2016年12月05日

恋愛映画『ノッティングヒルの恋人』ヒュー・グラント出世作/感想・ネタバレあらすじ・ラスト・解説・

「恋」ハマダ、イキテイルカ?



評価:★★★★ 4.0

脚本リチャード・カーティスと 俳優ヒュー・グラントのコンビ第2作目。
第一作目は「フォー・ウエディングス」で、やはりイギリスを舞台にした恋愛作品でナカナカのスマッシュヒットでした。
そこで、ハリウッドと組んだイギリス組主体の映画です。
ノッティングヒルの恋人あらすじ
ハリウッドの大女優アナ・スコット(ジュリア・ロバーツ)は、ロンドンのノッティングヒルにある書店に入り、店主のバツイチ男ウィリアム(ヒュー・グラント)に出会う。さらにウィリアムは町でアナとぶつかり、偶然ジュースをかけてしまい、服を乾かすためアナを家に招く。アナはウィリアムスと話すうちに好意を抱き始める。
数日後ウィリアムスは、ルームメイトのスパイク(リス・エヴァンス)から、アナから連絡があったと聞かされる。アナのホテルに向かい再会を果たすとウィリアムは妹(エマ・チャンバース)の誕生日パーティーにアナを招待する。二人は、その後デートを重ねるようになる。しかしアナのホテルに、有名スターの恋人(アレック・ボールドウィン)が待っていたのを見て、ウィリアムはアナに別れを告げて去る。
半年後、女優デビュー前のスキャンダルでマスコミに追われたアナが、ウィリアムスの元に逃げてきた。しかし、同居人スパイクがうっかり喋り、再びマスコミに推し掛けられアナは去る。1年後、ロンドンを訪れたアナの撮影現場にウィリアムスは会いに行くが、不釣合いだと思い別れる。しかし、そんなウィリアムの本屋をアナが訪ねて来た・・・・・・・・・

(アメリカ/1999年/123分/監督ロジャー・ミッチェル/脚本リチャード・カーティス)
ノッティングヒルの恋人出演者
アナ・スコット:ジュリア・ロバーツ/ウィリアム・タッカー:ヒュー・グラント/スパイク(ウィリアムの同居人):リス・エヴァンス/ベラ(ウィリアムの友人):ジーナ・マッキー/マックス(ベラの夫でウィリアムの友人):ティム・マッキナリー/ハニー(ウィリアムの妹):エマ・チャンバース/バーニー(ウィリアムの友人):ヒュー・ボネヴィル/マーティン(ウィリアムの店の従業員):ジェームズ・ドレイファス/12歳の女優:ミーシャ・バートン/ジェフ・キング:アレック・ボールドウィン

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ノッティングヒルの恋人感想
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この作品はストレートなラブストーリーで、ヒュー・グラントをハリウッドスターの仲間入りをさせたほど、大ヒットしました。

ロンドン・ノッティングヒルという場所で起こるこの恋愛コメディーは、ハリウッド・セレブ女優と、さえないバツイチ男の恋を描きます。

Notting_Hill.jpg
え〜これは、その・・・・う〜ん・・・ありえないですね。つまりこの映画は夢物語、おとぎ話です。

そのありえないおとぎ話にリアリティを与えたのが、ハリウッド女優ジュリア・ロバーツの演技だったと思います。

実生活を反映したセレブという存在の異常な状況であるとか、女性としての繊細さ、自立した女性の強さと脆さなど、人の持つ複雑な性格を表現して見事です。

そして何よりも、彼女の全身から表現される「恋ごころ」のみずみずしさと美しさが、この「有り得ないラブストーリー」を真実に変えたように思います。
ジュリアロバーツのハリウッド女優の恋心の演技
このシーンはヒロインが自らの恋心を賭けて、好きな相手の前に立ち、そして敗れる姿です。この表情の変化の中に現れる情感こそ、この映画のリアリティーだと思います。

