評価:★★★☆3.5
この映画は、英国風の結婚式風景と英国風の笑いに彩られた、華燭の典を描いた映画ではあります。
基本的には女性遍歴をしてきた主人公(ヒュー・グラント)が、運命の人(アンディー・マクドウェル)に出会うんですが、なかなかスッキリと相思相愛とはならずに・・・・
4つの結婚式と一つの葬儀を経るうちに、お互いの立場も変わって、さて二人の運命やいかに・・・・
なんて、ちょっとややこしい物語です。
<フォー・ウェディングあらすじ>
チャールズ(ヒュー・グラント)は32歳の独身、女性にもモテるが、優柔不断で結婚となると躊躇してしまう。そんな彼が友人の結婚式に参列した時、アメリカ人女性キャリー(アンディ・マクドウェル)と出会い一目惚れする。お互い惹かれあった二人はベッドを共にするが、翌朝、結婚の話題が出て逃げ腰だったチャールズを見て一夜限りの関係で終わる。
数年後、チャールズは再び友達の結婚式でキャリーと再会するが、彼女には富豪の婚約者がいた。結婚式のパーティーでは、元カノのヘンリエッタ(アンナ・チャンセラー)に泣かれ、キャリーと共にパーティを逃げ出し、彼は再び彼女と夜を共にする。
その後、また街で偶然キャリーと会った彼は、彼女のウェディングドレス選びのお供をする。この時チャールズは彼女を愛していると告白するがすでに式は目前だった。
そのキャリーの挙式パーティーでチャールズの友人ガレス(サイモン・カラウ)が突然の死を迎える。ガレス葬儀で、同性愛の恋人マシュー(ジョン・ハンナ)が、彼への愛を弔辞で語った。
チャールズは、結婚に疑問を抱きつつもヘンリエッタと結婚する決心をし式の当日を迎える。しかし現われたキャリーが夫と離婚したと聞くと、チャールズの心は揺れ動き、ついに彼は結婚を拒否しヘンリエッタに殴られて式は中止となった。そして彼はキャリーに自らの思いを告げるのだが・・・・・・・
(イギリス/1994年/118分/監督マイク・ニューウェル/脚本リチャード・カーティス)
物語の内容も千変万化なのですが、見ている方の気持ちも右往左往してしまいます。
基本的にはラブ・コメ風味の小ジャレタ一作なんてところを目指していたのかなぁ〜なんて思いますが・・・しかし、なかなかうまくいってない気がします。
一つには、この映画の主人公の気持ちが、今一つ集中力が無い事が原因かと。
好きな相手に一直線というには、他に考える事が多すぎるようで・・・・・・
さりとて、運命の相手との結婚を夢見たりするくせ、現実的には不可能だとアキラメテいたり・・・・・・
さらには、好きでもない相手と結婚しようとして見たり・・・
そんなこんなの混乱ぶりです。
そしてまた、この映画の語りたい物語とはナンなの?
という疑問もあったりします・・・・・・
やっぱり主役がヒューグラントで相手役がアンディ・マクドゥエルなんて聞けば、恋愛映画を期待しますでしょう?
ところが・・・・・恋愛映画と言うのには、恋が迷子ですか?ってくらいどこ行ったんだという・・・
正直言って、何を中心に見りゃぁいいんですかという状態です。
本当に結婚式だけは盛大で、伝統的な教会で格調高く「誓いの言葉」を言ったりするのである。
ローワン・アトキンス演じる牧師の「誓いの言葉」
新米牧師の誓いの言葉は、どもったり、いい間違えたり・・・見てるだけで笑えます・・・・
・・・と書いてきて、気がついた・・・結局この映画が最も労力を割いているのは結婚式だった。
つまりこの映画は、伝統的な結婚式と結婚の在り様を語りたかったのかと、そう思いだしました。
そんな結婚制度を軸に見てみれば、作中のキリスト教の神前結婚が意味する「誓い」は、神に対して絶対「妻を裏切らない=別れない」という、嘘をついたら地獄に落とされても文句言いませんという類の厳しい掟ナンですよね?
そう考えれば、主人公でなくてもウロウロしちゃいますわね。
だって、昨今の恋愛事情を経験したり見たり聞いたりしてみれば、「神の求める永遠の誓い」何て奇跡に近いでしょう?
