2020年07月07日

映画・初代『ゴジラ』1954年元祖・怪獣の王!そのリアリティーを考察!/あらすじ・感想・解説・意味・ネタバレ・ラスト

元祖ゴジラの力

英語題Godzilla
製作国 日本
製作年 1954
上映時間 97分
監督 本多猪四郎
特殊技術 円谷英二
脚色 村田武雄、本多猪四郎
原作 香山滋


評価:★★★★★5.0点



この映画の存在感とは何事かと思う。

タイトルの最初ゴジラの重苦しい足跡が響いただけで、心の中に禍々しい災厄の予感を持つ。
<『ゴジラ』テーマ曲:作曲/伊福部昭>

続いてゴジラの咆哮を耳にしただけでもう、破壊と殲滅から逃れ得ないと覚悟してしまう程のリアリティーがある。

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<目次>
映画『ゴジラ』ストーリー
映画『ゴジラ』予告・出演者
映画『ゴジラ』感想
映画『ゴジラ』考察・解説/ゴジラと戦争の傷
映画『ゴジラ』ネタバレ・結末

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映画『ゴジラ』あらすじ

太平洋で、船舶が原因不明の沈没をする。
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その後も船舶の沈没は続き、船の乗組員家族が不安にさいなまれる中、関係当局が対応に当たっていた。
そんな中、新聞記者萩原(堺左千夫)は、大戸島に沈没船の生存者が漂着したと知り取材に赴いた。
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島では海にいる巨大な怪物「ゴジラ」の伝説を、老漁夫は口にし近頃の不漁もそのせいだという。
萩原は信じなかったが暴風雨の夜、島は各所で異様な破壊が起こった。

大戸島に、調査団が送られることになった。
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古生物学者山根博士(志村喬)を先頭に、その娘で助手の恵美子(河内桃子)、彼女の恋人サルベージ会社の尾形(宝田 明)、原子物理学の田畑博士などからなる調査団が派遣され、実際に伝説の怪物の怪異な姿をその眼で見た。
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政府の諮問委員会の席で、山根博士は二百万年前の生物ゴジラが、水爆実験により目覚め放射能を蓄積して火を吐く怪獣となって出現したと説明した。
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そして、ついにゴジラは東京に上陸した。

品川駅を押し倒し、銀座で咆哮を挙げ、列車を引きちぎり、鉄橋を壊し、戦車や重砲の攻撃を受けても、国会議事堂やテレビ塔を破壊し、東京の街はゴジラに蹂躙(じゅうりん)された。

山根博士の弟子である芹沢(平田昭彦)は、恵美子に好意を持っていたが戦争で負傷した醜い顔になったのを苦に、実験室から出ず研究だけに没頭してきた。
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芹沢の秘密の研究は水中の酸素を一瞬に蒸発させ生物を窒息させる破壊兵器「オキシジン・デストロイヤー」だった。その研究を知る恵美子は、それを尾形に打明け、共に芹沢の説得に向かう。
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しかし戦争で人間を信じられなくなった芹沢はこれが殺人武器に用いられることを恐れて、説得に応じない。

しかし、ついに思いを寄せる恵美子を守るため、研究資料を悪用されないよう火に投じ、「オキシジン・デストロイヤー」と共に自ら海中に潜る決心をする・・・・・・・・・・
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映画『ゴジラ』予告


映画『ゴジラ』出演者

志村喬(山根恭平) /河内桃子(山根娘恵美子)/宝田明(尾形秀人)/平田昭彦(芹沢大助)/堺左千夫(萩原)/村上冬樹(田畑博士)/山本廉(漁夫政治)/鈴木豊明(弟新吉)/馬野都留子(新吉の母)/岡部正(田畑博士の助手)/小川虎之助(船舶会社社長)/手塚克巳(新聞社デスク)/橘正晃(アナウンサーA)/帯一郎(アナウンサーB)/中島春雄(変電所技師)/笈川武夫(対策本部長)/林幹(国会委員長)/恩田清二郎(大山代議士)/菅井きん(大沢婦人代議士)/榊田敬二(村長)/高堂国典(老漁夫)/東静子(ダンサー)/鴨田清(連れの男)/中島春雄(ゴジラ)

