評価:★★★★ 4.0点
え〜昔々「お金が一番大事」と語る女性がおりまして、「お金より大事な物あるでしょ?」と答えたら、凄い勢いで「キレイゴトを言うな」と罵られたことがありますが・・・・・・・
この映画は、実に「お金が一番大事」と言うことを明瞭に声高に宣言した一本ではあります。
<百万長者と結婚する方法・あらすじ>
ニュー・ヨークでモデルをする、シャッツィ(ローレン・バコール)、ポーラ(マリリン・モンロー)、ロコ(ベティー・グレイブル)の3人はの夢はお金持ちと結婚すること。百万長者を射とめるため、最高級のアパートで共同生活をはじめた。ロコはスーパーに買出しに行き、ちゃっかりトム(キャメロン・ミッチェル)という青年に買い物の支払いをさせ荷物もちに連れ帰る。しかし、シャッツィはトムの貧相な服装を見て、すぐさま追い出し、ロコに対し紳士と付き合えと叱る。しかし、実は、トムはマンハッタンにビルを所有する大会社の社長だった。トムは何度もにシャッツィを誘いに来るが、彼女はトムを相手にしなかった。ロコがテキサスの富豪J・D・ハンレー(ウィリアム・パウエル)を連れて現われ、三人は、他の富豪も集うパーティーに招待される。その夜、シャッツィはハンレー、ロコは中年富豪ウォルド・ブリュースター(フレッド・クラーク)、ポーラは謎の男性J・スチュアート・メリル(アレクサンダー・ダーシー)とクラブに向かう。
シャッツィは、ハンレーが独身だと知り喜び、ロコはブリュースターが既婚者なのも構わず山の別荘に招待され、眼鏡をかけるのを嫌がるポーラは、メリルがどんな男性かも分からない始末。それでもロコはブリュースターと別荘に行き、青年エーベン(ロリー・カルホーン)に迎えられる。ロコはエーベンとスキーを楽しみ惹かれ合い、彼が山林地帯の地主だと思い込んだのだが、実はただの森林警備隊員だと知りショックを受ける。しかし既に彼女はエーベンを愛していた。
ローラは、アパートの持主フレディ(デイヴィッド・ウェイン)と知り合う。シャッツィはお目当てのハンリイが高齢を理由に去ってしまい、仕方なくトムとつきあう。しかしハンリイが再び表れシャッツィに求婚し、それを受ける。ポーラはメリルの母親に会いアトランティック・シティ行の飛行機に乗るつもりが、近眼だが眼鏡をかけない彼女は飛行機を間違え、カンサス・シティ行に乗ってしまう。その機に偶然フレディが乗っており、二人とも極度の近眼だったので意気投合する。シャッツィはハンリイとの結婚式当日を迎えるが、そこで自分の本当の気持ちに気付く・・・・・・
(原題 How to Marry a Millionaire/製作国アメリカ/製作年1953/95分/監督ジーン・ネグレスコ/脚本ナナリー・ジョンソン/原作ゾー・エイキンス、デール・ユンソン、カサリーン・アルバート)ロコ・デンプシー(ベティ・グレイブル)/ポーラ・デベヴォア(マリリン・モンロー)/シャッツィ・ペイジ(ローレン・バコール)フレディ・デンマーク(デヴィッド・ウェイン)/エベン(ロリー・カルホーン)/トム・ブルックマン(キャメロン・ミッチェル)/J・ステュワート・メリル(アレックス・ダーシー)/ウォルド・ブルースター(フレッド・クラーク)/J・D・ハンレー(ウィリアム・パウエル)<百万長者と結婚する方法・出演者>
========================================================
百万長者と結婚する方法・感想・解説
========================================================映画とはその誕生から今日まで、大衆に捧げられた供物(くもつ)だったと思うのです。
それはアメリカ産ハリウッド製映画において、芸術性よりも商業性を優先する作品作りによって、なおさら顕著に表されているように感じられます。

その作品群は、個人の作家性や作品としての芸術性よりも、明確に観客が望む物を供給するという一点において世界を凌駕しえたが故に、映画のスタンダードとして君臨してきました。
資金を確実に回収するための市場調査と映画製作は、どんな「観客の欲望」に対して、どんな「映画表現」をすれば最も効率よく収益を上げられるかを数値化しえるほど、洗練された「映画製作システム」を作り上げ今日に至ります。
この図式で分かることは、ハリウッド映画が経済学における「マーケット理論」を援用して作品を作っている以上、まず「買い手=観客」のニーズが優先されているという事実です。
つまりは、庶民大衆が望む「欲望=夢」をスクリーンに投影してやることこそ「ハリウッド映画」の本質に他ならないでしょう。

つまりはこれらの価値が語られることが、アメリカ国民の「欲望」に適っていたからだと思うのです。
なぜなら、これらの価値が語られた時期とは大恐慌から第二次世界大戦の終結の時期に符号し、アメリカ大衆の幸福とはアメリカ国家の強大さとそのままリンクしていたからです。
そして戦争が終わって、アメリカ大衆が個人の欲望に立ち返っていく時期に「マリリン・モンロー」がスターとして輝きました。
そんな、マリリン・モンローが代弁した「欲望」とは何だったのでしょう?

