『戦場にかける橋』(ストーリー・あらすじ編)
原題 The Bridge on the River Kwai 製作国 アメリカ 製作年 1957 上映時間 162分 監督 デイヴィッド・リーン 脚本 デイヴィッド・リーン、カルダー・ウィリンガム 原作 ピエール・ブウル |
評価:★★★★ 4.0点
この映画は、クウェー川にかかる日本軍の橋を、英国軍捕虜が作り上げる物語です。
史実をもととし、日本軍の捕虜収容所内における、日・英の戦いも見ごたえがあります。
しかしそれ以上に、対立を超えて到達した男たちの誇りと、戦争の無残さが描かれ、アカデミー賞他、各国の映画賞に輝いた作品です。
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『戦場にかける橋』あらすじ |
第二次世界大戦中の1943年。タイとビルマの国境付近にある、日本軍・第十六捕虜収容所には十字架が並んでいた。
そこで、墓穴を掘るアメリカの海軍中佐シアーズ(ウィリアム・ホールデン)と同僚は、死者の遺品のライターを差出し、日本兵に煙草をせびり、傷病者扱いにしてもらえないかと交渉している。
激しい鉄道建設の労役で、死者が累積する一方だからだ。苦役を逃れつつ、脱走の機会を慎重にうかがっていた。
そんな収容所に、インドで日本軍に降伏した、英国陸軍ニコルスン大佐(アレック・ギネス)を隊長とする英軍捕虜の一隊が送られてきた。
収容所所長の斎藤大佐(早川雪洲)は、早速イギリス軍捕虜に対し、この収容所は柵も鉄条網もないが、脱出したものはいないと釘を刺した。そして、バンコック・ラングーン間を結ぶ、泰緬鉄道を貫通させるためのクウェー河の橋梁の建設に、必死で働けば待遇を良くすると伝えた。
そして、橋梁完成期日が迫っているため、当収容所では捕虜全員に労役を課すと告げた。
しかし、ニコルスン大佐はジュネーブ協定を盾に、将校は監督や指揮をしても、兵と同様の労役従事はできないと拒否した。
その日は到着初日という事で解散となった。
その夜に士官会議が開かれ、アメリカ軍士官としてシアーズ中佐も同席した。
ニコルスン大佐は、兵隊の意欲を奪わないために建設作業の指揮は、日本軍ではなくイギリス軍士官が行うと確認した。
会議の中脱走の話が出て、シアーズは働いても過労死するのだから、一か八か脱出した方が良いと言う。
しかしニコルスンは、シンガポールで司令部から降伏命令があった以上、脱走は軍規違反だと語り反対した。
翌朝、斉藤は技師である三浦中尉の指揮下で5月12日までに橋の建設を終えよと命令を伝えた。
そして重ねて「将校も労役に参加せよ」と告げた。再び、ニコルスンはジュネーブ協定違反だと抗議した。
斎藤は、機関銃による銃殺を命じようとしたとき、軍医であるクリプトン(ジェームズ・ドナルド)が療養棟から飛出し「非武装の者を射殺するのか」と斉藤に詰め寄る。
斉藤は宿舎の奥へと姿を消し、士官たちはその場に残された。
一日炎天下に立たされたニコルスン達は、それでも斉藤の命令に従うことはなかった。
遂に日が西に傾き、将校全員がトタンの狭い営倉(懲罰牢)に入れられた。
首謀者のニコルスンは「オーブン」と呼ばれる、過酷な営倉に1人監禁された。その夜、シアーズは仲間2人と収容所を脱走したが、日本兵に発見されシアーズを残し射殺された。
ニコルスン達士官はその後も営倉から出られず、イギリス軍捕虜たちは現場でサボタージュをし、架橋の予定は遅々として進まなかった。
斉藤は軍医クリプトンを呼び、営倉に行きニコルスンを説得せよと求めた。
もし、士官が働かないなら傷病兵をかり出すしかないと通告した。
ニコルスンの回答は「斉藤の要求は『脅迫』で、それに従うのは主義に反する」というものだった。
一向に進まない工事の遅れの原因は、工事責任者三浦中尉にあるとして、イギリス軍兵士の前でその解任を斉藤は発表した。そして、明日からは自分が工事の指揮を執ると述べた。
しかし直接、斉藤が指揮をとっても工事は進捗しない。
ついにある夜、斉藤はニコルスンを連行させ、夕食としてコンビーフやウィスキーを振舞い、懐柔しようとするがニコルスンはこれも拒否した。
ついに斉藤は、3月10日の陸軍記念日に、ニコルスンを含めた将校全員を宿舎に帰す恩赦を与えると言った。斉藤はさらに、将校は労役に就かなくてもよいと伝えた。
斉藤の屈服
斎藤:どうして今日が休みかわかるかね?/ニコルスン:時間の感覚が喪われたようで恐い/斎藤:我が日本がが1905年ロシアに偉大な勝利を上げた日だ。日本ではこの日を皆で祝う。めでたい日だから、君の部隊にも休日を与えよう。/ニコルスン:大変感謝します。/斎藤:私は恩赦を宣言する。君と君の部下を宿舎に戻す。この恩赦の一部として・・・・士官が労役に課すことを免除する。/イギリス兵:やったぞ!
