評価:★★ 2.0点
私はこの映画を「守ってあげたい」ので、このレビューを書いています・・・・
え〜分かってます。
そりゃ〜私にも少しは、理性というものがあります!
この映画は今から見れば、そりゃね、傑作とは言えません。
でもね、若かったとはいえ、あの大林監督です・・・・
それぁ〜なんか、人には謀り知れない考えってもんが、おありになったに違いありません・・・・
<ねらわれた学園あらすじ>
第一学園の三田村由香(薬師丸ひろ子)は二学年に進学したある日、自分の超能力に気が付いた。由香は、友人の耕児(高柳良一)に打ち明けるが、彼は信じない。そんな時、京極(峰岸徹)と名乗る男が由香に近づく。京極は「英光塾」に通う生徒達を支配しているのだった。数日後、由香のクラスに高見沢みちる(長谷川真砂美)という不思議な能力を持つ転校生がやって来た。みちるは先徒会会長になって、自分の思い通りに学園を作り変えていった。みちるの学校支配はエスカレートし、生徒たちも不平を口にしだした頃、みちるのやり方に反対している者達が、瀕死の重傷を負ったり、不自然な事故に遭った。みちるの行動や学園の混乱の元凶が「英光塾」にあると突き止め、由香、耕児は対決のため塾に向かう・・・・・・・
(日本/1981年/90分/監督・大林宣彦/脚本・葉村彰子/原作・眉村卓)
========================================================
ねらわれた学園感想
========================================================
ねらわれた学園感想
========================================================
サスガに、この映画の中にあるマンガの集中線みたいなもので超能力を描きますなんて事は―

やっぱりチープだと思いますが・・・・・
ま〜大林監督は、そもそもCMの映像で注目を集め、映画デビュー作『ハウス』の昔から、それはもう熱心に色んな映像実験を試してらっしゃったようです。
大林監督デビュー作『ハウス』予告編
大林監督が、その著書「大林宣彦の映画談議大全『転校生』読本」の中で仰っているのは、もう映画というのは古典映画の複製で、しょせん嘘なんだから嘘だと分かるように撮るのだということであり、この映画もそんな作り物のイメージを、ことさら強調しているのかとも思います・・・・・・
(右/大林宣彦の映画談議大全『転校生』読本)
この話ん中でも「学園もの」のパロディみたいに踊らせてみたり、弾けるような若さを、これでもかってほど見せつけてます。

ただ問題は、その演出意図が見ている方にうまく伝わってないという事で・・・・・・
正直「なにをねらってるのか」ち〜とも分からない「学園」ものだと感じました。
さすがにこの演出は、ワケがわから・・・・ナイ・・・・・しかし、なぁんでこんなにゴタゴタした混乱した状況になっちやったんでしょう・・・・
想像してみたんです。
気が付いたのは、これだけパロディーで押してきていながら、実はアイドル映画としての要素だけはトラディッショナルな撮り方なんです。
それゆえ、パロディと正統的な映像スタイル同士がぶつかって、どっちに合せて見ればイイのか観客が混乱しちゃったのかなという・・・・・
じゃ〜これは「失敗作じゃないの〜?」という声が聞こえてきそうなんですが・・・・・・・
いや、まあ・・・・それはその・・・・・・でも・・・・イヤ
「い〜い〜い〜い〜い〜い〜い〜い〜や違う!!そんなこと言っちゃあ、ひろ子ちゃんがカワイそうでしょ!!!!!」

だって、劇中の「薬師丸ひろ子」がなんとも魅力的なんですってば。
華やかな笑顔や、愁いに沈んだ眼、輝く涙、ぼんやりと佇むその姿にさえ、この年代の少女にしか持ち得ない、万華鏡のように一瞬のうちに移り変わってもう二度と同じ表情を見る事ができない瞬間を、陰影を含んだ照明を使って、ため息が出るくらい愛らしく見せてくれます。
これはもう『少女アイドルの一期一会』と呼ばせてもらいます!
薬師丸ひろ子の資生堂CM「色」(1979)
カンヌ国際広告祭でグランプリ受賞。実相寺昭雄監督。
昭和の匂いがプンプンしますが、やはりアイドルのオーラはハンパ無いと感じます・・・
たぶん大林監督は、アイドル映画の部分もパロディーにしちゃえって思ってたンじゃないでしょうか。そうすれば、首尾一貫した映画表現です。混乱だっておこりゃシマセン。そんなコト判ってたとおもうんデス。
でも、結果的にそれができなかった・・・・・それは、決して当時の角川春樹社長に脅かされたからだと、私は思いません。

