2016年09月04日

発売中止の『COVERS』はRCサクセション・ロック魂の証明!!

RCサクセション ― Rock の伝道師、見参!!

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評価:★★★★   4.0点

RCサクセション1988年の洋楽カバーアルバム。
「サマータイムブルース」のカバーの歌詞が原発反対の歌だったため、原子力発電所を事業の一つに置いている東芝本社からの圧力によって、東芝EMIが販売中止を決定したと言われるいわくつきのアルバム。
当時の所属会社東芝EMIからは発売できず、忌野清志郎との話し合いの中で謝罪広告を出すこととなり、1988年6月22日付けの新聞広告で「素晴らしすぎて発売出来ません」とEMI側が掲載した。
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ローリングストーン日本版で、当時の担当者 現・石坂敬一 元ワーナーミュージック・ジャパン名誉会長が事件の経緯を語っていた記事があり、そこでは「親会社東芝の意向には逆らえなかった」しかし「別のレコード会社からリリースさせた」という苦しい対応を語っていた。


結局、東芝は昨今の経理不正問題でも分かるように、臭いものにふたをする企業体質なのだろうと思う。そういう企業は、文化の独立性を平気で踏みにじるのだと、この事実は告げているはずだ。

それはともかく、このアルバムは参加メンバーも桑田圭祐、泉谷しげる、山下洋輔など多士済々。
聴きドコロ満載で、どの曲も一ひねりあって楽しい。
上段:収録曲/下段:ゲスト参加者
1.明日なき世界 (Eve Of Destruction:オリジナルはバリー・マクガイア)
金子マリ、ジョニー・サンダースがゲスト参加。
2.風に吹かれて (Blowin' In The Wind:オリジナルはボブ・ディラン)
山口冨士夫、高井麻巳子がゲスト参加。
3.バラバラ (Balla Balla:オリジナルはレインボウズ)
山口冨士夫、三浦友和、Isuke Kuwatakeがゲスト参加。
4・シークレット・エージェント・マン (Secret Agent Man:オリジナルはジョニー・リヴァース)
坂本冬美、ジョニー・サンダースがゲスト参加。
5.ラヴ・ミー・テンダー (Love Me Tender:オリジナルはエルヴィス・プレスリー)
5.黒くぬれ! (Paint It Black:オリジナルはローリング・ストーンズ)
山口冨士夫、ちわきまゆみ、三浦友和がゲスト参加。
6.サマータイム・ブルース (Summertime Blues:オリジナルはエディ・コクラン)
高井麻巳子、三浦友和、泉谷しげるがゲスト参加。
7.マネー (Money:オリジナルはバレット・ストロング)
山口冨士夫、三浦友和がゲスト参加。
8.サン・トワ・マミー (Sans Toi M'amie:オリジナルはアダモ)
山下洋輔、Isuke Kuwatakeがゲスト参加。
9.悪い星の下に (Born Under A Bad Sign:オリジナルはアルバート・キング)
山口冨士夫がゲスト参加。
10.イマジン (Imagine:オリジナルはジョン・レノン)
ちわきまゆみ、三浦友和がゲスト参加。


しかしこのアルバムの一番の収穫は、日本語がそのままロック(ブルースコードのリフ)で、違和感なく表現可能だという発見だと思う。

それはたぶん、「黒くぬれ!」を聞いて改めて思うのだが、忌野清志郎のボーカル、歌唱法が、ミックジャガーのそれとソックリ、ハッキリ言えばマネているとしか思えない。
その結果として日本語でありながらブルースコードに「ノリ」がいいという結果につながったと思うのだ。



忌野清志郎が「僕の好きな先生」など、初期の歌唱法とは明らかに変わった事を考えれば・・・・たぶんパクったものだろうし、それはキース・リチャーズにソックリのギターを弾く仲井戸”CHABO”麗市の影響が大きかったのではないだろうか・・・・・

もちろんマネといはいうものの、ミック・ジャガーがイギリス英語をブルースに乗せるために、黒人ブルースシンガーの抑揚・発音を摸したように、それは何ら責められるべき事ではない。

そもそも、アフリカ起源の母音がハネるような言葉から生成されたブルースコードは、アフリカの言語かアフリカ訛りの言葉以外、不自然に聞こえて当然だ。
それゆえアフリカに起源を持たない人々は、ミック・ジャガーやエリック・クラプトンのように黒人ブルースの歌い方をまねるか、ビートルズのようにブルース・コードから距離を置いて、楽曲自体を自分たちの言葉に引き寄せるかという選択をせざるを得ない。

そしてRCサクセションは、ブルースコードに合わせて日本語をアフリカ風に歪ませる道を選んだ。
この選択によって、初めてリズムアンドブルースを原曲の味を崩さず日本化できたことを思えば、個人的にはその努力を賞賛したい。
更に言えば、英語風の発音で意味が取れない日本人歌手が多い中で、この発声・抑揚で日本語をクリアーに伝えられる、その歌唱技術に驚く。

さらに言えば、忌野清志郎の「ディドリームビリバー」を聞くと、明らかに原曲よりもロック色に満ちているのは、個人的には彼のロック魂を示すものだと思う。

このアルバムの一つの目的は、忌野清志郎が自らのロックを、あらゆる種類の音楽で通用するかというのが一つの目的だったように思う。
そんなおかげで本来シャンソンの「サントワマミー」を、たぶん日本でのみロック曲として聞く事が出来るのだ。
<越路吹雪の貫禄のシャンソン版「サントワマミー」>

やはりここには、原発問題で示されるような、反骨精神や熱い抵抗の力に満ちており、それこそが「ロック魂」だったはずだ。
最近の上辺だけのロックを聞くに付け、もっとイロイロ歌ってほしかったな〜と改めて思います。
今更ながら・・・・・

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posted by ヒラヒ at 19:44| Comment(4) | TrackBack(0) | ロック音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは😅僕の好きな先生🎵僕の好きなおじさん🎵この曲だけ知ってます❗(ФωФ)忌野清志郎さんのお母さんが息子の将来が不安だと身の上相談していた話はおもしろかったです(笑)
Posted by ともちん at 2016年09月04日 20:42
>ともちんさん
ありがとうございます(^^)
「サントワマミー」「デイドリームビリーバー」はCMやドラマで使われているので、聞けばあ〜ってなると思いますよ(^^
Posted by ヒラヒ・S at 2016年09月04日 21:07
ダイブ路線が変わってきましたね(笑)
でも、映画、本、音楽などばら色のレビューを目指しますってキャッチコピーでしたもんね(*‘∀‘)
Posted by いごっそ612 at 2016年09月05日 16:08
>いごっそ612さん
ありがとうございます。(⌒‐⌒)
イロイロ書きたいものはあるんですが、つい映画を書いちゃうんです。
映画が。アクセスには一番だと思うんですけど・・・・書きたいものは書こうかと思いますm(__)m
Posted by ヒラヒ・S at 2016年09月05日 18:33
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