2017年05月31日

『サウルの息子』ホロコーストの尊厳/詳しいストーリー・あらすじ・受賞歴

サウルの息子(ストーリー・あらすじ編)



原題 SAUL FIA
英語題 SON OF SAUL
製作国 ハンガリー
製作年 2015
公開年月日 2016/1/23
上映時間 107分
監督・脚本 ネメシュ・ラースロー


評価:★★★★  4.0点



ホロコースト映画に新たな視点を導入した傑作だと思います。
ナチスドイツによる、ユダヤ人の集団殺戮の影には、同胞のユダヤ人達の死の後始末に駆り出された、ユダヤ囚人達で構成された特殊部隊の存在があったのです。
この映画の主人公「サウル」とは、ごく標準的な人間が到達し得た「人間の尊厳」を表していると思えてなりません。

『サウルの息子』予告



『サウルの息子』あらすじ



1944年10月、アウシュヴィッツ=ビルケナウ収容所。
saul-first.jpg
ハンガリー系のユダヤ人、ウースランデル・サウル (ルーリグ・ゲーザ)は、同胞ユダヤ人の屍体処理に従事する、囚人による特殊部隊・ゾンダーコマンドとして、ナチス軍から働かせられている。

その日も、列車から降り立ったユダヤ人達を誘導し、服を脱がせ、ガス室に送り込み鉄の扉が閉められた。
扉の向こうでは、死に行く者達の苦悶の声と、扉を叩く音が響き渡るのを聞く。
saul gas.jpg
扉が開き、サウルは死体の山となったガス室の、血と汚物を掃除する。

その中にまだ息のある少年を発見する。
その少年はナチス軍の手で、口と鼻を塞がれすぐさま殺された。
そして、ユダヤ人囚人医師ミクローシュ (ジョーテール・シャーンドル)が解剖の命令を受けた。
サウルはその少年を運んだ医務室で、囚人の医師に頼んで解剖をしないでくれと頼む。
囚人医師への依頼

【意訳】サウル:この少年を解剖するな。このまま残しておいてくれ。/医師:ダメだ。出てけ。彼はお前とどういう関係だ?それでも、もう死体だ。/サウル:それでも解剖は・・・/医師:どこの出身だ。/サウル:ウングヴァール。/医師:私も君と同じ囚人だ。今夜、君に少年との5分の時間を与えよう。しかし最終的には、彼は焼却される。君の名前は。/サウル:アウスランダー・サウル。

そしてサウルは、正式な葬儀の為にラビ(ユダヤ教僧侶)を探し始めた。
そんな中、収容所内ではゾンダーコマンド達が、自分たちの死が近づいていることを察知し、反乱計画が進んでいた。
saul capo.png
隊員アブラハム (モルナール・レヴェンテ)は、カポ長(グループの隊長)のビーデルマン (ウルス・レヒン)に武装反乱への同意を求める。
しかし、カポ長はこの惨状の証拠としてリストの作成と写真を撮影し、その証拠を元に外部に助けを求める従来の計画に重きを置いた。

サウルは傍らで、その話を聞き写真撮影を助けると申し出、写真撮影に立ち会った。
しかしサウルの目的は、外に出てポーランド人グループのラビを探すことだった。
saul-nati.jpg
そしてついに接触するが、そのラビが葬儀を拒んだため、揉めているところをナチス親衛隊曹長ブッシュ (クリスティアン・ハルティンク)に見つかる。

サウルは辛くも解放されたが、ラビは銃殺された。
その晩、自らのチームに戻ったサウルは、医務室から少年の死体を盗み出し自らのベッドに横たえた。
そのとき非常召集がかけられ、サウル達は大量のユダヤ人の移送に対応させられた。
サウルは、ナチス事務室の片付けを命じられ、そこで話されている内容を聞いた。
それは、千名のユダヤ人が残っていて、更に3千人が収容所に今晩来ること、そして明日ゾンダーコマンドも処分されるという話だった。
猶予がないと知ったアブラハムから指示を受け、サウルは女性収容所に向かいエラ (ヤカブ・ユリ) という女性囚人から火薬を受け取った。
エラとの面会

【意訳】女囚長:名前は?/サウル:フリード、エラ。/女囚長:触らないで。

そして、エラはサウルの手を取ろうとしたが、サウルは振り払った。
エラはサウルの名を呼ぶが、サウルは立ち去った。
その女性収容所から戻る途中、収容所に移送されたばかりのハンガリー系ユダヤ人の大群に巻き込まれた。
そこでユダヤ人達は衣服を剥ぎ取られ、森で射殺・焼却されていた。
サウルはその人ごみに入り、ラビかと尋ねて歩いた。
ラビとの出会い

