原題 PASSENGERS 製作国 アメリカ 製作年 2016 上映時間 116分 監督 ロバート・クローズ 脚本 マイケル・アリン |
評価:★★★ 3.0点
この映画は、『タイタニック』の世界観を宇宙空間で繰り広げた、壮大なラブ・スペクタクル映画だと思います。
宇宙船の作り込み、SFの道具立てはなかなか説得力がありました。
<『パッセンジャー』あらすじ>
豪華宇宙船アヴァロン号が新たなる殖民惑星を目指す5000人のパッセンジャー(乗客)を乗せ、航行していた。到着まで120年、その間冬眠装置で眠り続ける予定だったが、船が流星群に突入し船は損傷を受けた。
エンジニアのジム・プレストン(クリス・プラット)の睡眠装置が、そのショックで開いてしまう。一人起きた彼は、船の中で一人死んでいく運命に納得できず、船内で救済策を探すが、乗組員(クルー)のIDを持たない彼には限界があった。彼は1年の間アンドロイドのバーテンダー・アーサー(マイケル・シーン)だけを相手に過ごしていた。
しかしジムは、冬眠ポッドを見ているときに、作家のオーロラ・レーン(ジェニファー・ローレンス)を見つけ惹かれる。
ジムはオーロラを眠りから覚まさせたいとの衝動を覚えるようになった。
そして罪だと知りつつ、ついにオーロラを起こしてしまう。
しかしオーロラには、それを事故だと思わせた。
それから二人は、船内ただ二人の人間として徐々に親しくなり、恋人同士になった。
しかしオーロラの誕生日、アンドロイドのサムは、ジムが人為的にオーロラを起こした事を話してしまう。
オーロラは、人生を奪った、殺人者だと、ジムを責めた。
以後オーロラは、ジムが仲直りの努力をしても寄せ付けず、関係は冷え切った。しかしある日、乗務員ガス(ローレンス・フィッシュバーン) も、冬眠ポッドの故障で眼を覚まし二人の前に現れた。ガスはこの船が故障をし始めていて、このままだと船は破壊されると警告し、船内のシステムを三人で直すしかないと語った。
船が暴走を始める中、ガスの体は冬眠後遺症で死が迫っており、ついにガスは死んでしまう。
残された、二人に船を救う任務が託された。
二人は原子炉のコンピューターシステムが、隕石の影響で損傷を受け、原子炉が加熱し爆発寸前である事を突き止める。原子炉のベントを開き熱を排出するためには、宇宙空間に出て、手動で弁を開かねばならない。ジムは宇宙空間で弁を開こうとするが、手で開き続けなければ弁は直ぐ閉鎖してしまう。
灼熱の炎の通りすぎる場所で、ジムは中で操作するオーロラに炎を排出しろと告げるが、オーロラはあなたが死んでしまうと反対し「あなたが死ぬときは私が死ぬときよ」と叫ぶ・・・・・・オーロラ(ジェニファー・ローレンス)/ジェームス・プレストン(クリス・プラット)/アーサー(マイケル・シーン)/ガス・マンクソー(ローレンス・フィッシュバーン)<『パッセンジャー』出演者>
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『パッセンジャー』感想・解説
以下の文には本映画に関する悪評が含まれます。ご注意下さい。========================================================
1億1千万ドルの制作費をかけたこの映画。

世界収益2億7千万ドルを2017年1月で売り上げた、バリバリのハリウッドブロックバスター映画です。
もう元を取りましたかね・・・・・
まだまだロードショウ中、もっと儲かりそうでスモンね。
じゃ〜言っちゃいます。
この映画基本的には、タイタニックを宇宙船に置き換えたラブストーリーです。
たぶん製作者の目論見としては、SF要素とパニック要素で「ゼログラビティー」のように、男性客を取り込み、更に恋愛要素で女性客も取り込み、その相乗効果で、大ヒットを狙ったものかとも想像します。
ところが、個人的に思うのは「SF」と「恋愛」の組み合わせって、実に「喰いあわせ」が悪いという・・・・

たぶん、「恋愛ドラマ」は現実を背景にしないと、見るほうに強く訴えないじゃないかと思うんです。
タイタニックだって歴史劇だと言われるかもしれませんが、歴史劇とは過去の現実という意味ですから、本当にあった恋愛ドラマとして心に響くと思うんです。
そもそも、「恋愛劇」は恋する世代が我が事として感情移入が出来なければ、成功が難しいジャンルでしょう。
しかも、出来れば女性が素直に自分を仮託出来るシチュエーションが望ましいわけで・・・・・
それゆえ、最近ヒットした恋愛劇は「ブリジットジョーンズの日記」とか、日常を背景にした形が多いのでしょう。
その対極にSFはあるはずです。

