原題 BLACK SWAN 製作年 2010年 製作国 アメリカ・イギリス 時間 117分 レイティング R-15 監督 マシュー・ヴォーン 脚本 ジェーン・ゴールドマン・マシュー・ヴォーン プロデューサー ブラッド・ピット |
評価:★★★★ 4.0点
この少女がギャング相手に暴れまくり、殺しまくる映画を見て、ハリウッド映画のヒット要素、刺激的なアクションも来るところまで来たなと・・・・・
正直、最初に見たときはゲンナリしたものです。
NYの高校生デイヴ・リゼウスキ(アーロン・ジョンソン)は、アメリカン・コミックのスーパーヒーローに憧れる少年。誰もヒーローになろうとしないことに苛立ち、自分で本物のヒーローになろうと、ネットで買ったスーツを着てヒーロー活動を開始する。しかし、何のスーパーパワーも持っておらず、訓練もしていない彼はあっさり暴漢に刺された上、車にはねられ病院送りとなる。そのときにスーツを隠す目的で裸になったためにゲイ疑惑が浮上してしまうが、それをきっかけに学校一の美少女のケイティ(リンジー・フォンセカ)と接近する。
映画『キック・アス』ストーリー
失敗にもメゲずヒーロー活動を続ける彼は、あるとき見物人から名前を尋ねられた際に、自らを"キック・アス”と名乗る。その動画はやがてYouTubeにアップされ拡散し、デイヴは有名になる。
ある日デイヴは、ケイティが麻薬の売人に悩まされていることを知り、その売人がいるアパートに乗り込むがピンチに陥る。するとそこへ、少女のヒーロー、ヒット・ガール(クロエ・グレース・モレッツ)と彼女の父のビッグ・ダディ(ニコラス・ケイジ)が現れ、瞬く間に売人を射殺した。ダディは、麻薬王フランク・ダミーコ率いる犯罪組織に私怨を持ち、娘のミンディに戦闘訓練を施し、ダミーコの配下の売人たちを次々に殺していたのだ。ダディはデイヴに、困ったことがあれば自分たちを呼んでほしいと言い残し去っていった。
一方のダミーコは、売人たちを全滅させたのはキック・アスであると信じ、部下に彼の抹殺を命じた・・・・・
映画『キック・アス』予告
デイヴ・リズースキー:キック・アス(アーロン・ジョンソン)/ミンディ・マクレイディ:ヒット・ガール/クロエ・グレース・モレッツ/クリス・ダミーコ:レッド・ミスト(クリストファー・ミンツ=プラッセ)/デイモン・マクレイディ:ビッグ・ダディ(ニコラス・ケイジ)/フランク・ダミーコ(マーク・ストロング)/ケイティ・ドーマ(リンジー・フォンセカ)/ヴィック・ジガンテ(ザンダー・バークレー)/ビッグ・ジョー(マイケル・リスポリ)/マーカス・ウィリアムズ巡査部長(オマリ・ハードウィック)/マーティ(クラーク・デューク)/トッド(エヴァン・ピーターズ)/アンジー・ダミーコ(ヤンシー・バトラー)/ロビー・グーン(ジェイソン・フレミング)/アリス・リゼウスキ(エリザベス・マクガヴァン)/デイヴの父(ギャレット・M・ブラウン)/エリカ(ソフィ・ウー)/コディ(デクスター・フレッチャー)/スポーティ・グーン(コーリイ・ジョンソン)/トレ・フェルナンデス(ランダル・ベイティンコフ)
映画『キック・アス』出演者
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映画『キック・アス』感想 |
いくら刺激がほしくっても、小学生の女の子に殺人をさせて楽しむというのは、人としていかがなものかと思うわけです・・・・・
これは社会全体の平穏というものを、脅かしはしませんか!?