昔々の「運命の人」と出会って「永遠の誓い」をして「死ぬまで一緒」なんていう、「愛の絶対法則」を誰か信じてる人います?
そうか〜存外この主人公イイ奴、マジメなヒトだったんだぁ〜と反省しました。
この恋愛の不確実性と、神の絶対の前で逡巡する恋人達を見て、恋に対して誠実に生きようとするのは「タイヘンだ」と思ったのです。
そんな「現代の恋愛の現実」を踏まえて、なを「神の前で永遠を誓えるか」という問いは、結局「結婚制度を現代でも維持可能か」なんてコトにつながるように思います。
そう考えると、原題「四つの結婚式と一つの葬式」という意味が、「結婚制度そのものを葬る」なんて皮肉かとも思えたりします。
しかも、このお葬式が「結婚制度を経ず」とも真に愛し合う、「ゲイ」のカップルのパートナーを見送るもので、その喪失の悲しみの「至誠」が切々と伝わってくるとき、今や結婚制度と真実の愛とは別物なんじゃないのナンテ・・・・・・そんなオソロシイことまで脳裏に浮かンできます。
それであれば、なるほど主人公の言う映画の最後のセリフも納得がいきますし、なかなかまじめな一本だったんだなぁとは思ったのです。
さて、マジメなことは判りましたが・・・・・・
じゃあ映画としてど〜なのとなると・・・・・・
☆3つというところかと・・・・・・
なぜなら、こんな「結婚制度の永遠」しかも「神の絶対」付きナンて、スゴイ「テーマ」をもってきちゃった割には、ラブコメ調で通そうというのがムリだったような・・・・・・
このテーマだったら、もうちょっとシリアスな方が伝わったと思うんですが・・・・・・
そうすると、商業映画としての「売り所」が難しいし・・・・・・
結局「新しいテーマ」には「新しい物語」が必要とされるのに、商売を考えると「ラブコメ」でまとめざるを得なかったというところでしょうか。
そういう点では、新しいコンテンポラリーな「ラブストーリー」を構築したかったのかなぁ〜とも思うのですが・・・・・・
と書いてきて、調べたところ海外では「ヒット」だったラシイという。
つまるところ、日本ではラブストーリーには「運命や絶対」を求めるが、外国では「ラブストーリー」にもう「奇跡」がないのが当たり前というところまで行っちゃってるので、この映画で描かれた恋愛こそが求められている「ドラマ」なのかなぁ〜と
ナンテ言訳シテミル・・・・・・
【休憩タイム】
挿入歌 Wet Wet Wetの歌う「Love Is All Around」
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以降「フォー・ウェディングのネタバレ」と、
「フォー・ウェディングのラストシーン」です。
ご注意下さい。
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実はこの映画のラストは、そんな結婚制度に対する「辛らつ」な言葉で終わるのです。
【ラストシーン】
キャリーがチャールズの家を訪ね、教会で結婚を邪魔してしまったことを詫び、チャールズが大丈夫か確認しに来たと言います。
チャールズが大丈夫と答え、キャリーが立ち去ろうとするところに、チャールズが言います。
ボクが愛しているのは教会でベールを被った隣の女性ではなく、今目の前で雨の中で立っている人なんだと・・・
それに対するキャリー(動画の1分あたりから)のセリフがオシャレなので、以降を下に訳してみます。
セリフ意訳
キャリー:(好きなのは雨の中で立っている人だと言われ)まだ雨が降ってる?気がつかなかった。
チャールズ:間違いなく降ってるよ、始めて見た瞬間から君を愛してた。
チャールズ:もう離れない?/キャリー:溺れ死にでもしないかぎり、離れない。
チャールズ:中に入ろう。
チャールズ:でも最初に聞いておきたい。服が乾いたあとも、そのあともずっと一緒にいよう。誓う?
チャールズ:僕と結婚しないね?
チャールズ:僕たちは結婚しないほうが、もっと安らげる人生を送れる。
チャールズ:僕と結婚しないと誓う?/キャリー:誓います。
ということで結婚と愛は関係ないという映画でした。
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ありがとうございます(^^)Mrビーン、お笑い担当ですが頑張ってます!この映画自体ロマンチックコメディーとして、なかなかです・・・・★4か★3か迷いましたが、迷ったら低くというポリシーですm(__)m
ありがとうございます(^^)そういえばヒュー・グラントでみませんね〜。ラブ・コメの割りになんか重いテーマなような・・・