【意訳】
ウィリアムス:君が好きだと言ってくれて、でもそれに応えられない。/アンナ:そう。いいわ。もちろん。私・・・・・・あなた分かる・・・・・もちろん・・・・・・私はただ・・・・・あの時どうしたかと・・・・会えて嬉しかった/ウィリアムス:本当のことを言えば・・・・君といるのは本当に危険なんだ。君を幸せにできればいいんだけど。でも僕の弱い心は、怖いんだ、また君の脇役にされて、きっとそうなると思うけど、そうしたら二度と立ち直れない。君は世界中であまりにもたくさんの写真に納まって、本当にたくさんの映画に出る。君は出かけて、僕は家に残り・・・・・そう、だから無理だよ。/アンナ:そう。・・・・・それは本当に「NO」ということね?
ウィリアムス:僕はノッティング・ヒルに居て、君はビバリーヒルズに住んで、世界中が君を知っていて、僕の母は僕の名前がを災難として思い出すだろう。/アンナ:判った。いいの。大丈夫。良い決心だわ。・・・・・・・でも名声なんて、なんの意味も無いって知ってるでしょう。忘れないで、私は一人の女の子でもあって、目の前の少年の前に立って、彼に彼女を愛しているか尋ねたの。

そして、彼女のセレブっぷりと、この恋物語を見て、映画史に残る古典「ローマの休日」を思い出しました。
ro-manokyuujitu.jpg
オードリー・ヘップバーン主演のこの名作は、王女がローマの町にお忍びで遊びに出かけ、一般庶民と恋に落ちるというお話でしたが、ホントにこの映画とよく似ています。


身分を越えた恋というのは、その昔から伝統的な恋愛物語の「夢」の一つでした。
やはり、映画と言うのは人々の求める「夢」を提示できれば、成功するというのは今も昔も変わらない事実のように思いますが、同時にその「夢」は、その時代を表現しなければ、観客の共感を得ることはできません。

例えばシンデレラの物語は、恋によって貧富の差を越えプリンセスになるという、女性たちの夢でした。

20世紀の半ば「ローマの休日」は、女性たちが社会進出していく中で、女性が「男性=恋」に依存しないことで、プリンセスになるという夢を描きました。

そしてこの映画、20世紀の世紀末では、セレブ=女王が下層の男性に恋をして、しもじもに降りていくというストーリーです。
notting-kiss.jpg
ここで語られるのは、女性からすれば苦しいキャリア生活を終わりにして、恋に生きたいという「夢」でしょう。
また男性側からすれば冴えない男がセレブに愛されると言う、逆シンデレラの「夢」ですが・・・・素直に受け入れるのは現代の中年男にはナカナカ複雑なようで・・・・・

この恋の結末は「ローマの休日」同様、ヒロインの記者会見で明かされますが・・・・

Notting_Hill_nan.jpg
とにもかくにも、こうやって整理してみれば「恋」にまつわる「夢」も、今やなんでもありだなと驚きます。

現代の自由な恋愛の「夢」は、男女がそれぞれ経済的に自立しているという、経済的余裕が生まれたゆえの帰結とも思うのです・・・・・「一人で生きていければ、無理に恋しなくってもネぇ」なんて声がアチコチから聞こえてきます。

