評価:★★★★ 4.0点
R-15指定からも分かるように、役所広司、黒木瞳の大胆な性愛描写が話題となり大ヒットした。
言ってはなんだが、黒木瞳の美しさは輝いており、その裸体だけでも見る価値は十分。
渡辺淳一原作の同名小説を映画化した、1997年の森田芳光監督作品の不倫恋愛ドラマ。
<失楽園あらすじ>
出版社の第一線で活躍する編集者だった久木祥一郎(役所広司)は、急に閑職の調査室配属を命じられた。左遷に落ち込む久木に、友人・衣川(寺尾聰)がカルチャーセンター書道講師の松原凛子(黒木瞳)を紹介する。彼女は人妻だったが、久木の強引でひたむきな求愛に、ついにその身を任せる。そして、ふたりの関係は次第にエスカレートしていき、凛子の養父が死んだ通夜の晩、喪服姿のままホテルで密会したりするほど離れ難い関係になる。しかし、二人の関係は、凛子の夫・晴彦(柴俊夫)と久木の妻・文枝(星野知子)の知られるところとなり、社会的にも、家庭内でも追い詰められていく・・・・・・・
美しい映像が行為の過激さを緩和しており、仮に女性が見ても嫌悪感をさほど持たないと思う。
最も公開当時に不倫がブームになったように、妻が不倫に走る可能性があるけれども・・・・・
しかし個人的には、決してベッドシーンのみの映画ではないと思っている。
森田監督の場合、原作があってもテーマも含め大胆に再構築する事がままあり、この作品もそういう1本だと感じる。
小説の「男女の情愛の究極を求める」というテーマも含みつつ、この映画ではその2人がそこに至る、社会的背景を描くことに比重を置いているように思える。
それは例えば、役所演じる主人公の中年男性が花形の部署から、閑職に回されていることで表されているように、この映画の中の男たちはどこか無力で、途方に暮れているのである。
これは端的に、当時の日本男性の本質的な一面を表すものだ。
高度成長期が終わり男たちの労働がそのまま結果に結び付かなくなり、更には働き過ぎがワーカホリックと言われ罪悪視すらされる時世になった時、日本の中高年はオオカタ途方にくれたのだ。
また、その収入の減少に伴い、かつて家庭の王として曲がりなりにも存在していたものが、その座を滑り落ちざるを得なくなる。そして家庭の主権も妻に奪われ地位低下は眼を覆うばかりである。
これは、日本の夫婦関係が、単純に、経済的な扶養関係で成立していることの証左と見るべきだ。
従って経済的な利益が減少すれば家庭という市場において、夫という商品の価値も減少するという事になる。
そして職場と家庭において居所を失った男たちは、あてどなくさ迷うしかないだろう。
そう、主人公は生き場を失った哀れな迷子なのである。

そして、幼子をほっておけない母性を持った女性が、この世にはいる。
そんな男女が出会う事。
それがこの映画における不倫だ。
男たちから栄光の場所を奪ってしまった日本経済の失墜こそが、男たちにとっての「失楽園」を現出した。
そしてまた、そういう哀れな男達を愛さなければいけないことこそ、女たちにとっての「失楽園」なのである。
このような、男女ともにその依って立つ基盤を持たない「現代という失楽園」における愛が、建設的な関係に向かわないのは当然であろう。
それでも、かっての楽園を一瞬でも呼び覚ますためには、お互いがお互いを必要としている事実が必要となる。
その確認のために互いに求め合ったとしても、喪失しか約束されていない二人は、さらに深くその行為に没頭するしかない・・・・
この映画で繰り広げられる性愛描写は、過去の楽園が栄光に満ちていればこそ、その代償として激しく深くならざるを得ないのである。
そういう意味でこの映画の男女の行為は、決して煽情的な意味ではなく、そういう現代社会の傷の深さを表すものだと解釈したい。
更に言えば、21世紀を生きる日本の中年は、この映画の不倫劇すら夢のまた夢と思われるほど、衰弱しているのではなかろうか・・・・・
誰かに「いやらしい映画でしょ」なんて言われたら、こんなノウガキを言ってみましょう。
堂々と見れますよ。
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これを機に観てみようかな?
ありがとうございますm(__)m
ごもっとも・・・しかし、女性はばれませんが、男はバレちゃうんですねぇ〜正直だから、ハハハハハ
ありがとうございます(^^)
けっこうエロいんですが、キレイなので女性陣でも嫌悪感がなかったようです・・・・森田芳光的な説明不足が有りますが、いい映画だと思います・・・