・マンガーノ


○1時間44分
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アルフレード邸の写真@映画『無防備都市』(1945) 
A映画『つばさ』?(1927)
Bクラーク・ゲ−ブル
C〜F分かりませんでした。

○1時間50分
cinema_1h50.png取り壊し前の映画館ポスター
『TRASGRESSIONI EROTICHE』
(1984年ポルノ映画)


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映画『ニュー・シネマ・パラダイス』解説

監督ジュゼッペ・トルナトーレのバック・ボーン


今更ながらこの作品が持つ、過去の映画に対する思いの深さ、強さが、劇中に入れられた数多くのオマージュによって証明されていると感じた。
それは、この映画を撮った監督ジュゼッペ・トルナトーレの、映画に対する愛情が洪水になって溢れ出たかのような膨大な量の作品群に圧倒される。
しかし実は、この監督は1956年生まれなのだ。
cinema_editer.jpgジュゼッペ・トルナトーレ(Giuseppe Tornatore、1956年5月27日 - )は、イタリア・シチリア島のバゲリーア出身の映画監督。自身で脚本も手がけることもある。
16歳の頃から舞台にかかわるようになる。イタリア屈指の名監督であり、『ニュー・シネマ・パラダイス』や『海の上のピアニスト』は世界的に高い評価を得ている。また、自身が大の映画好きで、イタリア古典映画の復興活動などを精力的に行っている。(wikipediaより)


上で紹介した劇中作品を見れば、1984年製作のポルノ映画を除けば、最も製作年代が新しいものでも1956年の『素直な悪女』であり、それはこの監督の生まれた年なのである。
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つまり、この監督はこれらの映画に関して、長じてから後追いで見たことになる。その情熱と勉強熱心さに頭が下がる。

そんな映画を愛する監督が映画を語ったからこそ、この映画のエモーショナルな感動が生まれ、同時にノスタルジックな情感が醸成されたのだと思える。
それは残念ながら、映画の黄金期が既に過ぎ去って、この映画の製作年1989年当時には古びたメディア、老衰しつつあるコンテンツであることを、トルナトーレ監督自身が認めざるを得なかったがゆえに生まれた、懐古的センチメンタリズムだったろう。

さらに言えば、この劇中に登場する映画のイタリア作品の多さに驚くのだが、そんなイタリア映画に対する愛もその古き良き時代を偲ぶ心をより強くしていただろう。
実際、1989年当時のイタリア映画界は、一世を風靡したネオレアリズモ運動のロベルト・ロッセリーニ監督は 1977年に、巨匠ルキノ・ヴィスコンティも1976年には没し、名匠フェデリコ・フェリーニが一人気を吐いていたものの、しかしイタリア映画産業自体の製作本数の減少は、日本映画にも共通する危機を迎えていたのである。

そんなことを踏まえれば、先に挙げた『素直な悪女』の1956年当時が、全世界的に言っても映画産業のピークであり、それ以後はTVに押され衰退していったという事実が、この映画を愛する者からすれば悲哀を帯びたノスタルジックな色調となり、反映されていただろう。

そしてそんな映画の危機に対して、この作品のラストで語られたのは、トルナトーレ監督自身が受けた過去の映画作品からの溢れんばかりの愛を、映像作家として映画に返すのだという決意の表れだったと信じる・・・・
関連レビュー:ラストシーンの映画タイトルの紹介
映画『ニューシネマパラダイス』
ジュゼッペ・トルナトーレ監督の語る至高のラスト
映画黄金期へのラブレター



posted by ヒラヒ at 09:09| Comment(0) | イタリア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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