評価:★★★★ 4.0
この映画は「未来を信じる」「人を信じる」そういう映画だったと思います。
カンヌ映画祭のグランプリや、オスカー男優賞に輝いたのも当然と思える、ロベルト・ベニーニ監督・脚本・主演の感動作です。
『ライフ・イズ・ビューティフル』あらすじ
1939年、ユダヤ系イタリア人のグイド(ロベルト・ベニーニ)は美しい小学校教師ドーラ(ニコレッタ・ブラスキ)と運命的な出会いをする。ドーラを我が者としたい、グイドはホテルのボーイをしながら、ドーラの前に常に何度も思いもかけないやり方で登場。ドーラは町の役人と婚約していたが、徐々にグイドに心を奪われる。しかし、婚約者との婚約パーティが開かれ二人に未来は無いと思ったところに、グイドが馬で乗り込みドーラを連れ去る。こうして結婚した二人は、息子ジョズエ(ジョルジオ・カンタリーニ)も産まれ、幸せな時を過ごすが、ムッソリーニによるファシズム政権が力を得て、ついにユダヤ人が迫害される時代となり、グイドとジョズエそして、ドーラは強制収容所に連行されてしまう。強制所の中で幼い息子をおびえさせまいと必死に嘘をつくグイド。また、女性収容所のドーラを励まそうと、放送室にしのびこんで妻に呼びかけたりと必死の努力を続ける。彼らの運命はどうなるか・・・・・・・・・・
『ライフ・イズ・ビューティフル』予告
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『ライフ・イズ・ビューティフル』感想・解説 |
こんなストーリーの中で、再び言いますが、この映画は「未来を信じる」「人を信じる」そういう映画だったと思います。
たとえば、ヒロインのドーラに対しても、必ず二人は結婚するという「未来を信じ」てグイドが働きかけ続けます。
普通であれば良家の娘と、ユダヤ人の男が結婚はしません。
しかし、ドーラがグイドを信頼し、その働きかける「未来を信じ」たからこそ、ついには駆け落ちしてでも共通の未来に向かったのです。
ナチスの強制収容所に収監されたグイド一家。
そこでも主人公は「未来を信じ」て、息子に「未来を信じ」させるため、笑顔とともに「これはゲームだ。ゲームが終われば商品がもらえる」と嘘をつきます。
4〜5歳ぐらいの息子でも、この異常事態に気付かない訳はありません。
しかし、彼は父を信頼し、父の言葉を信じる事を自ら選んだのだと思うのです。そして信じることで、未来を変えたと思うのです。
ここで、鍵となるのはグイドだけが「未来を信じ」ても、未来は変わらないという事実です。
グイードとその言葉を信じる、グイドを「信頼」する、他の誰かがいて初めて「未来は信じる」方向に変わると思うのです。
なぜなら、この映画の主人公に明らかなように、人は誰かが自分の事を100%信頼しているとすれば、命を捨ててでもその未来のために努力をし続けるでしょう。
そして結果として「未来は信じ」た方向に変わるのです。
そういう意味で、この映画の題名「人生は美しい」は、現在の状態を告げてる言葉ではないと思います。
「未来」において「人生は美しい」ものになると「信じる」という宣言なのです。
そして、皆がそう信じ、お互いを信頼するならば「人生は美しい」ものになるのです。
その美しい未来を、命がけで証明したこの映画に賞賛を贈りたいと思います。
『ライフ・イズ・ビューティフル』評価 |
最後に☆マイナス1、重箱の隅つつきます。
ベニーニはこの映画でチャップリンの「キッド」にオマージュを捧げているのが見て取れます。
しかし、チャップリンの笑いは哀愁とともにありましたが、ベニーニの笑いは陽性なキャラクターから生じる笑いのため、この映画の重いテーマにフィットしていたかどうか・・・・・
収容所も本来はもっと沈鬱な場所だと思えてなりません・・・・・・
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しかし、暗くなればベニーニの笑いが浮いてしまうだろうし・・・・難しい所だとおもうんですが
・・・・で、すみません減点1です。
あともう一つ重箱のスミを。
題名の「ライフ・イズ・ビューティフル」って・・・・
「ニュー・シネマ・パラダイス」の題名でも思ったんですが、原題のイタリア語「ヌーボ・キネマ・パラディソ」の方が趣があっていいと思うんです。
わざわざ英語に直す必要あります?
この題名だって、イタリア語で「ラヴィ・エ・ベッラ」でもいいんじゃないですか?
それだと売れないと映画会社の人が思うんだったら、せめて日本語でふさわしい題名にして欲しい・・・・なんか英語題だと違う気がする・・・・のは私だけでしょうか?
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カンヌ国際映画祭:審査員グランプリ賞
『ライフ・イズ・ビューティフル』受賞歴
第71回米国アカデミー賞:主演男優賞、作曲賞、外国語映画賞
トロント国際映画祭:観客賞
セザール賞:外国映画賞ベニーニのアカデミー賞受賞スピーチ
プレゼンターはヘレン・ハント
良い映画には3つの要素が必要で、良い脚本、優れた監督、偉大な俳優だと語り、ノミネート者を紹介。
ロベルト・ベニーニ(ライフ・イズ・ビューティフル)/トム・ハンクス(プライベート・ライアン)/イアン・マッケラン(ゴッド・アンド・モンスター)/ニック・ノルティ(白い刻印)/エドワード・ノートン(アメリカン・ヒストリーX)受賞者はロベルト・ベニーニ(ライフ・イズ・ビューティフル)。
【受賞スピーチ・意訳】
ありがとうございます!これは大いなる間違いです。だって私はすべての英語を使い切ってます。分からない!私はすべての感謝の気持ちを表現することができません。なぜなら今、私の体は、全身あまりの爆発的な歓喜によって打ち震えているからです。今、木星になったようです!そしてみんなを誘拐して、大空に寝かせて誰とでも愛し合いたい、なぜなら表現することができないからです。
これは愛の問題です。あなた方はほんとうに・・・・山の雪のように、とても繊細で、優しく、親切な、私が決して、心の底で忘れられないものです。そして、映画を本当に愛している、アカデミー協会に感謝します。イタリアの全てと、イタリア映画に感謝します。私を作ってくれたイタリアにグラチェ。私は本当に、もし私に何か良いことがあれば、それらのすべてに借りたものです。グラチェ、イタリア、グラチェ、アメリカ。この国から多くの物を得ました。大変感謝しています。そして私が望むのは、これに値するとは思っていませんが、それでも私は他のオスカーも欲しいです!(他にもノミネートされていた)ありがとうございました!どうもありがとうございました!ありがとうございました!
ラベル:ロベルト・ベニーニー ニコレッタ・ブラスキ
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ありがとうございます(^^)感動作です。収容所のシーンはさほどエグクないです、安心してご覧くださいm(__)m
題名は確かに原題で良い気がしますね〜。
日本でもなんだこの邦題ってやつありますしね(^^;
有り難うございます。(^^)
題名は大事な気がします。「スタンドバイミー」が「死体(原題ボディー)」だったら随分違いますよね(^_^;)