【意訳】サウル:ラビ?ラビ?/老女:ラビよ、ラビ・・・

すると、ラビだと名乗る男ブラウン (トッド・チャーモント) に出会い、自らの収容所内に連れ込む。
サウルはラビに自分の服を脱ぎ与える時、火薬を紛失してしまった。
自分の宿舎に帰ったサウルは、隊員アブラハムと反乱グループの者から火薬紛失を責められた。
アブラハムは、サウルのベッドの死体を見て、何だと尋ねた。
saul-aburaham.png
サウルは「息子」だと答えた。
アブラハムは「お前には息子はいない」と言った。
サウルは「いる。埋葬する」と答えた。
アブラハムは「ラビは必要ない」と言った。
サウルは「正式に弔いたい」と答えた。
アブラハムは「ここは生者の場所だ死体は始末しろ」と言い捨てて出て行った。

翌朝、サウルとラビは地面を掘り、埋葬の準備を進めているとき、ナチス軍の非常呼集が掛けられた。
作業半ばで、二人はガス室前に集められた。
saul revel.png
そこにナチス兵が押し入り、カポ長ビーデルマンを連れ出し、親衛隊によって殺された。
それを契機に、アブラハムら囚人たちの反乱が開始された。
その反乱の銃火の中を、サウルはラビを連れ、少年の死体を担ぎ、埋葬の場所を求め走るのだった・・・・・・・

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『サウルの息子』受賞歴


カンヌ国際映画祭:グランプリ受賞
ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞:外国語映画賞受賞
ニューヨーク映画批評家協会賞:第一回作品賞受賞
ボストン・オンライン映画批評家協会賞:外国語映画賞受賞
ロサンゼルス映画批評家協会賞:外国語映画賞受賞
ニューヨーク映画批評家オンライン賞:外国語映画賞受賞
ワシントンD.C.映画批評家協会賞:外国語映画賞受賞
サンフランシスコ映画批評家協会賞:外国語映画賞受賞
ダラス・フォートワース映画批評家協会賞:外国語映画賞受賞
シカゴ映画批評家協会賞:外国語映画賞受賞
ヒューストン映画批評家協会賞:外国語映画賞受賞
ベルギー映画批評家協会賞:受賞
ゴールデングローブ賞:外国語映画賞受賞
放送映画批評家協会賞:外国語映画賞受賞
ドリアン賞:外国語映画賞受賞
フランス映画批評家協会賞:外国映画賞受賞
全米撮影監督協会賞:スポットライト賞受賞
サテライト賞:外国語映画賞受賞
88回アカデミー賞:外国語映画賞受賞

【アカデミー賞:外国語映画賞ネメシュ・ラースロー受賞スピーチ】

プレゼンターはイ・ビョンホンとソフィア・ベルガラ。イ・ビョンホンは「今年の候補作は、アフガニスタンの収容所、トルコの村、そして1次世界大戦まで、様々な戦場が描かれた」など語り、ノミーネート作品紹介。他作品は、「ある戦争(デンマーク)」、「大河の抱擁(コロンビア)」、「裸足の季節(フランス)」、「ディーブ(ヨルダン)」
【ネメシュ・ラースロー、スピーチ意訳】
うわー。この素晴らしい名誉を下さったアカデミーに感謝します。私たちをサポートしてくれたSony Pictures Classics、Tom Bernard、Michael Barkerに感謝します。この映画の資金提供をしてくれたハンガリー政府に感謝します。私はこれを、私の主要俳優であるゲザ・レグリグと、信じられないほどのキャストとクルーと共有したいと思います。この計画は誰が欠けても出来なかった。
みなさん、最も暗い人類の時代でさえ、人類の最も暗い時間にあっても、私たちの中に残っている人間性の声があります。それがこの映画の希望です。どうもありがとうございました。感謝します。


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posted by ヒラヒ・S at 16:49| Comment(4) | TrackBack(0) | ハンガリー映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは|д゚)・・久しぶりにナチの制服(笑)わなわなと怒りに震える思いです。これはまた酷いほうのナチものですね。二度とこういう狂った時代に戻ってはならぬと改めて思いますね。
Posted by ともちん at 2017年05月31日 17:24
>ともちんさん
ありがとうございます(^^)ナチスの登場量は、実は多くありませんが、事実を元にした重い作品です。おっしゃる通りですが、時代はどんどん悪い方向に行くようで、気が重いですm(__)m
Posted by ヒラヒ・S at 2017年05月31日 18:24
前に借りようか迷って借りなかった作品です。
久々にけっこう新しい作品借りましたね。
なかなか重そうな作品ですね。観るべき映画でしょうけど
ここで読んで満足とします。
Posted by いごっそう612 at 2017年05月31日 20:07
>いごっそう612さん
ありがとうございます(^^)コメントスミマセン(((((((・・;)
あ〜新しかったですね〜意識せず借りてました。
相当に重い作品です。見て気分は重くなりますね(^^;
文字見えなかったので、こちらに・・・・
運動会のお子さんたち、元気で、個性的で素敵ですね〜ほんと可能性に満ちあふれてます❗
Posted by ヒラヒ・S at 2017年06月01日 07:21
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