ついに斉藤は、ニコルスンに根負けしたのだ。
捕虜たちは一斉に士官の元に群がり、ニコルスンらを担ぎお祭り騒ぎだった。
その声を聴きながら、所長室で斎藤は屈辱に泣いた。
ニコルスンが建設現場を見てみると、建設工事のサボタージュに慣れた兵は規律を失い、ゆるみきっていた。
ニコルスンはもう一度軍として規律を取り戻させるのが士官の仕事だと、部下に語る。
そして建設地を視察し「野蛮人どもに西洋文明の理論と効率を教え、奴等に恥をかかせてやる」と言った。
日本軍との工事会議の席で、イギリス軍の建築知識と労働管理の専門的知見から意見し、斉藤から工事の主導権を握った。
そのころ、脱出に成功したアメリカ海軍中佐シアーズは、英国陸軍の療養所にいた。
そこで英国軍ウォルデン少佐より、クウェー河に潜入し、日本軍の橋を爆破する特殊作戦を聞かされる。そしてシアーズは、その行程を知っている唯一の人物として道案内を求められた。
しかし、シアーズはもう数日でアメリカに帰る予定を告げ、抵抗し、行かないと拒絶する。
ウォルデンは、アメリカ軍に照会した所シアーズという中佐はいない、アメリカに帰れば階級詐称の罪に問われると告げ、しかし作戦に志願してくれれば英雄として、少尉の階級を与えると約束した。
本当は二等水兵だったシアーズは、拒むことができずに、再びジャングルに戻る。
クウェー河の工事の現場でニコルソンは、捕虜たちを監督叱咤し、兵士としての誇りを再度取り戻させるように努めた。
軍医のクリプトンは日本軍の鉄道をなぜ助けるのかと疑問をぶつける。それに対し、ニコルスンは「君は軍の事を知らない」と言い、「目的を持たなければ軍は機能しない。橋の建築こそが、軍としての誇りを示すものだ」と答えた。
そして出来上がった橋が、奴隷のような囚人の手ではなく、英国兵によって作られたことを証明するのだと言った。
そして、ニコルソンは工事の遅れを傷病兵まで動員してカバーし、遂に橋は完成した。
完成した橋で夕日を眺めるニコルソン。
そこを通りかかった斉藤所長に、彼は「人生が有意義かどうか考えることがある。しかし、この橋によってその疑問から開放された」と語った。
その夜イギリス軍の捕虜宿舎では、盛大なパーティーが開かれ、兵も士官も達成感に溢れ沸き立っていた。
最後にニコルソンは訓示し、捕虜となり誇りを失っていた兵の名誉が取り戻され、敗北を勝利に変えことができたと話した。
そしてイギリス国歌の合唱が、収容所の夜空に響いた。
しかしその頃、橋の橋脚では、シアーズらの手で爆破のための作業が着々と進んでいた。
そして、翌日の列車開通に合わせ、橋を爆破する準備は整ったのだった・・・・・・・
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『戦場にかける橋』予告 |
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『戦場にかける橋』出演者 |
シアーズ中佐( ウィリアム・ホールデン) /二コルソン大佐(アレック・ギネス)/ウォーデン少佐(ジャック・ホーキンス)/軍医クリプトン(ジェームズ・ドナルド)/グリーン大佐(アンドレ・モレル)/ジョイス(ジェフリー・ホーン)/斉藤大佐(早川雪洲)/リーヴス大尉(ピーター・ウィリアムズ)/ヒューズ少佐(ジョン・ボクサー)/グローガン(パーシー・ハーバート)/ベイカー(ハロルド・グッドウィン)/兼松大尉(ヘンリー大川)/三浦中尉(勝本圭一郎)
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ありがとうございます(^^))この曲のせいでヒットしたという噂も(^∇^)この映画の収容所長はちょっと良い人です(笑)戦争で橋というのは戦略的に取り合う重大事みたいですねー