2016年12月07日

映画『ローマの休日』新時代のお姫さま/あらすじ・解説・ネタバレ・ラスト感想

モダンなおとぎ話




評価:★★★★★ 5.0

やっぱり、オードリー・ヘップバーンに尽きるでしょう・・・・
ウィリアム・ワイラーはこの女優をみてこの映画の成功を確信したに違いありません。

ローマの休日あらすじ
ヨーロッパ小国の王女アン(オードリー・ヘプバーン)は各国を親善旅行中でローマを訪れたとき、侍従がいの眼を盗んで夜の街へ出た。そのローマの街で、アメリカの新聞記者ジョー・ブラドリー(グレゴリー・ペック)と出会った。翌朝、彼女が王女だと知ったジョーは、通信社で5000$の特ダネだと言われ、ローマ見物のガイドを努めつつ取材を秘密裏に進める。アン王女は床屋で髪を短く切らせたり、アイスクリームを食べたり、自由に遊び歩いた。ジョーの同僚のカメラマン、アーヴィング(エディ・アルバート )も小型カメラで王女の写真を撮影した。夜になってアン王女が遊覧船の上でジョーとダンスを楽しんでいると、王女を探しに来た追っ手とケンカが始まった。ジョーとアン王女は河に飛び込み逃れたが、この2日の間で二人はお互いに恋愛感情が芽生え、河べりの闇の中でキスをかわした。アン王女のスキャンダル特ダネ記事は世間に公表されるのか。また、身分違いの恋の行方は・・・・・

(アメリカ/1953年/118分/監督ウィリアム・ワイラー/原案・共同脚本ダルトン・トランボ)
【受賞暦】第26回アカデミー賞(1953年)オードリー・ヘプバーンが主演女優賞

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ローマの休日感想
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この映画は、つまんない事を言えば、王子が清廉な乙女を見染めてプリンセスにするという、オーソドックスなおとぎ話の逆バージョンですよね?

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この当時、戦争が終わって10年もたたない時代ですが、戦時中の男たちが兵士として出征した後の社会を支えたのが女性達であり、そのまま戦後も社会への参画が続きシャネルスーツに代表されるように「働く・自立する女性」が登場した時期でした。


そんな、女性の社会進出なんてことを背景にした「女性意識」を、プリンセスがプリンスを選ぶというストーリーで象徴してるかな〜なんて思います。
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この映画の中でオードリーは、自ら髪を切って強い意志を示しますし、プリンスの為にギターを持って戦いさえします。

そんな、自分の意思を持って社会を切り開く強さが、このヒロインの魅力です。

さらに言えば、この物語の強さというかノーブルな味わいを作り出しているのが、それぞれの立場に立ってこの恋を治める、その切ない選択にあるように思います。 

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この映画の原題「Roaman Holiday」は「ローマの休日」のほかにも、「恋愛休暇」なんて意味を含んでいるかと思うのですが、そうであれば、この「一日の恋」は休暇にすぎず戻るべき本来の仕事があることを示しているのでしょう。
強い意志を持ちながら、「恋よりも自らの運命に従う」道を選ぶその選択に、自らを律する強さ美しさを見る思いがします・・・・・


それは、それまでの、男性によって運命を左右された女性達とは明らかに違う女性像だったに違いありません・・・・

そんな自らの人生を選択する自由の代償に、自らの義務を果たすのだという意思を、切なくも、凛として、気品と愛らしさを保持しつつ、明確に告げる、オードリーの表情の高貴さを見て・・・・・・・本当にため息が出るほど素晴らしいラストだと思います。

roman-barbar.jpgやはり、この戦後女性の理想形=アイドルを演じるには、例えばエリザベステーラーのような古典的なハリウッド女優では無理だったと思うんです・・・・

やっぱり、モダンで元気で強い眼に意思を秘めた、オードリーならばこそという気がします。


 そういうわけで、こういう過去の例にないおとぎ話のプリンセスを演じられる存在として「オードリー・ヘップバーン」を発見したことが、この映画を奇跡的な一本にしているようにおもいます。

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以降「ネタバレ」と「ラスト」を含みますので、ご注意下さい。


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個人的に言えば、この映画の切なさ気高さをより強めている描写が有ると個人的には思います。
そのシーンの前に描かれるのが、王女を連れ戻しに来た追っ手を振り切って、川に飛び込み逃げ、そこから上がって二人が、口づけを交わすシーンです。

