『リリイ・シュシュのすべて』(ストーリー・あらすじ編)
英語題 all about lily chou chou 製作国 日本 製作年 2001 上映時間 146分 監督 岩井俊二 脚本 岩井俊二 音楽 小林武史 |
評価:★★★★ 4.0点
この美しさと痛みが共存した映画をどう語ればよいだろう。
岩井俊二監督作品に通底する溢れる叙情性が、この映画では思春期の少年の痛みにシンクロして、マゾヒスティックな美を生んでいるように思う。
この作家の感性によって描かれた、現代日本の美学が「滅びの予兆」としてある事が証明されたようで、胸苦しさと切なさを覚える。
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『リリイ・シュシュのすべて』あらすじ |
コンピューターの画面に流れる、チャットの文字。
歌手リリイ・シュシュのファンサイト『リリフィリア』で管理人フィリアが打ち込む。
「彼女が生まれたのは1980年12月8日、ジョン・レノンが射殺された日と同じ。この偶然の一致に意味はない。僕にとって意味があるのは、彼女が誕生したという事だけ。」 |

そう仮想世界に発信したフィリアとは、現実世界では中学二年生の蓮見雄一(市原隼人)という少年だった。
蓮見雄一は悪友2人と電車で鞄を盗んだり、CDショップでCDを万引きしたりしていた。
その盗品を仲間達と、中古ショップに持ち込み換金していた。
その中古ショップで、リリイ・シュシュのポスターを見つけ、そのポスターを貰う。
実は中学校で級友からいじめにあっている雄一にとって、リリイ・シュシュだけが彼の救いだった。
そんなある日掲示板『リリフィリア』に青猫というハンドルネームの参加者が増えた。 フィリアは青猫を歓迎し、交流は徐々に深まり、信頼し共鳴するようになる。 |

しかし現実では、雄一はリリイ新譜CDを万引きしようとして、店員に捕まる。
中学の女性担任が店に謝罪し、学校に戻ると母親が呼び出されていた。

取り巻きを連れた星野は、学校に密告しただろうと雄一を責め、リンチにかける。
これまでも星野に金を渡すために、雄一と彼の仲間2人は盗みや万引きをしていたのだった。
雄一が中学一年の時に、物語は遡る。

中学に進級した星野と雄一は同じ剣道部に入部した。
星野は小学校の時いじめられていた過去を持っていたが、しかし雄一とはウマが合い、自宅へ泊まるような間柄になる。
そして剣道部の5人は2年へと進級し、夏休みの沖縄旅行を計画するが、費用のあてはない。
そんな彼らの前で、他校の不良達が大金をカツアゲしている場に遭遇し、星野がどさくさまぎれにそれを横取りした。その金で5人は沖縄へと向かった。
沖縄の島巡りを楽しむ5人は、ガイドの中年男と4人の娘と、そして行く先々で顔を合わせる高尾(大沢たかお)という青年と共に、旅行を楽しんだ。

そんな旅行の最中、星野が海で溺れ高尾の人工呼吸で九死に一生を得る。
しかし高尾青年が自動車事故に合い、意識のない彼を救急ヘリで病院へ搬送した。
そして海を渡る船の上、星野が突然立ち上がって盗んだ金を海へばらまき、1人で異様な笑みを浮かべる。
「1999年の夏休みを境に、世界が灰色になった。」と、フィリア=蓮見雄一は書き込んだ。 |

以来、星野は不良達を従え、学校を支配しだした。
雄一たちも星野の命令には絶対服従を強いられていた。
そんな星野の犠牲者の1人が津田詩織で、暴行され淫らな写真を撮られたため、援助交際を強要されその稼ぎを星野に納めさせられていた。
そんな彼女の監視役として、雄一は彼女と共に行動するよう命令された。
援助交際を終え2人家に帰る途中、詩織は雄一に金を投げ、雄一を蹴り殴った。
そして川へと飛び込んだ詩織は、ずぶ濡れになりながら泣いていた。
雄一は、フィリアとして書き込む「僕にとってリリイだけが、リアル」だと。 そして青猫に呼びかける「リリイの物語を聞かせてくれ」と。 |

中学では、合唱コンクールがあり、クラスごとに練習が始まっていた。
雄一のクラスでは、彼も思いを寄せているクラスのアイドル的存在の久野陽子(伊藤歩)がピアノを弾く事になった。

久野は曲をピアノ無しでアレンジし好評価を得るが、ボスの神埼はその編曲が久野の手によると知って、敵意を募らせた。

また雄一は、星野から久野陽子を工場跡地へ誘い出し、罠にかける手引きをしろと命令を受けた。
そこには神埼がおり、工場内で不良達にレイプされる久野陽子の姿を、窓から嘲るように見ていた。
神埼はその工場が星野の父のもので、夏休みに会社が倒産し、彼の家族が離散したと話した。
雄一は好きな久野が犯されている工場の外で、ただ泣いていた。

「無限のループを堕ちていく。誰か助けて」とフィリア=雄一は、書き込んだ。 それに対し「僕も同じ痛みの中にいるから」と、青猫は呼応した。 |
14歳の少年少女達には、更なる過酷な運命が待ち受けていた・・・・・・・・・・・
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『リリイ・シュシュのすべて』予告 |
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『リリイ・シュシュのすべて』出演者 |
蓮見雄一(市原隼人) /星野修介(忍成修吾)/久野陽子(伊藤歩)/津田詩織(蒼井優)/佐々木健太郎(細山田隆人)/神崎すみか(松田一沙)/多田野雅史(郭智博)/清水恭太(笠原秀幸)/飯田待典(五十畑迅人)/寺脇仁志(勝地涼)/仲貝弘和(内野謙太)/犬伏列哉(沢木哲)/池田先輩(高橋一生)/蓮見静子(阿部知代)/島袋(市川実和子)/高尾旅人(大沢たかお)/星野いずみ(稲森いずみ)/レストランの中年男(杉本哲太)/小山内サチヨ(吉岡麻由子)/恩田輝(田中要次)/中古CDショップ店長(上田耕一)/パーマ屋の客(鷲尾真知子)/黒崎大(ジャイアント茶所)/津田の客(武発史郎)/シーサー(カッチャン)/オタク(樋口真嗣)/岩崎(藤井かほり)/ふゆ(中島唱子)/神田先輩(南イサム)/クリオネ(中村太一)/辻井影彦(西谷有統)/黒崎伸一(山内秀一)/加藤(田中丈資)/フィリア派(久我未来)/リリイ派(原田優一)/笹野涼香(児玉真菜)/生田恵(相坂真菜美)/磯川良子(吉川明)/東海林真澄(北原ヨリ子)/井沢紀子(伴杏里)/村上奈津美(田口未央)/杉沢弥生(宇野まり絵)/遠藤佐知 (馬場喬子)/マリン海遊従業員(広田愛)/マリン海遊従業員(ヘレナ)/マリン海遊従業員(中村綾乃)/三味線奏者(大枡美穂)
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知らんかったわ〜。これは驚きました。
ありがとうございます(^^)
市原隼人、この時14歳だったそうです!ケッコウ思い切った演技で、蒼井優も15才でしたが汚れ役を鮮烈に演じたましたよ。