この映画はマリリン・モンローが代表する女性にとって、大事なのが「愛」では無く「金」だというメッセージを、ついに口に出して公共の面前で言ってしまった歴史的作品だと、個人的には思っています。
この映画のメッセージは、あまりにも「あからさま」すぎて実際口に出すのも恥ずかしい。
でも、この「欲望」とは、故国で飢えて生きるか死ぬかのギリギリで微かな可能性を求めて移民してきた、アメリカ社会、アメリカ国民の本音ではなかったでしょうか。
しかし世界標準で見れば、欧州やアジアなどの歴史が長い国々では、代々の「金持ち=上流階級」が居て、彼らは(すでに持っているので)お金の価値を語るよりも、文化や芸術について語る傾向にあり、それゆえお金の事を口にするのは「成り上がり者」の下品な人種と言われるため、ブレーキが掛かっていたのかも知れません。

その欲望はアメリカ女性にとっての真実であったと同時に、男性にとっても「金」さえあれば、マリリン・モンローのような女性を獲得できることを意味しました。
ここには、アメリカ社会において男女共に個人的欲望を満たすための最も確実な手段が、「金銭」であることが、明確に表現されていると思えます。

しかし、この実もふたも無い「欲望表明」は、マリリン・モンローという存在を「セックス・シンボル」としたと同時に、また、当時の女性の「敵」にもしたように感じます。
当時のアメリカ社会にとっても、それほどスレスレの、あたかもヌードを晒すがごとく、猥らな言葉だったと見るべきでしょう。
トムとシャッツィの食事シーン
トム「君は本気で、お金が自動的に幸福をもたらすと信じてるわけ?」
こんな「パンドラの箱」を開けられたのは、憎めない無邪気な天使のごときキャラクターを持ったマリリン・モンローであったからこそ可能だったと、この映画を見て再認識したのでした。
しかし、一度口に出してしまい、世間が同様の価値観を共有するようになれば・・・・・・
今や日本でも「お金が一番大事」と口にする女性増えてませんか?
しかし・・・・現代日本で「お金が一番大事」と口にする女性達の顔には、ギラギラした欲望しか感じないんです。

そんな女性を見るにつけ、ついつい、この映画のモンローと比較してしまうのです。
この映画のモンローは「お金が一番大事(こんなオバカなこと言う私を笑って許してね)」という、エクスキューズがありますから・・・・・・・
欲望を口に出すのは古来ハシタナイ行為とされてきましたから、ホンと口に出すのは・・・・・
マリリン・モンロー位の魅力がないと難しい・・・・・
と金と縁のない私には思えました・・・・・
1953年ハリウッド・プレミア試写会風景
ローレン・バコールの当時の夫、ハンフリー・ボガードも顔を見せている。
========================================================
スポンサーリンク
========================================================
========================================================
以降の文章には
「百万長者と結婚する方法・ネタバレ」
「百万長者と結婚する方法・ラスト」
とを含みますので、ご注意下さい。========================================================
========================================================
========================================================
(あらすじから続く)
シャッツィはハンリイとの結婚式当日を迎えるが、そこで自分の本当の気持ちに気付き、トムを愛していることをハンリイに打ち明けた。
トムとシャッツィは結婚する事になり内輪のお祝いには、ロコとイーベン、ポーラとフレディの2組の夫婦も加わったが、その席ではじめてトムが千万長者であることがわかって、3人の女性陣はびっくり仰天しました。
アメリカが、最高にグレートだった頃の、明るく楽天的な物語・・・・・・・
スポンサーリンク
【関連する記事】
- 映画『ピアノレッスン』美しく哀しい女性映画!再現ストーリー/詳しいあらすじ解説・..
- 映画『我等の生涯の最良の年』考察!本作の隠された主張とは?/復員兵ワイラー監督と..
- 映画『我等の生涯の最良の年』戦勝国米国のリアリズム!感想・解説/ワイラー監督の戦..
- 映画『シェーン』 1953年西部劇の古典は実話だった!/感想・解説・考察・スティ..
- オスカー受賞『我等の生涯の最良の年』1946年のアメリカ帰還兵のリアル!再現スト..
- 古典映画『チップス先生さようなら』(1939年)戦争に歪めれた教師物語とは?/感..
- 古典映画『チップス先生さようなら』1939年のハリーポッター!?再現ストーリー解..
ありがとうございます( ̄▽ ̄)「世の中金やで〜」ときっぱり言うタイプの方に、じゃあ、金と命とどっちが大事だと聞いたら、それでも金だという答えでした(^_^;)旦那さんに高額生命保険を懸けてなければいいなと思います。
マリリン・モンローみたいな女性だったんですかね?
ありがとうございます(^^)トラウマです・・・以後そう言うこという方には、近づかないように努めております。m(__)mマリリン・モンローなら何言われてもという気はしますが・・・