原題 My Left Foot 製作国 イギリス 製作年 1989/上映時間 119分 監督 ジム・シェリダン 脚本 ジム・シェリダン、シェーン・コノートン 原作 クリスティ・ブラウン |
評価:★★★☆ 3.5点
この映画はアカデミー主演男優賞に輝いた、ダニエル・デイ=ルイスの演技が、迫真の表現を見せます。
また、脳性小児麻痺を患うクリスティ・ブラウンが、芸術家として世に出るまでの実話を元にした、奇跡のような物語です。
そして何より、ここに描かれたのは理想化や卑下ではない、日々を生きる障碍者の現実の姿だと思います。
『マイ・レフトフット』 |
生まれながらに脳性小児麻痺を患うクリスティ・ブラウン(ダニエル・デイ・ルイス)は、今は左足一本で描く絵画と、出版した自叙伝によってアイルランドで有名になっていた。
そして彼の兄弟と母親と共に、脳性小児麻痺の専門医アイリーン・コール(フィオナ・ショウ)主催のチャリティー・バザーに出席した。
彼の介護についた看護婦のメリー・カー(ルース・マッケイブ)に、自作の『マイ・レフトフット』を読ませた・・・・・・・・・・
【意訳】クリスティー:後で。/母:後で/兄弟:注意してな。/看護婦メアリー:大丈夫よ/兄弟:本当に大丈夫かな(以下バザーの挨拶、主催者アイリーン・コール紹介、演奏の紹介)/看護婦メアリー:見に行きたい?/クリスティー:いいや。君は読みたいかい?/看護婦メアリー:オリジナル?本ここ?/看護婦メアリー:きれいね。/クリスティー:見た目は当てにならない。

父パディは病院で息子に問題があると聞かされた。
パブに行けば、主人から施設に送らないのかと聞かれ、顔見知りにはまだ子供を作るのかと問われ、パディは怒って帰った。

少年に成長したクリスティ(ヒュー・オコナー)を、母ブリジットは常に身重の体でありながら、献身的に世話し、貧しい家計の中で大所帯の家族のやり繰りをしていた。
しかし臨月を迎え階段から落ち、意識を喪ってしまう。
クリスティは、動かせる左足を使って2階の部屋から一階に体を必死にくねらせ、その左足で懸命に扉を叩き、近所の人が異常に気付き事なきを得た。
しかし、近所の者はクリスティーが母を助けたと気づかず、逆に3歳の知能しかないクリスティーのせいで母ブリジットが危機に陥ったと責めた。


ある日数学の問題を解いている兄弟の答えを、左足にチョークを挟み床に書いた。母は意味があるといったが、父はこの子は普通ではない、意味はないと取り合わなかった。
しかし、そんな彼も、近所の子供達と共に手押し車の上で、一緒に遊ぶのは大好きだった。
ある時は悪童のせいでポルノ雑誌を体の下に隠されたりした。
また教会では、クリスティーは牧師から聖餐会に参加できないと断られたが、母はお前のことは神様が見ててくださると慰めた。

しかしついに、クリスティーが意味のあるメッセージを、始めて外部に向けて表現する日が来た・・・・・・
クリスティーは刻むように、MOTHERと記した。
母は涙ぐみ、父は祝い酒だと、クリスティーを連れてパブに行き、この子は「天才」だと言った。
クリスティーは17歳になった。

兄弟や遊び仲間とサッカーをして遊び、PKを決めるほど、その左足を自由に使えるように成長していた。

また、同年代の遊び仲間の女の子に恋をし、左足で絵を描いたラブレターを送り、失恋を経験した。
しかし、父が失業し更に一家の困窮は深刻になり、22人の子供を抱えた家俗は、麦粥一杯で朝と夕食を済ませる日もあった。

また、寒い冬夜遅くまで絵を描くと石炭代が大変だと言われ、石炭トラックから盗んだりした。
19歳になったクリスティーは、母から車椅子を買ってもらった。

そんな、クリスティの言語能力と身体機能を上昇させたのは、脳性小児麻痺の専門医アイリーン・コール(フィオナ・ショウ)が、彼の絵の才能を知って訪ねてきたからだった。

そこで、アイリーンは自宅でクリスティーの加療を行うことにした。
いつしかクリスティーはアイリーンを好きになる。
そして精神的に落ち込んだり、明るくなったり起伏が大きくなる息子を、母は心配した。
そんなある日、アイリーンの提案で、クリスティの絵の個展が盛大に開かれた。

