評価:★★★ 3.0点
この映画は最近のアメリカン・ヒーローの流れに乗って、「デッド・プール」のようなアンチ・ヒーローの系譜に乗った、反社会的な大騒ぎ映画を期待すれば裏切られた気持ちになるでしょう。
また、最近のアメリカン・ヒーローの、町内会的な卑近な敵を相手にする「キック・アス」のような戦いを想像すれば、これまた違和感を感じるはずです。
そんなこんなで、映画自体はナンダカな〜という出来栄えだというのが、大方のご意見のようです・・・・『スーサイド・スクワッド』って「自殺部隊」って意味らしいですが、映画も「自爆」覚悟って事はないですよね?
『スーサイドスクワッド』あらすじ
スーパーマンが死去してからしばらく経った後、アメリカ政府の高官アマンダ・ウォーラー(ヴィオラ・デイヴィス)は死刑や終身刑となったヴィラン(悪役)達を、減刑と引き換えに自殺に等しい任務を遂行させる、その名もスーサイド・スクワッド(自殺部隊)。
迫りくる世界崩壊の危機を前に、政府はある決断を下した。バットマンをはじめとするヒーローたちによって投獄され、死刑や終身刑となったヴィラン(悪役)たちを、減刑と引き換えに自殺に等しい任務を強制する集団スーサイド・スクワッド(自殺部隊)へ入隊させるのだ。こうして、情に厚い凄腕暗殺者デッドショット(ウィル・スミス)、狂気の道化師ハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)、軍人リック・フラッグ(ジョエル・キナマン)、地獄の炎を操る小心者エル・ディアブロ(ジェイ・ヘルナンデス)、必殺縄師スリップノット(アダム・ビーチ)、ブーメラン使いキャプテン・ブーメラン(ジェイ・コートニー)、唯我独尊を貫く女侍カタナ(福原かれん)、魔女エンチャントレス(カーラ・デルヴィーニュ)、ウロコに覆われた怪力男キラー・クロック(アドウェール・アキノエ=アグバエ)という強烈な個性が揃った寄せ集めチームが誕生した。しかし、メンバーの一人魔女エンチャントレスが暴走し、弟と共に世界を破滅させようと暴れ出し、さらには彼らが触れた人々をも魔の力で操っていく。彼らスーサイド・スクワッドは、世界を救うことができるのか!?
『スーサイドスクワッド』予告
(アメリカ/2016年/123分/監督・脚本デヴィッド・エアー)
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『スーサイドスクワッド』感想 |
正直、登場人物は多いは、悪役どもの大暴れというコンセプトから外れているは、悪役と正義の不明瞭さとか、悪役達がいきなりの世界破滅騒動へ巻き込まれる展開だったり、いったい誰が主役よという混乱だったり、つまるところ、映画全体を通して何を言いたいのか不明瞭であるという点に問題は集約されるかと・・・・・・・・・・・
このところハリウッドの映画作りで言われているセオリーでは、「映画が始まって11分以内に内容を判らせろ」ということらしいです。
最初の11分でコメディー、ホラー、ラブストーリー、などの映画ジャンルと、ハッピーエンドなのか否かのストーリー展開が見えてこないと、観客は映画を楽しめないというのです。
いかにもハリウッド映画的予定調和ストーリーを表わす「セオリー」だと思いますが、この映画は正にこの法則に背いた形になってしまっていると感じます。
つまり始まって30分経過しても、まだ話の方向が判らないと観客が感じてしまったのではないでしょうか。
しかしこの映画のキャラクター達のビジュアルの作りこみは、さすがハリウッド捨て難いものがあります。
映画『スーサイド・スクワッド』キャラクター紹介
特に女性キャラは、なかなかキュートで、クラクラします。
そこで、わたしも考えました・・・・・この映画に明瞭な筋道を作ってやれば、もう少しブーイングも収まり、キャラクターの個性を楽しめるのではないかと・・・・
そこで、そのストーリーとしての整合性をデッチ上げようというのが、この文の目論見です。
『スーサイドスクワッド』解説神話の創造 |
そこで、まず注目したのが原作がDCコミックであるという点です。
映画の冒頭でも言われますが「スーパーマンが悪だったら我々はどう対処すればいいのか」という言葉。
これは、「スーパーマン」という超絶的な力を持つ者、つまりは「絶対者=神」の代理人として性格付けられているのではないかと思うのです。
「バットマン」にしても、その町の名ゴッサム・シティーとは「GodSome=神を敬う」という意味にとることもできるでしょう。(実際はニューヨークの別名「Gotham City」から取られたが、その発音は「GodSome」に近い)
そういうわけで、皆さん、DCコミックのヒーローは「神」なのだと、ひとまず信じましょう!
補足ですが、対して『アヴェンジャーズ』などマーベルコミックのヒーロー達は、アメリカ合衆国の愛国者として、アメリカの正義のために戦うという、アメリカ至上主義のキャラクターになっているように感じます。
そんなわけでDCコミックのヒーローが「神」であるとき、この映画の悪者たちとは何なのか、次に「デッチ上げ」ましょう・・・・
「神」に罰せられた罪びと・・・・・・それはアダムとイブの昔から、我々人間を意味するのだと、己の細胞の一つ一つに言い聞かせてください。
いいですか?言い聞かせましたか?
それでは、この映画は前半で「悪人」であるということを描きながらも、その性格の基調に「神の恩寵=愛」を持っている「悪人」なのだと、信じられるようになっていないでしょうか。(下「スーサイド・スクワッド」キスシーン)
そう信じさえすれば、それは「弱き者=人間」「罪びとである人間」が「悔い改めて」更生する姿を描いた作品だと、アラ不思議、だんだん見えてきたでしょう。
ここまでくれば、そんな「神」を巡る物語であるがゆえに、敵が「魔女=悪魔」になったのだと、もうあなたには解っているはずです。
これであなたは、この映画を「スーパーマン」という「神の不在」により生じた「悪魔の誕生」を、「弱き罪人=人間」が悔い改めて一致団結して「悪魔」を倒す物語なのだと、敬虔な宗教心と共に周囲の人々に語る準備が整ったはずです。
こうして古典的な「神と悪魔と人間」のハルマゲドンを描いた映画が、なんと斬新なデザインを持って復活した事かと、神の恩寵に感謝しながら、今あなたは思わず涙している事でしょう・・・・
イカガでしょうか、まさかこんな「デッチあげ」を信じる方もいらっしゃらないでしょうが・・・・・・
でもまかり間違って、そういう映画なのだという「狂信者」が生まれたとしたら、怖いので再度申し上げたい。
最近の、ヒーローがどんどん人間的に矮小化していく傾向に、逆行している「映画」ですよ。
他の映画では、もっとハジケタ「悪役おバカヒーロー」が大暴れをしていますよ。
眼を覚ましてください、そんなこんなで、この映画はパワー不足なんですよ。
そんなことで、私個人は映画としては★2つです。
しかし個人的にハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)のカワイさに★1つプレゼント。
この子も気になる「カタナ」役 福原かれん
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ほんま、ハーレークインだけが印象に残る映画でしたしね〜。
惜しい映画です。
ありがとうございます(^^)
やっぱりDCコミックは「スーパー」なキャラが多いので、現代でえがくのは難しいのかなぁ〜と思います(^^;
ありがとうございます(^^)
キャラクターの見た目はいいんですけどね〜
脚本がね〜説明不足のような・・・・・・
ハーレ・クイーンは可愛かったです(^^)
クロエちゃん「キック・アス2」では、う〜ん(^^;