評価:★★★★ 4.0点
女主人公グロリアが、ま〜カッコいい。
ホント、カッコイイんですッテ!!
<グロリアあらすじ>
プエルトリコ人家族がサウス・ブロンクスのアパートでマフィアに襲われる。家族は主人ジャック(バック・ヘンリー)妻ジェリ(ジュリー・カーメン)、祖母、そして10歳の姉と6歳のフィル(ジョン・アダムズ)の五人。ジャックは組織の裏帳簿を持っており、FBIと接触したことでマフィアに命を狙われたのだ。同じフロアに住むグロリア(ジーナ・ローランズ)がたまたまジャックの家を訪ね、秘密を記したノートを持っているとも知らずフィル少年を預かることにする。その後一家は惨殺され、子供嫌いのグロリアがフィルと共に逃亡劇を繰り広げる事になる。追い詰められたグロリアは、組織のボス・トニー・タンジーニ(バジリオ・フランチナ)の元情婦だった経験から、遂にタンジーニに直訴する決心をする。
フィルに「約束の時間に戻ってこなかったら、ピッツバークで待て」と告げると、グロリアはタンジーニの元へと向かった。時間にグロリアは戻らず、ひとリピッツバーグの墓地で待つフィル。二人の運命は・・・・・・・
(アメリカ/1980年/123分/監督・脚本ジョン・カサヴェテス)
ストーリーは小さい男の子を助ける、元マフィアのボスの愛人という設定。
「レオン」の原型だと個人的には思っていますが・・・私としては、こちらの方がクールで好きです。
またこの映画グロリアは1998年にシャロン・ストーンでリメイクされていますが、断然オリジナルのグロリア姐さん、ジーナ・ローランズの貫禄勝ちです。(下/グロリア1998年リメイク版)
しっかしこのカッコよさは、何だろう。
ハード・ボイルドのスタイルや、いなせな姐ゴのスタイリッシュさはあるんですが・・・・・
そんな表面的ではない、この映画自体に宿る魂がカッコイイという気がするのです。
では、その「魂」とはナンなの?ということになるのですが・・・・・
「グロリア」が少年を、なぜ助けたのか―――
そこに鍵があるように思うのです。
映画を見る限り、決して「母性愛」では無い。
ましてや『レオン』みたいな「恋愛感情」も微塵もない。
それではなぜ助けたか・・・・・
人種的にもプエルトリカンだし、子供としてもグロリアのことを「ブタ」と罵るぐらい可愛くないし、ほっぽり出しても誰も文句は言えません。
おまけに「グロリア」は、元マフィアの情婦(愛人)だったわけですから、敵の怖さは十分知っているのです。
それでも助けた・・・・・・・・・・・・・・
なぜだろうと考えて・・・・・・・・・・・
答えは「任侠」という言葉に集約されるように思うのです・・・
任俠(にんきょう)とは本来、仁義を重んじ、困っていたり苦しんでいたりする人を見ると放っておけず、彼らを助けるために体を張る自己犠牲的精神を指す語。 仁俠(じんきょう)、義俠心(ぎきょうしん)、俠気(きょうき)、男気(おとこぎ)などともいう。(wikipediaより引用)
そう、この映画は正しく「任侠映画」なのです。
「グロリア」はかって任侠世界に身を置いていて、今は足を洗っている。
勝手な想像ですが、たぶん「仁義なき」マフィア組織に嫌気をさして離れたんじゃないかと・・・・・・・
そんな仁義を知らない者達が、圧倒的弱者である子供を襲撃しようとした時、ついに堪忍袋の緒が切れて反撃せざるを得なくなった!
これは、アメリカ社会に広がる「モラルの喪失」に対する、監督ジョン・カサベテスの強烈なパンチなのでしょう。
ジョン・カサヴェテス
(John Cassavetes, 1929年12月9日 - 1989年2月3日)
アメリカ合衆国、ニューヨーク市出身の映画監督・俳優。1954年に映画俳優としてデビューし、後インディペンデント映画『フェイシズ』を製作し、ハリウッド大資本によらないインディペンデント映画というジャンルを確立した。『グロリア』でヴェネツィア国際映画祭・金獅子賞を受賞。
妻はジーナ・ローランズ。息子ニック・カサヴェテスは俳優兼監督、長女アレクサンドラ・カサヴェテス、次女ゾエ・カサヴェテスも監督。
それゆえ物語の語り口は、男達が男達でいられた時代の「ハード・ボイルド」調で、渋みたっぷりの「いぶし銀」の味わいです。
「ロンググッドバイ」「三つ数えろ」「マルタの鷹」など、男が寡黙で強くて情よりも義を重んじる、アメリカの理想的男性像が、ハード・ボイルドのストーリーには主人公として存在したのです・・・・
そんなかつての理想の男たちが居なくなった現状を嘆くがごとく、「ハード・ボイルド」のプライドを体現した女主人公が「少年=無力な男」に言います。
「男だろ!しっかりしろ!」
く〜泣かせるぜ・・・・・アネゴ!
<グロリアのテーマ>
サックスのムセビ泣くような響きは、タクシードライバーのテーマに匹敵すると思います。
関連レビュー:
映画『レオン』
暴力と愛のリリシズム
あらすじとネタバレ・ラスト
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ラベル:ジョン・カサヴェテス ジーナ・ローランズ
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最初は母性的ではないグロリアが少しずつ変化していく過程や、元娼婦ということで組織では「オンナ」として扱われてきたであろうグロリアが少年との交流で、「女」になっていく変化が素晴らしいです。
自分の妻を映画の主演にする監督は多いですが、本作のジョン・カサヴェテス監督はトップレベルで妻の魅力を分かっていると思いました。
なかなか有名な映画ですよね〜未見ですが・・
機会があれば見たいと思います。
有難うございます(^^)
いろいろな見方があるとは思うのですが・・・・個人的には「任侠」が一番しっくり来ると言う・・・・・そろそろ年末に向かって更新頻度を下げるかと思いますが、宜しくお願い致しますm(__)m
有難うございます(^^)
ジョン・カサヴェテス監督は作家として素晴らしいものがありますよね〜この夫婦はお互い尊敬があったんじゃないかと・・・・息子のカサヴェテスも信念のある映画を取っていて楽しみですm(__)m
有難うございます(^^)
なんか勇気が出ますよね〜この映画を見ると・・・・
レオン、ニキータに影響を与えているように思いますm(__)m