2017年05月18日

映画『マイ・レフトフット』脳性まひ芸術家・奇跡の実話/ネタバレ・ラスト・結末感想

マイ・レフトフット(ネタバレ・ラスト編)

原題 My Left Foot
製作国 イギリス
製作年 1989/上映時間 119分
監督 ジム・シェリダン
脚本 ジム・シェリダン、シェーン・コノートン
原作 クリスティ・ブラウン

評価:★★★☆   3.5点



この映画は実在のアイルランド人芸術家、脳性小児麻痺を患うクリスティ・ブラウンの物語です。
ここにあるのは、障碍者にとって生きるということの、真の意味の問いかけがあるように思います。
しかし、この映画に描かれなかったクリスティーの人生を考えた時、映画で伝記を伝えることの難しさを、考えずにはいられません。

『マイ・レフトフット』
予告動画


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『マイ・レフトフット』
キャスト・出演者

クリスティ・ブラウン(青年期:ダニエル・デイ=ルイス、少年期:ヒュー・オコナー)/母:ブリジット・ブラウン(ブレンダ・フリッカー)/父:パディ・ブラウン(レイ・マカナリー)/アイリーン・コール(フィオナ・ショウ)/キャッスルウェランド卿 (シリル・キューザック)/ピーター (エイドリアン・ダンバー)/看護師メアリー・カー(ルース・マッケイブ)

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以降の文章には

『マイ・レフトフット』ネタバレ

がありますご注意ください。
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(あらすじから)
クリスティーは失恋の失意から自殺を企るが、不自由な身体ではうまくゆかなかった。
そしてベッドで布団にくるまり、一日中抜け殻のようにそこにいた。
そんなクリスティーを見て、母が言葉を掛ける。
母の励まし

【意訳】母:起きな、クリスティー。お前に起きた悪い事は、全部私が作ったようなもんさ。お前もお父さんとおんなじで、外見では威勢が良くても、心の中では怯えている。戦いに勝たなくちゃ。パブで若い者の前で虚勢はって、イキがってないで。いいかい、もしお前があきらめたって、私はあきらめないよ。/クリスティー:何考えてるの母さん。/母:部屋でも作れば、やる気が出るだろう。/クリスティー:狂ったの?/クリスティー:一人でだって、画家でやってけるさ。私たちはお終いじゃないよ、クリスティ・ブラウン。時々お前の傷ついた足と、私の足を喜んで換えてやりたいと思うよ。何が問題なんだ、クリスティー/クリスティー:ごめんなさい。かあさん。/父:いったい何をおっぱじめたんだ。/母:クリスティーの部屋を立ててやるのさ。/父:これ見ろよ。/兄弟:クリスティーお前は偉大な画家だが、レンガ積みの腕はまだまだだな。/父:よしお前らもっとレンガもってこい。(以下、父と息子の競争だと言って、家族揃って部屋を建てる。母は息子たちに父親に花を持たせろと言った)

母は出来た部屋を見て、クリスティーにこれは「父の愛」だと言った。
そんな父が1957年に死に、パブで葬式後の清めをしていると、他の客に文句を言われ喧嘩となった。
Foot-pubFight.png

foot-type.pngそんなクリスティは画家としての活動に加え、左足一本でタイプライターを打ち、自伝『マイ・レフトフット』を書きベストセラーになった。

そんな彼の元を、脳性小児麻痺の専門医アイリーン・コールが訪ね、慈善バザーへの参加を依頼した。
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『マイ・レフトフット』
ラスト・シーン

バザー会場では、クリスティーの出番が迫っていた。
Foot-baza-end.png
出番前にも関わらず、看護婦のメリーをしつこく口説くクリスティー。
今晩デートしようと誘うクリスティーに、彼と約束があるというメリー。
本当に愛しているのかと問うクリスティー。
ついにメリーは怒り、その場から立ち去ってしまう。
しかし、バザーが終わった後、家族を先に返し、一人残ったクリスティーの前に現れたのはメリーだった。
Foot-end.png

クリスティ・ブラウンとメアリー・カーは1972年9月5日結婚した。
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『マイ・レフトフット』
結末・感想


映画は、メリー・カーと結婚しメデタシメデタシとなっています・・・・・・・・
しかし実は、このクリスティー・ブラウンという芸術家は悲劇的な死を迎えるのです。

ブラウンの健康はカーと結婚した後に悪化した。
彼は、彼の最後の年にはほとんど隠遁者になったが、これはカーの直接的な影響と、おそらく彼女の虐待の自然の帰結であると考えられている。
Foot-mary.jpgブラウンは、夕食時ラム・チョップを喉に詰まらせ49歳で死亡した。彼の体には大きな傷があり、多くの人がカーが物理的に虐待していたと信じている。(右:メリーとクリスティーの結婚式写真)
後のジョージナ・ハンブルトンによる伝記『The Life That Inspired My Left Foot』には、より明確に、不健全な関係を、明らかにしている。この本ではカーを虐待的で、習慣的アルコール依存症の不誠実な人物として描写している。ハンブルトンの著書では、ブラウンの姉ショーンの言葉が引用されている。
「クリスティは彼女を愛したが、それが戻ることはなかった、なぜなら彼女はそんな人間ではなかったからです。もし彼女が彼を愛しているなら、彼女の言動や行動が、男だったり女だったり(バイセクシャルだったという)する必要はなかったでしょう。私はより多くの点で彼女が彼を利用したと感じています。」


このクリスティーの悲劇的な死を前に、何も言葉が見つかりません。
ただ想像するに、彼にとってメリー・カーや女性たちとは、自分が健常人に比べても女性にモテるという事実が重要だったのではないかと思うのです・・・・・・・
もし想像が正しければ、そこには世間から障碍者として線引きされた者が、無理をして存在証明を成さねばならなかった痛々しさを覚えるのです。

『マイ・レフトフット』
評価


少なくとも、この映画が伝えたクリスティーではない、もう一人のクリスティーがいるように思えてなりません。

そういう点で、伝記映画の困難さを考えざるを得ませんでした。

それゆえの評点3・5だとご理解下さい。

関連レビュー:伝記映画の困難さ
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posted by ヒラヒ at 17:23| Comment(2) | TrackBack(0) | イギリス映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは( ゚Д゚)ひどい。何という終わり方でしょうか💦えええ・・何か嫌ですね。虐待かよ!みたいな・・・家族愛は良かったのに。残念すぎです。
Posted by ともちん at 2017年05月18日 17:51
>ともちんさん
ありがとうございます(^^)映画はハッピーエンドなだけに、よけい切ないです・・・・どうも、計画的に生家から引き離したようです💦
今回ばかりは、調べて後悔しました。合掌
Posted by ヒラヒ・S at 2017年05月18日 19:00
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