原題 No Country for Old men 製作国 アメリカ 製作年 2007 上映時間 122分 監督・脚本 ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン 原作 コーマック・マッカーシー |
評価:★★★★ 4.0点
この映画は、突然の、寸断された、事故のような、思いもかけない、断片が組み合わさったような先の見えない緊張感がある。
サイコパス、シガーの圧倒的存在感と相まって、見る者を底知れぬ不安と名状しがたい恐れに引きずり込む。
この映画に描かれたかれた不可知の出来事にこそ、現代アメリカの真実が潜んでいると感じられる。
『ノーカントリー』予告 |
『ノーカントリー』あらすじ |
この映画は物語の語り部保安官トム(トミー・リー・ジョーンズ)のナレーションから始まる。
【ナレーション大意】私は信じられないが25歳で保安官になった。私の祖父も父もそうだった。父はプラーノ(ダラス近くの町)の出身で、父はそれを誇りにしていた、私もそうだ。信じがたいが、昔の保安官は銃すら持たなかった。ジム・スカボロウーもガストン・ボイキンズ(有名な保安官)も、持たなかった。仕事について彼等ならどうしたかと私は問いかける。
私は、14歳の少女を殺害した少年を死刑にした。新聞は“激情犯罪”と書いたが、本人は“感情はないし前から、殺人に興味があり出所したらまた誰か殺す”と言った。最近の犯罪はなぜそうするか、物差しで測れない。それを恐れてはいない。この仕事の為にいつでも喜んで死ぬ。しかし、そのためにより多く賭けようとは思わない。・・・・・・理解できないことに遭遇した時。魂が危険にさらされたら、彼は言うべきだ、“OK、この世界の一部になると”
テキサス州の路上に一台のパトカーが止まり、若い保安官補が不審な男を拘束する。
その男は酸素ボンベを持った殺し屋アントン・シガー(ハビエル・バルデム)だった。保安官補が事務所で電話報告中に、背後からシガーに襲われ殺される。
シガー絞殺シーン
シガーはパトカーに乗り前を走る車を止め、警官を偽装し近づくと家畜の屠殺用ボンベで運転手の額を撃ち抜いた。殺した男の車を奪って逃走する。

車の中に生き残った男がいて、水を欲しがったが、モスは持っていなかった。
![]() | 麻薬取引のトラブルだと分かったモスは、取引の金があると推測し、周囲を探すと木陰で男の死体を見つけ、そのそばには200万ドルの入ったバッグがあった。 モスはその金を盗み、自宅へ持って帰る。 |
その夜モスは水を欲しがった男が気になり、水を持って現場に戻ってみると、そこには麻薬組織の者がいて、見つかり肩を撃たれた。

家に戻ったモスは追手が来ることを予期し、すぐに妻のカーリーを実家に向かう長距離バスに乗せ、自分も金を持って逃亡を始める。
一方シガーは、麻薬組織から金を取り戻す仕事請け負い、事件現場を訪れた。
モスの車から登録者を調べるため車体番号を外した。
さらに現場を確認し、金に仕込んだ発信機の受信装置を受け取り、シガーは組織の手下2名をその場で殺害した。
【意訳】シガー:これが奴のトラックか?/組織メンバー:ああ/シガー:ねじ回しをくれ?このタイヤは誰が切った?/組織メンバー:メキシコ人だろ、俺たちじゃない。/組織メンバー:あれは死んだ犬/シガー:ああ/シガー:受信機は誰が/組織メンバー:俺が持ってる/組織メンバー:欲しいだろ?/シガー:反応は?/組織メンバー:ピーピー鳴ってないだろ。/シガー:分かった。それをくれ。
事件現場で捜査にあたる地元保安官のトムは、殺害現場の殺戮を見て憂鬱になる。

