2016年09月08日

映画『プレデター』象徴としてのシュワルツネッガー/感想・あらすじ・解説・意味

プレデターは文明人



評価:★★★☆   3.5点

本作『プレデター』のシュワルツネッガーを見て、このハリウッドスターの持つ魅力を、再確認した。

ところで、この映画の題名『プレデター』とは「捕食者=食物連鎖の頂点=肉食獣」を意味するようですが、映画内でのその実態は狩猟を楽しむ猟師のようで、本当は「ハンター」という題がふさわしいかと・・・・・・人間食べてないですし・・・・

『プレデター』あらすじ



3人の閣僚を乗せたヘリが中南米で撃墜され、その救出任務がコマンド隊長ダッチ・シェイファー(アーノルド・シュワルツェネッガー)に、フィリップ将軍(R・G・アームストロング)から命じられた。CIA部員のディロン(カール・ウェザーズ)、コマンド部隊のプレイン(ジェシー・ヴェンチュラ)、マック(ビル・デューク)、ラミレス(リチャード・チェイヴス)、ホーキンス(シェーン・ブラック)、ビリー(ソニー・ランダム)の総勢7名で、ジャングルへ入っていった。ゲリラのアジトを発見し殲滅すると、1人生き残ったゲリラ・アンナ(エルピディア・キャリロ)をつれて合流地点へ急いだ。しかしそんな彼らに、宇宙から飛来した半透明のプレデターが襲い掛かる・・・・・・

(1987年/アメリカ/ジョン・マクティアナン)


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『プレデター』感想



しかし、俳優の持つスター性というのは何だろう。
ジョン・ウェインやマーロン・ブランドを思い起こせば分かるように、スターと呼ばれる一部の人々は、演技力に乏しいと云われるが、シュワルツネッガーもまた同種のスターであるように思う。

predator-arnold.jpg演技力が無いということを、違う言い方をすれば、別の人格に切り変えて動きや感情を表出することが上手くないことを意味するのではないか。

このある種のスターの持つ演技力の欠如は、そのスターが持つ「素の魅力」以上の魅力を別人格では表現できないという事情によって、否応なく生じる問題であるように思う。

それは「スター性=カリスマ性」というものを理論的に分析・再構築できない故に、その魅力を演技によって表現することが困難だという理由によるであろう。
したがって、その「スター性」を最大限に届けようとすれば、演技なしで素のキャラクターをそのままさらすことが、即ち演技を極力しないということが、最も効率的に人々に訴求できるという真実によるのだろう。

それでは、この「シュワルツネッガー」という素の個性が持つ魅力とは何であろう。

明確に示されるものは、その半生をかけて築き上げた筋肉である。
この筋肉の圧倒的なリアリティによって、荒唐無稽な破壊活動に現実味を持たせることを可能にした。その圧倒的な身体能力と近代兵器があれば、一人で地球を滅ぼしたとしても納得してしまうではないか。

しかし、本来的な意味として、その肉体的な特徴(発達した筋組織)が指し示すものは、近代兵器の熟練者としてのものではない。
それは、人間という生物の究極的なポテンシャル(生物学的潜在能力)を体現したものだ。
つまりアーノルド・シュワルツネッガーの持つ肉体の意味は、自然界の持つ力を最大限に引き出した事を意味し、同時に自然界の持つ力の継承者であるという証明なのである。

そうであればこそ、この映画の本質が「文明代表=プレデーター」 VS 「自然界代表=シュワルツネッガー」の闘争の物語だと理解されるはずである。



この映画の原型はそのまま「ターザン」の中に見出せる。



ジャングルの王者ターザンが、銃を持った文明社会からの悪人を懲らしめる、このハリウッドのヒット映画は自然界の勝利を雄叫びとともに謳い上げる。

この映画のシュワルツネッガーはさすがに文明の力に圧されぎみではあるものの、それは文明の発達を考慮すれば致し方ないであろう。

それでも、最初は特殊部隊員として武器や文明の利器を駆使していたシュワルツネッガーが、プレデターと戦ううちに徐々に武器を捨てていき、最後は身一つで自然と一体化したかのように戦う姿は、正に「野生の王者=ターザン」そのままである。

いずれにしてもシュワルツネッガーが持つ魅力の本質が、この「文明社会を超越した自然界の力の象徴」に在る事が、この映画の成功によって示されている様に思う。

えっと・・・・・ぶっちゃけいってしまえば「ゴリラ」みたいで「カワイイ」ってことなんですけどネ。


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posted by ヒラヒ at 19:59| Comment(4) | TrackBack(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは!ターザンがおもしろそうですね〜気になる( ̄▽ ̄)シュワちゃんのイメージはターミネーターです♪ダダダッダッダン!演技力なくても強いので許す(笑)
Posted by ともちん at 2016年09月08日 20:16
>ともちんさん
ありがとうございます(^^)雄叫びを上げない奴は、ターザンとは呼ばない((−−)シュワチャン存在感だけで大スターです(笑)
Posted by ヒラヒ・S at 2016年09月08日 20:40
文明代表=プレデーターVS自然界代表=シュワルツネッガーかあ〜。
なるほど!その考えはなかったですね。なかなか面白い
ターザンか〜。
Posted by いごっそ612 at 2016年09月08日 21:11
>いごっそ612さん
お褒め頂き、ありがとうございます(^^)
だって、ジャングルで・・・・裸で、樹の上でポーズって・・・・ま〜ゴリラ役でもいけそうですが笑
Posted by ヒラヒ・S at 2016年09月08日 21:43
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