そんな怒りを覚えたのですが・・・・・・・・
どうも・・・・
何かチガウキガスル・・・
と思いだしました・・・・・・

この違和感を追求してみたときに気が付いたのは、この映画はリアリティの上に成立する現実の痛みや苦しみを描こうとしてはいないという事です。
例えば、過去のアメリカン・ヒーローとは、スーパーマンにしてもバッド・マンにしても、数奇な運命を背負って正義のために闘う、一種の超越者であり、神の代理人だったはずです。したがって、その闘争はあくまで世界を正しく美しい方向に導く戦いだといえるでしょう。
参考アメリカンヒーローの系譜:『デッド・プール』アメコミ・ヒーローの現在
関連レビュー:アメリカン・コミック・ヒーローの分析 映画『スーサイド・スクワッド』 DCコミックスの悪役大集合 低評価を覆すドラマを見出す! |
しかし、この映画は違います。
ヒーローが「オタク=夢想家」でヒロインが「少女=小さい弱者」であるとき、この二人を足せば「弱い一般人が夢の中でヒーローになって暴れる物語」だといえないでしょうか。
それゆえ、ここでは人が生きる上での苦悩を消し去って純粋に、華やかな、派手な、見栄えのする、爽やかですらある、アクション・シーンを表現する事こそ、その物語を最も効果的に表現する方法だったはずです。
しかし、見ているうちに、この現実の痛みを伴わない、どこか「様式的」なライトなアクション感覚はどっかで見た事がある!と思えてきました。
頭の中をひっくり返してみて、このヒロイン像が我々日本人にとって、とっても馴染み深い存在ではないかと気が付きました。
この戦う少女の肖像、強大な敵に傷まみれになりながら立ち向かうイコンとは、日本の伝統芸クール・ジャパンの代表セーラームーン、プリキュアに連なる「アニメ・ヒロイン」に他なりません。
だからこそ、どこかジャパニメーション的な日常描写と、軽快で爽快感があるファンタジックなアクションが表現されたのではないでしょうか。
また日本のアニメ・ヒーローが、「小学生の子供達が夢の中でヒーローになって暴れる物語」であるとき、そこには子供にとって判りやすい記号的な「悪」が登場するという点でも、共通するものではないでしょうか。
つまり、この映画はハリウッド作のアニメ・ヒロインだと思うのです。
しかし残念がら、そう考えた上でも、実写映画はアニメほどの抽象力を持ち得ないということがハッキリしたように個人的には感じました。
やはり現実の人間が動く時、どう描いてもアニメのような現実的世界からの跳躍=異化作用に乏しいように思うのです。
正直見ていてこの少女の運命に同情を禁じ得ませんでした・・・・・
たとえば、人型ロボットだったらと考えたりもしますが・・・・・・・
いずれにしても痛そうに感じちゃったので、それゆえ☆4.0でカンベン願いたいです。
翻って、ジャパニメーションが現実的な映像になった姿を想像すると・・・・・・トテツモナク痛いっす。
と書いてから、時がたち、もう一度見てみると・・・・恐ろしいことに、目が慣れてる・・・・アクションの刺激とはどこまで過激に過剰になっていくんだろう・・・・
ミーカ vs. レッドワン【Kick Ass (We Are Young)】キック・アス挿入歌
実写アクション映画に登場する「少女」は、フランス監督リュック・ベッソンがパイオニアとも思います・・・・・
関連レビュー:1990年アクション映画の闘うヒロイン 映画『ニキータ』 リュック・ベンソン監督のアクション映画 女殺し屋・泣き虫ニキータの物語 |
関連レビュー:ナタリー・ポートマンのデビュー作 映画『レオン』 リュック・ベンソン監督の傑作 愛と暴力の抒情詩 |
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ありがとうございます(^^)
そうですねぇ〜ファンタジ〜なんですよね〜
でも実写で血が飛んだりするのが、ちょっとヤリスギのような気がしたんです。
ところが、何回か見ているうちに、馴れてきました・・・・
『SAW』という映画を見て以来どんなホラーを見ても怖くなくなりました。観てるうちに慣れていくんですいね〜。
しかし、クロエちゃんは可愛いですね(゚∀゚ )