2016年10月09日

『るろうに剣心』マンガと実写の表現力の違いを解説してみる

マンガの実写ってホントに見たいですか?



評価:★★★    3.0点

この映画はヒットもして、日本映画界にとっても大変喜ばしいこととお祝い申し上げます。

最後まで楽しく見れたので、☆一つ
殺陣というかアクションに新しいアイデアがあるように感じたので☆一つ
吉川晃司の役者としての、存在感に感動したので、☆一つ


このヒットは「るろうに剣心」というマンガのファン層と、佐藤健の女性ファンが動員要素としてしっかりあり、その両者を満足させるアクションが描かれたことが、この結果につながったのかなぁ〜なんて勝手に考えました。

るろうに剣心あらすじ
人斬り抜刀斎を騙った辻斬り事件が、明治11年の東京で発生していた。神谷道場の女道場主・神谷薫(武井咲)は辻斬りの流派と噂され門下生がいなくなったため、汚名を晴らすため抜刀斎を追っていた。そんな時、人斬り抜刀斎本人(佐藤健)に出会う。偽者の人斬り抜刀斎は、実業家の武田観柳(香川照之)に用心棒として雇われた鵜堂刃衛(吉川晃司)だった。観柳は女医の高荷恵(蒼井優)に麻薬を作らせ、武装し明治政府を乗っ取ろうという野望を持っていた。元・新選組の斎藤一(江口洋介)は、明治になり警察官として観柳の目論見を阻止しようとする。また観柳は神谷道場に魔の手を伸ばし、道場に寄宿する剣心も喧嘩屋・相楽左之助(青木崇高)斎藤一とともに打倒観柳に立ち上がった・・・・・・・・

(日本/2012年/134分/監督 大友啓史/脚本・藤井清美,大友啓史/原作・和月伸宏)

で、また悪い癖でツッコミを入れます。
じつは、この映画をネタにしてマンガと映画化との関係を、整理したいと言うのが趣旨です。

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そんなわけでこの映画がお好きな方は、スルー願います・・・
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じつは、マンガの映画化=実写化ということが、そもそもムズかしいと常々思っていまして・・・・
ネットを見させていただいた所、このマンガはこの映画で概ね実写化に成功という評価のようですね。
結果的にマンガのイメージが崩れて無いということでしょうか・・・

しかし、このマンガが好きな人は、ホントに実写で見たかったんですか?

私も、「マンガ」を愛するものの一人です。
でもマンガのいいところって、線画という少ない情報量のビジュアル・イメージで描かれているトコロにあると思うんです。
線画で描かれると、フィクション=虚構だという事がハッキリしていますので、荒唐無稽の内容でも、受け手もそういう世界なんだと納得して読んでしまいますよね。
そもそも無からイメージを構築する「マンガ」とは、空想世界を描き出す「ファンタジー」の物語様式を必然的に持ってるんじゃないでしょうか?
その「マンガ世界」のイメージを元に、見る方は無意識のうちに元の情報に補足して一人一人「想像上のリアリティ」を作り上ると思うんです。
そいう風に自分だけのマンガ=「ファンタジー世界」が心の中に出来るのが、マンガのダイゴミじゃないですか?
rurouni.jpg

それに対して実写映画は、その表現の材料として現実にあるものを使わざるを得ないので、どうしても「現実世界のリアリティ」から完全に自由になれないと思うんです。
現実世界のリアリティ」って、カッテに私が言ってるんですが、例えば、社会を成立させる約束事だったり、生物としての必然や、物理法則の普遍性だとか、喜怒哀楽の共通性だとか、過去の歴史だとか、本当に自分たちがいる現実世界を構成している要素のようなモノを指してるんですけど・・・・・

まあ、その「現実世界のリアリティ」というのが、生きた俳優が演技をしているというだけで、もう無意識のうちにくっついて来ちゃうと思うんです。
そう思えば、実写という形式は「ドキュメンタリ=現実記録」から自由ではいられないと思うのです。
だから実写の場合、その「現実世界」がどうしても意識されちゃってる分、フィクション=虚構との折り合いが難しいナァと思います。

整理するために、例を出します。20seiki.jpg
別の映画を出してナンですが「20世紀少年」の「ともだち」。
現実社会で、あの覆面をした男が、社会システムの頂点に立つことはあり得るでしょうか?