「薬師丸ひろ子」という旬のアイドルの力に負けたと思うのです・・・・
彼女のオーラを目にした時、「薬師丸ひろ子」にアイドル映画を撮らされてしまったのだと、そう信じます。
だって、ホントに大事に、彼女の表情をフィルムに映してますモン・・・・・
そのアイドルの移ろいは、特に自宅と家の中の生活に、その陰影が最も色濃く見えるのですが、大林監督はこの映画で気づいたのではないでしょうか・・・・日本の少女は日本家屋の曖昧な光の中でこそ、ちょっと昔懐かしい日本の風景の中でこそ、その魅力が最大限に花開くことを。
それはそのまま「時をかける少女」「さびしんぼう」「転校生」の映像イメージです・・・・・・
大林監督はこの映画で否応なく知ってしまったと思うンです。
自らの資質が都会的な洗練にではなく、日本の田園の陰翳の情緒にこそある事を・・・・・
そういう意味でこの映画は、派手な「CM作家」から抒情的な「映像作家」の両面が現れた、大林作品の今と過去をつなぐ映画のように思います。
と書いてきてナンですが、実は角川春樹氏より大林監督に、日本の映画界の未来はハリウッド的なスターシステムにかかっているのではないかと言う話があり、その第一歩として薬師丸ひろ子と言うアイドルを売り出すためのアイドル映画を目指したと言うのが実相らしいです・・・・お詫びの上訂正します。
<角川アイドル映画関連レビュー>
角川映画の証明『野生の証明』
『セーラー服と機関銃』角川アイドル戦略と日本映画
アイドル山口百恵『春琴抄』
かなり学芸会レベルです・・・・見る方は、覚悟してご覧ください。
ただ大林監督画好きな人は、義務ですので見て下さい。
アイドル好きの人にも新鮮かもしれません。
薬師丸ひろ子好きには何も言いません。
だって、もう見てるでしょう・・・・・
映画オープニング、松任谷由美の名曲「守ってあげたい」が沁みます・・・
========================================================
========================================================
========================================================
以降「ネタバレ」を含みますので、ご注意下さい。
========================================================
========================================================
========================================================
========================================================
ねらわれた学園ラストシーン
========================================================
薬師丸ひろ子演じる由香は、耕児が捕まった英光塾へ行き、京極と戦う。そして、あっけなく京極を倒した。
祝福するかのように、新宿副都心で花火が上がる。
そして、第2回の剣道大会が開催され、由香の超能力を使い勝つ。
こうして平和に戻った学園で、由香は特別な力を持ったまま生きて行くのだった。
つまりは、日常の中で「特別の力を秘めた少女=アイドル」の誕生ですね。
スポンサーリンク
【関連する記事】
- 日本映画の古典『東京物語』巨匠小津安二郎監督の日本の心/感想・解説・考察・日本家..
- 黒澤明『七人の侍』この映画はパクリ!?考察・西部劇『駅馬車』との類似点/解説・黒..
- 古典映画『七人の侍』はなぜ偉大か?超娯楽アクションの傑作!/感想・解説・黒澤リア..
- 映画『雨上がる』黒澤時代劇の残照/感想・解説・ネタバレなし簡単あらすじ・考察・本..
- 映画『クローズZERO』オールスター!平成男達のお祭り騒ぎ!!/簡単あらすじ・感..
- 映画・初代『ゴジラ』1954年元祖・怪獣の王!そのリアリティーを考察!/あらすじ..
- 映画『私をスキーに連れてって』バブルに大スキーブームを生んだヒット作!/あらすじ..
ありがとうございます(^^)原作もSFの古典ですから、時をかける少女のような、アイドル向けのコンテンツとして確立していると思います。
珍しく★2ですね(笑)
さすがにこれは古いしスルーで良さそうですね。
ありがとうございます(^^)スルーでお願いしますm(__)m
日本のアイドル映画のパイオニア以外の意味はさほど無いと思います。(^^)
「時をかける少女」とかも実はとんでも映画ですもんね。
レビュアンさんの大林監督特集興味がありますw
ありがとうございます(^^)仰るとおりかと思います。
いろいろありますが、大林監督の持ち味は日本的な土着的情感にあるように思うんですが、都会的にとか、未来とかになると、説得力が落ちるように思いますね〜さすがに、最近はそういうシーンを撮らなくなりましたが・・・・