そしてこの後、映像はアパートの外を映したショットとなり、窓の明かりが消えています。
この描写は、昔のハリウッドの映画話法で言えば、恋人達が愛を交わしたという描写だという説があります。

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つまり当時の貞節を重んじる時代背景から考えればアン王女は、自らの「貞操 = 真心 = 全存在」をジョンに捧げたということを意味したでしょう。

またジョーも彼女を真に愛したからこそ彼女を受け入れ、さらに世紀のスクープとなるであろうメモを破り捨て彼女の気持ちに応えたのです。

つまり、二人とも未来がないことを知りながら、それでもお互いの想いを確かめずにはいられなかったのです。
これこそが、理も非も越えた「恋=ロマン」の姿であり、そのために全てを捧げて悔いがないという狂おしい行動だったと思うのです・・・・・・・
ジョンのアパートで、王女を送り届ける前のシーンです。すでにお互いの愛情を確認した後だとすれば、別離の前のこの抱擁とキスも、とても切ないシーンだと思います。

そして、ジョーはアン王女を、彼女の義務が待つ場所へと送り届けます。
この二人の表情の切なさは、さすがに名優二人の表現力だと胸打たれます。


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ローマの休日ラストシーン
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数日後、アン王女の新聞記者会見がこの映画の最後です。
この会見の場で初めてアン王女は、ジョンが新聞記者だったのだと気付きます。
そこで、公式の場でありながらお互いの真意を探り合う「やりとり」がユーモラスでもあり、哀しくもあります。
その上で、秘められた思いが「ローマが一番思い出深い」という言葉で語られるとき、公的な立場で生きていく者の精一杯の意思表明に胸が熱くなります。


そして、お互いに私的な情としては相手を求めつつも、公的な立場で向かい合う二人に私情を口にする自由はありません。
この二人の恋心を義務の下に押し殺した表情、最後の別れの演技は「恋の栄光と残酷さ」を表して、映画史に残る名シーンだと何度見ても思います。

そして、アン王女の退席シーンで沸き上がった拍手は、アン王女という新時代が求める自立した女性に向けられた讃辞だと思うのです。

今となっては、こんな「やせ我慢」しなくともと思うかもしれませんが、気品・気高さとは「やせ我慢」をして自ら美しく在ろうとする精神が生み出すのではないでしょうか・・・・・・

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当ブログレビュー:オードリー・ヘップバーン作品集


『麗しのサブリナ』
オードリーの第二作目
名曲「バラ色の人生」に彩られた恋
『昼下がりの情事』
パリのオードリーの恋
ビリーワイルダー監督作品
『ティファニーで朝食を』
都会のおとぎ話
妖精オードリーの代表作
『いつも二人で』
オードリーの結婚倦怠期
運命の恋の行方
『許されざる者』
オードーリーの西部劇
バート・ランカスター主演、 ジョン・ヒューストン監督


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posted by ヒラヒ at 20:41| Comment(6) | TrackBack(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは(ФωФ)清純派女優の代名詞の人ですよね😃可愛いですわ〜👽この映画はテレビで観ました。何かはぁぁ〜👼ってなります。
Posted by ともちん at 2016年12月07日 21:05
>ともちんさん
ありがとうございます(^^)やっぱり、完璧な一本だと思いますね〜どこもツッコむ所がないというツッコミになってしまいますm(__)m
Posted by ヒラヒ・S at 2016年12月07日 22:01
誰もが知っている名作ですね!オードリー・ヘプバーン美しいですね!彼女の美しさも含め完璧な作品ですね(´∀`)
Posted by いごっそ612 at 2016年12月08日 07:16
>いごっそ612さん
ありがとうございます(^^)確実に需要がありそうな映画を、経営の柱にできれば良いなと愚考しております。m(__)m
Posted by ヒラヒ・S at 2016年12月08日 13:29
シナリオを変える必要も、ましてリメイクなど全く必要ない映画ですね。
本当に名作の1本ですよね♪
何度か観ていると、例の時計塔のアレも不思議と愛おしく感じてきますw
Posted by 兎おっさん at 2016年12月08日 19:12
>兎おっさんさん
ありがとうございます(^^)時計塔の時間の件ですか?私は「時をかける映画」なんだと信じていますm(__)mこの映画をリメイクはそうとう度胸が要りますね・・・・・「ローマ法王の休日」という映画がありましたが(^^;)
Posted by ヒラヒ・S at 2016年12月08日 21:16
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