個展が終わった後で、クリスティーはアイリーンや画廊オーナーのピーター達と、レストランで打ち上げをすることにしたが、そこで事件が起きる。
レストラン打ち上げシーン
【意訳】クリスティー:愛しているアイリ−ン。/アイリーン:私もよクリスティー。/クリスティー:違う、本当に愛してるという意味だ。皆愛している。/それはよかった。/クリスティー:ピーターでさえも。/アイリーン:そう、ピーターを好きになってくれて嬉しいわ。私達6か月以内に結婚するの。ねえクリスティどう思う。/クリスティー:おめ…おめ…おめでとうピーター、アイリーン。すばら・・・・すばらしいニュースだ。僕に喋り方を教えてくれて感謝してる。そう言いたいアイリーン:。/アイリーン:有難うクリスティ。/クリスティー:それで僕たちはどこに向かってるの?/アイリーン:マルケイの議論を。/クリスティー:マルケイなんて無意味だ。/アイリーン:あなたは彼を魂の全てだと言ってたじゃない。/クリスティー:僕は無意味だと言った。ウィスキー!
アイリーン:落ち着いてクリスティー/クリスティー:君は僕のママじゃない。それを忘れるな。君は俺がいくつだか知ってる。10歳の子供だ。俺は10歳だ。/もう彼に飲ませないでトニー/クリスティー:触るな、蹴飛ばすぞ。君の解剖のおかげで元気が出た。/アイリーン:止めて/クリスティー:なぜ僕を愛していると言わない?/アイリーン:だって愛してるわ。/クリスティー:君の言うのはプラトニックだろ。何もなかったけど、プラトニックな愛だけは人生に満ちていたよ。何を言ってるか判るか?プラトンなんかクソくらえ!100%関わらない愛なんて全部クソくらえ!もうこれ以上、君と離れたくない。本質的な議論をしよう。/ピーター:クリスティー/クリスティー:これをどうしようっていうんだ、ピーター?君は良い奴だ、これをどうしようって?/アイリーン:ピーター座って。/ピーター:僕は君をレストランの外に運ぶつもりだ。/クリスティー:障害者を追い出す!障害者を追い出す!/アイリーン:止めて!止めて!/ピーター:どこに、ブレーキがありやがる!このポンコツめ!/アイリーン:止めて!止めて!ロクデナシ!止めて!
そして、クリスティーは失恋の痛みから、自殺しようと遺書を書き、左足で剃刀を挟み手首を切ろうとする・・・・・・・・・
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『マイ・レフトフット』 |
クリスティ・ブラウン(青年期:ダニエル・デイ=ルイス、少年期:ヒュー・オコナー)/母:ブリジット・ブラウン(ブレンダ・フリッカー)/父:パディ・ブラウン(レイ・マカナリー)/アイリーン・コール(フィオナ・ショウ)/キャッスルウェランド卿 (シリル・キューザック)/ピーター (エイドリアン・ダンバー)/看護師メアリー・カー(ルース・マッケイブ)
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『マイ・レフトフット』 |
第62回アカデミー賞:受賞
主演男優賞 (ダニエル・デイ=ルイス)、助演女優賞 (ブレンダ・フリッカー)
(ノミネート・作品賞 / 監督賞 / 脚色賞)
英国アカデミー賞(BAFTA):受賞
主演男優賞 (ダニエル・デイ=ルイス)、助演男優賞 (レイ・マカナリー)
(ノミネート・作品賞 / 脚色賞 / メイクアップ&ヘア賞)
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ありがとうございます(^^)重たいは重たいんですが、どこか客観的な印象もあります。レインマンやレナードの朝とかアイアイムサムなんかに較べても、障がい者をイノセントな存在に描いていない点に良い印象を持ちました・・・・ダニエル迫力あります。相当練習したらしいですm(__)m