2016年07月24日

映画『戦略大作戦』戦争って金でしょ?/解説・ネタバレ・感想・あらすじ

B級戦争アクションの傑作

原題 Kelly's Heroes
製作国 アメリカ
製作年 1970
上映時間 144分
監督 ブライアン・G・ハットン
脚本 トロイ・ケネディ・マーティン


評価:★★★★   4.0点



この映画が画期的だったのは、第二次世界大戦を描いた戦争映画で在りながら、『史上最大の作戦』のような、戦争の勝利を誇る内容でもなく、『ジョニーは戦場に行った』のように反戦を訴える作品でもなく、『カサブランカ』のようにプロパガンダでもないというところです。

では何なのかと言えば、戦争エンターテイメントとして描かれた最初の1本ではないかと思います。

この映画によって、戦争を歴史の持つ重さから開放し、純粋に娯楽作品として描くようになったパイオニア作品だと思うのです。
この作品の系譜が『イングロリア・バスターズ』などに引き継がれる事になるのですが・・・・

実は「戦争」をエンターテーメント化するにあたって、この映画は「戦争」を従来にない観点から語ることで可能にしたと思うのです。

<ニュース速報>(ウソ)
憲法を改正しようとかねてから検討してきた総理大臣が、戦争放棄の条文を残し、さらに完全なる交戦権の放棄を決断しました。総理は、そのため日米安保条約の破棄と、自衛隊の解体に向けての具体的なロードマップ作成を指示。これにより、日本は他国の攻撃に対し軍事的防衛力を持たないことになり、議論を呼びそうです。


映画のストリーは・・・・・・

『戦略大作戦』あらすじ


ケリー(クリント・イーストウッド)は、捕虜にした敵軍の大佐をつれ、小隊に戻ってきます。ビッグ・ジョー(テリー・サヴァラス)、リットル・ジョー(スチュアート・マーゴリン)、ジョッブ伍長(トム・トゥループ)らの小隊メンバーは捕虜に酒を振舞い、ドイツ占領地域の銀行に、千数百万ドルの金の延べ棒が保管されていることを聞きだします。彼らは休暇を利用して、金の延べ棒を奪うことにします。計画を練る天才のクラップゲーム(ドン・ピックルズ)と戦車隊の生き残りオッドボール(ドナルド・サザーランド)を仲間に入れ、ケリーたちは戦線を突破し黄金の眠る銀行に向けて敵陣深く進入します。
いよいよ銀行に到着したとき、黄金はドイツ軍タイガー戦車に守られ、厳重に保管されていました・・・・・無事彼らはお宝を手に入れられるか・・・・・・・

・・・・・・・という物語です。
ここで描かれるのは、はみ出し兵達が「金の延べ棒」を、上手いこと盗もうとする話です。
つまりは戦場の火事場泥棒です。

<ニュース速報>(ウソ)
戦争放棄に向けて政府は、自衛隊の防衛予算の約4兆7千億円は、積極的に国連・発展途上国の支援に振り分ける事で、国際関係の改善と信頼を生成する事を目指すとしております。
その対外的な信頼関係を基にすれば、武力を持たない戦争放棄国家日本に対して攻撃が加えられた場合、攻撃国に対して世界的な非難と批判が生じるのは必至だと、総理は考えているとの事です。


こんなズルい話ですけど、キャスティングがまた見事で、テリー・サバラスクリント・イーストウッドドナルド・サザーランドがメインで出演しています。
いかにも悪い事しそうな人達ですが、しかも憎めないところがミソです。
こんな親父達が、自分達の欲望に向かって楽しそうに邁進する姿は、いっそスガスガしくさえあります。

そんなこんなで、アクションは昔の作品ですからさほど多くはないものの、B級作品としての雰囲気たっぷりの、良くできている映画です。
最後にはタイガー戦車とM4シャーマンの戦車戦も見られますし。
(しっかし、ドイツ軍のタイガー戦車本物でしょうか?)

『戦略大作戦』予告



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以降の文章に

『戦略大作戦』ネタバレ

があります。ご注意下さい。

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この映画の撮られた1970年といえば、ベトナム戦争の真っ只中ですから、反戦意識が全米で高まっていた時でもあります。

そんなご時勢を反映して、実は、この映画には隠された皮肉が有るように思います。
それは物語のラストで、ドイツ軍VS米軍のヨーロッパ戦線でありながら、クリント・イーストウッド演じるケリーがナチスの敵側と交渉し、金の延べ棒を山分けする事で合意し、仲良くパーティーを始めるシーンに明らかです。

つまるところ、戦争の目的は金でしょ?
金さえありゃ死ぬことないでしょ?
そんな、製作者の声が聞こえてきそうです。
実を言えば、これは本当に重要な「戦争」に対する本質的指摘だと感じます。

この映画が語った「戦争」とは、正義の戦いでも、悪逆の行為でもなく、つまるところ「金の取り合い」だと笑い飛ばしているのです。
こんなバカバカしいことに命賭けてるなんて、笑っちゃうでしょという主張のために、この映画から深刻さや悲劇性が取り去られた思うのです。

<ニュース速報・総理の声明>(ウソ)
第一次世界大戦や第二次世界大戦にしても、一見宗教的な対立構造のように感じられる「対テロ戦争」も、つまるところ経済的な不均衡に端を発する、利己的な国益の追求によって生じたものでした。
わが国は、今後、軍事予算として計上してきた歳費を、世界の不均衡を是正するために使い、明日の世界から貧困が根絶されるために最大限寄与して行きます。
世界から貧困が撲滅されれば、将来の戦争は起こらないと私は信じております。

そんな戦争を放棄し、世界の平和と自由に貢献する国家として、世界に名誉有る位置を占めたならば、わが国を攻撃する事は世界を敵に回すに等しいと侵略国は思い知るでしょう。

私は真に日本を守る道は、この国際協調の理念の推進により、可能な限り世界の幸福に寄与する事でのみ可能だと信じております。


この映画が語るのは「金持ちケンカせず」ですね。LOVE & PEACE


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posted by ヒラヒ at 20:59| Comment(4) | TrackBack(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
物凄い豪華キャストですね!
未見だけど、観たいな〜
「戦争」エンターテーメント映画の出発点となった映画気になります!
Posted by いごっそ612 at 2016年07月24日 20:46
おこんばんは〜戦争ものでエンタメ映画だと「1941」もですかね?戦争映画は深刻でないといけないわけでは無い?( ̄▽ ̄)
Posted by ともちん at 2016年07月24日 21:06
>ともちんさん

ど〜も「1941」はもう、戦争ギャグ映画ですね。
スピルバーグのおふざけ映画で面白かったですよね。日本兵が「ハリウッド」って騒ぐところがスキでした(〜〜)
この映画があって、あの映画という気がしますm(__)m
Posted by ヒラヒ・S at 2016年07月24日 21:17
>いごっそ612さん
ありがとうございます(^^)
今見るとアクションなどの刺激は少なめかとも思いますが、どっかノホホンとした味が、クセになる一本ですm(__)m
Posted by ヒラヒ・S at 2016年07月24日 21:19
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