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映画『ゴジラ』感想


この映画のスゴいところは、その圧倒的なリアリティーにあると感じる。
俳優で言えば、志村喬の説得力に多くを負っていると感じたが、この役者のスゴいのは、明らかなフィクション世界を、そのたたずまい1つで現実世界に書き換えてしまうところにある。
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しかし、それ以上に、本作品でリアリティーを生んでいるのは、全体に染み込んだ時代感にあるのではないか。
これが撮影された1954年とは第二次世界大戦が終わって、10年を経ていない。
つまり、この映画の、ゴジラという破壊の化身に、右往左往する人々の姿はそのまま、10年前の現実世界だったのだ。
<アメリカ軍の撮影した1945年の日本>

映画には間違いなく時代感覚が、映り込むことがある。
そして、しばしば傑作とは、監督の意図と、映り込んだ時代感がマッチした時に生まれるように思う。
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この初代ゴジラの明らかな着グルミ感は、ビジュアル的にチープだと言わざるを得ない。
しかしその「作り物感」以上に、禍々しく怪異で重厚な、魔物とも、神とも見える存在として、その威容にリアリティを与えたのは、エキストラまで含め表現された、戦争の災禍の記憶が、ゴジラという存在に憑依したゆえだと感じた。

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映画『ゴジラ』考察・解説

特別企画「目撃者に直撃インタビュー」


Godzilla_press.pngこの映画が持つ圧倒的リアリティーの秘密を、作品中の人々の思いから読み解こうというのが、これ以降の文章の狙いです。

ということで、映画に登場した人々に新聞記者萩原がインタビューを敢行する、映画ファン待望の夢企画(嘘)である。

新聞記者萩原:あなたにとってゴジラとは?
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大戸島の老人:あれは祟神、大地の精霊、台風や地震のような大いなる気の表れじゃ。
あの顔を見よ、まるで狛犬のようじゃろ日本の神の姿じゃで。

新聞記者萩原:あなたにとってゴジラとは?
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古生物学者山根:二百万年前の生物ゴジラが、水爆実験により目覚めた自然界の脅威です。

新聞記者萩原:映画で28分後に登場していましたね。あなたにとってゴジラとは?
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電車の中の女性:ど〜でもいいんだけど、長崎の原爆ですら生き延びてきたのに、いい加減にして欲しいんだけど。ホント災難でしょアイツ。

新聞記者萩原:映画で32分後に登場していましたね。あなたにとってゴジラとは?
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32分の客船の乗客:私たちは平和になって、ようやくレジャーを楽しめるようになって、で急に海からゴジラが出てきてビックリなんだけど・・・あんまり言っちゃいけないんだけど・・・・実は遊びほうけている俺達を、戦争で死んだ人々が恨んで、ゴジラになって襲ってきたんだと・・・・・殺されてもしかたないと思った(号泣)

新聞記者萩原:映画で1時間2分後にゴジラに襲われていました。あなたにとってゴジラとは?
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子連れの母親:おとうちゃんのところに行くのと子供に申しました。お父ちゃんは戦争で死んで、私は子供を抱えて苦しい生活で、あ〜ゴジラが救いにきてくれたなぁ〜って。私にとっては救い神のように思えました・・・

新聞記者萩原:映画で1時間6分後にゴジラに襲われていました。あなたにとってゴジラとは?
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テレビ塔アナウンサー:戦争中大本営発表の嘘を言っていましたからね・・・・・ゴジラでも何でもいいんですが、命をかけても嘘は付きたくない・・・そう思っていました。

新聞記者萩原:調査隊にいてゴジラを見て、それからずっとゴジラに関わっていました。あなたにとってゴジラとは?
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山根の娘恵美子:戦争が終わって10年。実は不安だったんです・・・・こんな不安定な世界情勢で、いつまで平和が続くんだろうって・・・そこにゴジラが現れて、ヤッパリ戦争が起きたって、そう思いました。
だから、なんとしてもゴジラを斃したかった。ゴジラは再び始まる戦争そのものです。