そこでトムは、知り合いのモスの車が乗り捨ててあるのを見つけた。
トムは、危険な殺戮者がモスを追っていると、本人に知らせるべく探し始めた。
シガーもモスの行方を追って、モスの自宅を訪れるが、自宅はもぬけの殻だった。しかし、電話の請求書を見つけモスの妻の生家を知った。
モス本人は金を持ち、国境近くのデル・リオにいた。
道路沿いのモーテルに入り、部屋の通気口にトランクを隠した。そんな彼を追って、シガーがモーテルに来た。そしてメキシコの麻薬組織の追手も来ていた。両者ともに金に隠された発信機の信号を頼りにモスの部屋を知ったのだった。
シガーとメキシコ側の追手が銃撃戦を始める中、モスは別の部屋に隠れ、その通気口から金を引っ張り出し逃走する。シガーはこの時、通気口にブリーフケースの引きずる跡を発見する。
逃げたモスは、ホテル・イーグルに部屋を取り、自分が追跡されるのが発信器のためだと気付く。
モスは発信機を逆手にとって、追手・シガーを罠にかけ反撃にでて、激しい銃撃戦を繰り広げる。
その末にどちらも重傷を負った。
シガーが傷で動けない間に、モスはメキシコ国境を越えメキシコの病院に入院した。
そんなモスの病床にアメリカ側のもう一人の追手、賞金稼ぎのウェルズがやってくる。
彼は金をよこせば、命を守ってやると取引を持ちかけた。モスはその話に答えなかったが、ウェルズは自分の泊まっているホテル、モスとシガーが銃撃戦を行ったホテル・イーグル、に連絡をしろといって去った。
ウェルズはホテルで待ち伏せていたシガーに出会う。
【意訳】シガー:どうもカーソン。お前の部屋に行こう。/ウェルズ:こんなことする必要はない。俺は日銭稼ぎだ、家に帰るよ。/シガー:帰りたいか?/ウェルズ:あんたの時間をくれればATMまで行こう。1万4千ドルある。それで別れようじゃないか。/シガー:ATM/ウェルズ:鞄の場所を知っている。/シガー:知っているなら持ってるだろう。/ウェルズ:川の土手なんだ。そのどこにあるか俺は知ってる/シガー:もっといい事を知っている/ウェルズ:なんだ?/シガー:それの運ばれる場所だ/ウェルズ:どこだ?/シガー:おれの足元に運ばれるんだ。/ウェルズ:持ってくるには20分かかる/シガー:これから何が起こるかわかるかカーソン。お前は状況を理解して威厳を持て/ウェルズ:地獄に落ちろ。/シガー:分かった。質問がある。お前が従ったルールでこうなったなら、お前のルールが何の役に立った?/ウェルズ:お前は自分の頭がどれほど狂ってるか、判っているか?/シガー:お前の言ってるのは、この会話の本質か?/ウェルズ:いいやお前の本質だ。/ウェルズ:お前は金を手に入れられるんだ。(その時部屋の電話が鳴り、その音を聞きながらウェルズは殺され、電話にはシガーが出た)/モス:もしもし/シガー:はい。/モス:カーソン・ウェールズはいるか?/シガー:お前の思う状態ではないが。俺に会いに来い。/モス:誰だ。/シガー:誰だか分かるだろう。俺と話す必要があるだろ。/モス:俺にはない。/シガー:お前はそうする。俺がどこに行くか分かるか?/モス:俺が気にするとでも?/シガー:お前がどこにいるか知っている。川向こうの病院だ。でもそこには行かない。どこに行くか分かるか?/モス:ああ分かる。でも彼女はそこに居たがらないだろう。/シガー:ああ、いつになるかは、それは大した違いじゃない。/モス:なら何のために行くんだ。/シガー:結末はどうなるか分かるだろう。/モス:ああ。/シガー:お前が分かっているなら、提案をしたい。金を俺に持って来い。さもなければ彼女はお前の連帯責任を負う。お前が手に入れられる最良の取引だ。俺は、お前に命を守れとは言えない。お前には無理だからだ。/モス:時間をくれれば持ってく。お前を俺の最優先課題にするよ。もう探さなくても良いぞ。
シガーはモスが金を運んで来なければ、妻カーラの命はない、同時に金を運んできてもモスは殺すと宣言した。
モスはシガーの元にはいかなかった。
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モスは病院を抜け出し国境を越え、カーラに電話しエル・パソのモーテルで落ち合おうと連絡をする。

一方、カーラに目を光らせていたメキシコ側の追手は、カーラの母親に親切にし、合流地のモーテルを聞き出す。
そしてシガーは、自分以外にも、賞金稼ぎウェルズ、メキシコ側に情報を流し追わせたアメリカ組織のボスを射殺した。
麻薬組織ボス襲撃シーン
【意訳】シガー:誰だ/会計士:私?/シガー:そう。/会計士:誰でもない。会計士なんだ。/シガー:奴は受信機をメキシコ人に与えた。/会計士:彼が・・・・・彼はもっと大勢に探させたいと思ったんじゃ・・・・/シガー:愚かだ。正しい人間を選んでるのに。/会計士:そうだね。君はボクを撃つ?/シガー:状況次第だ。俺が見えるか?
そして、シガーも養鶏業者の車を奪いエル・パソに向かう。
モスもモーテルに着いた。
そして警官トムがエル・パソのモーテルへ急行して眼にしたものとは・・・・・・・
『ノーカントリー』キャスト・出演者 |
エド・トム・ベル保安官(トミー・リー・ジョーンズ)/アントン・シガー(ハビエル・バルデム)/ルウェリン・モス(ジョシュ・ブローリン)/カーソン・ウェルズ(ウディ・ハレルソン)/カーラ・ジーン・モス(ケリー・マクドナルド)/ウェンデル保安官助手(ギャレット・ディラハント)/ロレッタ・ベル(テス・ハーパー)/エリス(バリー・コービン)/ガソリンスタンド店主(ジーン・ジョーンズ)/アメリカ側組織ボス(スティーヴン・ルート)
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ありがとうございます(^^)ハビエル恐いです。よく分からない映画です。アクションシーンと暴力性は強いです。え〜ネタバレで解説ごり押しします。
今観たら印象違うでしょうかね?
当時は全然面白く無かったです。
でもレビュアンさん高評価!やっぱりいい映画だったんですね〜。
ありがとうございます(^^)罵倒されたんですか?キツイですね〜(^^;
個人的には、深い哲学的なテーマと、刺激的なアクションで、高評価ですm(__)m