つまりSFとは、非日常であり、その未来に起こる「恋愛」とは、まだ発生していない、「幻の恋」だと、映画側が発信しているのです。
それは、この映画のように未来世界のデザインが優れていればいるほど、より非現実性が強くなると思うのです。
さーそこで、タイタニックです。
コチラも非日常の歴史劇だと思われるでしょうが、実はこの作品が描いたのは「古典的恋愛劇」で、それは歴史を舞台にしなければリアリティーを持って描けないのです。
なぜなら、古典的恋愛劇とはロミオとジュリエットのような「運命の恋」「神の定めた愛」であって、そういっちゃ〜なんですが現代でこんな古典的恋愛劇を描こうものなら、相当へんてこな思い込みの強い女の子を主人公にしなければ、成立しないんじゃないでしょうか。
つまり「恋愛劇」は、現実的に発生し得る「現代恋愛劇」か、歴史的に発生した「古典的恋愛劇」でなければ、成立し難いと思うのです・・・・・・

たぶんそんな「古典的恋愛劇」を強める為に「眠りの森の美女=オーロラ姫」の名を冠し、目覚めたあと「船の故障=龍と格闘」をさせたのでしょう。
しかし、ほんといろいろ、矛盾も、物語の感情的な流れの不整合もあって上手く行っていない・・・・・・
一番問題なのは、寂しいからって起こしちゃだめでしょっていう・・・・・・・
こんなワガママな男だったら、いっそ女性目線にして・・・・・・
ここから私の妄想映画館ですおヒマな方はお付き合い下さい起きたら彼がいた。
冬眠装置の故障で彼も起きたらしい、何も知らない私を優しく助けてくれ、恋に落ちた。
しかしある日バーテンダーのアーサーが言った。
あなたで5人目です。
皆さんキレイな方でしたが・・・・飽きっぽいんでしょうか・・・・
気が付くと、後ろに冷たい眼をしたジムがいた
きゃあ〜〜〜〜〜〜〜〜
当ブログ関連レビュー:ヒッチコック『サイコ』
サイコ・ホラー元祖映画
あらすじとネタバレ・ラスト
失礼。
SFデザインは好みです。
映画「パッセンジャー」日本語吹替版テーマソング JUJU「Because of You」
関連レビュー:SF映画の金字塔 『2001年宇宙の旅』 天才キューブリックのSF映画 超難解映画の未来世界 |
関連レビュー:バーテンダー・アーサーの原型映画 『シャイニング』 天才キューブリックのホラー映画 映像の持つ恐怖表現の最高峰 |
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以降
『パッセンジャー』ネタバレ
を含みますので、ご注意下さい。========================================================
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(あらすじから)
原子炉排気口から火柱が奔流し、ジムに襲い掛かった。船の原子炉の暴走は収まり、危機は去ったが、ジムも船の外に吹き飛ばされ宇宙空間に漂った。オーロラは必死に宇宙服を身にまとい、船外へと飛び出した。
ジムにあと少しというところで、オーロラの命綱が伸びきり手が届かない。

これまでかと思ったとき、ジムの命綱が横切ったのを必死に掴み船に戻った。しかしジムは心肺停止状態で、オートドク(自動医療施術装置)でかろうじて命を救った。
========================================================『パッセンジャー』ラストシーン・結末
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元気になったジムとオーロラは、バーで酒を酌み交わし、プールに入りながら「hell of a life(地獄のような生活)」といいながらも、幸せな微笑を交わした。
そして、ジムはオートドク(自動医療施術装置)に冬眠機能があり、オーロラ1人だけならその装置で眠りにつけると説明する・・・・・・・オーロラの決断とは・・・・・・・
88年後目的の惑星に近づき、乗務員が目覚めた。
そこにオーロラのナレーションが流れる。
私は彼と共に素晴らしい人生を歩んだと・・・・・・・
それを示すかのように船内は、彼らが生み出した緑の自然に満ちていた。
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これは評判悪いけどどうかなあと思ったけど、読んでいたらやっぱちょっとそんな感じみたいですね(^^;
『タイタニック』の世界観を宇宙空間で繰り広げるのにはちょっと惹かれますが・・
レンタル待ちで・・
ありがとうございます(^^)
スミマセン中途半端で上げてしまいました・・・・恋愛ドラマの新機軸ですが、SF恋愛映画で成功したのって・・・・「ブレードランナー」も恋愛じゃないし、ムずカしいですね(笑)
ありがとうございます(^^)予告スゴイですね。SF期待していったら見事に外されたという(笑)恋愛劇として女性目線なら楽しめるかもしれません。