新聞記者萩原:恵美子さんの要請を受けてゴジラと戦われますが、あなたにとってゴジラとは?
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芹沢博士:私は戦争に行きました。障害者となって戻りました。私は戦争で罪を犯したものとして、恵美子さんとの恋を諦めました。私とゴジラは結局、戦争の生き残り、戦争の傷跡なのだと思うのです。平和な世で生きていてはいけない者なのです・・・・・

新聞記者萩原:いろいろな意見を聞いて正直混乱しています・・・再び聞きます。あなたにとってゴジラとは?
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古生物学者山根:今となっては、正直なところ幻のようにも思えるのです。結局、ゴジラとは日本人が戦争で負った傷トラウマが形となって現れたものだったかと・・・・

新聞記者萩原:つまりは、ドキュメンタリーとしての強い力の上に、この禍々しい「祟り神」が現れるとき、フィクションを超えたパワーが発揮されたということでしょうか・・・・・・

新聞記者萩原:あっ!しまった!大事なインタビューを忘れていた!!!!

新聞記者萩原:いろいろあなたについてなんやかやと人間が言ってますが、また、あなたのこの映画以降の作品に関して評判が良くなかったりするのですが、あなたにとってゴジラとは?アッ!ギャァァァァァァ!!!
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ゴジラ:ペッ!不味いなコイツ!あ〜ウルセェ〜!人が見た数だけ違う姿を見せるのがスパースターってモンだろう!

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以下の文章には

映画『ゴジラ』ネタバレ

があります。
(あらすじから)
いよいよ、芹沢と緒方が、ゴジラとの対決に臨む。
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皆に見守られながら「オキシジン・デストロイヤー」と共に海中に突入した。
その様子を見守る船上の人々の目の前にゴジラが現れ、断末魔の叫びを響かせた。
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映画『ゴジラ』結末

芹沢博士は自ら命綱を切って、ゴジラと共に海に沈んだ。
芹沢は、緒方と恵美子の幸福を祈ると言い残した。
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山根教授は、また水爆実験が繰り返されるなら、第二第三のゴジラが現れるだろうと呟いた・・・・・
船上の人々は、均しく頭を垂れ黙とうを捧げた。
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海は静かに陽光を映していた・・・・・
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ラベル:志村喬 宝田 明
posted by ヒラヒ at 21:10| Comment(6) | TrackBack(0) | 日本映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは〜今日はゴジラ祭りですね( ̄▽ ̄)🎵白黒〜歴史が長いですね!古くからあったんですね。「シン」のほうは良いみたいですよ。
Posted by ともちん at 2016年07月30日 22:40
>ともちんさん
ありがとうゴジラまいます?
いや〜この白黒もいいですよ〜気合が違います!
戦争の怨念をしょって戦うゴジラ!必然性がありますから!
私はコレを「真・ゴジラ」と呼びたいと言う事でm(__)m
Posted by ヒラヒ・S at 2016年07月30日 22:55
観に行ったのか?と思ったら初代かあ(笑)
白黒は観た事ないんすよね〜カラーはあるけど
たしかにゴジラは祟り神なのかも?
Posted by いごっそ612 at 2016年07月31日 07:02
ゴジラとは日本の影の部分をすべてをしょい込んだ経済発展の原動力ですね。古民家の縁の下みたいな。
志村喬が相変わらずおろおろしているのがほんとにいいですね!
Posted by 少彦名 at 2016年07月31日 10:17
>いごっそ612さん
すいません〜のかってみたかったんです(^^;
「シンゴジラ」いいみたいですね。でもコレもすごいですよ。
志村喬もマジですが、群集の一人一人がスゴイ迫力なんですm(__)m
Posted by ヒラヒ・S at 2016年07月31日 11:02
>少彦名さん
ありがとうございます(^^)ヤッパリ初代は戦争に対する禊みたいな部分があるように思います・・・・それ以降の正義のゴジラは、確かに高度成長期のパワーを体現しているように思いますm(__)m
Posted by ヒラヒ・S at 2016年07月31日 11:06
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