しかしそんな時代になったとしても、変わらない「恋愛」の力が、人生を変える「恋」があるという真実が、この映画には示されているように感じます。

「恋」が神の定めた絶対的な運命であることを止めて、随分経つようにも思いますが・・・・

それでも、もし、あなたがそう望むのであれば―

「恋」はまだ死んではいないようです。

ノッティングヒルの恋人のサントラからBill Withersの歌う「Ain't No Sunshine 」

ヒロインが去った傷心を歌った切ない曲。

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以降「ネタバレ」と「ラスト」を含みますので、ご注意下さい。
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主人公ウィリアムスは、ハリウッド女優との釣り合わない恋を前に、尻込みしてしまいます。
しかし、周囲の励ましと切ないアンナの後姿を思い出して、彼女が記者会見をしているホテルに紛れ込んで、意を決して彼女に愛を告げます。
以下はそのアンナの回答シーンとラストシーンです。
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ノッティングヒルの恋人ラストシーン
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【意訳】
(この前にイギリス人との交際を聞かれ、ただの友達だとアンナは応えている)
司会:ピンクシャツの方/ウィリアムス:はい。ミス・スコット、 あなた方二人がただの友達以上になる状況もありますか?/アンナ:私はそう望みましたが・・・・でも、いいえ、それはありえないと思います。/ウィリアムス:・・他に何かいう事は/司会者:一人一問です/アンナ:いいえ、彼に続けさせて。/ウィリアムス:はい。私はもし心変わりをしたら・・・・その人物が(脇からタッカーだよ)ありがとう。もしMr.タッカーが彼は愚かな奴だったと気付き、ひざまずいてあなたに考え直すように頼んだら・・・あなたは・・・再検討されますか?/アンナ:ええ、考えなおします。/ウィリアムス:それはいいニュースです。「ホース&ハウンド」の読者は、本当に喜ぶことでしょう。(アンナは司会者に囁く)/司会者:ドミニク・・・さっきの質問をもう一度したいかい?/記者(ドミニク):はい・・・・アンナ、どれぐらいイギリスに滞在するつもりですか?/アンナ:永遠に。

最後に流れるエルビス・コステロの歌う「She」も、このラストを感動的に盛り上げます。
【「SHE」歌詞 】
She maybe the face I can't forget(彼女の顔を忘れられない)
The trace of pleasure or regret(それは歓び、それとも後悔の跡)
Maybe my treasure or the price I have to pay(きっと僕の宝物、または果すべき償い)
She maybe the song that summer sings(彼女はたぶん夏の歌)
Maybe the chill that autumn brings(彼女はたぶん秋の爽やかな風)
Maybe a hundred different things(彼女はたぶん百の違う出来事)
Within the measure of a day(たった一日に起きる)

She maybe the beauty or beast(彼女はたぶん美女と野獣)
Maybe the phantom or the feat(彼女はたぶん幻か食事)
May turn each day into a heaven or a hell(彼女はたぶん毎日を天国にも地獄にもする)
(中略)
The one I care for through the rough in many years
(何年もの間苦難を共にした、ただ一人の人)
Me I'll take her laughter and her tears(彼女の笑顔と涙)
And make them all my souvenirs(その全てが僕の記念)
For where she goes I've got to be(彼女が行くところへはついて行く)
The meaning of my life is SHE SHE SHE(僕の生きる意味は彼女)

やはり「恋」はまだ死んではいないようです。



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posted by ヒラヒ at 17:08| Comment(5) | TrackBack(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おこんばんは(´・ω・`)?不具合かウケ狙いか?(笑)レオンがありますが♪

んで(笑)これがジュリア・ロバーツじゃい!どうだ!みたいな映画♡ですね。本来こういうのが似合う女優さんですわ〜♪ヒュー・グラントのどこが冴えないバツイチ男なんでしょうか・・・
Posted by ともちん at 2016年12月05日 18:11
👆こっちリンクが正解です💦よろしくお願い致しますm(__)m・・・
Posted by ともちん at 2016年12月05日 18:15
>ともちんさん
ありがとうございます(^^)スイマセン、レオン近日公開の分です(^^;
ヒュー・グラントこの映画やフォーウエディングス、それからアバウトボーイあたりまではダメな中年親父路線だったんですよね〜ブリジッドジョーンズの日記当りになるとイケメン押しですが・・・・・
Posted by ヒラヒ・S at 2016年12月05日 18:57
ジュリア・ロバーツは今でも美人ですね(´∀`)
恋愛映画はなかなかイイのがないのですが、この映画はいい映画のようですね。観たいです!
Posted by いごっそ612 at 2016年12月05日 19:45
>いごっそ612さん
ありがとうございます(^^)ジュリア・ロバーツの恋する乙女
の演技がスゴイです。眼がウルウルしています(^^)
Posted by ヒラヒ・S at 2016年12月05日 20:31
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