2016年11月05日

映画『ヒース・レジャーの恋のからさわぎ』アメリカ高校生「リア充」物語/あらすじ・感想・解説

アメリカン・恋愛シュミレーション・ゲーム



評価:★★★★   4.0点


この抜けるように青い空のような青春群像は、アメリカのスクールライフの典型を表しているように思います。

この陽光だけを浴びて、影の一片もない、アメリカの高校生達の生活は、日本の高校から考えるとまるで夢のようで「めまい」がするほどキラびやかな学校生活に見えます。
恋のからさわぎあらすじ
転校生のキャメロン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、一目惚れした学園のアイドル・ビアンカ(ラリサ・オレイニク)にアプローチをするが、厳格なビアンカの産婦人科医の父親(ラリー・ミラー)は間違いがあるといけないと、ビアンカの姉で男嫌いのカトリーナ(ジュリア・スタイルズ)が誰かと付き合うなら、デートしても良いという不可能と思える条件をつけられた。そこでキャメロン同様ビアンカに惹かれている、学園一のプレイ・ボーイ、ジョーイ・ダナー(アンドリュー・キーガン)を上手く騙し、学園の問題児パトリック(ヒース・レジャー)を金で雇い、カトリーナをデートに誘わせる計画を立てる。パトリックとカトリーナは少しづつ親しくなり、ついにはお互いに惹かれ合うようになる。一方、ビアンカはジョーイのナルシスト振りに幻滅し、キャメロンに惹かれていく。
父親の許しも出て、ビアンカとキャメロン、カトリーナとパトリックの二組のカップルは晴れてプロムに参加する。しかし、ジョーイがフラれた腹いせに、パトリックを金で雇ってカトリーナを誘惑させていた計画を暴露してしまう。カトリーナとパトリックの二人の運命は・・・・・・・・

(アメリカ/1999年/97分/監督ジル・ジュンガー/脚本カレン・マックラー・ラッツ)
【出演者】ヒース・レジャー/ジュリア・スタイルズ/ジョセフ・ゴードン=レヴィッド/ラリサ・オレイニク

もちろんアメリカの高校生たちも、10代後半の青年期から成人に至る過程の高校生ですので、家庭内の悩みもあるし、恋愛の問題も抱えていますし、友人との軋轢もありますが、それらに切実さが無いというか、どっか本当の悩みでは無いように見えます。

これは、ハリウッド映画の様式として「アメリカン・グラフティ」から始まる、歌と恋と青春の疑似ミュージカル劇の伝統に従った、どっかファンタジーに近いドラマとして描いてるのかと疑いたくなります。
恋のアプローチも熱い歌で・・・・・・・
ヒース・レンジャー本人が歌う "can't take my eyes off you"

しかし、実際のアメリカの高校でも、プロムもあれば車の通学もあり、服装や趣味嗜好の自由がある学校生活が、他の映画でも描かれていますので、それほど非現実的なファンタジーとも思えない・・・・
だとしたら、この地に足のついていない恋愛の「ゲーム」感は何でしょう・・・・

日本の高校の息苦しさに苦しんだ者としては、あまりのうらやましさにジェラシーを抑えつつ、繰り返しこの映画を見てみました。

すると、この主人公の親が産婦人科の医師だという事に気が付きました・・・・・・
実はこの高校生達はイイトコの、お嬢ちゃんお坊ちゃんだったのです。
この映画のヒロインのカトリーナ登場で流れる「ジョアン・ジェットの歌うバッド・レピュテーション

つまり突っ張っては見ても、お嬢ちゃんのカッコつけですので安心して見ていられます。

そう思って見ると、大きな屋敷にすんで、スポーツカーに乗ったり、300ドルのお金をポンと出したり・・・・・・・

koikara.jpg結局、この高校生達が学園生活をエンジョイできるのも、上流階級ゆえだということを理解して、初めてこの非現実感とは「お金に困らず、生きる事に困らない」という理由によるのだと理解したのです・・・・・・
そう考えれば、ベースとなったシェークスピアの「恋のからさわぎ」も貴族の恋のお遊びでした。

そんな貴族的な恋愛遊戯が出来る、上流階級のお坊ちゃんお嬢ちゃんを見て、やっぱりアメリカのお金持って、遠慮もなく「ハッピー」と言えていいなぁ〜と、素直にアコガレました。

アメリカのお金持ちは明らかに勝者で、勝者である事を大声で誇示するのを躊躇しないんでしょうね〜それが、この明るく爽快な高校生達の輝きの源泉なのかな〜って

そもそも映画って、みんなの「夢」を現実化して照射するという「欲望装置」としての機能があると思うんですが、この映画もそんなアメリカの10代の「アコガレ」に成り得てるのだろうと想像しました。
koikara-tsyatu.jpg
なぜか「阪急電車は速い」Tシャツを着ています・・・・・

日本人の私ですら、来世はきっとアメリカのお金持ちの子供として生まれてやる!!

そんな決心をしたホドです・・・・・・

こんな理不尽な夢を見る者に持たせるほど、魅力的な映画でした。


この映画を見て、ヒース・レンジャーが魅力的な俳優だと再認識しましたm(_ _)m
『ブロークバック・マウンテン』も切ない物語でした。

バットマンのジョーカー役も忘れられません

この映画を愛するのは私だけではないようで、公開された1999年の開幕週でマトリックスを敵に回し第2位に入ったぐらい成功したようです。
この映画『恋のからさわぎ』の原題は『10 things i hate about you(あなたを嫌いな10の理由)』といいますが、TVシリーズとしてアメリカで同タイトルでリメイクされているようです。
そこでは、この『恋のからさわぎ』のエンディング曲「I Want You to Want Me」が流れていたようです。
『10 things i hate about you』TVドラマのクリップ


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posted by ヒラヒ at 20:09| Comment(4) | TrackBack(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは(ФωФ)1回送信失敗してました😵ぎょえ。私は貧乏公立高校ですけど真面目な人が多かったので良かったですけど。従兄は金持ち私立高校です。医者、弁護士、教師の親などいました。でもあちらと違って地味ですよね(笑)
Posted by ともちん at 2016年11月05日 20:58
おお〜観ることができました。
レビュアンさんも書き方進化していますね〜。観てて前と比べると全然読みやすいです。
お互い頑張りましょうヽ(´▽`)/
Posted by いごっそ612 at 2016年11月05日 21:18
>いごっそ612さん
ありがとうございます(^^)
読みやすくなったというお言葉は、本当に励みになります(^^)
正直言って、章分や見出し、記事内リンクなど使えればもっと良くなるんでしょうが・・・・・努力しますm(__)m
Posted by ヒラヒ・S at 2016年11月05日 21:35
>ともちんさん
ありがとうございます(^^)
金持ち私立高校でもすごいですよ〜
私の高校はヤンキーが多いバカ学校だったので、先生が竹刀を持って頭髪がどうのズボンがどうのと、毎日生徒をシバイてました!
天国と地獄だと思います(T_T)
Posted by ヒラヒ・S at 2016年11月05日 21:41
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