「デスノート」あのノートを巡って「CIA」や「警察庁」が真剣に暗闘はしませんし、そもそもCIA職員がファンタスティック過ぎるし「警察庁」はあんな予算は持てません。
つまり、「20世紀少年」にしても「デスノート」にしても、マンガの中ではリアリティを持てても、実写となれば実写=現実のリアリティを無意識のうちに基準にして、考えちゃいますよトいうことです。

で、この映画です。
例えばここで「明治」という言葉が出てきます。そうすれば、どうしても、現実世界の明治をイメージします。
その時に主人公の「・・・・・〜ゴザル」という一言で、すでに現実からフワフワと離れまくってしまっているように個人的には感じちゃったのです。
侍であれば「〜ござる」は音が下がります。上げちゃいけません…て言うような事が、いっぱい、ソコカシコに散在しているようで、お尻が何かムズムズするような気がしちゃいました・・・・・・

これは、実は過去のイメージの集積と言うこともあって、例えば昭和の時代劇を何本か見れば、「侍=武道者」の体裁きや腰の据わりなどというリアリティを、情報として無意識のうちに持ってしまいます。
三船敏郎の殺陣

その現実的リアリティと隔絶した動きを見た瞬間に、その作品自体の価値が「ウソ」とすら感じられてしまうのではないでしょうか・・・・つまりは個人の中に有るリアリティの最大値を「実写」は受け止めなければならないと言うことです。

これがマンガであればもともとファンタジーですから、見るほうがリアリティーを足して「世界」を構築してくれるのですが・・・・

で、マンガが好きな人に聞きますが、本当に実写でみたいですか?
さらに、映画が好きな人に聞きますが、本当にマンガの実写映画がみたいですか?

マンガの実写映画化って、怒られそうでコワイんですけど、名前が通ったマンガをネタにすればソコソコ客集まるしみたいなとこアリマセン?
何かそういう実写化は「マンガ」にとっても「映画」にとっても、不幸な気がします・・・・・

この映画自体は、それでもマンガに対するレスペクトも、時代劇に対する革新の志も感じられて評価したいと思うのですが、個人的な基準に照らせば好意的に見て標準作という評価になりました。

悪しからずご了承下さい・・・・・・・
映画「るろうに剣心 京都大火編」主題歌 ONE OK ROCK 【 Mighty Long Fall


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posted by ヒラヒ at 21:47| Comment(4) | TrackBack(0) | 日本映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは(ФωФ)これはテレビで何となく観ました。実写はいらない派です(笑)特にサザエさんはやめてください💦それと佐藤健さんでは無いような(笑)違います😅個人的な感想です🎵
Posted by ともちん at 2016年10月09日 22:16
>ともちんさん
ありがとうございます(^^)
私もどちらかといえばらない派です。
サザエさんキツイですね(^^;
ルパンもきつかった!
Posted by ヒラヒ・S at 2016年10月09日 22:25
漫画の実写も多いですが・・
最近失敗作多いっすね(笑)
個人的にはおもしろけりゃ〜良いけど・・最近のは失敗が多い(^_^;)
Posted by いごっそ612 at 2016年10月10日 15:31
>いごっそ612さん
ありがとうございます(^^)
面白ければ良いに賛成です。
でも、園子温監督のようにマンガ原作ばっかりで嫌だなんていう、映画界側の上から目線に腹がたちますm(__)m
Posted by ヒラヒ・S at 2016年10月10日 17:43
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